◎2年目後半
そしてシアカムのトレードが発生します。2年目にして完成の域に入っているオフェンスでしたが、個人技担当がマサリンではまだまだ勝てない。しかもラプターズが解体に入ったのだから、このチャンスを逃してはいけないと判断したようです。
本当はアヌノビーを欲しかった気がするのですが、その理由はトッピンが超高確率でフィニッシュしているので、シアカムが来てもオフェンス効率は上がりそうにないこと。一方でディフェンスは悪いのだからアヌノビーで大幅改善が期待できそうでした。
【放出】
ブルース・ブラウン
ジョーダン・ヌワラ
カイラ・ルイス
1巡目指名権×3
【獲得】
シアカム
2巡目指名権
ただ、先にアヌノビーが決まったことで主力を引き抜かれることなくトレードが実行できました。指名権は1つ多かった気がするけど、それでも戦力を落とさずに手に入れたのだからマイナスになることはないもんね。
ペイサーズに来たシアカムは予想通りトッピンほどのTSは出せなかったものの60%と高水準。そして予想外にリバウンドをとってくれたのでペイサーズのディフェンスは少しだけよくなりました。ほんんの少しだけね。
47勝35敗でマジック、シクサーズと並んだものの、6位で進んだプレーオフ。シアカムはその真価を発揮し、ファーストラウンドのゲーム1で36点、ゲーム2で37点と大活躍を・・・したわけではなく、そこからはほどほどでした。
ちなみにバックス、ニックスと2年連続で対戦しています。そしてバックス相手というかヤニス相手にはイマイチなことが多く、ニックス相手の方が輝きを見せました。走りやすい方がシアカムの特徴が出るのも間違いなく、単純なマッチアップ以外でも違いが生まれます。その意味ではペイサーズ路線に合っていたのか。
ところで、このプレーオフに入って2つの問題点が出ます。1つは言うまでもなくディフェンス。もう1つがプレータイムです。
〇vsバックス
シアカム 37.8
ハリバートン 36.3
ニスミス 35.0
ネムハード 34.7
ターナー 33.3
トッピン 19.3
マッコネル 18.0
シェパード 17.8
主力酷使ではないけれど、基本は8人ローテだし、スターターは35分はプレーするような配分です。今のペイサーズがシェアしているのに比べると、あまりにも普通の配分ですし、センターはターナーだけでスモールも多用していました。実はカーライルもプレーオフになったら普通のプレータイム配分をしていたってことです。
マブス時代もこんなイメージだったから、カーライルの本性としてはバックス戦の使い方だと思います。しかし、相手にケガ人が出てきたり、自分たちにも疲労の色が出てくると考え方を変え始めました。
〇vsニックス
シアカム 33.6
ハリバートン 32.4
ニスミス 30.7
ネムハード 29.6
ターナー 31.6
トッピン 18.7
マッコネル 20.6
シェパード 20.1
ジャクソン 12.6
バックスとのシリーズの終盤でよかったアイザイア・ジャクソンを加えた上でスターターのプレータイムを削りました。これが最終的にゲーム7までいったシリーズで効きまくったわけです。実際、オフェンススタッツは115.3点、FG53.2%、3P42.5%ととても4勝3敗のチームとは思えないハイスコアでした。
最終的にセルツとのシリーズはハリバートンがケガしてしまったわけですが、戦い方としてはプレータイムシェアの方が自分たちの強みを出せると感じたようなカーライルの変貌ぶりは、今シーズンへと続く正しさを示していました。
プレータイムシェアの正しさを実感したプレーオフ
さて、もう1つの問題であるディフェンスについては改善する匂いがしませんでした。開幕前に「肉を切らせて骨を切る」タイプのディフェンスを修正するのかどうかに注目していましたが、全くしなかったぜ。ただし、ここで間違えてはいけないことはペイサーズのディフェンスを「悪い」と片付けることは簡単だけど、実際には
全てを止めに行くディフェンスで穴が生まれやすい
という特徴がありました。そもそもリーグ屈指のリムプロテクターであるターナーがいるのだから、ゴール下で止めることを選べば、もっとディフェンスレーティングを落とせるはずです。でも、そのターナーもアウトサイドまで追いかけるし、リムプロテクトにもいくからリバウンドが取れなかったりね。
プレーオフではリラードに対してネムハードのディフェンスが目立ち、止めに行ってはファールしてもいました。ここの駆け引きみたいな部分での苦労もあったぜ。バックスのような「取捨選択」をせず、相手のミスを待つのではなく、積極的に止めに行く、ボールを奪いに行くのがペイサーズの守り方でした。
そのスタンスを崩さなかったペイサーズ。いくらでも改善する要素はあったはずだけど、このスタンダードは崩さなかったことが3年目に効いてきます。
細かいですがルバートのトレードで獲得した2巡目指名権がネムハードになっています。
ここ重要なのでよろしくお願いします。
足しときました!
2022年のドラフトコンバイン動画で見た「いいガードだなあ」と思ったのがネムハードでした。あの年、「1巡目23位がネッツに譲渡の可能性アリ」だったので「どこかがここで指名して、ネッツに譲渡しないかな」ツイートしたものです。
そのネムハードとハリバートンが見せていた「冷静に仕留めていく姿」。一方で「燃え上がるようなメンタリティ」のブランソン、タウンズ。元気な方が勝つ時代において「元気&頭が冷静」なチームに対し、シボドーのスパルタンなローテ構成では、勝負は見えていたのかもしれませんね。
昨今はスーパースター3人抱えるとチームが維持できない時代です。そこそこのスターといいロールプレイヤーでチームを作れ(つまりローテ人数を増やしなさい)ていうリーグからのメッセージでしょうかね。
そのリーグからのメッセージは次回の労使交渉で「もっとサラリーよこせ」に代わってしまいそうなのも怖いですけどね。
そろそろロスター枠は拡大してもいいのかもしれません。いろんな選手を試せるようにしないと。
ハーフコート&少人数ローテのDALと、速攻アーリー&全員バスケのINDといったをファイナルに行けるオフェンスチームを作り上げたカーライルこそ真に驚嘆すべき才能なのかもと思いました。
こんなに時代に合わせて変化し続けるHCがいるんでしょうか?