女子WCを総括してみよう

◎ホーバスなら勝てたのか?

まずは今回のWCにおける課題事項を挙げていき、それが
「ホーバスならば解決していた」のか
「ホーバスでも同じ悩みがあった」のか
を分類してみましょう。でも、その前にホーバスの評価を思い出しておくよ

・男子では珍しくないが、女子ではアメリカ以外はやっていなかった戦術
・初戦のフランス対策は素晴らしく、以降は起用法がブレブレになっていった
・スターターを3Qフル、4Q序盤も使いながら、突如としてベンチメンバーを試合終了まで引っ張るなど、謎の交代策が多い
・シューター系統は「この試合で当たっている選手」を長く起用する。が、ほぼ林と宮澤でOKだった。
・アシスト女王の町田と、得点力ハンドラーの本橋を使い分けた

ざっくりなので、こんなもんにしておきましょう。シンプルに言えば
「交代先はムチャクチャ」
「調子のよい選手を優先」
「町田と本橋は偉大」

です。林と宮澤の高確率はホーバスだからなのか、ホーム開催のなせる業だったのか、今となっては不明です。

3Pの低空飛行

ホーバスでも解決しなかったポイントです。そりゃあ数%は上がるかもしれないですが、オリンピックで決めまくっていた宮澤が全く決まらず、林はケガ、三好は引退。パサー町田のコンディション不良も含めて、個人レベルの問題としてHCが解決できる要素ではありませんでした。

1on1に負けるシーンが多かった

ホーバスでは解決しなかった問題です。特にカナダ戦で赤穂のディフェンスがボコられたのは衝撃でした。赤穂は代表のダーティーワーク全てを担っているようなキープレイヤーであり、オリンピックでもアメリカ以外には負けませんでした。

しかし、今回はカナダの6番がえぐかったのと、オーストラリアにも個人技で上回ってくる選手がいたね。ある意味の個人技担当だった赤穂が苦しんだことは、ホーバスには解決できない問題でした。

あとさ。「勝てる試合だった」ってならないのも、ここなんだよね。赤穂が負けちゃうと日本はストロングポイントが消えてしまうんだ。

スカウティングで負けた

ここはホーバスならば、何とかなった気がします。つまりカナダとオーストラリアはムリゲーだったけど、セルビアとフランスについては可能性があったってことです。特にセルビア戦は3P外しまくったのに5点差なのだから、どうにでもなったでしょ。

結果論として「ホーバスなら予選敗退はなかった」ってのは事実に見えます。

日本対策にアンサーできなかった

そのセルビアをはじめとして銀メダルチームへは対策が施されていました。これをホーバスが解決できたかどうかは、答えようがありません。出来たかもしれないし、出来なかったかもしれない。

ただし、オリンピック時のベンチムーブを見る限り、「出来なかった」可能性が80%くらいです。恩塚HCよりはタイムアウトが早かったでしょうが、もはやそういう問題ではないくらい、深みにはまることが多かったです。

スクリーンスキルの低さ
オフボールの呼吸が合わない

ホーバスならば発生しなかった問題です。特に前者は衝撃で、オリンピック時は起こらなかった「スクリナーが、スクリーン成立しないのに動いてしまう」が多過ぎました。渡嘉敷なんですけどね。

いずれにしてもホーバスに比べると「徹底されていない」シーンは目立ちました。そこが新しい要素を加えた部分ではあるのですが、ことごとく失敗した感じ。

なお、オリンピックで目立っていた赤穂のカットプレーは、カナダ戦の後半で1回でてくると、以降は増えていったので、ちょっと昔に戻してみたら成功したって感じです。この点も「ホーバスならばオフボールの連係ミスは少なかったはず」と思わせる内容でした。

ディフェンスの連動が悪く、リバウンド体制が酷い

オフェンスリバウンドをとられまくる大会となりましたが、高さ云々というよりはリバウンド時にペイント内に相手選手が3人くらいいることが多く、「シュートを打たれる前のディフェンス」がボロボロでした。

ホーバスならば起こらなかったであろう問題です。ただし、新加入が多いのだから、20%くらいはホーバスでも発生した気がします。とにかくディフェンスの連携が悪かったのでした。

速攻が出ない

これもディフェンス体制と関係しているので、ホーバスならば解決したでしょう。ただし、こちらはシュートが決まらない問題も含まれるので、50%って感じです。ブレイクの回数は増えただろうけど、フィニッシュの確率は難しそうでした。

ひとまず、こんなところですかね。まとめると、こういうことです。

①戦術の徹底度合い ⇒ ホーバスなら解決

選手に嫌がられるくらいに反復練習をしていたらしいホーバスなので、今大会で見られた連係ミスは大きく減っていたと思います。リバウンド練習とか中学生みたいなことしていたもんな。

ただし、選手村にも入らずにナショナルトレセンを利用していたホームのオリンピックとは違うので、そこまで簡単ではありません。なんせ毎日試合があったから修正する時間がなかった。

②個人能力、日本対策 ⇒ ホーバスでもムリ

カナダやオーストラリアと戦わなかったオリンピックはラッキーもあったんだなーと思わせました。若い選手が増えたことも含めて、個人能力の部分で負けることが多かったです。

そして日本対策が徹底されたのをみると、ホーバスでも同じように苦しんだでしょう。もちろん、解決策は恩塚HCよりも多かったかもしれませんが、そういうレベルではない問題も多かったので。

③ケガ人、不調 ⇒ ホーバスでも解決しない

恩塚がHCとして選ばれたのは、ホーバスの右腕として代表をフォローし続けていたからです。不調の選手がいた時に、練習などでフォローすることは出来ると思うので、ホーバス時代と劇的に変化したってことはないでしょう。

同じく参加できなかった町田、本橋、林を連れてくることは出来ないわけで、ホーバスでも選手のコマ不足には頭を抱えたはずです。

ということで、ホーバスでも結果に大差はなかったでしょう。ただ、予選リーグ4位になって決勝トーナメントに進めたかと問われれば「進めた可能性の方が高い」ので、そこにある差はデカいよね。そして決勝トーナメント初戦で負けていれば、前回のワールドカップと同じ結果でした。立ち位置的には、そんなもんってことかな。

ディフェンスについて振り返ろう ⇒ ⇒ ⇒

女子WCを総括してみよう” への4件のフィードバック

  1. いつも楽しく拝見しています。(Youtubeも)
    素晴らしい分析ですね!有難うございます。
    僕は大学までバスケやってて、NBAも観てるし、、経営コンサルティングも長年なってますが、こんな分析はとてもできません。。

    1. いえいえ、大学までやってて、コンサルやってるなら、やれますよ。

      バスケというよりも、ビジネス分析みたいもんですし。書くのはちょっと難しいですけど。

  2. 町田は8月上旬のインタビューでW杯参加の懸念点として、コンディションと恩塚バスケへのアジャストの2点をあげていました。
    プレイオフでは早々に負けW杯まで1ヶ月の間があったので、プレイタイム少なめのセカンドユニットだった町田なら、ホーバスが熱心に求めれば出ていた可能性もあるかなと思います。
    林は4月上旬に疲労骨折で離脱しており、それでW杯参加がノーチャンスかというとすごく微妙で、やはり恩塚バスケにアジャストする機会がなかったからノーチャンスになったのかなぁと。

    1. 恩塚も熱心に求めても良かったと思うんですよね。
      1カ月あるならコンディションくらいどうにでもなりそうだし。

      あとホーバスの方が、超長期合宿するから、実は町田には厳しかったかも。

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