ハートは3年38Mでペリカンズに残留。ウォジョが「どっちにも良いバリュー」と評しているように、ハートには適正なサラリーだと思います。一方でここまで決まらなかった理由は「他のチームから良いオファーがなかった」ってことでもあります。
リバウンドの強いハートは、一定の戦術において需要が高いですが、その点を除くと「質の高いロールプレイヤー」です。そしてペリカンズがそのリバウンド力を必要としたかというと、なんともいえません。ハート自身も「もっと大きな役割が欲しい」と考えていた雰囲気もあるのですが、そんな役割を与えてくれるチームが出てこなかったのかな。
PJタッカーがヒートと2年15M、ダニー・グリーンが2年20Mで契約したことを考えると、ハートの契約は本人は不満だったとしても悪くないサラリーです。そして複数のスターを抱える「優勝を目指すチームが払うのは簡単ではないサラリー」ってことになります。
優勝経験どころかプレーオフの活躍経験もない選手なので、勝ちたいチームが手を出すにはちょっと厳しかったかな。ブレイザーズあたりが行けばよかったのにとは思いますが、既にパウエルと高額契約しているし、敢えてハートを選ぶチームはなかった様子。
そんな感じで残りのFAについても考えてみましょう。
◎マルカネン
ブルズが大型補強したため、残留するのがかなり厳しいマルカネン。それでも、ここまで何も決まらないのは、いくつかの理由が考えられます。
①納得のいくサラリー提示がない
②サラリーは合意したけど、ブルズとのサイン&トレードが決まらない
どっちかになりますが、②のケースだと「キャップスペースがないチーム」の話になり、ウルブズあたりです。もしくはロスター枠が埋まっているチームが他のトレードで選手の整理に動いている段階です。
特に現在はラウリーとロンゾの件でタンパリング調査があるので、ブルズがトレードを進めにくい事情は考えられます。
①が問題になっている可能性が高いです。マルカネンのクオリファイングオファーの額は単年9Mなので、本人がQOを選択し、来年オフに移籍先を探すことを念頭に考えているかも。3年30Mくらいの提示ならQOを取った方がベターかもしれません。ハートのQOは5M程度なので、2人には大きな違いがあります。
そこそこ人気案件と噂されているマルカネンですが、現時点で高くて長い契約をオファーするのはリスキーすぎるので、どこのチームもそこそこのサラリーしか提示していないんだろうね。あとはマルカネンが、どこで妥協するか次第。ブルズに残っても良いことはなさそうなので、最悪でも1年10Mとか、2年20Mの2年目がプレイヤーオプションなんかを選んだ方がいいかも。
いまのところマブスって話が出ています。ポルジンギスいるのにな。クリバーと交換ならブルズにもメリットはあるだろうけど、もう少し要求したいだろうな。
◎バンダービルド
ウルブズが狙っているとされるマルカネン。その保険で決まっていないように見えるのがバンダービルド。3PのないPFですが、運動量が抜群で、ディフェンス面での貢献も高く、実はマルカネンよりもウルブズに必要に見える選手です。
でも、他のチームからすると欲しいかな?
元々いたナゲッツはヨキッチがセンターなので欲しい気がします。ウルブズはタウンズがいるからね。「センターがエース」のチームからすると、ハードワークとゴール下への飛び込みをしてくれる選手は欲しいはず。それ以外のチームだと単にセンターの仕事だから不要なはず。
そんな事情もあり、サラリーも高くならないでしょう。活躍しているわけじゃないし、本人も大それた額は希望しないはず。2M程度のQOを選択してもおかしくありませんが、その程度の額でいいなら、優勝を目指すチームがオファーしても良さそう。
ウォリアーズやレイカーズ、そしてネッツなんかには合うタイプの選手だと思います。ミニマム補強に加わるにはまだ早いけど、結果を示したわけでもないしさ。でも良い選手だからサンダーあたりが掻っ攫ったりして。
◎ミルサップ
働けるベテランのミルサップもいまだに決まっていませんが、同じくサラリーで揉めていそうな気が。昨オフも年10Mで契約しており「ミニマムでいいから優勝したい」路線の選手とは一線を画していました。でも、現状で決まっていないのだから、同じようなサラリーを出すチームは出てきていないんだろうね。
実際、ベンチから20分の選手なので10M払うのはリスキーと考えられそう。もう少し、遅いタイミングでの補強でも間に合うし、シーズン当初から加えたいほど魅力はないかも。
おそらく安い提示はいっぱいあるだろうから、ミルサップが選んでいる段階のような。もしくはロスター枠問題で決まらないのかもしれないけど。色々考えたらナゲッツ残留でもよさそうですが、ナゲッツの方はジェフ・グリーンを補強しているしな。
結局はミニマムか5M程度で、どこかに落ち着きそう。でも、チームも本人も焦る必要がないと考えていそうです。
◎ハミドゥ・ディアロ
これが一番不思議な案件。ピストンズと再契約するもんだと思っていたけど、ロスター枠埋まっているのかな?
トレードで獲得したくらいなので将来性と、ここまでの成長を評価していると思うのですが、サラリーで揉めているのか、それともピストンズでの役割が気に入らないのか。かといって他のチームから高額オファーが届いているとも思えないし、QOが2Mくらいらしいので、普通に再契約するルートのはずですが。
ピストンズはジェレミがいて、若手中心なのでディアロをどこまで必要とするのか不透明でもあります。3年24Mくらいで収めたいだろうね。
カニングハムとヘイズのバックコートコンビに夢を見るピストンズファンです。サマーリーグでは順調に見えませんが、問題点・改善点は何でしょうか?
うーん、出だしは良かったのですが、どうもヘイズが噛み合っていませんね。
〇ヘイズ
6.3点
FG32%
3P18%
5.3リバウンド
4.7アシスト
3.3ターンオーバー
平均27.5分も出ているヘイズですが、あまりにも得点力がない。ここが最大の懸念事項であり、必然的にカニングハム→ヘイズのパターンが機能性ゼロです。それだけならまだしも、シーズンで起きていて「ヘイズの突破が全く通用しない」がサマーリーグですら継続しています。
そもそもは「PGに個人突破を求めすぎているし、ヘイズはコンビプレーをしたそう」というシーズンだったのですが、サマーリーグでもコンビプレーが少ないことも問題なら、このレベルでも突破力がないヘイズの個人能力にも懸念があります。
4.7アシストはそれなりなのに、ドライブしてもゴール下どころかペイントの前で止められてしまうヘイズは、プレーパターンも少ないし、かなり苦しい。かといってコンビプレーも少ない。チームとしても、個人としても得点パターンを増やさないと。
〇サディック・ベイ
30.9分
13.5点
FG41%
3P24%
8.8リバウンド
3.5アシスト
同じことがベイにもいえるのが最大の問題です。何故か1on1しているベイ。それは違うだろ。「サマーリーグだから個人能力の底上げです」といえばそれまでなのですが、優秀な3&Dだけど、優秀な主役ではないのがベイ。ヘイズと共にやっていることが苦しすぎました。
〇カニングハム
18.7点
3P4.3/8.7
5.7リバウンド
2.3アシスト
4.0ターンオーバー
一方で3P50%決めているのがカニングハム。これで結果を残しており、唯一「個人でも点が取れる」選手になっています。でもアシストが少ないのは、そういうことだな。
まぁ問題は8.7本も3Pを打っている事でもあり、ピストンズはチームとして「個人で突破しろ」が多く、それならばプルアップ3Pが上手くないと苦しいって感じです。ってことで、バックコートコンビはともかく、ピストンズ全体として見た時にヘイズは
・コンビプレーを増やせ
・プルアップ3Pを決めろ
・ドライブパターンを増やせ
こんな感じなので、現時点でやっていることとしては、厳しいぜ。もっとチームとしてボールとポジションを動かしていけばいいのになーと思っています。
◎ニリキナ、エクサム
ペリメーターのディフェンス要員にして、3Pに不安が大きい2人。2人とも決まらないのは、それだけ需要がないんだろうね。シモンズの悪影響かもしれません。
ほぼミニマムで契約可能なので、いくらでも需要は出てきそうなのですが、これもまた「シーズン中でいいんじゃないの」となりそう。少なくともFA解禁の序盤に埋める案件ではないかな。若手を見極めてから補強したいとか。
獲得したほうがいいチームはいくつかありますが、そういうチームは大抵が「ガードにオフェンス力を求めている」チームなので手を出すはずがないっていう矛盾。GMやHC交代で考え方が変わらないと手が出ないんだよね。
ロスター枠の件もあるし、なかなか決まらないんじゃないかな。
◎エイブリー・ブラッドリー
それよりはオフェンス面での信頼もあるブラッドリーの方が先に決まりそう。ウォリアーズとか良さげなんだけど、既に補強進めてしまっているからな。そしてブラッドリーの場合は「えっミニマムなの?」となりそうなので、サラリー的な問題もありそうだ。
◎ウィスリー・マシューズ
レイカーズはオファーしなかったのかな。今でも欲しいタイプだと思うけど。
バックスやペイサーズに行く時に「スターターだから」という人なのでチームでの役割を重視しているかもしれません。上記の3人と違いウイングなので需要はあるはず。そのうち決まるでしょ。
◎あと30人くらいかな。
ボビー・マークスによると、1巡目ルーキーが30人全員の契約が終わり、2順目は13人が本契約したそうです。これで43人のベテランが弾き飛ばされる計算に。
そして現状で保障された本契約でロスター枠は平均13.5人埋まっているそうです。残りは45枠。意図的にロスター枠を空けておくチームがあるのと、2順目や2WAYからの本契約も見据えて15枠くらいは余るとして、残り30人くらいが目途です。
NBAって怖い。
とはいえ、まだ30人くらいはOKなんだから、この先でトレードなどが行われ、枠が整理されてから最終調整のFA契約になるのでしょう。時にビッグトレードが開幕前に行われるわけで、それを考えているチームはまだ動けないし。
他にもウォールのようにバイアウトが予想される選手もいるので、早々に埋めたくないチームはあるだろうね。
◎契約延長
スマートはセルツから出ていく想定かと思いきや、4年77Mで再契約です。ちょっと安いかもしれませんが、テイタム&ブラウン体勢となり、以前のようにオフェンス面で「困ったときになんとかする」ような雰囲気ではなくなっているので、適正価格だと思います。
あと「ディフェンスが良い」といってもサラリー的には年20Mが限界。それ以上ならオフェンス力も大事。DPOYとったってさ。
PGはディフェンシブガードで行くという意思表示は、ディフェンス力を重視するという事なので、しっかりと立て直せることが望まれます。
そりゃあそうなんだけど、シクサーズは「エンビードのチーム」と言い切りました。現状はさっさとシモンズを処理しないといけないのですが、その間にこのニュースってイメージ悪い。まぁ問題はシモンズ本人の事だし、なんとかならないもんかね。
◎トレード
クリッパーズ
【加入】
ブレッドソー
【放出】
ロンド、ベバリー
なかなかビックリな補強ですが、サラリーダウンの意味もあるとか。レナードは契約延長したものの、いつ復帰するのか不明という事もあって、残り1年のロンドとベバリーを抱えても仕方がないというのは理解できます。
そこにブレッドソーというのが難しくて、プレーオフの負け方を考えると
「もう1枚のエース格」
「攻守に働けるガード」
「サイズのデメリットがないガード」
こういう選手が欲しかったのは理解できる。ブレッドソーは小さいけどフィジカル強いので、スモールラインナップに適しているし、ディフェンス力もベバリー並にあります。違う問題はあるけれど、ベバリーもベバリーで問題を起こしているので、ティロン・ルーは嫌そうだったし。
個人的にはブレッドソー&モリスをダブルで抱えて高いサラリーを払っているのは信じられないのですが、使う相手を選ぶことになっていたロンドとベバリーよりはプレーオフ戦力って事だ。ただ、層が薄くなるので・・・ルーキーが頑張っていたんだったね。
ウルブズ
【加入】
ベバリー
【放出】
カルバー、フアンチョ・エルナンゴメス
ウルブズはそのべバリーを貰い、フアンチョとカルバーを出しました。ルビオの放出もしていますが「ガードのディフェンス力」は補強ポイントだったので、単年で見れば悪くないトレードです。
ただし、その代償がカルバーなので「諦めるのが早すぎる」し、随分と安い対価でした。べバリーが残り1年でなければ話も変わってきますが、次の1年のために成功すれば6年働けるカルバーだもんな。割に合うかどうかはカルバーの成長次第。
そんなわけでクリッパーズもウルブズも、戦力補強としてやりたかった事項は理解できます。ウルブズの方がデメリットも多いけど、どっちにしてもカルバーを出す余裕がなくなってきているので、早めに放出して成長の機会を与えるのは温情でもある。
◎わらしべグリズリーズ
ただ、間で振舞ったグリズリーズが大いに得をしているように見えるので、相対的にクリッパーズとウルブズが損をしている。あくまでも相対的なので、補強にはなっているよ。
【加入】
アダムス、ロンド、フアンチョ、カルバー
10位指名権
1巡目指名権
2巡目指名権×2
【放出】
バランチューナス
グレイソン・アレン
17位指名権
うーん、収支があっていないよね。貿易摩擦が起きそうな得をしている。普通にバランチューナスがアダムスになっただけでもプラスなのに、起用する見込みが薄かったアレンも放出してロスター枠を整理し、ロンド、フアンチョ、カルバーをいれて、来年の1巡目指名権も手に入れた。10位指名権に意味があったかは微妙だけど、文句のつけようがないトレードの数々でした。
他にもオトゥとかメリルとか手に入れていますが、ロスター枠が足りていないので、ウェイブされるはず。まだ削る必要があるので、さらに動くかもね。ロンドを売りたいとか。
【ロスター】
モラント/タイアス/ロンド
ベイン/メルトン/カルバー
ブルックス/カイル/ザイアー/コンチャー
フアンチョ/JJJ/クラーク
アダムス/ティルマン/アルダマ
分厚いね。見る限りはコンチャーがウェイブ対象ですが、それよりもトレードで指名権と変えることを望むかもね。ロンド、タイアス、カルバー、クラーク、カイルあたりが候補かな。このまま行くとした場合、今回のトレードでは
①モラントの控えにロンド
②JJJの控えにフアンチョ
この2つは良い補強になっています。ロンドについてはタイアスでも十分な気もしますが、グリズリーズはPGとセンターの絡みから崩すシステムを取っており、そこからウイングに展開もしていきます。パターンとしてはロンドを起点にした展開と似ており、さらに狭い所でも通せるパス能力を発揮するチャンスです。ロンド向きのオフェンスだと思います。
またJJJについては「シュータービッグマン」としての活用もされており、ここが替えの効かないポイントになっていました。両ウイングで対応できるのがカイル・アンダーソンだけだったので、PFが足りていなかったところにシュート力のあるフアンチョなので、適切なバックアップになりました。
ただ、これでカイルかクラークのどっちは浮いてしまうので、良い話があればトレードしそうです。
③有望株カルバーを対価なしでゲット
カルバーが成長するかはわからないけど、少なくとも2年前のドラフト6位を対価ゼロで手に入れたのだからラッキー。成長しなくても何も痛くはないわけだ。ハンドラーとして個人技担当しているのがブルックスしかいないので、そこにカルバーがフィットできれば成長するし、出来なければベンチに座っているだけ。開幕前に4年目のオプションを取るか選択するので、そこでグリズリーズの考えも見えてきます。
モラントはマックスクラスの価値がありますが、そのほかの選手は「好プレイヤーだけどエースではない」という選手を揃えたので、サラリーバランスはどうにでもなりそう。それでいて他のチームがトレードで欲しがるレベルのサラリーでもあるので、今後も上手く振舞っていくのかな。
バランチューナス、アレン、17位指名権の3つで、こんなに補強してしまうなんてザ・わらしべ長者なグリズリーズでした。もう一波乱くらいありそうだな。
おぉいろいろやってるうちにカルバー取っちゃったよ!まぁカルバーをそこまで追えてないので、どこまでの選手か分からないのが本音ですが、若いハンドラー兼ウイングというだけで将来が楽しみです。うまく成長して欲しい。
スマートが取れそうになくて残念ですが、どうせロスターは整理しなくてはいけないので、ロールプレイヤーで大物を取りたいですね。でも余ってない!!・・・噂のあるシアカムか!!でもシアカムは契約が重いんだよなー