さようならヒート’25

◎アンチ・ストロングスタイル

ストロングスタイル、つまりは強烈な戦術を構築しているけど、柔軟性がないので長所を潰され、短所を狙われると破滅するチームがイーストには多くなっています。代表格はバックスであり、まさにヒートがプレーオフにおいては「お得意様」扱いしていました。

その逆でヒートはアンチ・ストロングスタイルとでもいうべき多彩さが売りです。それがファイナルへと進む要因になっており、シーズン中から様々なことを試すので、シーズンの成績が微妙にもなっています。

ただ、イーストの事情もあってプレーオフでは勝てる。ウエストのファンが「イーストは楽すぎる」というのは、ある意味ではヒートが勝ててしまう環境を示しています。ウエストだとストロングスタイルでは勝てないのはもちろん、柔軟性だけでは勝てないどころかプレーオフにもいけないしさ。

ヒートにとっての問題はここにあります。20年にファイナルへ進んだ時は『ストロング』の部分があったのですが、以降はどんどんと消えていきました。ものすごくざっくりとしたポイントではありますが、当時については

・バトラーのファールドローとミドル
・アデバヨとダンカンのシューティングツーメンゲーム
・スピードとフィジカルと運動量で蹂躙するアデバヨ
・ドラギッチのプレーメイク
・バトラーとクラウダーのフィジカルウイングディフェンス
こんなものがスターターにはあり、そこにベンチメンバーを絡めると

・勝負強い1on1からのヒーロー
・マルチディフェンダーのイグダラ
・ストレッチビッグのオリニク
・必殺ガード殺しゾーン
そんな個人要素を使い分けていました。

当時はあくまでもディフェンスの強みがヒートの強みでしたが、オフェンス面でもスターターはプレーオフはドラギッチになったことでパスワークがあったし、世界がアデバヨ&ダンカンのハンドオフシューティングへの対策が不十分で、そこにバトラーとアデバヨがフィジカルな個人技アタックも付け加えていました。

それが今はメインが1on1スコアラーになっており、そこの使い分けでのオフェンス戦術でしかありません。プレーインではダビオンが見事なプルアップ3Pで勝負を決めましたが、それもチーム内での役割orディフェンスを見た判断というよりも、個人の気持ちの強さって感じだったしね。

そして今シーズンのプレーオフでは、ジャレット・アレンとDPOYモーブリーを擁するキャブスディフェンスに対して、ゲーム4を除けば立派な3P成功率を記録しながらのスイープ負けとなっており、ある意味では相手に応じた戦術を展開できていたけど、それが強みにならないことで負けました。

単なる力負けではあるものの、戦力が充実していたとしても同じような戦術をチョイスしたであろうことから『アンチ・ストロングスタイル』の完敗だったようにみえます。自分たちが対策されるほどのストロングがなかったし、かといって自分たちが柔軟さを用いても、それ自体にストロングな部分が足りな過ぎた。

そして課題はここにぶち当たります。相手に対策をさせるほどの明確な『ストロング』とはエース陣が作り上げるもの。相手に応じて使い分ける『ストロング』を作るには似たような選手ばかりでは難しいのではないか。バトラーがいなくなったこととは何も関係なくヒートがぶち当たっている壁にみえるわけです。

さようならヒート’25” への3件のフィードバック

  1. ヒートは他と違って特殊?なチーム運営してるけど、それが今は悪い方向にしか向いてないからいい加減に地に足つけたチーム運営した方がいいと思う
    よく言われるヒートカルチャーっていうので上手くいくならどのチームも苦労しないよ

  2. ゲーム4のとんでもないボコられ具合で内部の人間もさすがにこれ以上目を背ける訳にはいかないな、と懲りたハズなのであとは決断するだけ
    懲りたハズだよな……?

  3. PIからPOに「這い上がる姿」をファンにみせただけでフロントは満足してそう

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