戦術の流れを考えよう

◎ミドルラインを攻略しろ

3P増とゴール下による高確率の2Pがキーになったことと、ビッグマンでも3Pが普通になったことでビッグラインナップが重用され始めたわけですが、一方で明確なビッグを活用せずに戦えているチームもあります。3P増については、それでよいとして2Pの成功率アップをどうやって実現しているのかは大事なポイントです。

答えはシンプルに「ミドルレンジの攻略」にあります。それはヨキッチやサボニスのようなポイントセンターの活用にも表れていますが、スモールで成功したチームの殆どがミドルの高確率プレイヤーを抱えていました。例外はクリッパーズって感じですが、ポール・ジョージとレナードがいるからね。

ブルズ・・・デローザン
ネッツ・・・デュラント
ウォリアーズ・・・カリー
マブス・・・ブロンソン
サンズ・・・クリス・ポール

ちなみにウォリアーズとマブスはミドルのアテンプトが多いチームではありませんが、ゴール下を除くペイント内のアテンプトが多いのでショートレンジ多用です。その意味ではグリズリーズもペイント内が多く、ナゲッツやジャズも含めてウエストでは、こっちの方が流行系です。

ビッグラインナップとミドル攻略の兆候が強いイースト
ペイント内のショートレンジ有効活用の兆候が強いウエスト

上位チームが顔を出すランキングなので、戦術的な流行が感じられます。いずれにしても、以前は「効率の悪いシュート」とされていたショートレンジやミドルレンジですが、今は基本的な考え方は変わらないのだけど

「効率の悪い」レンジのシュートを効率よく決める重要性が高まった

こんな事がいえます。明らかにアテンプト数が下がっているのに、成功率はアップしており

「効率が悪いから打ってはいけない」という基本ルールと
「効率よく決めることが重要なレンジ」という改善ポイントが付保されている形です。

ヨキッチによってリーグ最多かつ最高確率のショートレンジを誇るナゲッツや、デュラントによってリーグ最多のミドル成功数を誇るネッツなど、とにかくエースキャラにとって重要なのが、効率の悪いゾーンでのプレーになってきました。

思い起こせばレブロンとハーデンがウォリアーズへの対抗役の2大巨頭だったのは「3Pとドライブ(ゴール下)の強さ」だったのに、ロールプレイヤー達が3Pとゴール下の強さでエースキャラを上回るようになったことで、エースの仕事にも変化が出てきた感じです。

また、面白いのはリーグに新たに入ってくる若手たちが「ゴール下か3Pか」という戦術面では、明らかにベテラン陣を上回っていたのに、この変化によってクリス・ポールやデローザンの価値が復興してきたことです。ベテランの方が引き出しが多かったよね。

「2Pの成功率アップ」は、シンプルな「ゴール下アテンプト増」ではなく、効率の悪いレンジの攻略法が重視されてきたというのが戦術の流れです。

特にブロンソンなんて、ぶっちゃけ大した選手じゃないんだけど、この時代に最も重要なミドルレンジの攻略に秀でていることが、物凄く大きなアドバンテージを生み出している気がします。このレンジを乱せるからアシストも増えてきたのは、3Pチェックさせまくってインサイド攻略するカリーに近いプレーパターンだし。

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戦術の流れを考えよう” への1件のフィードバック

  1. 初投稿です。
    最後は自嘲気味だった管理人さんですが、数年来の戦術変化に対する分析力に舌を巻くほどの面白さでした。
    3Pの重要性が現代ほど高くなかった頃の、神様MJは抜群のミドルレンジでのシュート力と天下一品のドライブでアベレージ30点を超えていましたが、特殊なケースなんですかね。

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