戦術の流れを考えよう

◎3Pを増やせ

では3Pを増やすセオリーは何かといえば、3Pを打てる選手を多く連れてくる事です。そのためにはオールラウンドに守れるウイングを増やしてのスモールラインナップか、3Pを打てるセンターという選択肢がありました。

①スモールラインナップ
②ストレッチ5

これでリーグ内でマルチなディフェンス力を持つウイングの価値が高まったわけです。少し前は3&Dと呼ばれていましたが、3Pは当たり前になったし、単にディフェンスが良いのではなく、ビッグマン相手にも平然と守れることや、ヘルプ能力の高さが大事になってきています。

一方で流行したのは「センターに3Pを仕込む」でした。代表的なのはブラッド・スティーブンスのセルティックスですが、他にもラプターズがビッグマンの3Pを大事にしています。ブルック・ロペスが3Pビッグになったときは「魔改造」でしたが、今は普通になってしまったね。

特にセンターは3Pラインでフリーになることが多いので、3Pアテンプトを増やすのに適していました。成功率もフリーならば35%くらいまでは向上しやすいので、活用するチームは多かったです。ただし、最近はディフェンス側も対処するので簡単ではなくなってきています。

いずれもコートを広く使う意識を高めました。コーナー3Pは常識になっていきました。

21-22でコーナー3Pが最少だったのはロケッツの7.0本ですが、
16-17シーズンでコーナー3Pが7本を超えるのは5チームしかありません。

3Pアテンプト増のためには
・3Pを打てる選手を増やし
・コーナー3Pを積極的に使え
というのが常識になりました。「何を今更」って感じですが、わずか5年前のリーグ5位が、今では最下位なので劇的な戦術変化が起きています。

◎シューターを増やさない

3Pアテンプト増に対して、意外と増えなかったのはシューターの活用です。それは誰もが3Pを決めるようになったことでシューターが不要になっている事と、マルチディフェンスが大事なので貧弱なシューターも不要になったことが関係している気がします。

もちろん、シューターを活用するチームもありますが、その場合はタフでも3Pを打って決めることが求められます。代表的なのがダンカン・ロビンソンですが、逆に確率は良いのにダメなベルタンスがいるように「シューターは戦術的に使えなければ意味がない」こともハッキリしており、3Pが欲しいからと言ってシューターが欲しいわけではありません。

シュートの上手い選手は増えましたが、シューターを活用しているチームは、10年代前半と大差ない気がします。統計を取ったことないので知りませんが。

一方でリラードのようにディープ3Pを使う形は増えました。その目的は3Pを打つことよりも「ディフェンスを広げる」ことにあるので、結果的にはシューターと似たような要素があります。

チーム戦術でシューターを活用し、タフ3Pを決める
個人能力でディープ3Pを決める

全く違うプレーですが、実は結果は同じ気がします。いずれにしてもシュートが上手い選手というのは「ディフェンスを惹きつける」役割は強くなってきました。3Pを決めているだけでは意味がないので、そこからどうやって2P成功率アップに繋がるかが大事です。

次はドライブと押し込み担当の話 ⇒

戦術の流れを考えよう” への1件のフィードバック

  1. 初投稿です。
    最後は自嘲気味だった管理人さんですが、数年来の戦術変化に対する分析力に舌を巻くほどの面白さでした。
    3Pの重要性が現代ほど高くなかった頃の、神様MJは抜群のミドルレンジでのシュート力と天下一品のドライブでアベレージ30点を超えていましたが、特殊なケースなんですかね。

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