修正テープのようなマシューズ

開幕3試合目から15連敗し、どうにもならないロケッツ。ジェイレン・グリーンが活躍していないとかではなく、とにかくチームとしての内容が悪い。集めた若手たちのプレータイムは短く、ベテランを頼っては酷いチームオフェンスをする。サイラスのクビはいつ飛んでもおかしくない状態でした。

ところが、そこから7連勝。一体何が起こったのか、意味不明です。実際に試合を見てもエリック・ゴードンに頼って何とかしているくらいで、チームとして改善しているようには見えませんでした。

ただ1つ、ギャリソン・マシューズがいることを除けばね。

◎1年前のウィザーズ

マシューズといえば負けまくっていたウィザーズに彗星のように現れた救世主・・・ではなく2WAYプレイヤーでした。スターターの座をもらったことで、チームは機能し始めたのです。その理由は足りなかったディフェンダー役としてハッスルし、ヘルプでも顔を出して、酷すぎたチームディフェンスの改善に役立ったことが1つ。

もう1つは速攻のコース取りがよく、ノールールでオートマティズムが皆無だったウィザーズに、再現性あるプレーをもたらすとともに、ボールから離れるポジショニングでスペースを構築するとともに、3P担当として機能したからです。

勝ち始めたウィザーズと役割分担

ところが、さすがは迷将スコット・ブルックス。全く目立たないキーマンであったマシューズの価値を見出したはずが、価値を知らないかのようにベンチに置くようになり、ウィザーズは再び迷走し始めましたとさ。ウケるけど、ワラエナイ話だったよね。

マシューズ本人がメチャクチャ活躍しているならともかく、本人はそこそこの活躍しかせず、だけどチーム全体は改善する。マシューズの価値は高いのか、低いのかわからないし、実際問題として個人の能力そのものは高くない。

しかし、ウィザーズに続き、ロケッツまでマシューズで改善してしまうと無視できないよね。チームの悪い部分を、しっかりと書き直す能力はなく、修正テープ程度の貢献度に見えるけど、間違いなくチームは修正されているんだ。

◎グリーンとマシューズ

連勝が始まったブルズ戦は、ジェイレン・グリーンが見事なプレーでチームオフェンスをけん引していました。1Qだけで11点1アシスト2リバウンドを記録していたのですが、ここでケガをして離脱してしまいます。変わってプレータイムを得たのがマシューズでした。

〇ブルズ戦のマシューズ
27分35秒
12点
3P2/4
5リバウンド

5ファール

一番大事なのは3Pですが、次に大切なのはファール数だったかもしれません。気持ち。単なる気持ち。生き残ろうとアグレッシブなマシューズは、連敗中のチームに新たなエナジーをもたらしてくれ・・・たのかもね。観てないし、知らんわ。

以降のマシューズはプレータイムが27分を下回ることはなく、ネッツ戦とバックス戦に至っては39分とデュラント並みのプレータイムになっています。なんでマシューズがスーパースター並みに酷使されているんだよ。

ある意味でサイラスはマシューズの価値に気がつくタイプのHCであり、マシューズ個人に頼らないとチーム戦術を構築できないHCってことでもあります。スーパースターではないけど、スーパーな頼られっぷり。触れば切れそうな修正テープレベルなんだけど、他の文房具を持っていないサイラスなのかな。

いずれにしても、1つのキーポイントはジェイレン・グリーンのケガから、代役がマシューズになっている事です。当然ながら「マシューズはグリーンよりも価値のある選手」ってことはなく、ただし、戦術的にはマシューズが必要だったという事。それはサイラスの弱点でしかない気がしているのですが、まぁ、まとめるとね

スーパースター(候補)からザ・ロールプレイヤーになったことが成功の秘訣

危険な匂いしかしませんが、ロケッツは明確に改善していくことになりました。だからこそ未だに「何が良いのかわからない」っていう空気であり、マシューズが作り出した流れなのです。

◎3P

マシューズ個人を見た時に、明確に貢献してくれているのが3Pです。クイックリリースかつ「オレには3Pしかないんだ」くらいの危機感を持って打ち切っています。他の選手がいろんな選択を持とうとして迷っている中で、3Pを打ち切ることしか考えていないようなマシューズ。

〇3P
アテンプト 7.4
成功率  36.8%

確率はそこそこですが、アテンプトが大事で、2Pは1.4本しかなく、とにもかくにも3Pを狙っています。マシューズ本人はストレッチ担当としての意識が高いです。

「ストレッチ担当」であって「シューター」ではありません。NBAでシューターをやれるほどのシュート力はないぜ。ケナードみたいにスクリーンを使っての3Pとか、オフボールで動きまくってチャンスを作っているって感じではなく、あくまでもスポットシューターなんだ。

そう考えるとアテンプト7.4本は異常に多い数字に見えてきます。リーグ全体で近しいアテンプトの選手を探してみましょう。

ラビーン 7.5
ハーダウェイ 7.4
ミルズ
ラメロ
ハーデン  7.3
ロンゾ

ラビーンより0.1本少なく、ハーデンより0.1本多くなります。エグイ数字です。どうなっているんだってくらい打ちまくっています。そう考えるとロケッツがチームとして3Pを劇的に増やした気がしてきます。

マシューズのオンコートとオフコートにおけるロケッツの3Pアテンプトを比較してみましょう。わかりやすくするために、両方とも48分換算にします。

〇ロケッツの3Pアテンプト
マシューズが48分コートにいたら 42.3本
マシューズがずっとベンチにいたら 35.0本

〇ロケッツの3P成功率
マシューズが48分コートにいたら 36.8%
マシューズがずっとベンチにいたら 32.4%

明らかに3Pアテンプトを増やしてくれたマシューズですが、もう1つの特徴が確率も向上させている事です。ちょうどマシューズの平均くらいの確率になっていますね。グリーンとの確率差が響いている面もあれば、他にもブルックスなんて選手が出てきたことも関係しています。

いずれにしても主役のグリーンが打つ3Pから、ロールプレイヤーのマシューズが打つ3Pなのに、本数と確率が両方とも向上しているってのがポイントです。本数が増えまくったのは脅威であり、確率向上は当然といえば当然だけど、勝利において最重要項目でした。

◎コーナー担当とテイト

〇ロケッツのコーナー3P
マシューズ 2.4本
テイト   1.1本
グリーン  1.1本
ハウス   0.9本

しかし、本当に大事なのはこっちです。マシューズの存在はロケッツに不足していた「コーナーシューター」を埋めてくれました。そもそも、これをグリーンにやらせていることがサイラスの間違いでしたが、地味にテイトが少ないことも関係しています。

サイラスのお気に入りのテイトですが、お気に入り過ぎて気持ち悪いほどに溺愛しています。行き過ぎた愛情を感じずにはいられません。開幕からどうも機能していなかったテイトは、コーナー担当してはそこまで能力を発揮できておらず、でもサイラスは起用したいからコーナーに置いていました。ムリヤリだな。

マシューズが加わり、コーナー担当になってくれた結果、コーナーから解放されたテイトは見違えるように活発になりました。サイズは小さいながらもインサイドでファイトする姿を取り戻し、ドライブやオフボールのカッティングも増えてきたのです。代わりにリバウンドが減ったりと、テイトは面白い変化をしています。

〇テイト 連勝前⇒以後
11.1点 → 13.7点
FG47% → 52%
3P26% → 37%
6.9R  → 4.3R
1.8A  → 4.9A

3Pが決まるようになり、アシストが大幅に増えたテイト。要するにコーナーで固定された役割をこなすよりも、スペースを使ったプレーからパスを出していきたい選手だったわけだ。テイト本人はポジティブに観ていいんだけど、サイラスは何考えていたんだろうな。テイト大好きなサイラスは、テイトの活かし方を知らなかったみたい。

〇ロケッツのパス数
271.7 → 291.2

そしてチームとしてのパス数も劇的に増えました。これが「グリーンはボールを持ちすぎ」っていうならわかるけど、そんなにボール持っていないんだよね。ただただシュートかパスという選択のマシューズが加わったことで、全体がパスを増やしたっていうね。

コーナー担当として機能するマシューズが加わったことで、コーナーで窮屈な思いをしていたテイトが中継役として機能するようになり、チームとしてのパス数が劇的に増えましたとさ。

マシューズがはいったことで、間接的にチーム全体が大きく改善された

良いのか悪いのか、よくわかんないし、グリーンが戻ってきたら元に戻るのかね。ウィザーズじゃないんだからさ。

◎打ち勝つ

さて、マシューズが加わってからのロケッツは劇的にスペーシングが改善し、広いスペースを攻略するのが楽になりました。「適切なポジショニングと3Pを決める」くらいしかやっていないマシューズなのですが、それだけでチームは大きく変わりました。いや、変わりすぎです。そんなに上手くいくはずないじゃん。

とはいえ、ロケッツはオフェンスで打ち勝つスタイルで成功しています。連勝が始まってからの13試合の成績は

114.6点
FG48.1%
3P37.9%
27.5アシスト

アシストの多さとFGの高さが目立っており、チームとしての改善が顕著です。もっともプレータイムが長いのもマシューズになっており、マシューズ様様。

管理人は見ていないのですが「KPJとウッドの関係性が良くなった」らしいですが、多分、良くなったんじゃなくてマシューズがスペースを作ってくれるからだと思います。見えにくいなー。

ただ、こないだはウッドがチームメイトに対して「コーナーに行けよ」と促しているシーンもあり、自然発生的なのか狙っているのかわかりませんが、しっかりとコーナーまでストレッチさせる重要性は意識されています。ストレッチして、3Pを確率良く決めて、そしてスペースを攻略する。上手く回っている状態です。

その一方で、シェングン以外の若手たちはあまりプレータイムがありません。ロケッツは「シェングンがいなければ、どうにもならない」空気だったのが、マシューズによって修正されたまでは良いのですが、それは今後も続く修正なのでしょうか。

ゴードンやウッドが高確率で3Pを決めている事もあり、勝っている理由は3Pにあります。それが個人ではなくチームの改善なのだとしたら、もっと若手も絡めないといけない。ちなみにクリストファーが驚異的に決めている今日この頃です。

そもそも「打ち勝つ」のがプランだったのかさえ不明なのですが、打ち勝つのがどこまで続くのか。危うく見えつつも、約1カ月にわたって続いている好調さなので「たまたま」というものでもありません。

なんだかよくわからないけど、間違ったポイントをマシューズが強引に修正し、それが劇的に上手く回っているようなロケッツの1カ月でした。

修正テープのようなマシューズ” への3件のフィードバック

  1. この度活躍が認められ、4年8mの本契約を結ぶことが出来ましたね。本当におめでとうと言いたいです。
    数年前、ウイング不足に悩まされていたロケッツが突如として2wayから台頭したハウスと3年の超格安契約をしたことは記憶に新しいですが、引き続きマシューズにもその様な救世主になってほしいです。
    ただ、そのハウスはウェーブされてしまいましたね。引き取り手は現れるのか…

    1. お買い得ではありますが、契約期間が長いですね。
      まぁ安いからどうにでもなるでしょうけど。

      ハウスの時はクラーク問題も起きましたねぇ・・・

  2. マシューズってWASの時から、ハッスルするけどファールが多い、チーム戦術に関係なく3p打ちまくるって印象で、おっしゃる通り個人能力はそこまで高くないし、頭脳的でもないと思います。
    それはHOUでも変わっていないけど、HOUではグリーンが調子上がらず、KPJが不在になったことで上手くハマった気がします。ハングリー精神が強くオレがオレがしてるのが若手主体に伝播したような。
    元々戦術より個人技任せな感じがするので、隙を見て3pを放り込めるマシューズは良いストレッチ役&発破材になりましたね。

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