プレーイン③ペリカンズvsスパーズ

2022/4/13

YouTubeライブしてしまったので、雑感スタイルです。多くの事はぶっ飛ばして書いていきましょう。

◎マカラム

前半はイングラムとマレーが共に3ファールとなり、両チームの中心選手が困っていったわけですが、その中でマカラムが圧巻のパフォーマンスで引っ張りました。

〇前半のマカラム
27点
FG10/12
1アシスト

3P2/3と高確率で決めたことも大きいですが、FG成功率の高さが物語るように、インサイドへのドライブが効果的に決まったことでスパーズディフェンスを翻弄しました。緩急を付けられたドライブと高いフィニッシュスキルは止めがたいエースっぷりを発揮しています。

その一方でクリッパーズのタウンズ対策やキャブスのデュラント対策、逆にネッツのガーランド対策など、本来は「エースを止めろ」はプレーオフの中では重要なミッションのため、ここまでマカラムを自由にしたことはスパーズのミスでもあります。

試合開始直後はマレーかプリモが対応していたのですが、後半になるとプリモは2分しかプレータイムが与えられなかったように、あまりにもマカラムにやられるので対処方法を考える必要が出てきたわけです。ディフェンスプランの失敗。

またイングラムに連続でドライブを決められるとポポビッチはタイムアウトをコールしましたが、両エースに外から決められるのはまだしも、ドライブはさせたくないプランだったはずで、チーム戦略のミスが目立ちました。ただし、このイングラムのドライブについてはいずれもコリンズの時間であり、単純なリムプロテクト不足の一面もありました。なお、高さで負けた感じは、ここくらいです。

そんな事情もあって、さすがに2Q中盤ごろからマカラムを捉え始めたスパーズディフェンスだったのですが、その様子を見て残り3分でアルバラドが投入されました。

〇前半のアルバラド
10点
3P3/3

3P好調だった前半のアルバラドですが、マカラムへの警戒を強めてカバーに出たスパーズディフェンスに対して、オープンスペースを見つけて移動し、見事にパウアウトを貰っての3Pを決めると、さらにケルドンからスティールし、カウンターのトランジションでマカラムの3Pをアシストしました。

マカラムに苦労していたスパーズが捉え始めたところで、空いたスペースを利用し、さらにアシストしたアルバラドの有能性は、前日のデュラントとブルース・ブラウンの関係性に似ていました。

とはいえ、マカラムを捉え始めたのは事実だったスパーズは、後半になるとJリッチをメインマーカーに変更し、見事にマカラム対策に成功します。

〇後半のマカラム
5点
FG2/11
6アシスト

見ての通り、マカラムのシュートは決まらなくなりましたが、反面アシストが増えています。3Qはマカラムへの警戒が成功した代わりに、ハーブの3Pやドライブが目立ち、さらに広くなったインサイドでバランチューナスが暴れまわりました。

〇3Qのバランチューナス
12点
FG6/9

こちらも見事なスコアラーっぷりでしたが、いずれにしてもマカラムを中心にした駆け引きの中でスパーズディフェンスが困ったのでした。特にこの3Qはパートルがマカラムのカバーを意識していた面も大きいよね。

全てがマカラム中心に回ったわけですが、それは以前のペリカンズだと「イングラムやザイオンが止められたら負け」な雰囲気だったのに対して、違うスペースを効果的に活用していったことによる相乗効果だったので、チームとしてのまとまりが出てきていることも示していたのでした。

◎ベンチユニット

アルバラドやトレイ・マーフィーの奮闘があったペリカンズのベンチメンバーですが、Jリッチだけでなく、ロニー・ウォーカーのシュートが当たったことや、トレ・ジョーンズのディフェンスがあったことで、総合的にベンチはスパーズの方が優れていました。

スターター中心の時間帯はペリカンズが優位に立ち、ベンチが増えるとスパーズが反撃に出ていました。それはプレビューでも触れたのですが、スパーズの層の厚さでもあるので、一応狙い通りではあったと思います。

ところが、3Qに追い込まれたことで後半のスパーズはスターターが長く出る形となり、見事な追い上げを見せたものの、残り5分から失速しています。マレーは前半10分しか出ていなかったこともあり、後半にフル出場しました。やっぱりスタミナは大事だし、ムリを利かせた戦い方をすると普通に戦力の差で負けてしまうという空気でもありました。

このことはスパーズが来シーズンに向けて、どんなチーム作りをするのかという点でも大事かもしれません。層の厚さはあるけれどスターは足りない中で、何を優先してチームを作るのか。というか、スターの獲得は難しいから層の厚さをもっと生かすべきなんだけどさ。

◎マレーとケルドン

「デジョンテ・マレーは本物のオールスターなのか」は裏テーマでした。だってマカラムはオールスターじゃないからね。それを上回る存在感を一発勝負で魅せて欲しかったわけですが、残念ながら結果を示すことは出来なかった

〇マレー
16点
FG5/19
9リバウンド
5アシスト

大事な試合でリバウンド以外はシーズン平均を下回ってしまったマレー。それが全てではないけれど、1試合しかないのだから、これが全てなんだ。

この試合の問題はレイアップミスが多かったことでした。そうなってしまうとウエストブルックの方がいいじゃん。後半にはエースの自覚のようにアグレッシブにアタックしていきましたが、インサイドをことごとく外してしまったのが痛かったです。3Pは試合が決まってから1本決めただけってのも含めて、得点面の貢献が足りなかった。

チーム全体としての問題はマレーにそこまで多彩な仕事を求めている事。PGを2人並べるようになったけど、結局はマレーの仕事が多過ぎた。ガーランドのようにチームメイトにボールを預けて点を取りに行く形を増やすのか、それともゲームメイカーとしてチーム全体に供給していくのか。少なくともハーデンをやらせたら勝ち切れないよね。

今シーズンは非常にキレのあるドライブをしていただけに、フィニッシュ不足はちょっと痛かったです。しかも今日はケルドンもイージーなシュートミスが多く、ドライブ担当の2人が攻略できなかったことが大きく響きました。

〇ケルドン
15点
FG6/20
3P0/5

4Qに意地を見せ追い上げの原動力にはなったものの、マレーとケルドンの両者が止められてしまったことはスパーズにとって大きなマイナスでした。その分ヴァッセルが3Pを決めまくったので、なんとか対抗したってくらいで、中心的な役割を果たせなかったことで、スパーズは常に苦しい形のオフェンスになっていました。

さて、来年はどうしましょうか。こうやってみると、どうにもエースキャラが欲しくなるよね。ドラフト1巡目指名権を3つ持っていますが、トップ4くらいじゃないとエースキャラは難しいしな。オフにロニー・ウォーカーの再契約を考えることになりますが、素材型を獲得したもエースになるかどうかは不明。

欲しいのはバンケロだけど、第5希望くらいまで考慮しないとね。あと、プリモについては、どういう想定でいるんだろうか。ちゃんとPGさせるなら、来年からはマレーをSGに回したいね。

◎ハーブ・ジョーンズ

よくこういう試合では「今シーズンのうちのチームらしかった」みたいなことを言いますが、ペリカンズ視点で言えば今シーズンらしくというか「ハーブ・ジョーンズこそが今シーズン」って感じでした。

ザイオンが帰ってこない事でスターターの座を手に入れたハーブは、エースキラーとしてデビューしましたが、本日はケルドンを完封したと言っても良いほどの素晴らしいディフェンスを魅せました。いや、マレーを完封したのか。まぁどっちでもいいか。あっちもこっちもハーブが対応しており、プレータイムはマカラムに並ぶ40分となりました。どれだけハーブが大事なのか。

さらにハーブはカバー要員としてもヘルプに登場するため、厄介極まりなかったです。2ブロック、2スティールと仕事をやってのけ、またヘイズを起用した2ビッグでもワンビッグでもハーブがいることで問題なくディフェンスを構築できたと言えます。

そしてオフェンス面でもウイングとして3Pにドライブと必要なプレーをしてくれました。当初はディフェンス要員だったけど、今では立派なオフェンスの役割も持っています。アルバラドやグラハムが出てくるとPGがいるペリカンズですが、いない時はハーブにPGもやらせます。かなりアグレッシブなスターターを組んでいますが、その大部分はハーブの便利さで整理されている感じ。

https://basket-count.com/article/detail/105335

さて、ハーブの活躍は昨シーズンに台頭してきたマーシャルだけでなく、ルーキーのマーフィーにもディフェンスの重要性を植え付けた気がします。ガードばかりドラフトしているチームでしたが、戦力化されているのはハードワークするウイングばかり。そして本日もハーブ、マーシャル、マーフィーの3人が強さを与えてくれました。

主役はマカラムとイングラムだし、オフェンスはほぼこの2人に任せ、そこに準主役のバランチューナスが貢献する。わき役としてハードワークするウインガーが揃ったことで、チームバランスが良くなりました。

その集大成の試合として、ハーブの存在感はマカラム並みにデカかったです。次はポール・ジョージとのマッチアップになりますが、この成長株のディフェンダーの働きがペリカンズのプレーオフ進出へのキーになるでしょう。っていうか、そうしないと力負けしそうだからね。

◎アップセットなるか

ここまでのプレーイン4試合は全て上位チームが地力や経験の差をみせて勝ち切っています。展開はすべて異なるけれど、1試合なのにアップセットにならないってのは、プレーインが始まってから続く流れの気がします。唯一かったのは昨シーズンのグリズリーズですが、それは明らかにステップアップしていたわけで、今シーズンへと続いている。

ペリカンズとクリッパーズには勝率の差があり、しかもポール・ジョージが帰ってきました。総合力ではクリッパーズが上だけど、ペリカンズにはマカラム、イングラム、そしてハーブの強みがあります。ちなみにバランチューナスの3Pがクリッパーズ戦のみ14/20だったことがライブ中にわかりました。

1試合なんだから何でも起こりえるけど、ここまでは起こっていないという不思議さ。果たしてペリカンズはアップセットを起こせるのか。

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