サンダーvsクリッパーズ

2021/12/18

YouTubeで雑談配信した試合ですが、面白い要素があったので、コンパクトバージョンというか、ギディ、ケナード、SGAの3人の話をショートコラムにしてみましょう。

◎ギディ

本日の主役はサンダーのギディ君でした。サイズの小さいサンダーはセンター役はボックスアウトに徹し、全員がリバウンドに収縮するスタイルをとっていますが、相手が4ガードシステムのクリッパーズという事もあり、ギディの「リバウンドへの勘の良さ」が際立ちました。

そしてギディがディフェンスリバウンドを掴むというのは、即ちトランジションのチャンスでもあり、サンダーは走力を使ってのオフェンスを展開します。オープンコートを走らせた時のギディの強みが存分に発揮されました。ベン・シモンズかよっ!

オリンピック前のオーストラリア代表でみたギディは、ピック&ロールなどを使ってディフェンスのギャップを作ると、その隙間を見事に利用するパスを出していました。コンビプレーの上手さであり、どうしても生まれてしまうギャップを有効活用できる能力、それは「パスコースを見つけるイマジネーション」に強みを持っていたということです。

正直、これだけでギディを獲得することに大賛成してくるくらいほれ込みましたが、NBAにはいってからのギディは管理人の想定よりも優れたパサーでした。

この試合の序盤に果敢にアタックしていったギディは、自らのドライブクリエイトから周囲へとパスを供給できる能力を見せつけています。ギディ自身のアクションでディフェンスを動かし、両コーナーまで見渡せる視野を確保できている事はビックリ。若いけど戦術眼の良さも光っています。

また、パスの出し方も秀逸でした。左右に身体を揺らしてハンドリングシェイクで抜きに行くというタイミングでパスを発射するため、ディフェンスは全く反応できませんでした。上手いね。トランジションだからこそ目立ったタイミングのずらし方は、左手での逆サイドコーナーへロングパスを正確に出しており、ウエストブルックみたいでした。ウエストブルックは正確ではないな。

そんなわけでギディのパス能力に酔いしれる展開になった本日の試合は、トレ・マンのタフ3Pが落ちなかったこともあり、常にサンダーが優位で試合が進んでいきました。

〇ギディ
18リバウンド
10アシスト
 8点
FG4/14

ところが驚異のリバウンド数を記録した一方で8点しか取れなかったことが、試合の流れを少し変えてしまいます。リバウンドとアシストが二桁になったところで、どうもトリプルダブル狙いで点を取りに行ったっぽいギディですが、とにかくシュートが決まらなかった。

「点が取れない」ということで逃してしまったトリプルダブル。そして「ギディに点を取らせに行った」ことでサンダーのリズムは失われ、クリッパーズが追いつくことにも繋がったのでした。10アシストしたけど、そこからアシストが伸びなかったのも、得点狙いの形がリズムを乱したってのもあるね。

なお、クリッパーズはレジー・ジャクソンがマーク担当だったのですが、1on1で高さの差を使われてねじ込まれるので、途中からウィンスローにスイッチ。するとギディは手も足も出なくなったのでした。ちゃんちゃん。

このギディ大活躍は違う問題にも繋がっているかもしれませんが、それは後述。

◎ケナード

劣勢だったクリッパーズですが、ギディとは違い高確率のシュートで救ったのがケナード。特に途中まで決めていた3Pは「苦しくなった時にケナード」だったため、より効果的でした。オフェンスが構築出来れば他の選手が打ち、ショットクロックなくなったらケナードが決めていた。

あまりにもハイテンポで打ってくるケナードによってサンダーのディフェンスは崩壊していきます。後半の追い上げでは、「ケナードの3P → 他の選手のドライブ」とオフェンスが展開されており、サンダーのディフェンスはケナードに広げられるし、ケナードを追いかけないといけないからドライブへのヘルプが間に合わなくなりました。

〇ケナード
27点
3P7/13

素晴らしい高確率で決めてくるケナードに対して、最大限の警戒をしたサンダーなのですが、その警戒が裏目に出た面もあり、終盤には体の大きいドルトをマーク担当にしたことで、スクリーンで剥がされまくってしまいました。SGA向きの相手だった気がしますが、そこらへんはよくわからん。

例によって元ピストンズの優秀な(主役には少し届かない)ロールプレイヤーなわけですが、ケナードはパス能力もあるし、ゲームコントロールなんかも出来るタイプで、シュートが上手いだけでなく多彩な能力を持っています。それが単なるシューターではない良さだ。

しかし、4ガードということも含めて、昨シーズン後半くらいからのケナードは自分の多彩さを封印しているイメージがあります。その代わりシューターとして刃を磨き上げ、クイックリリースを徹底しているだけなく、「打てなかったらエクストラパス」が素晴らしく早いです。そのためケナードを警戒しているんだけど、止めたと思ったら次のプレーに追いつかない現象が起きました。

またケナードのオフボールは秀逸です。スクリーンを使うスキルが向上しただけでなく、逆サイドにボールがある時にタイミングを計った動き出しも完璧。ここはケナードだけでなくクリッパーズの良さになっていて、例えばダンカン・ロビンソンなんかに比べるとケナードの移動距離は短く、一瞬の走り出しとスクリーン利用でディフェンスを振り切っています。振り切った瞬間にパスも来るぜ。

ポール・ジョージがいると、もう少しペースが落ちるし、何よりもハンドラーのスペースが増えてしまうのですが、いなかったからこそシューターのためにスペースを利用しました。こんなに見事に切り替えているクリッパーズのオフェンスは素晴らしいのですが、ティロン・ルーのイメージとかけ離れているから不思議だ。

そして残り2分半、ケナードの3Pで逆転に成功したクリッパーズ。この時点では完全に勝ちゲームに持っていけていました。

◎SGA

試合を優位に進めていたサンダーですが、どうにも歯切れが悪かったのはエースであるSGAがイマイチだったからです。そんなことを喋っていたら、コメントで「今シーズンのSGAはずっとこんな感じ」ということでした。そうなのか、イマイチだね。

SGAの良さといえば、ぬるぬるっと抜けていく緩急の巧みさと、ウイングスパンを活用したフィニッシュの滑らかさです。上に飛ぶことも出来れば、横に飛んで幅を使ったシュートも出来る。本日の後半もドライブからスピンしてリバースレイアップ気味に持っていくシーンがありましたが、あれこそSGAの真骨頂。

さらにウイングスパンがもたらすのは、ジャンプしてからでもギリギリで判断を変えられること。シュートなのか、パスなのか、モーションに入ってからでも判断を変更できるのはSGAならではの能力です。NAWにも見習わせたい。

ところが「判断を変えてミスをする」ことを連発。明らかに3Pがワイドオープンの選手がいて、そっちを見ているのに、ギリギリで角度を変えてゴール下へのパスをターンオーバーにしていたのは1回じゃなかったぞ。

また、ピック&ロールからの判断が遅く、スイッチ誘導に成功しているはずが、時間をかけて判断してくるため、ディフェンスはローテして元のマッチアップに戻していました。その間に攻め切ることが出来なかったSGA。どうしたんだい。

そして、せっかくスイッチさせてスピードのミスマッチにしても、打つのはステップバック3Pばかり。「もっとドライブしろや」と叫んでしまったぜ。これがSGAだけでなくサンダー全体の課題になっており、特に前半はベイズリー以外はドライブがなかった。後半になるとドルトによってアタックが増えたのですが、本日はフリースローが少なすぎです。

〇フリースロー
サンダー   10本
クリッパーズ 19本

うーん、苦しかったね。サンダーの10本のうち半分がベイズリーでした。センターを置かないシステムに近いけど、それでドライブが無かったら話にならんぞ。SGAに関しては、これが「今シーズンんずっと」ってことなので、スタッツを比較してみましょう。

〇SGAのドライブ
昨シーズン 25.2回 13.1点
今シーズン 23.3回 12.6点

〇ドライブからのFG
昨シーズン 5.2/9.3
今シーズン 4.5/9.6

ところがスタッツにすると、さほどの変化はありません。ギディ加入の分だけ減った程度。ただし、FGは56%から47%に落ちており、フィニッシュ能力に課題が出ています。うーん、なんでしょうね。とりあえず回数的にはドライブをしていてよかった。

少し勘ぐってしまうのは、SGAはギディのハイテンポが苦手なのかという事。クリス・ポールと組んでいた時は遅ーーいペースだったので、ウイングでパスを受けてのドライブでしたが、テンポよく仕掛けたいギディと、判断が遅くなっているSGAを見ると、なんとなーくギクシャクしているような。

普通にエースしてくれれば、それでOKなはずですが、何かがおかしいSGAでした。だから本日の敗戦はSGAに責任があります。

・・・ってところで、全てを覆すドラマが待っていました。

ティロン・ルーはポール・ジョージ、モリス、イバカと不在のためローテに困っていました。ズバッツがいる時間は良いけど、スモールにするには苦しいメンバー構成。でも、最後はスモールで仕留めるのがクリッパーズなので、ローテを工夫して、最終的にバトゥームがコートに出るように調整しました。

そして残り30秒。狙い通りバトゥームの3Pで4点リードにします。サンダーはムスカラを起用していましたが、ここのディフェンスローテで失敗し、バトゥームが空いてしまった感じでした。

ツーポゼッション差になったことで、急ぐ必要があるサンダーは残り26秒でドルトがレイアップをねじ込みます。マンを吹っ飛ばしながらの見事な一撃。でも、26秒なのでアグレッシブにボールを奪いに行くディフェンスが必要です。

ここでクリッパーズは最後のタイムアウトをコールしてしまいます。本来はサンダー側が意思統一が出来ているか問われる難しい場面なのに、それも最後のタイムアウトを使ってしまいました。26秒だから、まだもう1回のポゼッションがあるし、少なくともボールを運ばせ、プレッシャーでミスになりそうになったところで逃げるためのタイムアウトで良かったはずです。

タイムアウトあけのプレーで、サンダーは狙いを定めたハイプレスに出ますが、幸いにもファールになったレジー・ジャクソンがフリースローを決めて4点差。でも、また17秒もあります。急ぐサンダーはSGAがレイアップを決め、ファールゲームに行きます。

この時、レジーがパスを受けたのですがダブルチームに来られたのでウィンスローへ。ウィンスローがファールされて、フリースローに向かいます。本当はクリッパーズがタイムアウトをとるべきだったのは、レジーがボールを持った時でした。ファールされるか、タイムアウトするかの選択肢が残っていなかった。

そしてフリースローラインに立ったウィンスローは、まさかの2本ともミスします。まぁミスしなければタイムアウトのタイミングでクレームされることもなかったけどね。最後のタイムアウトを残していたサンダーは、リバウンドと同時にタイムアウト。これでラストチャンスが生まれ、SGAが全てを覆すゲームウィナーを決めます。

打った瞬間に「入った」と思わせるシュートでしたが、それはシュートの弾道よりもSGAのスーパースター性でした。決まる気しかしなかったSGAの見事なゲームウィナー。

ただし、それはウィンスローが2本とも外したことが関係しています。「2点でもOK」での3Pと「3点必要」での3Pは意味が違います。このSGAのゲームウィナーでも、バトゥームはドライブを止めるために後ろに下がらざるを得ず、SGAは空いてしまいました。あるいは3点差ならばウィンスローもドルトを無視してSGAへのチェックに来たはずです。

ってことで、やってしまったウィンスロー
全てを取り返し試合も評価も大逆転させたSGA

試合を通したプレーの出来はイマイチだったのに、スーパースターっぷりを発揮したSGAという試合でした。面白かったよ。

サンダーvsクリッパーズ” への3件のフィードバック

  1. 久々のOKC記事ありがとうございます。少し前まで大敗が続いたのですが、最近は勝つも負ける接戦で少しだけ安心してます。ギディはハーフコートでもオールコートでもズレが作れるのであとは決め切る力さえつけば、NBAで現在2番目に若い選手としては言うことなしだと思います。SGAはたまに微妙な時はありますが、いざと言うときにはやはり頼りになりますし、ドートもDFだけの選手から着実なimproveを続け、今ではぎこちないながらもハンドラーアタックと3pも武器になってきています。個人的にはこの3人を軸にケニーのようなベテランやJREのような若手が組み合わされば面白いチームにはなると思うのですが、管理人さん的に「戦術的にこう変化すれば面白い」や「もっとこういう選手が欲しい」といったポイントはありますか?前述しましたが個人的にはカッティングが得意な選手が欲しいです(ベイズリーが全然やってくれないので…)。是非お聞きしたいです。長文すみません。

    1. サンダーファンが良くっている通り、サボニスが欲しいです。
      今の戦術を動かさずに、インサイドファイトも、逆サイドへの展開も、ストレッチ5もしてくれます。

      もう1人はウイングですが、カム・ジョンソンみたいなタイプが欲しい。ベイズリーなんですけどね。
      ブレイザーズのリトルあたりも良さげ。ここのウイングが、もう少しディフェンスの強みを出せることを期待しています。

  2. ギディのプレイは私も好きです。シュートさえ安定すればオールスターになれると思います。ということでチップ・イングランドがいるスパーズに来るのがいいと思います。

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