さようならキングス’22

何が正解だったのか?

今シーズンのキングスについて語ることは特にありません。PGとセンターばかりを集めた試みはあっさりと崩壊し、そこから大きくチームを入れ替えました。終わってみればバランスの良いロスターになったというのは皮肉なのか何なのか。そんなわけで今回は「キングスはどこで間違えたのか」を考えたいわけですが、その答えは「ルーク・ウォルトン」とハッキリしているので、これまた語るほどの事は何もないんだな。

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◎16-17シーズン

16-17シーズンのキングスはカズンズを中心に、ルディ・ゲイやダレン・コリソン、テンプルにアフラロ、マット・バーンズらで構成されていました。アフラロって懐かしいな。

今とは随分と違う構成になっていて、ハードワークタイプを好んで集めていますね。それはポイントセンターとは相性が良くないので勝つことは出来ず、オールスター開催中にカズンズがトレードで放出されます。

https://basket-count.com/article/detail/1853

手に入れたのはバディ・ヒールドと17年の1巡目指名権。実質はこれだけなので、のちにディバッツは「もっと良い話があった」と言い出し、わけわからないGMであることを自ら悠然と語りました。

巡り巡って、再びポイントセンターのサボニスを手に入れるのは面白い話ですが、このシーズンでキングスは再建に旅立つことにしました。

ちなみにこのシーズンのグリズリーズはコンリー&ガソル体勢で勝率5割を超えた最後のシーズンとなります。

◎17-18シーズン

 5位 ディアーロン・フォックス
15位 ジャスティン・ジャクソン
20位 ハリー・ジャイルズ

迎えたドラフトでチーム再建の要にフォックスを手に入れます。SFとPFも手に入れており、非常にバランスの良い指名となりました。なおジャイルズはシーズン全休しています。

10位指名権を持っていたので、ここでフォックスとチームメイトのアデバヨを指名していれば世界は大きく変わったかもしれませんが、そんなことを言い出したら翌年のドンチッチも含めてキリがないし、これはこれで悪い判断じゃなかったから無視しましょう。

昔にドラフトした権利を持っていたボグダン・ボグダノビッチとも契約し、新生キングスがスタートすると、コーリーステインも含めて全員が30分以下のプレータイムに押さえられ、チーム全体で戦う事となりました。主役にはジョージ・ヒルとザック・ランドルフというベテランを置いており、中途半端な再建ではありましたが、ケガしないのも大事だしさ。

ただし、ジョージ・ヒルはメンター役として、わざわざ契約しておきながらトレードで放出しています。「商売上手」ではありましたが、何のために獲得したのか不明でもありました。

デビッド・イェーガーの下でグリズリーズのグリッド・グラインドなインサイドファイトを繰り返し、フォックスの良さは大して出てこないシーズンとなったので、11.6点、4.4アシストと特に目立たずに終わります。

ちなみにこのシーズンのグリズリーズは22勝60敗と崩壊しました。

◎18-19シーズン

 2位 バグリー

キングスにとって最大の輝きとなったシーズンが始まります。ボグダノビッチのケガもあって、フォックス、ヒールド、コーリーステイン、シャンパート、ビエリッツァの5人ユニットは素晴らしい相性を発揮し、大きな期待を抱かせました。

動き回るシューターのヒールドが3P42.7%で20点オーバーとスコアリングリーダーになれば、7.3アシストのフォックスが試合を作りました。フォックスとコーリーステインのツーメンゲームを核とし、ヒールドとビエリッツァがポジションチェンジしながらシュートで射貫き、シャンパートはディフェンスとコーナー3Pで貢献しています。非常にバランスが良かった。

ベンチから出てくるバグリーは25分のプレータイムで14.9点、FG50.4%、7.6リバウンドと大いに活躍しています。ここ大事だよ。バグリーはルーキーシーズンに活躍していたんだ。

スターターユニットだけでなく、ベンチのバグリー&ボグダノビッチで平均29点稼いでいるのもキングスの強みでした。若手を中心にベテランのロールプレイヤーを加えて勝ち進むキングスは未来が明るく照らされていました。

オールスターまで30勝27敗と5割を超えていたキングスですが、この年のウエストは7位と8位のスパーズ&クリッパーズが48勝34敗なのでハイレベルな争いをしていました。プレーオフの可能性を感じていたものの、このままでは追いつけないので、キングスはハリソン・バーンズをトレードでゲットします。

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そしてオールスター以降は9勝16敗と負け越し、8位とは9勝差の9位でシーズンを終えます。今から考えれば良い結果だったのですが、スタートが良かっただけに悔しいシーズンでした。それと同時に

焦りすぎのキングス

という構図がハッキリとみえてしまいました。ジョージ・ヒルの件といい、なんか少しでも上手くいかないと動き出してしまうので、批判の目はフロントに向いていました。で、このオフにレイカーズをクビになったルーク・ウォルトンを雇います。勝ちたいから変更するのに、自分達よりも順位が下のHC呼ぶって強気だよね。

ちなみにこのシーズンのグリズリーズは33勝49敗と振るわず、ガソル&コンリーとさよならします。そしてオフにモラントを指名することに。33勝でモラントってラッキーだよね。1位指名権も33勝のペリカンズだったのでタンクしなくて良かった。

◎19-20シーズン

キングスは指名権を持っていませんでした。Artūras Gudaitis and Luka Mitrovićを手に入れるためにシクサーズに15年に出していたらしいですが誰なの?

コロナで短縮されたシーズンは31勝41敗と前年よりも成績が落ちて終わりました。元ウォリアーズのウォルトンが、元ウォリアーズのバーンズを好きだったのか、チームで最も長いプレータイムを与え、チーム4位の得点で終わりました。

フォックスは3年目にして平均20点を超え、6.8アシストと共にエリートガードとして台頭してきたし、ヒールドはハーデンとリラードに次ぐ3P成功数を誇り、ボグダノビッチも15.1点と結果を残しています。

「サラリーが安い」と出ていったコーリー・ステインは他のチームではもっと安いサラリーとなり、キングスにはホルムズがやってきました。キングスでの貢献度は同じくらいの両センターって感じですが、成功したのは圧倒的にホルムズだね。

引き続き3P41.9%のビエリッツァもいましたが、他の選手は散々でした。ビックリするほどに散々でした。バグリーに至っては14試合しか出場しておらず、とにかくベンチメンバーがついてこないのでした。それもアリーザやコーリー・ジョセフを補強しているのに、上手くいかないというのだからHCの責任を問いたくなるものです。

失敗しまくるロールプレイヤー

シャンパートとビエリッツァが成功して誤魔化されるのですが、とにかくわき役に失敗しています。ちなみにトレードされたアリーザはプレーが改善しており、使い方の問題であることを示していましたが、キングスの選手はとにかく噛み合わない。でも、これってHC問題を除くと、何が原因なんだろうね

・フォックスと合わない
・バーンズに主役はムリ
・主役が多過ぎる

前年からの経緯を考えるとシャンパートのところにアリーザならば合致する気はします。フォックス自身はプレーが変化している時期だから「合わない」ってのもある気がするけど、それよりもバーンズが加わってからの問題って気もするよね。バーンズが悪いってのは一理ある。

ただ、バーンズ個人ではなくて、ひょっとするとキングスは「主役が多過ぎる」のかもしれません。ベンチからのボグダノビッチは効いているけど、スターターにフォックス、バーンズ、ヒールドがいるとロールプレイヤーが足りなくなる感じ。もっとヒールドにスクリーナーが必要だった。いや、ウォリアーズはそれで成立しているんだから、イグダラ先生が足りないのか・・・

https://basket-count.com/article/detail/35170

このシーズンのキングスで最も長く組んだユニットでも、僅かに263分でした。しかも、そこにフォックスは混じっておらず、スターター+コーリー・ジョセフでした。つまりはフォックスはセカンドユニットに混ぜる機会が増えたという事で、そこでベンチメンバーと機能していないという見方も出来ます。

フォックスの成長とともに連携が軽視されていった

結局はHC問題に戻るものの、鮮やかなボールムーブを見せていた前年のキングスは消え、明らかにハンドラー志向の強いチームになっていきました。

ちなみこのシーズンのグリズリーズは・・・もういいか。サンズはバブルで8連勝するもプレーオフには進めておらず、クリス・ポールとクラウダーを獲得に行きます。なんであっちは主役とわき役が噛み合ってるんだ。

◎20-21シーズン

12位 ハリバートン

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才能よりも即戦力でありインテリジェンスだと気が付いたのか、ドラフト方針が一変したシーズンですが、ドラフト以上に大きかったのがボグダノビッチのトレードを巡る一連の不手際です。何が起きていたのか、全く分かりませんが、ヒールド問題といいメチャクチャなチームになっていました。

https://basket-count.com/article/detail/64204

https://basket-count.com/article/detail/53847

一筋の光明となったハリバートンは明るく僕らを照らしてくれましたが、闇が深すぎて解決はしませんでした。PGながらウイング仕事も出来るハリバートンの便利さは際立っており、またコンボガード的に相棒が加わったことで、フォックスは得点仕事へとシフトしていったので、平均25.2点、7.2アシストと暴れまわりました。

その結果、チームは31勝41敗と前年と同じ結果に終わりました。どういうこっちゃ。

シーズン途中のトレードもあってデロン・ライトやテレンス・デイビスを加えると、3ガードシステムに移行していきました。なんでフォックスとハリバートンという2大PG体制が作れたのに、ハンドラーを増やしていくのか謎ですが、それは翌ドラフトでさらに強化されるわけです。

また、このシーズンは
バーンズ  36.2分
フォックス 35.1分
ヒールド  34.3分
と主力のプレータイムが伸びています。ますますベンチプレイヤーとの連携は薄まったのも、ハンドラー補強に繋がっています。ボグダノビッチはいないのでワンランク下がったベンチメンバーだし、バグリーは38試合を欠場しています。ただ14点、7.4リバウンドだからスタッツはそれなり。

さて、ここまで観てきた中で実は大事な要素があります。このオフにサマーリーグで優勝するのですが、とにかくキングスは

2順目やドラフト外の若手が出てこない
中心選手以外はシーズンごとに交換される

後者は必ずしも正しくはないのですが、そもそもは前者に問題があるわけです。何年か残れたのってフランク・メイソンくらいじゃないかな。総じて育成も下手だし、フィットする戦力を連れてこれていないわけだね。ある意味でバグリーもその罠に引っかかったのかもしれません。オールラウンダーだけど、ハンドラー能力は低いもん。

キングス最大の問題はここにある気がします。だからこそ過去から振り返ってみました。サプライズの成長株がいない。チーム加入当初の評価がそのまま続いている感じです。評価低いといなくなるしさ。

◎21-22シーズン

9位 ダビオン・ミッチェル

チームの弱点であるディフェンス力に強みを持ち、チームの強みであるPGに更に即戦力ダビオン・ミッチェルを加えた今シーズンですが、サマーリーグの優勝から、フォックスの肉体改造、そしてウエストブルックの乱によりレイカーズにいけなかったヒールドなど、開幕前から色々ありました。

https://basket-count.com/article/detail/86518

https://basket-count.com/article/detail/88102

https://basket-count.com/article/detail/88119

そして6勝11敗となったところで、HCルーク・ウォルトンを切りました。うん、っていうかさ、6勝11敗ってHCを切る成績じゃないよね。そんなに不満が溜まっていたならオフに解消しておくべきなのに、なんでわざわざ待ったんだ。

https://basket-count.com/article/detail/94975

以降は23勝40敗なので勝率的には変わっていません。図らずもルーク・ウォルトンが全ての責任ではなかったことを示すような形になってしまいました。実際、サボニス獲得しても上向いたとは言えないもんね。

フォックスは23.1点こそ奪えど、5.6アシストとスタッツを下げており、逆にハリバートンは7.4アシストになりました。PGの役割を交代し、フォックスは得点を仕事として与えられることになったわけですが、そもそもフォックスはEFG50~52%くらいなので、そんなに確率の良い選手ではありません。パス能力も含めての怖さなので、PGやっている方が良かったです。

サボニスが加入するとPGに軸足が移っており、シーズン後半になってアシストを増やしていきましたが、何故か得点も並行して増えていきました。これは単にアテンプトが増えただけなのですが、やっぱり主役は増やしすぎない方がいい気がしてくるね。

ディフェンスは相変わらず酷いままですが、一応ダビオンのプレー中は改善しています。その点では弱点を補うことに成功したようにみえるのですが、その後のサボニスなので特に意味はなかったです。ホルムズに迷いが生まれてしまったのか、冴えないプレーから個人的問題で離脱しており、まぁ今シーズンもいろいろあったなとね。

◎来シーズンに向けて

思えば勝ちに行きたかった18-19シーズンから「今シーズンは見切って、若手に経験を積まそう」の時間がなかったキングス。かといって勝つための経験値も溜めてこれなかったね。ハンドラーを増やしすぎたと思ったらセンターも増やしすぎ、そうしたらデッドラインでウイングだらけにしているのもファンキーです。

フォックス、ヒールド、バーンズを中心にしてきたので「一貫性がない」というチームではありません。ただし「ガマンは出来ない」チームではありました。しっかりと若手を育てることも、チーム力育成のために連携強化を重視することも、何よりもディフェンスが。

サボニスを加えたので出直しになるし、フォックスとのパス交換は多いので、そこはそれなりに期待しましょう。ただし、今回の変更はセンターの役割の大変革なので、チーム事情は大きく揺れ動きます。フォックスがシュート力に課題のある選手なので、サボニスとのコンビプレーは良くても、チーム全体としてはアウトサイドから決める選手が必要になります。

かといって、ディフェンスを考えたらサボニスでは不安なので、強いウイングを揃えるか、ストレッチタイプのディフェンダーを連れてきたい。ホルムグレンが欲しいけど、欲は言わずにバンバでも連れてこれないかね。

来シーズンへ向けて妄想はいっぱいあるけど、何よりもまずはHCを連れてこないといけません。ディフェンス中心にしながら、若手を育てられるHCがいいですね。タイラー・ジェンキンスが欲しいので、どこかのACから探して来るか。ダン・バーグとかヤル気ないのかな?

今回は本当はフォックス中心に語ろうと思っていたのですが、ちょいと近年のキングスを振り返って終わりました。今シーズンだけで語るには厳しいというか、これといって変化のないシーズンでした。もちろん、最終的には劇的な変化をしたのですが、フォックス&サボニスでは13試合で5勝8敗と動き出したばかりです。何もわからん。

もう過去は振り返りたくないので、振り返るのは今回で終わりにして欲しいのでした。

さようならキングス’22” への8件のフィードバック

  1. ルークになってから選手が加入時点の評価そのままっていうのしっくりきますね。
    HCを続けるほどになぜGSWでは上手くいっていたのか不思議度が増してます。
    イェーガー末期は我慢もして柔軟性も出てきてチームが上向いてきて楽しみだっただけに勿体なく感じちゃいますね。

    1. 上手くいってたというか、どんな仕事してたんでしょうね?
      何が得意なのか、よくわかんない。

  2. みっちゃんがこのところスターターとして大活躍していますので、来シーズンはまたフォックスとの相性問題とになりそうなのがキングスクオリティ。フォックスをデローザン、みっちゃんをカルーソ、兄デー&チェンゾをロンゾ、ドマスをブーチェ、ハリバン先生をラビーンに例えてなんとか組めないものかと思ったりします。はい、だいたいスケールダウンです。実際はストレッチ出来ないドマスがフォックスの相棒の正解とは思えないんですが、どうバランスを取るのか。そもそも策のあるだろうHCを連れてこれるのか?そこも問題ですしね。ビッグマン再生が上手く、ウイングに仕事させられるヴォーゲル狙いでお願いします。

    1. まずはHCですね。
      誰なんだろ。
      ヴォーゲルでディフェンスからってのは正しくも、それがサボニスで実現するのか、そこそこ不安ですな。
      意外とエンドライン担当のセンターとは上手くやれるかもしれません。

  3. キングスこそラス取りましょう。フォックスとハリソンバーンズでサラリーも合いますし。動けるウイングが増えたし、サボニスとの相性はシュートという面で怖いですが、なんとかなるでしょう。ホルムズ君もラスとなら元気になるのでは?いいコンビニなれると思いますが。まずはプレイオフだ!!!(HCはスコットブルックスで!!)

    1. あー、面白いかも。カルフォルニアですし。

      課題はアウトサイドですね、、フォックスと並べるとなかなか大変そう。

  4. ある意味、愛に溢れた記事ですね。できない後輩を見守る先輩みたいな。

    ヴォーゲルこないかな。

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