プレーオフ①ネッツvsセルティックス

ゲーム3

ライブ配信したので雑感スタイルです。ゲーム2に続いてみたので、ゲーム4はみません。そんな事情もあるので、シリーズの感想も交えた雑感になります。

◎お疲れデュラント

シリーズ通してFGの悪いデュラントですが、ゲーム2の感想は「デュラントが疲れている」でした。それは仮説みたいな部分もありますが、ゲーム3になると、よりはっきりと疲労の色が見えてきました。

〇デュラント
46分
16点
FG6/11
FT2/2
8アシスト

FG成功率こそ50%を超えましたが、遂にフリースローすらも手に入れられなくなりました。アシスト8は立派ではありますが、とにかくパスばかりしていたゲーム3です。

ゲーム2がパスを出すことでチームメイトの得点を促し、それがリードに繋がったので「よりパスを捌け」がチームのプランだったと思われます。しかしディフェンスが1枚しか来ていないのにパスを出していたし、タイスやグラント・ウィリアムスを抜けず、ホーフォードには完全にコースを切られていました。ドライブのキレがなかったです。

それでも3Q残り3分から、超久しぶりにドライブを連発で決め、そこからアシストが生まれています。これは非常に良いプレーでしたが、言い換えればドライブせずにパスを出してばかりだったわけです。

おそらく「序盤はパスを出し、後半に個人技勝負」もゲームプランだったのでしょうが、残念ながら4Qには抜くことが出来ませんでした。いくらセルティックスのディフェンスが良いとはいっても、止められないからこそデュラントであり、こんなに簡単に止まるならセルツも拍子抜けかもしれません。46分のプレータイムは、プレー強度を大きく下げてしまいました。

さて、デュラントが本来の調子だとしたら、セルツディフェンスの狙いもよりわかりやすくなります。

ネッツはデュラントに託すことが多いですが、割と緩いパスでデュラントに託します。マークのテイタムは「キャッチした瞬間に手を出す」ことを意識していました。パスカットも含めて「まともにボールを持たせない」ことを意図しています。このディフェンスはネッツのミスを誘う事にも繋がれば、少しでもボールに触ればデュラントをリングから遠ざけることに繋がります。かつてのジェイレン・ブラウンも似たような対応で、とにかく一歩でもデュラントをリングから遠ざけ、少しでもシュート精度を落とすように促していました。

デュラント対策とは「ボールを持つ前の対応が重要」

持たれたら止められないって事です。だからこそゲーム2はFG外しまくりのデュラントに対して、それでも距離を詰めてファールを多くしてしまいました。イメージとしては「外してくれてラッキー」くらいのはずですし、テイタムもシュートに対しては、そこまでハードにプレッシャーをかけれたわけではありません。でも外してくれた。信じられん。

また、このゲーム3ではテイタムが守っているシーンが非常に多かったです。ゲーム2まではオフボールで動いたデュラントに対して「ボールを持たせたくない」からこそ、スイッチしてパスコースを限定していきました。にもかかわらず、ゲーム3でスイッチが発生しなかったのは単にデュラントが動かなかったからです。

スイッチが必要なほど動かず
ドライブしないでパスを捌く
ジャンプシュートの選択も少ない

ってことで、肩透かしを食らうほどにデュラントは疲れていました。もちろんドライブしたら分厚いカバーが待っているのですが、それはそれ。カバーに来させてパスを出すのが本筋だったはずです。

◎カイリー対策

続いてカイリー対策を考えてみましょう。基本はデュラントと似ていて、シュートを打たれたら止めきれないので、打たれる前が勝負です。しかし、PGなのでボールを持っている機会も多く、デュラント同様に張り付いてしまうと周囲がスッカスカになってしまいます。まぁ一部はスッカスカになっていたんですけどね。

カイリー対策といえば、何年か前のエイブリー・ブラッドリーが思い出されます。実は被FG%は悪いブラッドリーですが、チェイス能力とハンドチェックが上手く、スティールしてボールを奪う事で見えないプレッシャーを与え続けました。結局のところ、良いディフェンスをしても変態フィニッシュスキルで決めてくるカイリーに対して、その前に奪いに行くのは正解かもしれません。でも、普通は出来ない。

それが出来るのはスマートとブラウンでした。この2人はドリブルに対して積極的に手を出し、奪えないまでも「行きたい方向にドリブルさせない」ことでフィニッシュスキルの前に止めていました。これが大成功したのがゲーム2で、ボールを持つことすら許しませんでした。

ゲーム1も同じような守り方をしていましたが、ホワイトあたりがプルアップ3Pを決められてしまいました。ってことで、ステップバックを打たれると止めきれないのも事実です。あくまでもシュート前に嫌がらせをするわけだ。

ここでもう1つ重要なのは「右を切る」ことでした。右利きのカイリーが、右手でドリブルしているのを許さない。なかなか大胆に右側を切って守ることもありました。もちろん、カイリーが左にドライブ出来ないはずはありませんが、右を切っている事でステップバックが打ちにくいことと、ドライブされてもジャンプシュートに切り替えるならばチェックに行けるわけです。

ちなみに、この守り方が異常な発展をすると左どころか左後を守り「ドライブはすべて捨ててステップバックだけ許さない」ハーデン対策になります。なので、別に珍しい守り方ではありません。ただ、カイリーという選手にどこまで有効なのかが問われるところでしたが、見事に外しまくってくれたので大成功しています。

〇前半のカイリー
10点
2P4/6
3P0/5
5アシスト

酷かったゲーム2だったため、さすがに反省して対策を講じてきたであろう前半は、左ドライブからゴール下まで飛び込むシーンが増えました。それが2Pの高確率と5アシストに繋がっています。この点でネッツはゲーム2の修正に成功し、リードを得ることになりました。

しかし、見ての通り3Pは惨敗。セルツの狙いは見事にヒットしたと言えます。とはいえ、ステップバックは諦めている一面もあり、半分はラッキー。見ている方からすると「戦略がわかりやすくハマっている」ことになりますし、いくらなんでもハマりすぎです。

いずれにしてもデュラントもカイリーも変態スコアラーっぷりを全く発揮できていな方わけです。対策しても止められない空気は全く出てこなかった。これを疲労と言わず、何というのか。

〇後半のカイリー
6点
2P2/4
3P0/2
4アシスト

そして後半になるとゲーム2の反省を忘れたように左ドライブが消えました。セルツも異様なほどに同じ守り方をしており、いい加減突破しないといけなかったのですが、アテンプトそのものが減っているように普通にやって、普通に止められていました。

一応4アシストですが、これは試合終盤にセスやミルズが3Pラッシュする時のアシストもあったので、プレーメイクしたわけではありません。デュラント以上にわかりやすく策にハマっています。

◎今日もブルース

ある意味でセルツもセルツで、ゲーム1から延々と同じような戦略で戦い続けています。「徹底している」といえば聞こえはいいですが、「同じことやって済んでいる」のは恐ろしい所です。普通はそれじゃあどうにもならないのですが、ナッシュが無策すぎるのかな。

そして、デュラントとカイリーを止めるために、テイタム・ブラウン・スマートがチェイスディフェンスでフル稼働し、その代わりにビッグマンがカバーに入る形は、必然的にアウトサイドのブルース・ブラウンを空けることになります。

〇ブルース・ブラウン
26点
FG10/19
3P2/7

チームハイの26点を生み出したブルース。3Pが空くのはもちろんなので、確率が2/7じゃ物足りないかもね。また、逆サイドからエルボー近辺にあわせにはいるオフボールが、気持ち悪いほど延々と機能しました。デュラントなんて見ないでパスを出している気がしたもんね。

そう考えるとね。
そう考えるとですよ。
同じことを延々とやられながら、セルツは何も変えてこなかったわけですから

26点じゃ足りなかったブルース・ブラウン

こんなこともいえます。特にゲーム2のこともあってデュラントが延々とパスを出していたのだから、ブルースは40点取らないといけなかったのかもね。そこまで点を取れば、セルツはやり方を変えざる得なかったかも。

ところで、この26点の中にテイタムのパスをカットして速攻に行ったのが2つ、1人で前を走って決めたのが1つありました。そう考えると20点なわけですが、いずれにしてもネッツで唯一速攻を生み出すのもブルースでした。これって、ブルースは良いのですが他の選手が物足りないっていうね。

お疲れのデュラントとカイリーを考えれば、もっと周囲が走る必要があります。

〇速攻
セルティックス 19.2
ネッツ     13.0

このシリーズ3試合平均ですが、6.2点も差があります。っていうか、ほぼこの差が両チームの差になっているわけだ。そしてゲーム3に至ってはさらに差が開きました。

〇ゲーム3
セルツ 25
ネッツ  9

ここを改善しないと勝機はないぜ。速攻だけで16点差はヤバいって。そして速攻が足りないって事は・・・ベン・シモンズの出番なのかっ!

◎ドラギッチとグリフィン

ブルースのマッチアップがビッグマンになっている事で点を取りやすいことについて、ゲーム2ではドラギッチにも同じことが言えました。スモールラインナップにすることでオフェンスのメリットを生み出しやすいネッツです。しかし、ゲーム3ではドラギッチは活躍できず。っていうかボールが来なかった。

〇ドラギッチ
0点
1アシスト

んーー、マッチアップの話は別にして、どうしてドラギッチを獲得して、どうして試合に出したのか、非常に不思議なゲーム3でした。特にゲーム2では点を取っていただけにさ。両エースが止まっているならば、ドラギッチにPGさせて試合に変化をつけるべきでした。でもドラギッチが試合に出てもPGしないので意味がなかった。

ブルースとともにドラギッチのゲームメイクが始まればセルツはプランを変えざる得なかった気がします。変えなかったら負ける状況に追い込むって事ですね。それが一切できなかったのは選手の頑張りではなくてHC問題だよねぇ。

八方ふさがりに見えたネッツというかナッシュですが、管理人が「なんでグリフィン使わないんだろ」なんて会話をしていたら、なんとビックリ。後半になってグリフィンが登場します。4月2日以来の出場らしく、ナッシュの気まぐれ采配が発動しました。

一応、狙いとしては「ドラモンドが物足りない」ってことでした。スピードについてけない(本当はついていける)ドラモンドは、オフェンスでもゴール下でパスをもらうことがなく(だってシステムがないんだもん)クラクストンが活躍していただけに、ドラモンドが失格の烙印を押されました。

そして登場したグリフィンはハードなディフェンスで期待に応えます。こんなに干されていたのに、よくぞここまで頑張ったねってくらいハッスルしました。セルツはアイソの相手にグリフィンを選ぶのですが、そもそもなんでグリフィンを選んでしまったのか。ドライブは止められてしまいました。

またオフェンスではヘルプ担当のビッグマンがマークにつくので、3Pラインの外にいると完全にフリーでした。3Q終了間際にパスを受けると、エクストラパスを選んでブラウンにスティールされカウンター速攻を食らったのですが、これが逆に4Qに思い切りよく3Pを狙う事に繋がり、2本の3Pをヒットさせ8点を奪いました。

なんでもグリフィンがローテから外れたのは3P外しまくったからだそうで、3Qのミスはビビって打たなかった感じですが、4Qは迷いなく打ち切ってチームを助けてくれました。おそらくゲーム4はプレータイムが伸びるでしょう。ハッスルディフェンスとビッグマン3Pはネッツが必要としている要素です。

ただし、グリフィンのディフェンスはステップバック3Pに弱いです。4Qはブラウンに3Pを決められており、長く使いすぎるのは禁物。さて、どんな使われ方をしますかね。

いずれにしても疲労の色が強いネッツの中で「元気な方が強い」をみせてくれたグリフィンでした。これでベン・シモンズも元気だったらどうしよう。

◎ドラモンドとセス

失格にされたドラモンドですが、ゲーム2以上にボールを持ちませんでした。これって不思議な話でデュラントはパスばかりしているのに、ドラモンド起点はなかったんだ。ドラモンドってゴール下を押し込むの下手なので、ポイントセンター的に使わないと価値が薄れるのだから、非常にもったいないです。

同時にセスもボールが回ってきませんでした。ある意味で「空けられたブルース」にパスをしてしまったようなネッツ。そりゃあディフェンスプランは変更されないよね。ブルースは40点取りましょう。

ドラギッチの件も含めて「起点はデュラントかカイリー」が強すぎます。トレード直後は新しい形が混じって良い感じだったのに、連携が進むにつれてパターンが狭まっていくっていうね。いや、もう、完全にHC問題じゃないですか。

また、セス同様にミルズもシューターらしさを使う事が出来ず、単なるスポットシューターになってしまいました。動き回って打てるのが良さなのに、動いたところにタイミングよくパスが出てくる仕組みがないし、そもそもスペースもスクリーンもない。

ところがグリフィン登場直後のオフェンスで、ブルースとグリフィンがダブルスクリーンで逆サイドから走ってきたミルズをフリーにし、3P&ワンを作りました。突然のシューター用のプレーコールにビックリしてしまったよ。

ドラモンドのインサイド起点からの3Pパターン
グリフィンのスクリーン利用でシューター活用
ドラギッチPGによる変化を促すオフェンス

実はネッツにはまだまだ武器があるんだ。でも、その武器を捨ててしまったのは、シーズン終盤の主力酷使と、誰かさんがプレーしない問題でした。後者に関してはチームとして認めたのだから、相応の対処を考えておくべきだったのに、見事になかったことにされたね。

◎スイープで解任か

そんなわけでセルツの事も書こうかと思いましたが、基本的にやっていることはゲーム2と同じなので割愛。ナッシュがゾーンにしてくれてテイタムがイージーに3Pを打てたとか、ブルースのディフェンスに困りまくっていたテイタムだけど、簡単にスイッチミスしてくれるネッツディフェンスとか。他にもテーマはありましたが、めんどくさくなったよ。YouTube聞いてね。

両チームがエース対策を進めていたシリーズですが、お疲れだったネッツ側と、パスアウトが機能したセルツ側。3試合とも接戦だけど、全てセルツが勝ち切っているのは、チーム力の差であり、エースからどうしていくかの考え方の差です。

ゲーム1に関しては4Qがネッツペースだったし、逆にテイタムが疲れて動けていなかったので、あそこを勝てなかったことが重ーくのしかかっているネッツです。

しかし、全ては采配問題に辿り着いてしまうのが非常に嫌な部分。疲れているデュラントも、変化のつかないオフェンスも、突然のグリフィンも、ナッシュが何を考えて実行しているのかってね。

そしてスイープとなれば、さすがに解任となるでしょう。自らの解任を避けることが出来るのかどうか。3連敗で迎えるゲーム4は違いを作りに行くか、それともやってきたことを続けるのか。ナッシュの大胆さが問われることになります。

プレーオフ①ネッツvsセルティックス” への1件のフィードバック

  1. お疲れ様です。
    グリフィン出場時のここで選手生命終わってもいいかのような動きと、その動きをしてもなお、上からブラウンにスリーを決められていくところが印象的でした。
    というかグリフィンってあんなに機敏に動けるのね。
    セルツの心配はあんなにハードなディフェンスをしてプレーオフ最後まで持つのか?というところだけだったのですが、ファーストラウンド早く抜けられれば休養に当てれそうですね。

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