効率を極めた男 ジョー・ハリス

シューターとしてのジョー・ハリスはパーフェクトな存在であり、現代バスケの完成形でもありました。TSが66%を超えた20-21シーズンのジョー・ハリスは現代バスケに残る効率オフェンスを生み出してくれていました。

しかし、ウィゴハ・ネッツでいえば17-18シーズンこそがジョー・ハリスのキャリアシーズンだったと邂逅してしまいます。シューターとしては20-21シーズンの方が上でも、ジョー・ハリスというプレイヤーがシュート能力以外の部分でも効率マシーンと化しているのが17-18シーズンでした。

その理由は異様な確率を示した2P成功率にあります。ちなみにスタッツサイトをみると上記の数字ですが、試合数が1試合少なかったり、EFGの計算が合わなかったりと、なんか変です。それはともかくとして、3Pシューターとして以外でも効率の良さを示したシーズンだったのです。

そしてジョー・ハリスにとって唯一無二のシーズンとなった理由は、ドライブからのフィニッシュ精度の高さにありました。11.7回のドライブをしたレブロンがFG60%で群を抜いたスタッツを残したシーズンでしたが、それを上回るFG成功率を記録したのが身体能力に欠けたシューターだったのだから驚きです。

最大の特徴はオフボールムーブでのキャッチ&3Pの形からのカウンタードライブの上手さで、ドライブに限らずワンフェイクをいれるタイミングや、打てないとジャッジしてリターンパスに切り替える速度など、とにかくボールをキャッチしてからの判断の良さが際立っていました。

そしてドライブをすると、そのまま豪快にダンク・・・なんてシーンは見たことがなく、かといってカリーばりのフローターの上手さなんてものも持ち合わせていなかったりします。ただし、基本のレイアップの組み合わせが上手く、ダブルクラッチからのリバースレイアップへもっていってブロックを避けたり、先にディフェンスとコンタクトしてから離れてのレイアップなど、最後のフィニッシュアクションの上手さも持ち味でした。

このドライブ能力はインサイドにリムプロテクターがいると効率が落ちるため、基本的にキックアウト3Pでのカウンタードライブでは使いにくく、それがビッグ3時代には効果が出にくかった理由でもあります。ディアンジェロ・ディンウィディ時代のシューター用セットのプレーコールからのカウンタードライブがメイン。

ジョー・ハリスはシューターとしての能力の高さはもちろん、そこに更に効率の高いカウンタードライブを持ち合わせていたことが特別なシューターでした。ただ、シューターとしてのみ使われるようになれば、その分だけインプレッションとしての評価は落ちます。シューターとしては20-21が最高だったけど、選手としては17-18が最高だった。

そして直近3年間においてジョー・ハリスのドライブはFG40%に届きませんでした。ネッツのオフェンス戦術が個人技任せになったうえ、その個人能力が弱くなったことでシューターとしての輝きも失いつつあり、ピストンズではコーナー据え置きとなってしまいました。ドライブはもちろん、カットプレーでもフィニッシュが決まらず、ここが引退の理由になったのかもしれません。

3Pだけでいえば22-23シーズンでも42.6%も決まっており、契約が切れた今オフならば安いサラリーで獲得オファーがあってもおかしくなかったジョー・ハリスですが、シュートは決まっても思うようにプレーできない自分自身を感じていたのかな。

効率を極めた男 ジョー・ハリス” への4件のフィードバック

  1. このブログを読むきっかけになったのが、ウィゴハネッツ時代のPF4人の奇策特集だったので、ジョーハリスの引退は個人的にくるものがあります。
    将来的に、ディアンジェロやアレンの引退の時も特集してほしいです。

    1. なんか時の流れを感じます。
      もうこうやって引退する選手がでてくるなんてねー

      ディアンジェロはやるだろうな

  2. ブルックリンにいた頃は、確率の高さもさることながら、タフにならないシュートの打ち際、裏を突いた丁寧なスタイルのレイアップを決めたりで、逆に上手さを感じさせないプレーが印象に残っています。
    そういうシュートに持ち込むことの「上手さ」は素人目線には分かりにくいので、解説がいつもありがたいです。
    ジョー・ハリスの引退は、足のケガが大きいという報道ではありましたが、いろいろ考えたのでしょうね。寂しいです。

    1. マークされてるのに打てるのには理由がありますよね。
      特にネッツは再現性の高いオフェンスで成功しており、ノウハウが詰まってました!

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