スイープ予想の対戦カードですが、第1戦はそんな予想に反する接戦でしたよ。
◉前半
〇利害が一致したようなウルブス
ロケッツはタッカーに打たせていきます。違った、ウルブスはタッカーに打たせていきます。
ちょっとした疑問がロケッツの選択するプレーです。タッカーをコーナーに置くのではなく、全員を上に上げてゴール下からコーナーまで全て空けた状態を選択します。そこでタッカーに打たせるのならば確かに効果的です。さらにドライブを防ぐのに,ヘルプがイージーなのでウルブスペースになります。
〇タウンズとウィギンズ
バトラーがいないと輝くウィギンズ。しかし、タウンズがインサイドで輝けないこともあり、ウィギンズが目立っていきます。いつものポストプレーだけでなく、オフェンスリバウンドに速攻、そしてハーデンからスティール。ウルブスペースです。
〇3Pとハーデン
ロケッツの3Pを嫌がるウルブスなので、ロケッツは積極的にインサイドを攻め込んでいきます。しかし、この日はハーデンが不調。いやファールだとか何だとかって話はありますが、それでもねじ込んできたのがハーデンだし、だからこそロケッツは強いわけです。3Pを激しく守られながら、空いたインサイドで得点出来ません。ウルブスペース
仕方ないので少し無理矢理打つパターンをロケッツは選択します。アリーザ、ゴードン、ジェラルド・グリーン。グリーンを獲得した意味の大きさはここで、クイックシューターなので無慈悲に打ちます。打っている間にドライブする隙が増えれば良いなと。
でもアリーザしか決まらなかったのでウルブスペースです。
〇不思議なギブソン
ヨキッチを圧倒していたギブソンのオフェンスですが、相手がクリス・ポールだとショートレンジが決まらない不思議なギブソン。ハーデン同様にゴール下までもっていき打つウルブスですが不思議なくらいシュートが落ちていきます。これがプレーオフという奴なのか。
そんなわけで1Qは圧倒的なウルブスペースでした。23-18でリードします。あれ、たったの5点だけなのか!?
ウルブスペースでしたよ間違いなく。だからそれをディフェンス力で誤魔化したロケッツです。言い換えれば1Qは決まらなかったけど「3本連続3P決まれば楽勝じゃん」みたいな形に持って行けたわけです。1Qでカペラは8リバウンドだってさ。
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〇ロケッツのターン
グリーンが何もないのに無慈悲なプルアップ3Pを決めて2点差になります。あと、ジョー・ジョンソンだけ全くタイプが違うんだよね。選択するのはミドル。そしてクリス・ポールの速攻、ゴードンのコーナー3Pで3分半で逆転するロケッツ。
この間のウルブスはバトラーやローズ、ティーグとドライブで攻めて決めているので、もう単純にロケッツが爆発待ちだった形です。なお、ハーデンがいない方が良いのはシーズン中の対戦と一緒。
〇ロケッツというプレッシャー
ロケッツのインサイドはネネイ。だからリムプロテクターはいないに等しいわけです。でも外しまくるウルブス。まぁしっかりマークされているときはわかるよね。でもドライブで半身抜けても決まらないってのは、ウルブスレベルのタレントだと?マークが浮かぶわけです。しかも、ゴール下でクリス・ポールとミスマッチになっていたタウンズへのアリウープパスをティーグはリングに当ててしまう凡ミス。
つまりさ、ロケッツという見えないプレッシャーに支配されています。スパーズがウォーリアーズ相手に3P14%だったみたいなプレッシャーです。「いくらディフェンスが良くてもフリーを作れているのだから30%は決まるでしょ」みたいな。
そんなことを書いていたらネネイが豪快にローズをブロックしたよ。リムプロテクト!そしてティーグはポストにボールもいれられない。そういやナゲッツ戦のゲームメイクも酷かったしな。ホークスが勝てなかった要因ってティーグ?
〇ハーデンのターン
再び出てきたハーデン。反省したのかバトラーのプレッシャーに対してシンプルにグリーンに打たせます。そしてシュートを決めるよりもしっかりファールをもらうモードに変更です。別に腕からませではなくて、インサイドを抑えられていたからディフェンスとの距離を作る目的です。詰められすぎていたから冷静に組み立てなおすわけで、ウィギンズの3Pファールも引き出します。
そしてトップではハーフライン近辺に構えて、それでも追われるときは動かず周囲に任せます。だから成熟しているわけです。なおファール攻撃の後でスペース出来たので打ちますが、シュートは全く決まらない。MVPに相応しくないくらい決まらない。ヤバいくらいに決まらない。
そんな間にグリーンの4本目の3Pで16点差になります。だから言ったでしょロケッツの成熟はヤバいって。エース決まらなくてもディフェンス強めて、周囲に働かせて二桁リードしちゃうんですよ。
〇でも、やっぱり決まらない。
ロケッツはそんな感じですが、グリーン以外はろくに決まらないシュートです。でもウルブスも決まりません。前半のFG酷いよ。
FG ロケッツ 33%-36% ウルブス
3P ロケッツ 30%-22% ウルブス
ロケッツのディフェンスが良かったのは知られた話です。しかし、ウルブスもナゲッツ戦はよかったよね。そこはシーズンでの対戦ではなかった違う強みなので、第1戦が接戦になったのかな。ハーデンにボコられた第1戦の反省からハーデンを止めた前半。そしてハーデン以外にやられてしまい55-40で15点ビハインドなのでした。
やっぱりエースには自由にやらせて他を止めた方が効果的なのかな。それで「46点取られたら負けますよ」みたいな。レブロンの話ね。ペイサーズは基本的に第1戦と同じ対応だよね。「エースはご自由に、ただし普通レベルの活躍なら自分達が勝ちます」みたいな。
第1戦に負けているウルブスにはその対応が取りにくかったというような前半でした。
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プレビュー時に書いたとおり、管理人はシーズン中のウルブス戦でロケッツが成熟してきた恐ろしさを感じました。その試合を観ていなかった方も、この前半を観ればその理由が十分に分かって頂けると言う内容でした。
〇ジェームス・ハーデン
9点 FG1/12
こんなにエースが外しまくっているのに、チームも好調ではないのに、どうやったら前半だけで15点差になるのか。
とはいえディフェンスが効いていたウルブスなので、そこを継続してチャンスを探すしかありません。ハーデンにやらせまくって外れるのを期待するか。
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◉後半
〇オフェンスパターン
ハーデンが3P決めてしまい、さらにタッカーのコーナー3Pも決まります。前半に決まらなかったシュートという事に加えて、前半に使わなかったオフェンスパターンです。
そしてウルブスは悪い癖が出始めます。バトラーがボールを止めて攻める一辺倒。これ自体が悪いのではなく、これが多いのがダメ。ロケッツのディフェンスはより待ち構えやすくなります。そもそもウルブスはアウトサイドに大きくスペーシングするチームではないので、インサイド渋滞がおきます。中に人が多く、それでいてパターンが読みやすい。イージーモードに突入するロケッツディフェンス。
そしてリバウンドからアリーザへのワンパス速攻もうまれ点差は20点を超えるのでした。
〇もうひとつの成熟
そして点差が広がったことでロケッツのもうひとつの特徴が出始めます。
広くスペーシングして3Pを打つロケッツですが、そんな事はウルブスだって百も承知なわけです。誰だって警戒するよね。でもロケッツがやることは何一つ変わりません。スクリーンやドライブで崩し、そして空いた選手に回す。そこにローテーションがきたら慌てずにもう一度やり直す。
このやり直しこそが今季の特徴で点差もあるので苦しいシュートを打つよりも、ひたすら良いシュートチャンスを待てます。本当に待っているだけという感じなのです。残り3秒くらいでも何一つ慌てないハーデンとクリス・ポールの個人技もあるわけで、20点差あるならひたすらゆっくり攻めておけば問題ないわけです。
〇ウルブスに足りないもの
しかし、そこには欠点もあります。ロケッツが失う爆発力とリズム。大してシュートが決まらなくなります。(ジェラルド・グリーンを除く)常にここまでのコントロールをしないのはおそらくそんな理由です。1Qに同じ事をやっていたら、リードを奪えないまま展開する可能性があります。
ただ、ひたすらディフェンスをさせられた挙げ句のオフェンスではウルブスにもリズムは全く生まれてきません。だからただただ守るロケッツ。ウルブスは個人技頼みのオフェンスなので、安定感はあっても一気にラッシュしてくる可能性は低く、それでいてサンダーのような攻撃的なディフェンスもありません。だから速攻にもならない。
延々とコントロールしていくロケッツ。多分、ウルブスファン以外にも極めて退屈な試合です。しかし、観ていると勉強になる内容でもあります。普通はこんなこと出来ないよ。NBAだって出来ないよ。
3Q終わって80-58です。80点よりも58点が重要です。ペースが遅ければ負ける事はない得点差
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どうしようか、4Qはまあいいか。次の試合へのヒントもあるかもしれないので、一応触れておきます。
そういえばシーズン最後の対戦ではウルブスのベンチメンバーが反撃しましたね。その傾向はこの試合でも出てきます。ひとつはロケッツのディフェンスが緩いこと。これはまぁ致し方ないよね。
ただ、緩い理由の1つはウルブスがバランスアタックするからです。バトラーもティーグもいないからいろんな選手が仕掛けていきます。ローズのアウトサイドが決まったこともあり追い上げる傾向になっていきます。
ローズのアウトサイドなんて嘘みたいなシュートです。でも打つというのはキャッチ&シュートだからです。それくらいフリーでボールが回ってきていると言うこと。同じくビエリッツァもロング3Pを決めます。これらのシュートでディフェンスが広がることでチャンスが増えています。
あと、いつも通りスターターより元気だから走っていてマークがズレています。点差が開いたから走って展開を早くする。当たり前のことが出来ないのがウルブスのスターター。ベンチメンバーなら当たり前のことが出来る。
ロケッツはゴードンとアリーザのシューティング、ジョー・ジョンソンのポストアップの確認みたいになっていきます。それも終わったらブラック以外のメンバーが全員出てきます。それにしてもジャオジーは未だに戦術理解してないのかね。日本人もここに苦労するよね絶対。有望選手がNCAAに進むべきなのは単なるレベル問題だけではないよね。
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そんなわけで
ショッキングな敗戦を喫したウルブス
完璧すぎたロケッツ
ウルブスが何を改善すべきかって?
タウンズの3Pをもっと使ってスペースを広くして、ウィギンズとバトラーが左右からバランス良く仕掛けてパターンを多様化させ、ベンチメンバーを活用して攻守に自分達から仕掛けられるようにして、キックアウトを決められるシューターを用意することです。
選手はいるけどシーズン中にそんなことはしてこなかったよ。
〇FG ロケッツ 37%-39% ウルブス
〇3P ロケッツ 31%-28% ウルブス
これで20点差ですよ。嫌になってくるわけですよ。しかもエースはエースで、後半初めの3P決めただけだよ。
〇後半のジェームス・ハーデン
3点 FG1/6
まともに決めたのはクリス・ポールだけでした
〇クリス・ポール
27点 FG11/18