登場人物
ボー君・・・レイカーズ贔屓で相手の良さを消すことが好き。「暴君」とも読めるが、ゲームプランに沿って容赦のない選手起用をする。
スポ様・・・ヒート贔屓で何でもいいからトライするのが好き。「様」をつけて呼ばれるが、実際には社長と選手の間で振舞うのが上手いスーパー中間管理職
すごいラストシーンでした。絵になる男。
残り24秒切っていて、あそこでアリウープを選ぶのが「バックスらしさ」だった気がするぼ
普通ならばあり得ない選択です。危険なパスを通し、決めきる自信があるからこそのパスですが、ある種の論理性よりも選手が気持ちよくプレーしているような「バックスらしさ」です。
フリースロー外したヤニスがリバウンドをミドルトンにティップしたのも、一歩間違えるとサンズがノーマークでトランジションに行けるシーンだったぼ。
しかし、ギリギリの選択をして見事な終わり方をする。
バックスらしい勝ち方であり、ヤニスは絵になる男でした。
その前のサンズのオフェンスはブッカーがヤニスのヘルプで打ち切れないのも目立ったぼ。そして、過去のファイナルを思い出すと、なんだか「ロバート・オーリーの出番」という匂いもするぼ
マイケル・ジョーダンのジャンプショットか
ジョン・パクソンの3Pか
難しいラインですね。
◎慣れてきたバックス
ファイナルで初めてバックスのビッグ3全員が20点を超えたぼ。不安定だったホリデーとミドルトンがしっかりと得点したことで、サンズの勝ちゲームを覆してしまったぼ
ここまでなんやかんやでヤニス以外はサンズのディフェンスに困っていましたが、ミドルトンはタフショットを決めまくり、そしてホリデーは普通に決めました。
この点については、どうしてもバックス側の「不安定」にしかみえません。そして、ゲーム5はまさかのヤニスまでタフショットを決め続けました。チームとして高確率過ぎました。さすがに毎試合これをやるのはムリでしょう。
〇ディフェンスとの距離別FG
0-2ft 12本 67%
2-4ft 32本 56%
4-6ft 27本 56%
6ft~ 16本 56%
でも、個人を無視すると、バックスは慣れてきたというか「定型フォーマット」に落とし込んで強さを発揮し始めたぼ。これがサンズにとってもっとも苦しい所だぼ。
1Qはサンズが16点リードでしたが、2Q開始4分で追い付きました。ヤニスのいない時間帯でしたが、ここの強さが際立っています。
何よりもブーデンフォルツァーがローテを著しく変え続けていたのが、安定していますので、戦い方に迷わなかったというところでしょうか。
そうだぼ。
あんなに困り顔をするHCなのに、16点ビハインドに慌てることなく、ブルックを使って追いついたのは重要だぼ。
結局、ここで効いているのはゲーム2から続く「クリス・ポールのミドルレンジゲームを塞ぐ」ということですね。ブルックのディフェンスの良さで実に微妙に打ちにくくしています。
本来はスモールラインナップのサンズはピック&ポップが効くはずぼ。2Qのあの時間帯にクリス・ポールがすっぽり空いて3P決めたり、カム・ジョンソンが空いたりはしたぼ。バックスが「間違える」ことが多いのは通常営業ぼ。
でも、間違えなければ止めるし、間違えてもブーデンはたじろがなくなったぼ。ゲーム2の1Qに勝っているのに3P決められてビビったのとは大違いぼ。
そのブルックですが、あれだけ活躍していても遠慮なく切り捨てるのもブーデンが慣れてきて「定型フォーマット」で戦っていることを印象付けました。
シリーズ通じて活躍しているポーティスに拘り過ぎることもなく、かといってブルックに頼ることもなく。自分たちの戦い方に自信を持っています。これがゲーム2までとの大きな差です。
唯一、ターンオーバーしたティーグだけは信用を失ったぼ。大した問題じゃないぼ。
もう1つブーデンに迷いがなかったことが、タッカーのファールトラブルに対して、即座にマッチアップ変更で
ブッカー → ホリデー
CP3 → ミドルトン
この形にスライドさせたことでした。ブーデンというよりは、選手たちが何も問題なく変更し、チームディフェンスに変化がなかったことが、慣れてきたことを感じさせました。
とにかくトラブルがあっても「どうやって対処するか」がハッキリしていて、最後まで力強く戦いました。
その最後がブッカーvsタッカーでホリデーがヘルプから奪いに行ったのも、迷いなかったぼ。本来ならラストオフェンスなのでホリデーがブッカーに行くのが自然なところ。もう何も迷わず「定型ローテ」に当てはめたぼ。
マークが変更されたとたんにブッカーからスティールしたホリデー
同じくクリス・ポールのドライブをミスショットにしたミドルトン
どれも変更されて成功してるので、ファールトラブルで追い込まれたのではなく、「チェンジングディフェンスが効いたバックス」になりました。
最後のアリウープやリバウンドも含めて、ネガティブになりそうなシーンが、全てポジティブに変わったぼ。
◎書きにくいシリーズ
ここまで対談シリーズで話す内容に乏しかった理由もハッキリしたゲーム5でした。
1年前のレイカーズとヒートのシリーズは対談ではなかったけど、各試合にポイントがあったぼ。特にダンカン・ロビンソンを巡る攻防は試合ごとにお互いの対応があり、KCPの活躍が目立ったファイナルだったぼ。
今回のファイナルは不安定すぎるホリデーを含めて、これといって互いの攻防が目立っているわけではなく、それぞれの良さが光った方が勝つ要素が強くなりました。
そしてゲーム5は両チームが輝いたという、ある意味でファイナルらしくない戦いになってしまいました。
CP3もブッカーも、ヤニスもミドルトンもホリデーも全員がよかったぼ。最後のスティールにしてもブッカーの悪さよりもホリデーの良さだぼ。
もともとバックスはタフショットを多く打ち、それを決めることで勝つチームであるため、不安定でありながら、ディフェンス泣かせのチームでした。
サンズの方はウイングが相手の良さを消しに行けるチームですが、ヤニスを誰も止められないのと、タフショットに負けてしまっています。
サンズの良さはオンボールプレイヤーとオフボールプレイヤーがハッキリしていて、役割分担の明確さが強みだぼ。だからこそ止めにくいわけだが、唯一あるのはオンボールプレイヤーを個人で止めきることだぼ。
ブッカーは止めることが出来ておらず、クリス・ポールはややホリデーに苦戦しているものの「止めた」とは言い難いです。
この程度であればウエストでもクリス・ポールを止めているぼ。ただ、バックスは「気合」と評するわけだが、やられていてもハンドラーにダブルチーム作戦をしないぼ。だから、やられ続けるわけだけど、それでもファイトすることで対処しているぼ。作戦があるとは言い難いぼ。
ただ、1点だけいえばクリス・ポールからエイトンのラインを消されています。ここが全てかもしれません。
レイカーズが取った作戦は正しかったぼ。ガソルで消しに行くのはブルックで消しているのと似ているぼ。
とはいえ、ブルックとポーティスの併用で、最後はヤニスがエイトンの対応になります。誰になってもホットラインを消せている形なのは驚きです。
〇クリス・ポールからエイトンへのアシスト
レイカーズ 2.0
ナゲッツ 2.5
クリッパーズ 2.8
バックス 2.6
ゲーム1 3
ゲーム2 2
ゲーム3 4
ゲーム4 0
ゲーム5 4
こうみるとゲーム4で0になっただけで、意外と減っていないぼ。ただファイナルでエイトンが決めたダンクは5試合で7本。それまでは16試合で33本だったので、大きく減ったのはエイトンのダンクだぼ。
〇エイトンのFG
プレーオフ通算 68%
ファイナル 58%
58%が高いから見落としがちですが、クリッパーズ戦が69%、ナゲッツ戦が80%を記録したエイトンのFGが著しく落ちています。
実はちょっとエイトンのプレーレベルが落ちてきている気がするぼ。成績そのものは立派なのだが、これまでの貢献度に比べると、ちょっと効率が落ちているぼ。
難しいのは「すごく落ちている」わけではないことです。これまでが100なら90くらいに落ちている。しかし、それがファイナルでヤニスを相手にするには苦しい落ち方だったと。
あるいはヤニスを相手にすることでプレーレベルが落ちているのかもしれません。
同じことはクリス・ポールにもいえるぼ。
ゲーム3の前半にカミンスキーへ見事なパスを通した時、ホリデーとヤニスに囲まれながら完璧すぎるタイミングには惚れ惚れしたぼ。
ここまでは明らかにサンズが優勢でしたが、確かにピック&ロールが決まらなくなってからバックスが盛り返し、立場が逆転しました。
出し手が悪いのか、受け手が悪いのか、両方悪いのか。
確かにバックスが気にして守っているし、ホリデーで潰そうとしているぼ。あとダブルチームは辞めたぼ。とはいえ、それで通せないならゴッド失格ぼ。
全部が絡んでいる気がします。他にクリス・ポールで気になる点はディフェンス面でした。
本来はディフェンスの良い選手で、パワーファイター相手にもインサイドを止めてしまうのが強みぼ。さすがにスピードには弱みが出てきているが、未だに優れた読みで塞いでいくぼ。
その点でホリデーに抜かれすぎてはいるものの、そこは理解できる面もあります。またカナートンに3Pを決められていますが、ヘルプに行くため空けてしまい、間に合わない事情もわかります。
何が気になるぼ?
ミドルトンへのディフェンスです。本来のクリス・ポールはあの押し込みに負けないで、ボールを上手くたたくのが強みでした。しかし、完全に押し込まれて狙われ始めました。
ミドルトンのvsクリス・ポールはFG6/12ですが、そのうち4本のミスは3Pのため、押し込めば決まる前提でミドルトンが攻めてきます。
ミスマッチだから当然に見えて、クリス・ポール的には違うわけだぼ。実はミドルトンにクリス・ポールを当てるのは1つの手段だったはずぼ。
ホリデーにミカルをぶつけてPGさせない作戦もあるはずですが、モンティはカードを切ってきません。それはこのマッチアップを嫌がっているようにも見えます。
ちなみにミカルはホリデーにマッチアップした31回で7点しかとられていません。ゲーム6でサンズが仕掛けるなら、ここしかない気がします。
本当はミドルトンvsブッカーだとブッカーが止めているぼ。でもそれをすると攻守にブッカーの負担が大きすぎるぼ。
◎ヤニスとカナートン
このままシリーズが終われば、当然MVPはヤニスになります。ゲーム1の時点では出場が危ぶまれていたにも関わらず、そんなことがウソのように暴れまわっています。
特にゲーム5の最後のアリウープは、あれを走り切っていることが脅威でした。
ある意味でホークスとの試合に欠場したことが、ここにきてスタミナの優位性を生んでいる気はするぼ。
他にも苦しかったセカンドラウンドから日程が詰まってしましたが、ファイナルになって間隔が空くのもバックスのタフさを増長しています。
ミドルトンもモンスターぼ。この3年間、オフなしで戦っているようなもので、よくぞあんなにプレーレベルが落ちないぼ。ただパフォーマンスは不安定ぼ。
しかし、ヤニスの運動量と強度は図抜けています。ヤニスの場合は年齢的にも一番ムリが効くのかもしれませんが、ボールに顔を出す機会が異常です。フィニッシュ専門になって欲しいというのはプレー精度の問題としてありますが、起点にもなりつつハードワーカーなのは他のスターにはない特徴です。
今のアメリカ代表に欲しいぼ。
ただ、そのヤニスもアタック力は怪しくなってきたぼ。フェイダウェイに逃げることが増え、ただ、その分だけ最後まで走れたのかもしれないぼ。
得点やリバウンドよりもエネルギーが目立ちまくるヤニスは異次元でした。そんなに上手くパスコースを塞いでるわけではないのに、ヤニスの脅威がサンズを困らせています。
まぁでも、書きにくいぼ。
ですね。書きやすい活躍といえば誰ですか?
カナートン
バックスでもっとも安定した3Pを打っていますが、さらにオフェンスリバウンドにも飛び込んできます。ディフェンスは弱点にされていますが、トータルでプラスに働いています。
肉を切らせず骨を断つのが基本なのに、ブーデンは平然と肉を切らせるぼ。
サンズとは考え方が大きく違うロスターですね。
このゲーム5まで来てブーデンの評価は少し変わったぼ。これまでのブーデンといえば
・素晴らしい戦術
・でも柔軟性が皆無
・ヤニスの独断を許してしまう
・試合中の対応が下手
こんな感じだったぼ。
基本的に今でも何も変わっていません。ファイナルまで来たけど「あの時、ブレッドソーではなくブログドンを選択していれば・・・」という印象は何一つ動かない。対応に迷い続けた結果、今は確たるローテに落ち着いたわけですが、内容的にはサンズを抑えているわけではなく、自分たちの強みで打ち勝っているだけです。
問題は「自分たちの強み」を出せるようになったことだぼ。1年前はヒートに完封されていたぼ。
基本はあれから何も変わっていませんが、どこに違いを感じていますか。
ポーティスとカナートン。そして以前はブレッドソーも。
正しい分類はカナートンとポーティス&ブレッドソーぼ。
カナートンはブレイザーズでも今のような活躍をしていましたが、テリー・ストッツは使い切れませんでした。
そう。殆ど変わらない活躍だぼ。もちろん本人は成長しているけど、やっていることに大差はないぼ。
ブレイザーズはカナートンに続いて、レイマンも発掘したチームぼ。似たような特徴の両者は、ともにそこそこ活躍しながら、物足りないとして放出されているぼ。
ブーデンはカナートンの可能性を信じているHCなのかもしれません。悪い部分に目をつぶり、全力でトライする姿勢を評価している感じです。
それはブレッドソーとポーティスにもいえるぼ。特にこの2人はなかなかの問題児として、能力に対して「使えない選手」だったぼ。
ポーティスが今の活躍をするなら他のチームも欲しがります。
とはいえ、バックスで洗練されたわけではなく、エネルギーがチームのプラスになっていて空回りしていません。それが最大の違いでしょうか。
選手の良さ信じて引き出しているぼ。そういうHCというイメージはそんなに強くなかったというか、ホークス時代もスターターは良かったぼ。でも、ベンチメンバーを輝かせているのは、このプレーオフが初めての気がするぼ。
これまでもジョージ・ヒルなんかがいましたが、それはそもそもヒルの能力って感じでした。そこまで光っていたわけではないです。
ただポーティスもネッツとのシリーズでは出番がなくなりましたし、偶然なのかもしれません。
もう1人気になる選手がいるぼ。
誰ですか?
クレイグ
ブーデンが使い切れなかったクレイグですね。
普通に考えたらカナートンやポーティスよりもクレイグの方が使いやすい選手だぼ。ディフェンスが良く、3Pもあり、ハードワークしてくれる。プレーオフで起用するならクレイグだぼ。
ところがブーデンはクレイグを重視することなく、ポーティスを活用しています。フォーブスはあまり出番がありませんが、「明確なオフェンスの武器を持った選手を使いたい」HCなのかもしれません。
実はクレイグがいたら、ブッカーにぶつけられたという話は内緒ぼ
タッカーではなくクレイグで良かった気はしますが、ディヴィチェンゾがいたら、タッカーの方が良かったですし。そこは致し方ないでしょうが、オフェンス重視ながらエネルギーを感じさせるカナートンとポーティスが目立っています。
偶然かもしれないが、結果を残したのは2人を信じたブーデンの成果ぼ。
◎ゲーム6
ゲーム6はミルウォーキーに戻るため、またもホームコートアドバンテージを強く感じてしまう可能性があります。
サンズは守りにくいぼ。自分たちはクリーンだからアドバンテージがなく、バックスのファイティングディフェンスが得をするぼ。それが「プレーオフはフィジカルなディフェンスが勝つ」なのかもしれないぼ。
サンズは前半にガマンでしょう。もっとベンチメンバーを使うのが好ましいですが、ゲーム5でその手段を使わなかった以上は、大きな変更は加えにくいです。
ゲーム5でサンズが成功していたのはトランジションぼ。ここを強く出していくべきだけど、どうしてもクリス・ポールが遅いぼ。
実は本格的なゲーム6は、このプレーオフで初めての経験になるクリス・ポールだぼ。
レイカーズとのシリーズは序盤はケガでプレータイムが短く、ナゲッツにはスイープ。そしてクリッパーズの2試合はプロトコルでした。
その意味ではプレーレベルが落ちているのは疲労なのかもしれません。
でも、落ちているといっても100が90とか80の話ぼ。これで交代させる勇気はないし、それ以上にモンティはクリス・ポールを信じているぼ。
バックスのビッグ3がゲーム5同様の活躍をしたら諦めるというのが、読者の意見ですね。
そうなる可能性の方が少ないということぼ。
変に動くことでブッカーの負担をあげるわけにもいきませんし。やるとしたら、ホリデーとミドルトンのマッチアップ変更くらいですね。
モンティも選手を信じるタイプぼ。あとはブッカーがもう一度スーパースターになるべく動き、3試合連続40点オーバーになるかだが・・・・仮に力尽きても、ブッカーの評価は何も変わらないぼ。