さようなら、タイラー・ジェンキンス

朝、フロントに行くと「解雇」を宣告された44勝29敗のヘッドコーチ。若き天才を解雇してしまったグリズリーズに未来はあるのか。

こんなことってあるんですね。確かに上位チームに勝てていないのですが、イディやウェルズがスターターで、ピッペンやハフを起用しなければいけないローテ、モラントが30試合欠場していて勝率6割は優秀過ぎるんだけどな。

さて、タイラー・ジェンキンスといえば「ACから新たにHCになった」と「若い戦術タイプのHC」という特徴もあります。

今でこそジェンキンスよりも若い選手はいなくなりましたが、HCになった当初はビンス・カーターを筆頭に10人もいました。その中の1人はJJレディックだったりします。そしてリンク先のとおり、初年度から結果を残し、2年目にはプレーオフへと進出。戦術的にも現代セオリーに新たな要素を追加していきました。

・若いHCは戦術的な革新をもたらす
・HC経験がないACを抜擢する
・ブーデンフォルツァー系統のAC

するとリーグ全体で新HCにこんな要素を求める風潮も出てきました。当時のバックスはチャールズ・リーを引き抜かれないように違約金を設定したほどです。また、新たなHCを探すときに「HC経験者は候補から外す」なんていうバカげた理論を出したチームもあるほどです。

しかし、内部昇格の新HC(マッズーラとダグノート)を除けば、殆ど成功しませんでした。ただ単にタイラー・ジェンキンスが優れていただけで、2匹目のドジョウがあちこちに転がっているはずもありません。

戦術家であっても新たな戦術をコート上で表現させることが出来なかったり、1つの形に拘って継続性がなかったり、選手との関係性を構築できなかったり、手元にある戦力と見合っていなかったり・・・

グリズリーズといえばトレードやFAよりもドラフト指名で戦力補強をするチームですが、グリズリーズでは戦力になっても他のチームでは活躍しきれないケースが殆どです。ティルマン、ザイアー・ウィリアムス、ロディ、ララビア。コンチャーやクラーク、ビンス・ウィリアムスにイディとウェルズなんかも移籍したらどうなるかね。例外でユータ・ワタナベなんかもいるけど。

ある意味でフロントのスカウティング能力が高いようでいて、(特にディフェンス面で)未完成な若手を戦力化するのが上手いジェンキンスだからこそ成立してきた流れでもあります。若いHCはスター選手に嫌われますが、逆に無名の若手たちにはチャンスがデカいし、それが今のグリズリーズを作り上げました。

あの事件さえなければNBAの新たな顔のように扱われていたモラントですが、実際にはTS56.0%のスコアリングPGでもあります。破壊的な突破力を持ちながらも、制度の低さは改善されておらず、ゲームメイク能力に優れているタイプでもありません。

それこそタイラー・ジェンキンスの戦術でなければモラントの価値はもっと低くなっている可能性すらあります。個人突破よりもチーム全体で攻めることを促し、そのかわりに勝負所でエースアタックを存分に使うことで、モラントはスタッツ以上に効果的な選手として、そしてライジングチームのニュースターとして扱われてきました。『モンスター』としての仕事を求められた時にどうなるのかは未知数でもあります。

グリズリーズの再建において『若い』というのは大事な要素でした。ローカルチームにFAで大物が来ることはなく、しかしドラフト補強を重視しているから大きなトレードに打って出ることもしていないメンフィスのフロントにおいて、ロスターにいる選手を全て戦力にしてしまう手腕がなければ、再建そのものが成立していなかったでしょう。

さようなら、タイラー・ジェンキンス” への6件のフィードバック

  1. ジェンキンスらしい戦い方が嫌で(?)クビにはなったけど今のロスターはジェンキンスらしい戦い方が1番強さを発揮する気がするし、
    どうなるんだろ?イーサロ次第だけど、結果的にロスター含めたリセットの1歩目でした、ってなりそう

  2. 「多分、スーパースターとは上手くやっていけない」
    スーパースターなしでは優勝できない、けどスーパースターのワガママ聞いてたらチームが崩壊する例にも枚挙に暇がないわけでして…
    フロントGMの匙加減も難しいもんですね。ジェンキンスよりモラントの方が先に捨てられるかなと思ったけど見事に予想外れました。

  3. 主題からは逸れますが、ある1つのチームがドアマット→リビルド→タイトルコンテンダーに移行していくなかで、上手にハードワークや勝ち癖のカルチャーを植え付けていくことの難しさを感じます。
    若手のタイムラインに合わせた補強がうまくいったロケッツ。
    あのスモールラインナップが修行のようで今はIQ注入のスパーズ。
    性格ドラフトのサンダー。
    ドアマット拒否のヒート。
    勝ち癖は付いても文化は根付かなかったシクサーズその他。

    どこも興味深いです。

  4. いろんなファンの意見があってよいと思うので、あれなのですが、個人的には、今のウエストで、エースであるモラントが30試合くらいいない状況で45勝くらいしてるヘッドコーチの何が不安なんだい?と思います。
    DFが悪い?上位チームに勝てない?それはHCのせいなのかい?サンダーやナゲッツやロケッツやウルブズやレイカーズやクリッパーズよりもそんなにロスターが優れているか?SGAやヨキッチやアントマンやドンチッチやハーデンに明確に上な選手がいるか?HCを変えれば勝てるのか?勝ちたいなら減ってしまったベテランどころをもう少し増やしてもよいのでは?とかなんとか思いますね。
    まぁローズやスマートとか最近は怪我しかしていなかったベテランばかりでGMのやりたいこともわからんでもないが・・・うーんなんにせよイーサロさんに頑張ってもらって、今のロスターでもこうすれば上位チームに勝てるのさ!って見せてほしいです。現状、足りないものが多すぎる気がしますが。

    ジェンキンス今までありがとう。ジェンキンス前のDFが一番!OFは二の次!のチームを好きになって、でもジェンキンスの作った現代バスケの面白さにもはまれてすごく楽しい5・6年でした。次のHCもすぐ決まって、チャンピオンになってほしいです。個人的にはスマートが一番チームに合わなかったと思っているので、ウィザーズに行くのは反対ですww

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