◎ロディオン・クルッツ
さて、やっとクルッツの話だ。NBAではネッツというかアトキンソンでだけ活躍し、あとはロスター枠にいても戦力外で、タイムアウト中にシューティングしていたクルッツ君。ユーロに戻っても主役キャラになれないので大して活躍していないように見えたクルッツ君。
同期のムサがNBAではダメダメだったけど、スペインリーグの得点王になったようにNBAで「主役として通用しない」タイプはユーロに戻って大活躍することはあるよね。でも、逆にわき役タイプだったクルッツは『元NBAプレイヤー』の肩書に似合わないレベルのプレーしかみせなかったりする。
しかし、今大会は見事にわき役としての役割で、スペシャルなわき役っぷりを発揮しています。得点はチーム6位ながら、プレータイムはチーム1位。チームに必要不可欠で最重要なんだけど、エースではないどころか、ベンチメンバーよりも点を取らない。ザ・わき役。
クルッツのメイン仕事は当然ディフェンス。フォーニエを止めるガードキラーをやったかと思えば、どこから攻めてくるか不明なスペインにはセンター守ったりウイング守ったり。相手の強みを消しに行きます。
同時にスイッチ誘導されたときに生まれたミスマッチは、クルッツのオフボールスイッチで解決します。割と小さめのラトビアなのでミスマッチは大目に発生するのですが、とりあえず近くにクルッツがいれば解消。
ハンドリングとか見ると、相変わらず自分の手足を上手く使いきれていないようなんだけど、ディフェンスにおいてはスピードにもついていけば、ヘルプのリムプロテクトにも参加するし、考えにくい距離から手を伸ばしてスティールしていました。
まぁ要するにエースキラーでもあり、便利でもあるスペシャルなディフェンスという強みをハッキリとだしていたし、それがラトビア最大の強みになっていました。
ポルジンギスとベルタンスなので守れない滅多打ち路線が現実的と思われましたが、ベルタンスはシックスマンだし、4Qのディフェンスの強さが快進撃の要因になっています。いや、なんでラトビアがディフェンスのチームなんだよ。クルッツいなければ崩壊していたんじゃないかっていうくらいさ。
6.5リバウンドはチームハイですが、その中でも2.3オフェンスリバウンドは接戦の中でセカンドチャンスを生み出しています。このハードワークは懐かしのアトキンソンネッツのにおいがプンプン。まじでクルッツって、ピンポイントで生きるチームにいたんだな。
FG58%はただ単に簡単なシュートばかり打っているから。難しいプレーはできないぜ。アシスト3.0とちゃんとパスはできるがハンドリングもパスもハンドラーとしては酷い。
そんなわけでザ・わき役。スペシャルなわき役。ただ確率の高いFGなのでジャマもしないし、スクリナー役もスペーシング担当もカットプレー担当もやるぞ。「邪魔をしない」って大事だよね。
帰ってこいクルッツ
ディフェンスからの速攻でハイライトはあるけれど、目立つプレーは何もないぜ。ただひたすらにディフェンスで奮闘し、相手の強みを消していく。ピンポイントで使える武器をもっているので、NBAに戻ってきても何もおかしくない今大会でした。
各国のバスケとNBA選手(元含む)のチーム内での役割は面白いですね。
自分もいろいろ注目していましたが。。
カーリックやトレモントなんてNBAでは使いにくい選手だけど、国際大会ではここまで結果を出すし。
ホリスジェファーソンなんてアンダーサイズのディフンシブロールプレイヤーだったのに大エース。
もちろん、NBAにくる選手なんで元のポテンシャルは十分にあるんですが。
選手としての能力も重要だけど、チームと合うかどうかも重要。
渡邊を見ていて、自分の役割を確実にこなせる選手ってのは、やっぱりNBA選手にとって大切な要素なんだと思った。
ネッツと言えば、ロンデイ・ホリス・ジェファーソン。
ヨルダンにコービーのそっくりのプレイヤーが、という記事を見たら、そこにいたのがホリス・ジェファーソン。びっくりしました。
コービーが“フェアウェルツアー”としてブルックリンへ凱旋してきた際に「あの時、僕(ホリス)は『ねぇ、僕になにかアドバイスはありますか?』と聞いたんだ。そしたら彼はエルボーを好きになれと言ってくれた。それからというもの、僕はミッドレンジ(ジャンパー)を磨いて、毎年うまくなってきたんだ」
との記事も。
ホリス・ジェファーソンの活躍、嬉しかったっす。彼もアトキンソン・チルドレン、ですかね…。
現チームとは契約上、NBAチームが興味を示せば戻れるらしいのですが、彼やワールドカップで目立ったチームのプレイの質とかクオリティとか、また機会があれば解説を拝読したいです。