プレーオフ①バックスvsブルズ

ゲーム1

Youtubeでも触れましたがスイープの匂いが最も強いカードです。それは実力差ではなく、相性が大きくて、バックスの弱点である「3Pを打たせるディフェンス」に対して、ブルズは「3Pを打たないチーム」なのです。一見するとデローザンの問題に見えますが、バックスはヤニスがいて3Pが多いのだから、設計的な問題です。あるいはブーチェが決まてくれない問題なのかもしれません。

◎ヤニスか、3Pか

カルーソとパトリックをスターターにいれてきたブルズ。ヤニスがいるのでパトリックって事ですがドスンムもグリーンもいないのは寂しいぜ。そしてブルックとヤニスにインサイドを強引に蹂躙されるスタートになります。ものすごくわかりやすいやられ方。そしてヤニスが3Pをヒットしたところで早々に9-0になってタイムアウトです。

タイムアウトの後でブルズはブーチェが3Pをヒット。どうやらバックスの弱みを使う気持ちはあるようで、その後もブーチェの3Pがありました。外れたけどさ。っしてデローザンもロング2Pとブルズらしくない形ですが、それだけインサイド重視のバックスでもあります。

バックスの方はミドルトンが積極的に3Pを打って行けば、ヤニスのキックアウトからブルックの3P。そしてリバウンドダンクのヤニスは、ドライブからのフィンガーロールも決めてあっという間に12点差です。圧倒的な差が出ているぜ。

その後も3P攻勢のバックス。つまりは「3Pか、ヤニスか」状態ですが、後者に手も足も出ないブルズが3Pを諦めているようにも見えます。トップのヤニスからサイドのマシューズにパスが出たら、即座に3P打ってるのとか、ヤニスにビビりすぎでしかない。まあ3P打たれる方が確率が落ちるのも事実。ヤニスを止めないと試合が終わりそうです。

そのヤニスがベンチに下がった1Q中盤はブルックのインサイドが火を噴きます。トリスタンが手も足も出ない感じ。ホリデーもパワードライブで飛び込んで押し込み。なんだけど、バックスは3Pが決まらなくなります。インサイドでプレーメイクして、きれいにキックアウトしても決まらないので、ちょっとずつブルズは立て直します。

ところで、ヤニスは1Qのなかで6分プレー⇒3分休み⇒3分プレーみたいなローテなのですが、ビリー・ドノバンはこのローテにブーチェを合わせてきました。スタートはパトリックがマッチアップしていたように、直接止める狙いではないのですが、1つにはカバーリング出来ることを重視しており、もう1つはオフェンスのアウトサイドなんだと思います。トリスタンでは打てないからさ。

ブーチェの3Pは決まらなかったものの、ロングリバウンドを抑えてホワイトの3Pで反撃し、デローザンとのピック&ロールからブーチェのフックで21点にのせたブルズでしたが、バックスの勢いを止めるのは出来ず34-21と13点差の1Qでした。まぁ内容に比べたら点差は大したことないよ。

◎3P決まらない

ブルズのディフェンスはグリーンの投入で少し改善します。どこも止められていなかったのがグリーンのところは止まるので、ちょっと落ち着いたぐらいのイメージね。そこはバックスが失速するのも期待しておけば・・・ヤニスが意味わからんダンク決めてるな。

さて、問題はオフェンスです。アウェイの1試合目なので情報収集すれば十分だけど、ブーチェを使ってポップ3Pを打たせる狙いはいいけど、そもそもデローザンとのピック&ロールがヤニス狙いになっているので、デローザンが何もできません。その狙いは違うだろ。

つまりは、相手の一番強い所から攻めています。このパターンは「ヤニスを攻めておいて、展開することでヤニスのヘルプを消す」のが一般的ですが、基本はデローザンが打ち切るのがブルズオフェンスなので、そんな状態にはなりません。ならば「ヤニスを攻めることで、バックスを正面から困らせる」わけですが、困っているのはどうみてもデローザンです。

そんなブルズは思わぬ形でリズムを掴みます。
バックスがヤニスのワンビッグにしたので、ブルズはノービッグに変更。そしてゾーンにするとデリック・ジョーンズ、カルーソ、グリーンの前3人がドライブをさせず、3Pにも間に合うので明らかにディフェンスが改善します。なお、下2人がデローザンとラビーンっていう意欲的なゾーン。

これでオフェンス面も・・・というところでブルックやブーチェ、パトリックも戻ってきて元に戻りそうでしたが、そのパトリックのドライブでヤニスがファールコールされベンチへ。その前にチャージドローしていたので、嫌な奴をファールトラブルにしました。スモールのゾーンでヤニスを困らせるとは。

思わぬ形でリズムを得たブルズ・・・というかリズムを失ったバックス。これまで通り、インサイドはブルックやポーティスで上回っていますが、ヤニス程は怖くないし、3P決まらないからディフェンスが成功しているブルズです。

ゾーンっぽい形は同じですが、強引に突破してくるヤニスがいなければ、ブーチェとパトリックのカバー&ローテが機能しています。そしてオフェンスの方は相変わらず3Pが決まらないブーチェと、ファールを稼いでフリースローで追い上げるデローザンとラビーンになります。ブーチェの3Pが決まっていれば追いついていたぞ。

〇前半の3P
ブーチェ 1/5
ラビーン 1/4
カルーソ 0/3

うそ。ブーチェ以外も決まらなったブルズ。でも、これはバックス対策を意識していたという事実でもあります。作戦はちゃんと機能しており、でも3Pも決まらないし、決まらないからデローザンも楽にならなかった。

〇バックス 6/22

でも、バックスも27%でした。こちらは予定通り打ったけど決められず。ヤニス17点、ブルック11点とビッグマン2人の強みでは優位に立ったけど、そこからの展開が物足りなかったわけだ。

ブルズディフェンスはヤニスのスピードについていける選手をマッチアップさせ、ドライブを止めておいてのカバーを仕掛けました。ヤニス対策としては鉄板ですが、1Qにはやらなかったのが失敗だったかな。ただし、そのまま強引に持っていかれることもあったよ。

一方でバックスの10本に対して16本のフリースローをゲットしたブルズオフェンスは、3Pが決まらないし、インサイドで勝てない割には、強気なアタックが成功したとも言えます。2Qのブルズは22点しか取れませんでしたが、半分の11点がフリースローでした。逆にバックスは17点しか取れず、3Pミスに加えてヤニスが2/6とフリースローを外したのが響きました。

ってことで、2Qはブルズのディフェンスの勝利です。オフェンスは最後までダメだったけど、守れてしまった。守れたってだけでなく、バックスが外しすぎたし。51-43と普通の点差になって前半が終わります。

◎ブーチェとヤニス

ブーチェのミドルで幸先の良いスタートを切るブルズですが、直後にミドルトンがレイアップを決めると、なんとタイムアウトのドノバン。ブチ切れ案件ですな。お前ら前半に9-0にされたの忘れたのかと。なんで後半開始直後にマークがズレるんだ。タイムアウト2つをこんな形で使うとはね。

全然関係ないけど、Wリーグ決勝で大差ついてる1Qに「2つのタイムアウトを1Qに使うわけにいきません」って言ってたけど、4つあるとはいえファーストプレーでタイムアウトとるのがNBAのコーチだぜ。

そんなアクシデントはあれど、3P以外は決まるブーチェと、デローザンミドル、そしてラビーンの3Pでブルズオフェンスは上手くいきます。ミルウォーキーとシカゴが近いからか、ブルズファンがいっぱいいるよね。もちろん、グレイソン・アレンにはブーイングだ。バルサじゃないんだからさ。

ブルズが追いつきそうな展開ですが、マシューズの3Pでなかなかそこまでは行きません。そして今度はラビーンが速攻時にミドルトンにチャージング。これで4つ目になります。ベンチで「チャレンジすべきか」とACに確認したドノバンですが、首を横に振られていました。

それでも運もめぐってきて、速攻のブーチェがヤニスのプレッシャーによりゴール下をミスするけど、リバウンドを取って&ワン。ヤニスのファール付きの3点で拮抗した展開に持ち込みます。そしてラビーン⇒ドスンムなので、ディフェンスも強くなり、トラベリングを促します。ブーチェのポストムーブで残り5分に3点差に。

ここでデローザンとのツーメンゲームから久々の3Pをヒットしたブーチェ。予定しながら機能していなかった形が遂に成功して同点。続けての3Pは決まらないのでリードには出来ないブーチェ。

それでもワイドオープン3Pを外し続けるバックスに対して、今度はホワイトが3Pで逆転すると、トランジションアタックも決めるホワイト。点が取れないバックスを尻目に、ここにきてブルズの方が形になり始めました。ラビーンいなくなったら逆転してもうた。

余裕だったはずが、どんどん追い込まれているバックス。ディフェンスはそんなに問題ないけど、とにかくオフェンスがどうにもならない。どうにもならないっていうかシュートミス多過ぎて、何が正解なのかもわからなくなってきました。ってことで、何も関係ないヤニスがスーパーアタックを決めると、続いてポーティスのコーナー3Pが決まり同点にします。っていうか、普通にコーナー3P決めていれば、こんなことにはならなかったはず。

そして1on4のトランジションなのに、ためらうことなく飛び込んで&ワンにするグリーク・フリーク。いかんよそれは。反則だよ。ドノバンもタイムアウトとってブチ切れはしないよ。

デローザンのドライブは後ろからポーティスがブロックし、逆転されてギアをあげたバックスが74-71にして3Qが終わります。ヤニスさん、恐ろしい。

◎カルーソとモンスター

このまま一気に行きたいバックスですが、スティールからの速攻で客席に投げ入れるグレイソン・アレン。本日は何もしていないのでメンタルが危なそうです。ブルズはラフプレーに気を付けよう。元ブルズのポーティスはヤニスのパスを受けてゴール下をミスするも、リバウンドでファールドロー・・・がフリースローは1本ミス。まだ流れはブルズにあるのか。

ヤニス相手のブーチェのポストアップからボールを動かし、カルーソがコーナー3Pをヒット。やっぱり敢えてヤニスのところから攻めているのかもしれません。そして今度は見事なパス回しからブーチェがワイドオープン3Pを・・・外すのかよ。それでもヤニスを抱きかかえたはずのカルーソが手を離すと、何故かヤニスのファールに。まだまだツキはあるぞ。

もうペイント内に5人いて、ヤニスにミドルを打たせるブルズ。そして今度はヤニスが強引にドライブに行ったところをカルーソがチャージドロー。これでヤニスが5つになります。その前の謎のオフェンスファールがデカかったな。カルーソに追い詰められたヤニス。

ローテの時間でもあるけどヤニスを失ったバックス。ところが今度はブーチェがムービングスクリーンをコールされ、そしてブルックが外で待っている中でブーチェがヘルプに来れないのを見てドライブを決めるホリデー。続いてツーメンゲームからブルックにパスを出すホリデーですが、これを読んだカルーソによってカウンター速攻。

ホリデーのドライブキックアウトは中途半端になったところで、ぶっ飛んできたカルーソがマイボールにします。もうバックスの敵はカルーソ。バックスを倒すにはインテリジェンスしかない。ブーチェのフックで逆転します。

堪らずヤニスを戻すバックス。インテリジェンスを問答無用でぶち壊すモンスターに2人いったのでパスアウトからホリデーの3Pです。かつてウエストブルックのモンスターっぷりでぶっ壊していたドノバンが、カルーソのインテリジェンスに助けられて、ヤニスのモンスターにぶっ壊されるの面白いね。

ブルズのタイムアウトでよくわからんがヤニスを下げたバックス。でも、ブルックがドライブ&ワン。そしてホリデーのミドルで7点差にします。一方でデローザンのアタックが止められ、ラビーンの3Pは外れ、カルーソのコーナー3Pも外れ、ちょっとツキが終わった感のあるブルズでしたが、こぼれたリバウンドを拾ったデローザンがファールドロー。

残り3分半。タイムアウトからヤニスを戻したバックスですが、そのヤニスからのパスが乱れてターンオーバー。ブーチェがポストで押し込んでファールドロー。こちらも4ファールになります。そしてパトリックのドライブで3点差。

カルーソ相手のポストアップになったヤニスですが、まさかの止められてしまうも、フォローしたブルックのゴール下。デローザンがミドルで返し、ホリデーのミドルミスはリバウンド争いでヤニスがファールドロー。ドフリーのブルックが3Pをミスし、そのブルックがラビーンをブロックして、残り1分半も3点差のまま。

カルーソのスローインを受けたブーチェにミドルトンが安易にダブルチームに行ってしまい、ワンツーの形でゴール下フリーのカルーソが決めて1点差。もうカルーソに全てを任せろよ。

しかし、またブルック。ホリデーのパスを受けてパトリックとコンタクトしながらの&ワン。フリースローはミス。残り1分だぞ。なお、細かくヤニスを休ませるブーデン。

ツーメンゲームからフリーになったブーチェですが決められず。ラビーンの3Pも決まらず。カルーソのフロッピングもノーコール。3点差のまま時間が過ぎていくと、ちょっと迷ってからファールゲームに行くブルズ。このフリースローをホリデーが決めて残り15秒5点差。ここでヤニスが戻ります。

タイムアウトでプレーを決めたブルズですが、デローザンのターンシュートは決まらず、善戦したもののゲーム1を落としたのでした。

〇デローザン
43分
18点
FG6/25

結局のところ、デローザンを止めたバックスの勝ちだったかもしれません。ディフェンスのバックス。スイッチさせても攻めるポイントがないぜ。ホリデー、ミドルトン、マシューズ、ヤニス、ブルック。全員がデローザンにとってはスキじゃない相手な感じ。せめてミドルトンを狙おうか。

〇3P
ラビーン 2/10
ブーチェ 2/10

24点と奮闘したブーチェでしたが、作戦だったはずの3Pは決まらず。一方でこちらも18点にとどまったラビーンも決められず。エース2人が止められて、作戦だった3Pが決まらず。それでも接戦だったのだからブルズにとっては「十分に戦えるぜ」という手ごたえを得たはず。

カルーソが活躍し、ホワイトも結果を出したので、ドスンムのプレータイムが短くなるのはわかるのですが、デリック・ジョーンズあたりはもっと長く起用して、削りあいに持っていくのと、デローザンを休ませるべきだったとは思います。だって、疲れていたジャン4Qのデローザン。この結果を持ってデローザン酷使を辞めればいいのにね。

いずれにしてもディフェンスの戦いでした。それでいいってことです。ブーチェは3P決めてくれ。3P以外は見事な仕事だったよ。初戦はアウェイなのだから、気にすることはないのでした。

〇ヤニス
27点
FG10/18

〇ブルック
18点
FG7/14

ポーティスも10点12リバウンドだったし、インサイド陣は仕事したバックス。ヤニスはファールトラブルだったけど、問題はアウトサイドから決められない事でした。多くのケースがワイドオープンを外しており、そこはもう反省してください。

問題は「決まらなかった」ことではなく、前半の22アテンプトに対して、後半は16まで下がったことです。ブルズのゾーン気味の守り方にハマってしまい、思い切りの良い3Pが消えました。もっといえば3Pの前にパスが回りませんでした。相変わらず変化を付けられないというか、ゲームメイク力に欠けるね。ジョージ・ヒルが欲しかった。

バックスからしても3Pが問題なゲーム1でした。ってことで、ゲーム2以降もこの傾向が続くのか。ブルズディフェンスは3Pを打たせないのが得意技なので、バックスは見事にハマりました。

一方でブルズオフェンスは3Pを打たないし、バックスディフェンスは3Pを打たせるのですが、ブルズは意外にも3Pを打つ気持ちが強く出ているゲーム1でした。ってことで「決めれば勝てる」のはブルズというかブーチェビッチなのかもしれません。3P以外は仕事したんだけどね。

プレーオフ①バックスvsブルズ” への2件のフィードバック

  1. 考察ありがとうございます。
    ブーチェのシンプルなポストアップが通用していたのが印象的でした。
    デローザンはご指摘の通りお疲れでしたね。2戦目以降にうまく復調してくれることを祈ってます。

    1. 狙いの3Pは決まらないけど、ポストアップの強さが目立つという意外な展開でしたね。
      相当ブーチェに頑張ってもらわないといけないので、次は3P決めて自分自身を楽にしたいところです。

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