さようならグリズリーズ’２５

◎ハンドラーは足りるのか

〇アシスト
シーズン　２８．４
プレーオフ　２０．５　

前述のとおり、サンダーのディフェンスが強烈すぎるので大した参考にはなりませんが、アシストの多かったグリズリーズオフェンスはパッシングを封じ込められました。

〇キャッチ＆３Ｐアテンプト
シーズン　　２８．６
プレーオフ　２３．８

〇ワイドオープン３Ｐ
シーズン　　２２．３
プレーオフ　１５．８

その理由にはパッシングからの３Ｐが減ったことにあります。コンチャーとケナードが消えていたのは展開からのパスアウトが機能しなかったことと大きく関係しています。ここについてはケガで出場できなかったウェルズがいても同じ結果になっていたと思うので、ウェルズも消えていただろうな。

ところで「サンダーのディフェンスがいいからなぁ」と言いたくなる反面で、サンダーのディフェンスはハイプレッシャーをかわされて展開されるのに弱く、ドンチッチ起点からのＰＪワシントンに虐められまくっていました。実際、シーズンの被３Ｐアテンプトはリーグで８番目に多くなっています。

〇サンダーの被３Ｐアテンプト　３９．３本

消えていたケナードとコンチャーですが、むしろｖｓサンダーを考えると「目立たせなければいけなかった」選手であり、そこまでボールを届けられなかった展開力に問題がありました。ここにゲームプランとしての課題が残ります。

イメージでしかないけど、イーサロはバスケットボールのＨＣとしては優秀かもしれないけど、ＮＢＡのＨＣとしては経験不足過ぎたのかもしれません。このリーグの戦術や対策構築に詳しくなかった。

〇ドライブ数
シーズン　　５９．３（１位）
プレーオフ　５６．５

〇パス数
シーズン　　２７６．８
プレーオフ　２８１．５

〇オフェンス平均移動スピード
シーズン　　４．８４
プレーオフ　４．５７

ドライブ数やパス数を見ると、ほぼシーズン通りでした。しかし、オフェンス時の移動スピードが遅くなっており、走力勝負になっていなかったことがわかります。プレータイムシェアがなくなり、主力というかロールプレイヤーの運動量が下がっているのも気になりました。

〇移動スピード　シーズン／プレーオフ
モラント　４．８１／４．４６
ベイン　　４．９７／４．４７
ＪＪＪ　　４．５２／４．２５

ピッペン　５．０５／４．６６
アルダマ　５．０８／４．７７
ケナード　４．９７／４．５８
イディ　　４．５８／４．２５

この数字はトランジションを減らされることで下がる数字なので、チーム全体のダウンはそれだけ速攻を出せなかったというだけです。各選手を見ても同じような落ち方しているもんね。

だからこそ試合展開をどう変化させるのかは大事だし、誰を起用して違いを作っていくのかは格上のサンダー相手には大事でした。そこにゲームプランがみえなかったのが厳しいプレーオフでもありました。

また、アルダマ・ＪＪＪ・イディ・バグリー・ハフのうち３人を起用するビッグラインナップも頻繁に使ってきましたが、イディがいるとスピード不足が顕著になるし、それ以外にもチームの展開力不足が顕著になっていました。エクストラパスが極端に減っていたぜ。

・ハンドラーの展開力不足
・チームパッシングの低下
・運動量減

サンダーのディフェンスが強すぎただけなのか。それともグリズリーズのチームオフェンスが失われたのか。どっちともいえませんが、『ハンドラーの展開力不足』というテーマは前からあるものでもあります。このプレーオフはピッペンがゲーム３で２８点、ゲーム４で３０点取りましたが、アシストは増えておらず、好みのガード陣が変わってきている面もありましたとさ。

ちなみにこれらの件について「だからイーサロはダメ」なんてことは微塵も考えていないのですが、むしろ「なんでタイラー・ジェンキンスは、ここの采配で上手く回しているんだ」という天才性にびっくりします。

足りないはずのハンドラーの展開力を、チーム全体の細かなポジショニングとスペーシングで解決し、それも運動量が多い中で成立させている。同じシューターでも使い分け、使い分けているのかわからないくらい頻繁に交代させる。それを再現するのは難しいだろうな。