ウェンビーを止めるサンズ

◎ディフェンスはオフェンスから

前半までは「サンズの対策は何一つ間違っていない」「でも、何一つ特別ではない」という感じでした。ただ、その中に１つサンズの特徴もあって

戦術的に明確に整備されたチームではなく、時と場合に寄った対応をしてくるチーム

ってことです。なんせ「絶対にスイッチしない」マーク・ウィリアムスと「勝手にスイッチする」ニック・リチャーズというセンターを使い分けながら戦っているので、チームの決め事よりも個人の特徴を尊重しながら、全体でバランスとっていくんだもん。これで崩壊しないだけでもすごいのよ。ジャズ戦は崩壊していたけどさ。

だからウェンビー対策はしながらも日々、これエマージェンシーの中で、細かい部分は何とかしてます。そしてヴァッセルからウェンビーへのパスをライアン・ダンがカットしてカウンター。後半開始早々に２０点差へと広げます。

ウェンビーに対してお手上げなことにトランジションアタックがあります。この試合サンズは２０ものターンオーバーを喫しており、スパーズは速攻で２０点を取りました。なので、それなりに速攻は機能しています。ウェンビーがフィニッシュしていないだけで。しかし、それ以上にサンズの３Ｐが高確率だったので、リバウンドから走る機会が極めて少なくなりました。

〇サンズの３Ｐ　１９/３３

なんと５８％も決まったので、ウェンビーの怖さが半減していたし、ウェンビーが調子に乗るきっかけにもなりませんでした。普通に速攻はされているのに、ウェンビーが絡んでくるトランジションアタックは殆どなかったというね。もちろん、アーリーディフェンスをしっかりと実行したからではありますが、オフェンスがいいからディフェンスが良かったという内容でもあります。

どうでもいいけどさ。よく「オフェンスはディフェンスから」っていう指導者いるじゃん。でも、「ディフェンスはオフェンスから」って聞かないよね。
「良いディフェンスをすることで、速攻に繋がる」ってのは理解できるけど、それって相手のオフェンス力よりも上の前提じゃん。それより「良いオフェンスをすれば、速攻を食らいにくい」の方が、よっぽど精度の高い手法にみえるんだよなー。でも、良いオフェンスをするのはデフォルトだからかなぁ

〇スパーズ
３Ｐ　１０/４１　２４％
ターンオーバー　１４

〇サンズの速攻　１１

一方でスパーズのターンオーバーはサンズより６つ少なかったけど、３Ｐは決まりませんでした。だからといってサンズは速攻には出ておらず、これもカウンターを食らうリスクを下げていました。まぁトランジションで攻めきってウェンビーの高さを封じたい狙いもあったから、それなりに走っていたけどね。

さて、点差が開いた３Ｑは、やっぱりウェンビーが外にいることが多く、それだけでなくｖｓマーク・ウィリアムスのチャンスにハンドルミスしてドライブを失敗。ローポストでボールを持っても、振り向いて密集地帯のゴール下にパスを出すなど、ちょっと困ったチャンになっていました。外にパスを出せよ。

加えてハーパーが前半のケガから戻ってこず。スパーズはドライブアタックがキャッスルのみになってしまいます。はい。要するにさ、集中力は切れたし、オフェンスの起点を作れなくなってしまった。

もうサンズのディフェンスはウェンビー警戒の中を固めるだけになっているし、ウェンビーもそこにフィジカルファイトする気はないし。外でボール回せば３Ｐは打ててしまう状態のスパーズなので、これといってウェンビーが絡むこともなく、ケルドンがドライブねじ込みをするくらいで時間だけ過ぎていった３Ｑでした。