さようならサンズ’25

◎致命傷

サンズの得失点差は△3.0ですが、速攻だけで△4.4もあります。つまり、速攻の得点と失点がイーブンであれば、少なくとも得失点差はプラスになっていたわけです。速攻が得意である必要はなく、±0であればいいだけです。

ちなみに昨シーズンも得点は13.3と少なかったものの、失点は14.4となっており、△1.1でした。スティールからの速攻は期待できない代わりに、トランジションディフェンスをしっかりと行うことと、ターンオーバーを抑制すれば済んだ話なわけです。PGも加わったのだから、そこんとこ改善するのが普通でした。

しかもHCはブーデンフォルツァーです。トランジションディフェンスを徹底し、速攻の得失点差で勝ち切る戦術を作り上げたHCでもあります。スペーシングと3P、ハリーバックでリスク回避。イージーショットは絶対にやらせない系統。

実際、この速攻の得失点差はシーズンが進むにつれて悪化していきました。HCと選手の気持ちが離れていったし、選手はミスにいら立って次のプレーへ移行しないことが増えていきました。

個人技アタックを中心にしたオフェンスばかりが増えた中で、ブッカーもデュラントも高いTS%でしたが、トップからのアイソが増えるし、そこでシュートに行くタイミングはよくわからないから周囲はディフェンスに戻れない。しかも、トップにいるエース自身が戻らないからさ・・・

本来、個人技中心のアタックはターンオーバーが発生しにくいのでカウンターのリスクは低くなります。しかも、ブッカー&デュラントは成功率も高い。
そしてブーデンといえばトランジションディフェンスなのだから、この状況が起こった理由は机上の空論ではありえないものでした。それが起きてしまったのはチームとしての戦いをしなくなったからでしかありません。

大したオフェンスをしていないのにフィニッシュ力の高さだけで成立していたのだからブッカー&デュラントを中心にしたオフェンスというのは常識外でした。

しかし、攻守は一体。シュートが決まらなかった後。ミスをしてしまった後。それぞれリカバリーへと奮闘するハードワークがなさすぎでした。きれいなオフェンスを成立させるよりも、泥臭くても走りまくる方が大事。

そして個人能力の高さに酔いしれているようなデュラントは、次のプレーへと移行しない筆頭になっていました。TS64.2%という相変わらずのオフェンスマシーンっぷりを発揮していたものの、オフェンス「だけの」マシーンにすら見えたシーズンでした。

ヤニスが上手くいかないチームのためにハードワークを担っていた今シーズンだけに、上手くいかないチームに対してリーダーシップを発揮できていない感じも、なんだかデュラントっぽく映ってしまったわけでした。

さようならサンズ’25” への2件のフィードバック

  1. 普段はチームメイトに任せて温存気味にプレーしつつ、戦況が手詰まりの時に無理矢理にでも点を毟り取るのがブッカーの役目で、それができるのがブッカーの良い部分だったんですが、KDが来てからはブッカーが勝負所でKDに遠慮するというか、自分でアタックせずにKDに任せてしまう場面が多くなっていたように感じられます。
    ブッカー個人の良い部分が出なくなったとしてもそれがチームの戦術として機能して勝てていれば良いんですが、勝ててないのであれば、たとえ一人の選手としてKDが優秀でもいない方がいいのではないかと思うようになってきています。
    個人的に、今のサンズにはウィギンズなんかが合いそうだと思っていまして、役割的にはミカルとKDの中間というか、ブッカーに並び立つ存在ではなくブッカーに次ぐエースとの役割と、エースムーブが不要な状況では3&D寄りの役割もできて重宝しそうに思えます。
    昔のようにポストアップもガンガン仕掛けてくれるとブッカーとの戦術の差別化もできて嬉しいのですが、サンズの今のオーナーが選手同士の相性まで考えてトレードに動くのかは正直不安しかないです。

  2. シーズン序盤はトランジションの得失点差はマトモだったんですね。こんなに急激に悪化していたとは…

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