JBAテクニカルレポート オフェンス編

12 ) ピック&ロール (PNR) に関する考察

最初に目につくのは、ボールハンドラーとして八村が 12回もシュートを打っているということである。前節でも触れたが、これはチームで練習してきたプレーではなく、狙った形のクリエイトができないときにランダムで展開されたものである

いつの間にか八村がピック&ロールハンドラーになっている。作戦ミスだろ。でも、スクリナーの役割をできないのも八村。

富樫の成功率が高かったという数字なのですが・・・そうだっけ?アルゼンチン戦でプルアップ決めたくらいの印象だな。ペイント内アタックを見ても、ハンドラーとしての富樫はアウトサイドの得点が中心です。

その一方でハンドラーが自分で打たずにパスを選択したときは、田中が最も効率よく得点へと繋げていました。自らのシュートとパスを合わせても田中がNO1なので、PG田中は大成功だったと言えます。次点が比江島なので、ラマスが目指していた田中と比江島のコンバートは、単にディフェンスのサイズアップ以上の価値があったといえます。

ホーバスになってもゲームメイクできないPGが多く、富樫や河村が出てくるときれいにSGが消える印象があります。その点も含めて、ちゃんとPGしているのは田中だったって感じです。あとはテーブスに頑張ってもらいましょう。

っていうか西田にPGやらせろ。なぜかSGタイプの方がPGやらせると上手いのは日本の伝統なのでしょうか。突破型のPGが評価されやすいのかもしれません。富樫は富樫でいいんだけどね。渡邊と八村のチームならば田中だったね。

またわずか 3 試合の数字でプレーヤーのパスの上手さをジャッジすることは危険ではあるが、映像で検証した結果、田中のパスの PPP が高かった理由の仮説を立てるまでには至った。それは、スポットやポップしたプレーヤーにパスをした際に、パスを出した相手のディフェンダーが “ 一番長くヘルプに来た瞬間 ” にパスを出せているということである。

(ここまで散々3試合で評価しているくせに、なんで突然ひよってるんだよ)

映像で見ればパスの上手さは3試合でもわかると思うのですが、少なくとも田中は「ヘルプディフェンダーの動きを見て判断していた」ってことです。西田もディフェンス見て判断しており、このタイプが国際試合で活躍するといえるのでしょう。

それにしても、これだけ確率の良かった田中のPnRなのに、回数を増やさなかったのはどういうことなのか。比江島と田中のハンドラーアタックから組み立てるのが、ウイングの渡邊を活かすことにも繋がったし、八村一辺倒にもならなかったはず。

でも、田中についてはブーイングを食らう事が多く、それについても言及しているレポートの日和り方が半端ない。

今大会では PG 田中のPNR に対し、アグレッシブさが足りないのではという疑問を呈する声もあったが、田中自身はパスを優先し、あくまで PG らしく、他のプレーヤーのチャンスクリエイトを意識しながらプレーしていたことを、ここから理解することができるだろう

若干、田中本人が「もう代表はいいや」って思う気持ちも理解できちゃうね。あと打ちまくっているだけのホーバスとは相性悪いだろうね。

最後に、PNR スクリーナーについても検証しなければならない。ペイントスコアの節でも触れたが、大会を通してスクリーナーがペイントでスコアしたのはわずか 2 点だけだった。それは八村がポップからドライブをしたもので、ロールをしてローラーがスコアしたものではない。ロールにパスが入ったのは 3 試合で 3 回のみで、残念ながら 0 点に終わっている

はい。ってことで、永遠の課題なわけですが、ホーバスになって捨てているのも面白いラインです。インサイドの攻略方法はハンドラーアタックへと移っていき、でも、相手が強いと全く決まらないのでした。

13 ) オフェンスリバウンド

日本代表が今大会で「オフェンス機会を増やすこと」と「よりよいトランジションディフェンスをすること」の 2 つの明確な目的をもって取り組んできた OR のルールと、その結果について紹介したい。

3人行くのはどうかと思いますが、高さよりも「スペース」を重視した構成であることは重要です。ここはとっても現代的だし、解説者の「高さが大事星人」を早くクビにして欲しい。

ところが、である。70%のシュートに対して3人行くのが目標だったのに、現実にはスロベニア戦の40%が最高で、まったく目標を達成できませんでした。だんだんと

本当にラマスが作戦を立てたの?

なんて気がしてきます。現実を見ない強化スタッフが勝手に理想を押し付けたんじゃないのかってね。

レポートでは特にレイアップに対して3人いけなかったことが注記されていますが、速攻のレイアップに3人行くほうがバカらしいよね。基本的にレイアップに行ける時点で、ディフェンスを崩しているので、リバウンドにはカバー要員が1人いれば十分な気がするしさ。

それよりも作戦として3人行くと決まっていながら、ミドルや3Pでも達成できていない方が問題です。だって、打つシーンくらいわかるでしょ。いずれにしても

無謀な目標を立てて、全く実行できなかった

というのがオフェンスリバウンドでした。次回のディフェンス編では、トランジションディフェンスについて出てきて、そこにはオフェンスリバウンドに参加する意義が書かれていますが、正直、目標を達成できていないのに、価値があるってなっても変だよね。

むしろ3人行かなかったことで、失点リスクが減ったのかもしれないじゃん。ちょっと苦しい部分でした。

◎あー長い

面白いと思って始めたのですが、ちょっと長すぎますね。次回は要改善です。

バスケ協会がホーバスに流れた理由は見えてきました。とにかくオフェンス効率の高いトランジションを増やしたいわけです。しかし、回数的には頭打ちになりそうなトランジションよりも、弱点のハーフコート改善の方が、よっぽど効果が高いってのが管理人の意見です。

また、オフェンスの話では効率の良かった田中や比江島のピック&ロールの回数を増やすべきだったし、渡邊用のプレーコールが2回だけというのは笑えません。プレーコールは十分に用意されていたのに八村頼みになったのは、実はゲームメイクの問題にも思えてきます。あと八村問題ね。

足りない要素は、スクリナーやキックアウト、オフボールのプレーメイクなどなど、といった印象ですが、「シュートが決まらないから、ショート力改善」に流れているイメージもあります。でも、ホーバスも苦労しているし、必殺「3P打っとけば怒られないシューティング」が発動したWindow3の台湾戦でもありました。そういうことじゃないだろ。

いずれも「試合中の判断」における課題が多く残っています。それはルビオやドンチッチがみせたプレーとの差なのですが、それは次の次だな。そこまで読みたいかな?

ってことで、次回のディフェンス編に続きます。

JBAテクニカルレポート オフェンス編” への5件のフィードバック

  1. 戦術を変えてもラマスの時と問題点がたいして変わってないような…
    オーストラリア戦のゾーンオフェンス、ドライブからターンアラウンドパスミスだけは見たく無かったです。

    1. 問題点は戦術ではない部分ってことでしょうけど、それは短期間では改善しないのも事実です。

      むしろ減っていたターンオーバーが復活し、それに見合う対価を得ているのかどうかですね。今のところ、得ていないと思ってます。

  2. 渡邊のコールプレーが2回…まじか笑
    W杯の時と比べて渡邊のハンドラーアタック(ラマス「ユータ、ドライブドライブ」)が極端に減ったのは残念だったなぁ(その代わりDFに力割けたとは言える)

    1. ビックリですよね。事前のトレーニングマッチは渡邊ばかりだったのに。
      次回に出てきますが、これがオリンピック時の最大の問題でした。

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