プレーオフ①マブスvsジャズ

ゲーム2

鉄板のゴベア潰しでマブスが勝ちそうなマッチアップですが、ドンチッチがいないとなると厳しいか。そんなカードなわけですが、裏ではクイン・スナイダーの契約終了なんて話もあるみたいで、いろんな意味で大事なプレーオフです。しっかし、ドンチッチは戻ってくるのかね。戻ってくる前に勝っておかないと苦しいジャズ。

◎ゴベア対策

マブス視点で見ていきましょう。ゲーム1で衝撃だったことはゴベアにFGがなかったこと。パウエルに完封されたわけだね。でも、マブスがピック&ロール対策で成功するとは思えず、何が起きているのかも気になるところです。

いつも通りゴベアとのピック&ロールを準備するジャズに対して、マブスの作戦は「ファイトオーバーして頑張れ」です。結構な厳しい案件なのですが、これをブロンソンもフィニースミスもこなしていきます。こなしているけど、普通にドノバンに打たれているけどね。

それは1つには「ハンドラーに打たせろ」にもみえますが、まずゴベアのスクリーンがしっかりとかかっていません。スクリーンでマークマンを止めてさえ置けば、ドノバンとパウエルの1on1になるのに、それが出来ていないゴベア。そして地味にショーディフェンスとスイッチとの使い分けが上手いパウエル。

それでもドノバンがパウエルを引き出すと、ゴベアがゴール下に飛び込んでアリウープ成立。これがシリーズ初のFGになったわけですが、なんと同じ形のアリウープでダンクミスするゴベア。ってことで、単純にゴベアの見えにくいスクリーンミスとマブスのディフェンスの「頑張り」が目立ちます。シンプルに頑張りです。

そのマブスの作戦は、ファイトオーバーでハンドラーをカバーすることと、もう1つは「ゴベアにボールを持たせる事」です。すぐにゴール下にダイブすればいいのに、中途半端な動きをしているゴベアなので、パスを受けてもワンステップでシュートに行けない位置に止められます。ってことで、それもパウエルのポジショニングの上手さだよ。

そしてペイント内でドリブルしたゴベアからブロンソンがスティールし、コーナーにキックアウトを狙ったらディンウィディがパスカット。おそらく最近のジャズの特徴なんだろうね。鉄板だったはずのピックゲームの精度が落ちています。なお、コンリーがハンドラーだとさらに落ちています。

ゴベアからホワイトサイドになると、ゴール下に飛び込んだホワイトサイドにカバーが来たのでドノバンが展開してオニールのコーナー3Pがヒット。さらにスクリーンでパウエルを引き出してのプルアップ3Pにもなったので、マジでゴベアの問題がデカいのかもしれません。そんなわけで、マブスのディフェンスは集中力高く、そしてポジショニングが良く、上手くゴベアを囲んでミスを促していきました。

これくらいディフェンスが機能すると、オフェンスはそもそもイージーだからさ。それにしても決めすぎなくらい決めるブロンソンの3Pでリードしていきます。ドンチッチがいたらこんなに決まらないからね。

本来のシンプルな攻略法はゴベアを狙った3P戦略ですが、そんなことしなくてもピック&ロールから空くし、普通にオニールを抜いていくブロンソン。ちょっと止められそうなオフェンスでもボールを回せばクリバーがドフリーになって3Pです。割とイージー。弱点狙っていなくてもボール回せばフリーが作れます。

1Qだけで15点も奪ったブロンソン。つまりは守れなかったジャズ。1on1で守りきることを目指していないので、抜かれ過ぎだし、ブロンソンは決めすぎだし。そしてヘルプに来ればイージーにパウアウトです。

そんなわけでマブスが大量リードしそうな1Qだったのですが、ディンウィディだけ外しまくった上、ドノバンに個人技で取り返されたので24-24とまさかの同点で終わります。おかしいな勝っていたはずなのに。ホワイトサイドが出ていた時間で8点リードを0にされてしまった。

◎弱点を埋める

ゴベアがハメられている感じもあるけれど、それよりも3Pオフェンスになっていないジャズ。もっとスペースを作るのが得意技のオフェンスのチームなのに、ペイント内でひっかけてくるマブスのディフェンスにハマって1Qで5つのターンオーバーです。それって、根本的な設計が違うんじゃないかとね。

逆にマブスはプルアップ3Pにパスアウト3P。トップからもコーナーからも打っていくので何だか変だよ。あーイングルスが恋しいな。

〇1Qの3P
マブス 6/14
ジャズ 3/7

ジャズの良さを消し、ジャズの弱点を使っているマブスの流れなのに、同点ってのはラッキーだった1Qです。2Qになると1-2-2ゾーンのマブスに対して、これといったゲームメイクがないコンリー。クラークソンの個人技アタック中心に攻めていきます。

コンリーはイメージと違ってゲーム作るのは上手くないです。基本はガソルとのツーメンゲームで、オフボールで動いても形を作れ、ギブ&ゴーを駆使したのが特徴でしたが、ポイントセンタータイプのガソルがいないと大きな展開が出来なかった。ただ、ゴベアとのコンビはプルアップ3Pを上手く使い、そして絶妙なロブパスがありました。ガソルにはない高さだね。

ところが大胆なプルアップ3Pもなければ、アリウープパスなんて出る気配もなく、ゴベアへのパスは目の前にいたフィニースミスに奪い取られます。さらにハウスがドライブからキックアウトするもブルロックがパスを読んでスティール。いずれにしてもディフェンスの逆を突いていないゲームメイクになっています。単調さ。

ベルタンス相手の1on1からプルアップ3Pを打つも、これが外れるとカウンターを食らいそうになり、ファールしたコンリーが3つ目。ちょっと厳しいね。

しかし、ここからクラークソンがシンプルにピック&ロールからミドル。ドノバンもドライブフローターでリードを得ます。上手くポジショニングしてパスコースを封じているマブスなんだから、ハンドラーがそのまま打てってね。

「どうせドノバンが決めるんでしょ」な状態になっていきます。幸いにもクラークソンもいるので個人に頼ってはいませんが、ボグダノビッチがいる意味が薄まっていくよ。それでもベルタンスなんてフロントチェンジ1つで振り切れるわけだし、そこそこなんとかなるぜ。

どうにもならないのは遂に狙われ始めたゴベアのアウトサイドディフェンスでした。ダイレクトにクリバーの3Pに、ジョシュ・グリーンは1on1ミドル。なお、後者は普通にゴベアがついて行ってないのが悪いのですが、その後でディンウィディに真ん中突破されてノーヘルプのレイアップを決められており、結局はチームディフェンスが悪い。

やばいってことでゾーンにしてみたスナイダー。これで唐突に守れるようになります。もちろん、普通に抜かれることもあるけど、そこまでの苦しさに比べたら・・・というかマブス的にはめんどくさくなったぜ。

しかし、ドノバンのアリウープパスをまたも叩き込めなかったゴベア。するとディンウィディとぶつかって倒れている間に、そのディンウィディが走ってトランジション3Pで同点。ボグダノビッチにもパスが出始めて良い感じだったのに、いろいろ上手くいかないスナイダー。

それでもゾーンは効いているので、3Pチェック⇒抜かれてもゴベア待ち。これで2つのディフェンスを成功させると、ドノバンがプルアップ3Pをヒット。ゴベアもオフェンスリバウンドからファールドローして、前半を55ー48でリードして終わらせます。ドノバンとクラークソン頼みだったけど、ゾーンの成功は効いたね。

うーん、ジャズがシーズン終盤に調子が悪かったのは、戦術的な側面もありそうですね。スナイダー問題が浮上してから、実は迷いが生まれていたとか。もっとあっさりと3P打つイメージだよね。それをしないで苦労している感じ。もうジャズは「守れないけど、点は取れる」チームだと割り切らないとさ。

◎崩せるか

後半はワイドオープン3Pを外すコンリーから始まります。そしてファールして4つ目。早々にベンチにさがりクラークソンが出てきます。いや、タウンズじゃないんだからさ。そのクラークソンの3Pで10点リードに広げるよ。

しかしマブスの2-1-2ゾーンが機能します。前半の逆だね。際どいのが後ろの2で、コーナー3Pに展開させていません。このパターンの攻め方の正解は

①コーナーまで展開して追いつかせない
②コーナーまで守られたら広いインサイドで決める

なわけですが、②がゴベアなのでそこにボール入れてもさ・・・っていうかポジションとってもいないしさ。ジャズのイメージはエンドラインにゴベアを置いて、外2人でプレー構築しつつ、真ん中のヘルプが寄ってきたらゴベアへのワンパスなのですが、やっぱりゴール下に行かないゴベアなので、うーん、どうしたスナイダー。

タイムアウトを取ると、クラークソンの長めの横パスを受けたドノバンが躊躇なくスピードドライブでレイアップ。つまり、ゴベアじゃなくてスピードで攻略しに行ったよ。続いてクラークソンのミドル。もうこれしかなさそうなジャズ。

しかし、ここでクラークソンのドライブをブロンソンがチャージドローすると、自らプルアップ3Pで追い上げます。さらにツーメンゲームでオニールを剥がすと、ゴベアが出てこないので連続3P。狙い所はハッキリだし、ちょっとジャズ側が諦めた匂いもします。出たら出たでアイソされるから諦めとこ。

さすがのブロンソンも延々と3Pは決まりませんが、今度はブルロックが3Pをヒット。ディンウィディもドライブファールドロー。一歩でなかなかキックアウトが決まらなかったジャズですが、ハウスがドライブからねじ込み少しだけ改善。

タイムアウトのマブス。再びゾーンで固めると共にクリバーが例によって空くので3P連発で逆転に成功します。即座にボグダノビッチがコーナー3Pを決めると、トランジションからの3Pはベルタンスのファール。なお、今日も今日とて守れないのをファールで誤魔化すベルタンス。

続いてドノバンのキックアウトからハウスのコーナー3P・・・は外れたけど、やっとジャズっぽくなってきました。積極的な3Pで広げていき、そしてドノバンがドライブフローターをヒット。しかし、最後もクリバー。ブロンソンのパスアウトを受けてゴベアのブロック関係なくコーナー3Pを決めました。

3Qに3本の3Pを決めたクリバー。クリバーは素晴らしい。でも、みんなそこがフリーになることは知っている。スナイダー以外は知っている。

◎コーナー3P

でも、あれだよね。ゴベアがホワイトサイドになると、もっと酷くなるんだよね。追いかけもしないだけでなく、インサイドにパスを通されてパウエルにダンクを食らうっていうね。スクリーンに関してはホワイトサイドの方がしっかりと出来ているので、クラークソンがミドル。

今度はコンリーがスクリーン使って抜けてのパスアウトでボグダノビッチの3Pにするも、これは決まらず。そしてドフリーのクリバーは3Pをヒット。さらにインサイドに飛び込んだクリバーのダンクにファールしたホワイトサイドは「ファールじゃない」とジェスチャーしてテクニカル。どうみてもファールだぜ。ってことで±でいえば、マイナスだねホワイトサイド。

この構図で重要なことは「クリバーのディフェンスが穴になっていない」ってことです。マブスとしてはそこは大きな不安だったし、ましてやベルタンスと並べて成立するとは思いませんでしたが、意外にも普通に守れています。それだけプレーを読んでいるって事か。

ジャズはドノバンが3Pをミスするも、打った瞬間に自ら飛び込んでリバウンド&ワン。まだリードを保っていきますが、とにかくコンリーは決まらない。ゲーム1はドノバン対策できていたけど、ちょっと苦しくなってきたマブス。でもボグダノビッチからオフェンスファールを引き出すブロンソン。フロップぽかったけど。

どうせ守れないのでゾーンに変えるジャズに対して、シンプルにブルロックのコーナー3Pがヒット。そしてブロンソンがドライブを決めて2点差に。わお!もうドンチッチいらない。

タイムアウトを挟み、ブロンソンのミドルは外れますが、ゴベアはクリバー相手のゴール下を押し込めずにファール。そしてやっぱりvsゴベアでフィニースミスの3Pで逆転します。さらにブロンソンのフローターでジャズがタイムアウト。

ドノバンのパスアウトからオニール3Pで同点。ドノバンのドライブで逆転。ジャズはブロンソン対応をハリスにやらせ、クラークソンもコンリーもベンチに下げています。面白いことに、ゴベア⇒フアンチョにでもしていれば小さくないスモールラインナップです。でも、ゴベアをいれているから、またもクリバーの3P。

さらにディンウィディのドライブキックアウトから、またもクリバーの3P。超わかりやすいぜ。いいかげんパスを読めよ。抜かれているところにゴベアがカバーに来ているのだから、シンプルにゴベアにマークされたクリバーが空いている。ただそれだけ。

〇クリバー
25点
3P8/11

これで2Pはアテンプトすらなかったクリバー。極めてシンプルにジャズの弱点を攻略しました。みーんな知っているジャズの弱み。それでもジャズが勝ってきたのはオフェンス力なのですが、ゴベアの高さに対して、人数をかけてでも囲んで消していきました。

〇ゴベア
8点
FG2/5

2試合続けて強みを出せなかったゴベア。強みを消したマブスディフェンス。

さて、それでもボグダノビッチが個人技アタックで取り返していきます。ここのマッチアップが一番楽っぽいので、ひたすら個人技をやらせてみるジャズ。それは良かったんだけど、今度はキックアウトからブルロックがコーナー3Pをヒット。

残り1分半。同じ形でブロンソンのキックアウトからフィニースミスがコーナー3Pを打ちますが、これが決まらず。しかし、急いだコンリーの3Pも決まらず。

〇コンリー
0点
FG0/7

ドノバン、クラークソン、ボグダノビッチの3人で80点を奪ったジャズでしたが、他の選手で24点しか取れませんでした。いやいや、それはないって。要するにハンドラーたちしか点を取りませんでした。それじゃあオフェンスにならんぜ。むしろ、よくも104点になったわ。

〇ブロンソン
41点
FG15/25

すべてが上手くいった感のあるマブスですが、それでも主役たるハンドラーには差があったわけで、その差を埋めてしまったスーパーなブロンソン。ダラスのファンからMVPコールを受けたブロンソン。見事な活躍でマブスに1勝目をもたらしたのでした。

で、どうですかね。マブスは順調そのもの。特にパウエルとクリバーのインサイドファイトが、この差を生み出しました。もちろん3Pは決まりすぎなくらいだけど、予定通りだしさ。

しかし、その予定通りを決めららなかったのがブーチェビッチであり、ヤニスの恐ろしさです。ゴベアはそこまで怖くないというか、わかりやすい動きをしてくれるから、誰も迷わない。正直すぎるぜジャズ。イングルスいないのが厳しいのかな。

これでも同じことをやるのかスナイダー?
やるからこそスナイダー
ゲーム3もマブスのシューティング次第かな。

プレーオフ①マブスvsジャズ” への4件のフィードバック

  1. ゲームの分析、ありがとうございます。

    ゴベア、ホワイトサイドの違い、マブスの頑張り、毎年変わらないジャズの弱点、痛いほど理解できました。

    ミッチェルとクラークソンが調子の良い試合は安心できない…まさにその通りでした。
    怪我をしてしまったイングルスは仕方ないですが、バランス保てる選手がいないんですね。
    ゲーム1になかったミッチェルとゴベアのコンビはチグハグ、不仲を露見していた様に見えました。
    ガードが好調だとチームプレイがなくなるつまらない試合展開(4Qのユタ名物発動)、シーズン中盤以降をそのままに…
    プレイオフになってから一人目のDが余計甘くなっている気がします。
    マブスが相手なら、エルナンゴメスとゲイを出した方が弱点突かれないのでは?何のために獲得したんだ?
    と言っているうちにシーズンが終わりそうな勢いです。

    マブスのショットの波もあるとは思いますが…

    もうジャズファンを辞めよう!という声もよく聞くので、残念で仕方ありません。
    スナイダーと選手には、この後、見返してもらいたいですね〜

    1. 実際にはゴベア個人の問題ではなく、チームとして1人目のディフェンスの頑張りと、全体のローテがないことが問題なんですよね。
      だからゴベアを下げれば上手くいくのかどうかもわかりません。ゾーンの方が良いことは間違いなかったです。

      不仲っていうか、「物足りない」って感じがします。戦力的にはドノバンとボグダノビッチが頑張っているだけで、足りないですね。コンリーか・・・

  2. お疲れ様です。
    自分はマブスファンなので飛び跳ねて喜びましたが、このブログ的にはいつものジャズって感じでしたね…
    クリーバーのオールスター後のスリーはひどかったですし、グリーンも舐められてる中入る気しませんし、正直、このままマブスのシューティング勝負でもジャズに分があると思います。

    マブス側がコンリーリスペクトでブルロックをつけるので、ボヤンのところがガード(ディンウィディ)のマークでイージーなんですよね。この試合はファールトラブルになりかけてましたし。
    個人的にはコンリーのマークはガードにしてほしいのですが、そうするとコンリー→ゴベアーの流れが出てくるんですかね。

    最後に、隙間時間に過去のプレーオフの記事を見るのが好きなので、差し付けなければ今年のプレーオフ用のタグを作っていただけるととても嬉しいです。
    (最近はバブルのセルツーラプターズを見返したりしてました。あれから2年経ってないですが、今のケンバの状況を見ると改めて激しいリーグだなと感じます)

    1. コンリーのラインを止めていたのは大きかったのですが、別にディンウィディでも変わらない気もします。
      いずれにしても、ここまで完璧に止めたのだから作戦勝ちですね。
      終盤のジャズがボグダノビッチ連発にしてきましたが、そうなると展開もしてこないので、マブスは手ごたえのある試合だったと思います。

      タグはいつも忘れる・・・

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