さようならホーバス~古い最新版だった戦術~

さて、もう少し具体的に触れていきましょう。それは今後どうなっていくかも含めての話です。

前任のラマスは優れた連携を作ることを重視しました。個人の能力をどうやって組み合わせるか、連携の良い組み合わせは何なのかでチームを作っており、困ったときの必殺技は「アルバルクアタック」でした。同じチームに代表レベルの選手が揃っているメリットも生かしてきました。

一方でホーバスは「自分がやりたいことをやる」タイプでしたが、加えて「フィニッシュ重視」の考え方でした。なんだかアメリカっぽさがあります。スピードのあるガードにドライブ突破を求め、そこに3Pを打ち切る選手を並べたい。だからこそウイングが死んでしまうというか、ウイングは3Pを決めるのが大事であって、八村や渡邊のようなタレントを求めませんでした。

一見すると後者が個人能力を生かしているようでいて、前者の方がプレーメイクの連携を重視するので、結果的に個人技を楽に使えるような形でした。不思議なもんですが、そういうもんだよね。個人技で始めるか、個人技で終えるか。

そのため、ホーバス就任当初から「オフェンスパターンが少ない」のが最大のネックでした。ラマスの方が新たな選手を呼んでも組み合わせで活かしていたし、選手の特徴の分だけプレーパターンが作られていくわけでした。

ただし、ホーバスの問題をホーキンソンが1人で解決しまくってくれました。世界大会レベルで滅多に見かけない「多彩な」センターは「選手の特徴の組み合わせ」を不要にしてくれました。1人でいろんな役割できるんだもん。ラマスがいろんな組み合わせで変化をつけていたのに、ホーキンソン1人で変化がつくんだぜ。理不尽だ。

正直、ホーキンソンみたいなセンターが普通だと思っちゃだめだぜ。NBAでもほぼ見かけないレベルだぞ。ホーキンソンよりも良いセンターは大量にいるけど、ホーキンソンほど多彩なセンターはヨキッチくらいなんじゃ。

しかし、当然のように綻びも出てきます。それがオリンピックのブラジル戦であり、アジアカップでした。ピック&ロールディフェンスのパターンのなさとホーキンソン頼みをブラジルはハンドラーのジャンプシュートで永久に攻略してきました。でもホーバスはあそこまで何もアジャストできないHCも珍しいレベルで放置しました。

そしてアジアカップはホーキンソンも酷使によってインテンシティが落ちただけでなく、あからさまに相手に対応されました。普通はヘルプに行くセンターがホーキンソンハリ付きだったりしてさ。さすがにバレちゃったってことです。あとホーキンソンは関係なく、富永に打たせようとし過ぎてワンパターンが進化してしまった。

ホーバスの問題はここでした。河村とホーキンソンの存在が隠してしまったツケがアジアカップで出てきただけであって、就任当初から変わらんぜ。そして河村がNBAに行きたがったことがホーバスの終焉だったとも言えます。個人技スタートだから河村がいないと何も解決しなかった。

さて、これらは「ジャパン・ウェイ」とは言えません。もとい。非常にあいまいな「ジャパン・ウェイ」でした。

・連携(コンビプレー)から崩して個人の強みを出す
・個人技で突破し、3Pとトランジションを重視する

これを育成に落とし込むと、前者は様々なコンビプレー、チームオフェンスを落とし込み、その上で個人の特徴を伸ばしていくことになりますが、後者は1on1の強さやシュート力と走力を磨くことになります。後者はすごく日本の指導者が喜びそうだよね。

でも、どこの国だって1on1の強さ、シュート力、走力は磨くに決まっています。その上で共通意識としてのプレーモデルが必要なわけじゃん。なんかさ、当たり前のことだし、個人技で圧倒出来るアメリカ式にみえてきます。世界一の個人技チームになるつもりじゃないと・・・。だから新たな体制において期待したいことは

ということになります。実はこれはホーバスの時との矛盾はありません。3Pは上手くなるべきだし、1on1も強くなるべきだし、もちろん走れることはベーシックです。その上でもっと個人の特徴を活かして多彩にならなければいけないし、育成年代からジャパンウェイな戦術を共通意識として持つ必要があります。

さようならホーバス~古い最新版だった戦術~” への3件のフィードバック

  1. サイズ重視でともかく固かったラマス、選手も戦術もキャッチーでともかくメディア受けしたホーバス。Wカップは凄かったですが、ラマスとファジーカス、八村で起こしたオーストラリア戦ってなんか印象薄くないかと思ってます。

    1. 本当に苦しいワールドカップ出場を勝ち取ったのはラマスの方なのに、何故か忘れられてますよね。
      開催国枠のオリンピックだったけど、世界大会に出るのが普通になった実績はどこへやら

  2. こないだの8月の「ホーバスは解任すべきなのか」で言及されていた

    >では、協会はこの前提でチームを作らせているのか。
    特に気になるのは「河村じゃなければ成立しない」の部分。それは、スピードで突破するガードを重視するって意味で、「日本人はスピードとスキル」みたいな理論で、この手のPGでチームを作る方向性に見えます。
    小さくて速いガードで、トランジションと3Pのチームを作るんだ。というのがジャパン・ウェイなんでしょ。多分。
    コーディネイタータイプのPGを育成していく気持ちがあるのかどうか。わからん。わからんけどさ。少なくとも育成についての指針はないからね。

    ここですよね~。トランジションと3Pのチームを作るのはいいけど、「小さくて速いガード」である必要性って全くないですし。ここのあたりを伊藤強化委員長に期待してます。わかりやすく育成指針出してほしいです。
    あと、能力に劣る日本人に必要な共通戦術は、管理人さんの言葉を借りれば「インテリジェンス」。個人戦術の範囲内であって、決してチーム戦術ではないですけど。「大きいコーディネイタータイプのPG」が出てくるのをもう少し待ってます。

    余談ですが、先月にU17W杯の組み合わせが決まりましたね。
    アメリカ・フランス・イタリアとやれる「越、宮里、高橋」のユース組、そして「大きい」という条件を満たす平岡が、どういったバスケを魅せてくれるのか。管理人さんの記事と合わせて楽しみにしています。

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