シクサーズvsバックス

2022/3/29

プレーオフ前哨戦かな。イーストはタイプの違う上位チームになっているので、相性の差が出てきそうですが、この両チームは比較的似ているタイプです。ディフェンスをベースとし、しかもインサイドが要。ファイトスタイルで戦うことになりそうですが、違いがあるのはオフェンスのハーデンとディフェンスのホリデーというガードの部分かな。

◎ディフェンスプラン

試合はディフェンスから始まります。ブルックがエンビード相手に素晴らしいディフェンスをみせ自由を奪い、そこにヤニスのカバーも来るので思うようにいかないシクサーズ。一方でホリデーのフェイダウェイをブロックするサイブル。お互いのキーマンが仕事をするので、そこそこ点は入っているけどリズムが生まれない。

特にブルックはキーマンになっており、オフェンスでも3Pでエンビードを引き出す役割があります。初めの3Pを決めて成功するけど、フローターをミスしてしまったよ。それでもハーデンのツーメンゲームに対しても微妙な駆け引きで対処できており、これがバックスがリードするきっかけになりました。

そしてポーティスと交代するとエンビードがボールを持ったところで、ホリデーが後ろからスティールし、速攻に持っていくと最後はヤニスのアリウープ。ディフェンスから流れを掴んだバックスです。

シクサーズはエンビードが止められている中で、大人しいハーデンが周囲にパスを供給していきます。んーー、でも、初めにピック&ロールからブルックやポーティスを引き出しておいて欲しかった気もするね。エンビードが真正面から仕掛けては苦しくなっていくんだもん。

タイムアウトのシクサーズはエンビードのポストアップに切り替えます。これであっさりとファールしちゃったポーティス。次はホリデーがヘルプに行ったのでドフリーになったハーデンの3Pですがエアボール。いずれにしても徹底してエンビードのポストアップを使い、そこから外に展開していくことにしました。ポーティスが守れなかったというか、ホリデーが過剰反応した感じで、オープンが生まれダニー・グリーンの3Pに繋がっていきます。

しかし、バックスもポーティスの3Pにヤニスのロング2Pでアウトサイドから反撃。バックスの二桁リードで終わりそうだった1Qですが、残り1分半でエンビードがベンチに下がると、ジョーダンではなくミルサップが出てきたのでスモールラインナップに変更したシクサーズが、ニヤングの3Pにハーデンのドライブファールドロー。そしてハーデンのステップバック3P&ワンで見事に反撃して、27-24で終わります。

ディフェンスプランがエンビード止めだったであろうところに、いなくなると守れなくなるってのはアルアル。そして大人しかったハーデンが働いたらアッサリって感じでもありましたとさ。

◎ラッシュを待てた

2Qもスモールで早いボールムーブをみせますが全部ローテで追い付くバックス。ハーデンもエンビードもトバイアスもベンチに置いてしまったら、どうすんじゃい。懐かしのマキシーアタックが復活しますが決まらん。なので1分でトバイアスが出てきたけどさ。

ところが外から打ってしまうヤニス。モンスターだけど、こういうところが信用しきれないんだよね。ゴール下無双して欲しい時間帯だったのに、トバイアスみたいなプレーしちゃって突き放せず。そしてエンビードが戻ってきたらブルックと交代させます。ファールトラブルを避けたそうなブーデン。

またもエンビードに侵入を許さないブルックのディフェンスですが、逆サイドへのパスアウトからダニーの3Pがヒット。せっかく止めているブルックを台無しにする逆サイドのグレイソン・アレン。というか、ダニーが出て来てから頻繁に空けてしまうので、ダニーのポジショニングの上手さです。マークがついていると思ったら、インサイドにいってスクリーナーになり、他の選手を空けていくもんね。ダニーのパスからマキシーの3Pで逆転。

一方でシクサーズはインサイドの強みを生かして守り切ります。ヤニスの時間にインサイド押しといて、エンビード登場からアウトサイドに切り替えたかったけど、ずっと外になってしまったよ。間接的にヤニスが悪い。ヤニスがいないとオフェンスにならないバックスが悪い。

さて、通常であればミドルトンやホリデーでオフェンスになるのですが、サイブルやダニーのディフェンス力もあって攻略しきれていません。ミドルトンの好不調に左右されがちのバックスなので、シクサーズにとってはここのディフェンスがキーかな。っていうか、ダニー・グリーンを長く使うべきに見えます。

6点ビハインドになったところでヤニスが戻ってくると、エンビードを引き出したホリデーのドライブが決まるんだから面白い。さらにミドルジャンパーも決めるホリデー。ヤニスの存在感か、ダニーをベンチに置いたからか。

ミドルトンを休ませる時間のバックスはポーティスもいれてスリービッグです。昨シーズンのPJタッカー、ヤニス、ブルック(ポーティス)を思い出すね。プレーオフはビッグラインナップ勝負なのかな。でもハーデンにファールドローされて3ファールのポーティスはベンチへ。失敗。

昨シーズンにビッグマンカウンターとオフェンスリバウンドでリーグを制したバックスですが、エンビード相手に3ビッグはどれだけの価値があるのか。もうちょっと見たかったですが、そもそもタッカーじゃないのでハーデン他のハンドラーにぶちのめされて終わりそうでした。

ちなみにこの後ブルック→イバカにしたら、エンビードにボコられました。ブルックの完璧なディフェンスの後でイバカはチョロかったようなエンビード。そしてインサイドに固めたらハーデンの3Pで二桁リードになります。決まらなかったミドルも3Pもイバカが相手なら決まるぜ。

〇前半のエンビード
13点
FG4/11

試合開始直後にミドルを1本決めた以外は、残り3分からイバカ相手に決めました。完璧なディフェンスプランだったのに、イバカが守れな過ぎた。こりゃプレーオフでの出番はないかもね。

前半は61-51でシクサーズがリードします。オフェンスは終盤のラッシュだったので、それよりもディフェンスで耐え抜いて、チャンスを待てた感じだね。なかなかインサイドに侵入させなかったんだけど、その理由ってバックスの意味わかんなさにもあるので、にゃんともいえない。ダニーとサイブルは効きまくっていた。

◎戦略で攻めよう

イバカをボコって波に乗ったかエンビードはブルック相手にも果敢に仕掛けて連続得点。ところがブルックもゴール下&ワンに3P連打で逆に追い上げます。エンビードがヤニスによったところでゴール下で合わせてダンク。ノリノリのブルック。

しかし、決まらなかったエンビードアタックが効果を発揮したので、チームとして改善したのはシクサーズ。インサイドが決まるから、外からも打ちやすくなり、バランスの良い形になっていきます。

また、バックスはホリデーの速攻レイアップ、ブルックのゴール下リバース、ヤニスのプットバックとゴール下を3連続でミス。エンビードのプレッシャーに負けたのかなんなのか。また二桁点差に戻されてしまいます。タイムアウトのバックス。

このタイムアウトの後でハーデンがエンビードにスクリーンに行ってブルックを引き離させてのミドル。さらに自分でドライブも決めて14点差まで広げます。その後もピック&ロールでブルックを引き離しに行ってのエンビード勝負。戦略し始めたハーデン。

マシューズの3Pもあって一旦は追い上げるバックスですが、どうもハーデンに駆け引きされると迷わされてしまう。オフェンスリバウンドもとれないので、単発の3P頼みが続くぜ。圧倒的に優位なシクサーズはニヤングがオープンの3Pをミス。ハーデンのステップバックもミス。もうひとつ抜け出したい時間帯だったけど失敗してしまったよ。決めるのはダニー・グリーンね。

残り2分。前半同様にスモールにしたシクサーズに対して、ヤニスが酷すぎる強引なゴール下押し込み。それ決めちゃうのかよっていう形は、前半に足りなかったやつ。そしてボール運びからそのままレイアップ。見事な高さ押しでした。

ってことでエンビードがいなくなったら一気にペイント内を制したバックス。シクサーズ的には仕方がないんだけど、わかりやすくやられてしまいましたが、オフェンスはハーデンのファールドローで対抗しているので、89-79と10点リードで3Qが終わ・・・最後にヤニスがコーストtoコーストのダンクで89-81でした。

ハーデンが戦略使えば攻略できるし、エンビードがいなくなればヤニス無双だし。わかりやすい展開でしたが、それぞれ前半にダメだった部分を修正した3Qでもありました。

◎接戦

引き続き無双するヤニス。守ってもマキシーをブロックするし、耐えられなくて飛び掛かってしまったダニーからフレグラント1を食らい、スローインのパスをダイレクトにもらってゴール下押し込みで、開始1分半で4点差にします。

ところでブーデンは「エンビードにはブルックとポーティスをぶつける」ローテを組んできます。エンビードが交代に呼ばれたのを見るとブルックを呼び出しているもんね。それはエンビードが休む時間にヤニスを使いたいってことでもあります。狙いは無双させることだよね。
シクサーズはジョーダンがいるとはいえ、この結果を見て直接対決時のローテを考えなければいけません。ヤニスにエンビードを合わせておくのが得策なのかどうか。多分それが正しいんだけど、ガス欠になる不安もあるよね。

そんなわけでエンビードが出てくるタイミングでヤニス→ブルック。ミドルトンの3Pが決まると、続けてブルックも3Pとマジで狙い通り過ぎる展開で逆転します。前半の逆を行っているぜ。エンビード出て来てから外・外・外で攻略中。

シクサーズはトバイアスがいきます。エンビードが外に出ていて、そこにブルックをおびき出してのトバイアスアタックなので効果的なアタックだ。前半は守りあっていたのに、攻めあうようになってる後半です。

残り6分半。エンビードがポストからのムーブで同点に。昨シーズンまでは出来なかったパワーとステップが融合した見事な押し込みでした。ところがミドルトンの3Pにトバイアスがファールしてしまい3ショットで再びバックスがリードを握ります。

ハーデンがツーメンゲームからブルックを引き出し、1on1の形になると、マシューズが突然のダブルチーム。上手いタイミングに襲い掛かったのですが、そこは冷静にパスを捌くハーデン。シクサーズはボールムーブするのですが、バックスの早いローテが間に合うのでオープンショットになりません。これ、似たようなことは前からできたはずだけど、ブルックが戻ってきたらローテが安定したよね。

それでもハーデンは再びブルックを引き出すと、ダブルチームの時間を与えずにステップバック3P。対応しあう展開はシクサーズらしくないし、ベン・シモンズじゃ難しかっただろうねぇ。さらにボールムーブから最後はニヤングの3Pで残り3分2点差に。ディフェンスがエンビードを見ているから、散らしているね。

バックスはヤニスのミドルなどで取り返しますが、またインサイドにハーデンとエンビードが侵入したところでキックアウトからニヤングの3P。なんでダニーじゃないのか不思議なんだけど、決めているからいいか。エンビードのシュートミスは飛び込みリバウンドのトバイアスが押し込んで残り1分半1点差。

しかし、あっさりと3Pのホリデー。うーん、ビッグラインナップの失敗にも思えるし、ニヤングとトバイアスが決めているわけだし。それでもエンビードが3Pで返し、さらにトバイアスがスティール。残り30秒1点ビハインドでタイムアウトのシクサーズ。

エンビードがスピンからのミドル狙いますが、しっかりとついていたブルックでシュートミス。ボールを運ぶヤニスにファールゲーム。フリースローを1本落とし、残り13秒2点差になります。選択肢は多いね。

エンビードとのツーメンゲームでブルックを引き出したハーデンがステップバック3Pを打ちますが、これが外れるとエンビードが見事に飛び込んでのリバウンド。そのままシュートを打ちますが、今度は逆サイドから飛んできたヤニスのスーパーブロック。

ラストタッチはヤニスだったんだけど、レフリーがテンディングのミスジャッジをしたので、センターサークルのジャンプボールからやり直し。このジャンプボールをエンビード相手に制したブルックが弾き出し、そこでタイムオーバーとなったのでした。

◎意外だったね

前半は、まぁ、なんか、うん。バックスのディフェンスプランというかブルックの対応は素晴らしかったですが、それ以外は力押しに見えた両チームですが、後半に劇的に戦略的になっていました。これは予想外過ぎて面白かったです。

ブーデンの方はいくつかのテストを混ぜており、特にイバカの失敗は痛かったね。ちなみに後半にプレータイムのなかったイバカに隠れて、ポーティスも5分未満なのでブーデンの方が通用するものを探して勝ちに行った試合でした。

一方でリバースは通常ローテなのですが、その中で気になるのは最後のニヤング。サイブルもダニーも下げたのがディフェンスミスを生み出したと思うのでした。特にホリデーのトランジション3Pが勝負を分けた気がする。

本番ではないので見直してくれればいいわけですが、なんだかやっぱり一番の不安要素はHCな気がしてしまう。ローテーション固定化というか、スターターのサイブルを起用するのを忘れてしまう感じがクリッパーズ時代を思い出してしまうね。

そして勝負を分けるのはヤニスをどうするかってことになりそうです。サイブルで平面を潰すか、エンビードで高さを潰すか、ゾーンで迷わせるか。そこそこ手段はあるんだけど、ヤニスは意味わかんないシュート決め始める時もあるからね。非常識の中に常識が混じったけど、それを超える非常識をしてくるので、ヤニス中心に回りそうなのでした。

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