18-19シーズンから、どんな戦術が流行してきているのか。
前回はスタッツ面でオフェンス力アップについて調べてみました。第二次ショックといえる18年から、つまりウォリアーズ王朝の終焉からの流れを考えてみましょう。
とはいえ、その流れを考えるためには前提となる直前の流れが必要です。実際にはウォリアーズ王朝の終わりから、現在までどのような変化をしているかを考えるわけです。そして前回でキーポイントが定められました。
「3Pアテンプト増と2P成功率の向上」のために、どんな戦術にしていくのか
これを軸にして大きな流れを考えていきましょう。なお、別に「優勝チームが何をしていたのか」ではなく、リーグ全体で考えるものになります。
◎最強への対抗
優勝できるチームに史上最高のオフェンスマシーンであるデュラントが加わったウォリアーズは、史上最強のチームでした。しかし、だからこそウォリアーズへの対抗は戦術の真価を生み出したともいえます。
「3Pアテンプト増と2P成功率の向上」は、スプラッシュブラザーズの異常なシュート力によりアウトサイドにディフェンスを引き出し、大きなスペースが出来たインサイドを攻略することで成立しました。17-18シーズンは、これが最高潮を迎えたシーズンでもあります。
〇17-18のウォリアーズ
2P成功率 59.9%
3P成功率 39.2%
EFG 59.5%
ふざけた数字です。各チームはこれをマネする必要があったわけですが、史上最高のオフェンスマシーンも、史上最高のシューターも、それどころかクレイ・トンプソンも普通のチームにはいません。サラリーキャップの偶然が生み出した奇跡のチームは、誰もがマネしたいけど、誰もマネできないチームでした。
しかし、この最強チームに肉薄した2つのチームがあります。それがロケッツとキャブス。最高のロスターは作れなくても、
「リーグ最高の選手と仲間たち」で対抗する!
という構図を作り上げました。つまり、ハーデンとレブロンというプレーメイカーに多大な負荷をかけつつも、周囲を「フィニッシュだけなら超高確率」の選手で固めることで、最強ロスターに対抗する形を作り上げました。
特にロケッツは3P成功率こそ劣るものの、2Pは驚異の60%越えを達成しており、現代バスケの礎を作ったとすら評価できます。
〇17-18シーズンのロケッツ
2P成功率 61.8%
3P成功率 36.5%
EFG 58.1%
4年後にリーグ全体の平均で「2P成功率がEFGを上回る」形が出来たわけですが、それ以前にロケッツは2P60%超えを達成していたのです。
〇3Pアテンプト
ロケッツ 41.9本
ウォリアーズ 28.7本
同じような成功率を残していた両チームですが、3Pアテンプトには大きな差がありました。つまりロケッツの方が現代へと続く「3Pアテンプト増と2P成功率の向上」を作り上げたといえます。
ちなみに、キャブスも2P成功率が高かったですが、地味にラプターズもロケッツ路線に近づいていたことも触れておきます。
〇17-18シーズンのラプターズ
3Pアテンプト 32.6本(3位)
2P成功率 59.1%(3位)
ダントーニロケッツが旋風を巻き起こしたシーズンでしたが、決して1チームだけで流れが決まったわけではないのです。
いずれにしても、史上最強のチームだったウォリアーズだからこそ、対抗するためには戦術の進化が必要となり、その解答こそが「3Pアテンプト増と2P成功率の向上」だったのです。
ただし、結果的にウォリアーズを上回ることは出来ておらず、更なる進化をもたらすニック・ナースの登場を待つことになりました。もしくはデュラントとクレイのケガか。。。
いずれにしても3Pアテンプト増はインサイドにスペースを作り、それが2P成功率アップに繋がるのがスタンダードな考え方になっていきました。だったら、ひたすら3Pを増やせば成立するんじゃないかって話です。
初投稿です。
最後は自嘲気味だった管理人さんですが、数年来の戦術変化に対する分析力に舌を巻くほどの面白さでした。
3Pの重要性が現代ほど高くなかった頃の、神様MJは抜群のミドルレンジでのシュート力と天下一品のドライブでアベレージ30点を超えていましたが、特殊なケースなんですかね。