MVPケイレブ

※諸般の事情でブログ掲載することになったバスケット・カウント用記事です。

3連勝からの3連敗。圧倒的に優位な状況から、史上初の大逆転を喰らうところだったヒートでしたが、ジェイソン・テイタムのケガというアクシデントもあり『GAME7』を制してファイナル進出を決めました。ジミー・バトラーとバム・アデバヨが抑え込まれる中、厳しい展開が続きましたが、チームを救ったのはケイレブ・マーティンの攻守にわたる活躍でした。

第4戦からセルティックスのオフェンスはコーナーまでパスを回し、スペーシングを大きく改善させました。スペースが生まれればテイタムやジェイレン・ブラウンが1on1を仕掛けやすくもなり、ヒートのディフェンスは広いスペースを守りながら、対人でも止めることが求められるようになりました。そこでリバウンドは強くてもスピード不足のケビン・ラブを外し、ケイレブをスターターに加える変更を行いました。

シリーズを通してケイレブはヒートの選手で最も多い15.7本のフィールドゴールを打たれましたが、これはテイタムをマークしていたことに加えて、インサイドでのカバーリングもあれば、3ポイントシュートへのチェックに行くなど、ケイレブが誰よりもディフェンスで動き回った証拠でもあります。広い範囲をカバーするスピードと運動量が、セルティックスのスペーシングを無効化していきました。

さらに196センチのサイズを感じさせない反応の早さで、第6戦で15、第7戦で11とリバウンドでの貢献も際立ち、ラブをベンチに下げたデメリットも見事に消してしまいました。テイタムへのマンマーク、どこへでも追いかけるカバーリング、そしてリバウンドによりヒートのディフェンスは安定していきました。

ディフェンス面の理由で起用されたはずのケイレブでしたが、バトラーとアデバヨが苦しむ中でオフェンスでも決定的な仕事で救ってくれました。第6戦の21点に続き、第7戦は26点、シリーズを通してフィールドゴール成功率60%、3ポイントシュート成功率49%とオフェンスでも主役となり、全てが決まる『GAME7』では欠かすことのできない選手として誰よりも長い45分ものプレータイムを記録したのです。

ヒートがファイナルへ進む立役者となったケイレブですが、この選手が2年前はヒートに拾われた立場だったのだから、NBAの世界では何が起こるかわからないものです。19年にドラフト外でホーネッツに加入し、2シーズンで一定の結果は残したものの、若手ウイングが多く余り気味になり、何よりも双子のコディが同じタイプの選手だったことでウェイブされると、すぐにヒートが拾い上げました。

大学時代は『クラッシュ・ブラザーズ』と名づけられるほど、ハードワークが特徴のツインズは、コディの方がディフェンス寄りで、ケイレブの方がスコアリング寄りの選手でした。ヒートではパワーフォワードまでこなせるハードワーク担当のディフェンダーとして重用されてきましたが、カンファレンスファイナルの舞台では大学時代を思い出したかのようにオフェンスでも大活躍してくれました。

同じ相手との対戦が続き、ギリギリの戦いが繰り広げられるプレーオフでは、対策に次ぐ対策でプレーが読み切られることが発生します。バトラーとアデバヨはまさにそんな状況で、ヒート全体がプレーを読まれていきました。そんな中でケイレブが見せたオフェンス能力は、通常では必要とされていなかった引き出しの多さでもありました。ギリギリの状況で見せたケイレブのステップアップは、ヒートをファイナルへと導いてくれました。

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