◎困難で最高の道
『モンスター』クラスのスター選手は他にもいますが、それぞれで『モンスター』になれた要素は異なります。理不尽なまでのシュート力だったり、異常な身体能力だったり、相手を無視するレベルの得点力だったり。これらが他にはできないチーム戦術に昇華され、勝利を積み上げることで人間を卒業していくわけです。
それではカニングハムにとっては、個人のどんな特徴が「理不尽」で、それがどんな形で「チーム戦術」へと昇華されているのでしょうか。
その答えは『インテリジェンス』という極めて曖昧な要素になっており、素人目で他のモンスターと比較したときに理不尽さが不足しているようにみえてきます。この点はもう1名の卒業対象者であるタイリース・ハリバートンがMr.過大評価であり、スーパースターではないと批判されているのにも似ています。
『インテリジェンス』でモンスターを飛び越えて、リーグで唯一といってよりバスケ星人として認識される二コラ・ヨキッチも、そのプレーの凄味を理解されるまでに多くの時間を要しました。かつて「至高のヨキッチ」を連載した理由が「凄い選手だけど、トッププレイヤーではない」みたいな扱いをされていたことでしたが、ぐぅの音もでないほどの圧倒的な成績を残してMVPを取りまくっている現在でさえ「エンビードがNo.1」なんていう人が出てきます。ちなみにエンビードはチーム戦術になっていないのでモンスター認定していません。
その一方でヨキッチがNo.1プレイヤーであり、ハリバートンがファイナルへと進んでいるように、インテリジェンスという理不尽な個人能力は「勝利」において極めて重要な要素です。最も重要といった方がいいかもしれません。証明するのは困難な理不尽さであるものの、その凄味は最高の結果へ繋がってきます。
〇プレーオフのカニングハム
41.3分
25.0点
FG42.6%
3P17.9%
8.3リバウンド
8.7アシスト
5.3ターンオーバー
1.8スティール
1.3ブロック
1つのトピックを挙げると、プレーオフではOGアヌノビーの徹底マーク+ダブルチームによってカニングハムは苦しみました。ピストンズのインテリジェンス全てを担っているカニングハムを止めれば、ニックスはイージーに勝てるからこそ徹底した対策をしてきたわけです。
その結果、カニングハムは3P17.9%と散々なフィニッシュになっており、さらに5.3ものターンオーバーを喫しました。スタッツの上ではニックスの対策はバッチリとハマっていたとも言えます。
〇オン/オフレーティング
オフェンス 109.1/104.0
ディフェンス 107.6/113.1
ネット +1.5 / △9.1
しかし、レーティングを見ると全く違う見え方になってきます。プレーオフ6試合でトータル288分のうち、カニングハムが休んだのはたったの40分でしたが、その間のレーティング差が酷いことになっています。
ニックスの対策は効いていたものの、それでもカニングハムがコートにいる時間はピストンズは優位に試合を運べました。シリーズを勝ち抜くには、さらなるステップアップは必要でしたが、戦力的に苦しいはずのピストンズは『カニングハムさえいれば』互角以上の戦いをしていたわけです。
ターンオーバーは多い、3Pは酷いレベルで決まらない。しかし、カニングハムがいればピストンズは勝っている。
それはカニングハムの長所が目に見えるスタッツ以上に『インテリジェンス』だからでした。決まらなくても必要な3Pを打っていることでディフェンスを引き付け、カウンタードライブからの得点に繋げたり、ダブルチームで自分に寄せてパスを捌いたり。マークが厳しいからこそ、それを逆手に取れるかどうかがカニングハムの特徴でもあります。
また、忘れてはいけないのはディフェンス面の貢献です。アーサー、デューレン、トバイアスと並ぶスターターにおいてはカニングハムは普通のガードディフェンダーになりますが、困ったことにシュルーダー、ビーズリーを同時起用していくのでディフェンス面の穴がたくさん生まれ、そしてカニングハムはインサイド側を守る形へとスライドされていきました。
自らの身体能力の特徴を理解し、相手のプレーを読むカニングハムのディフェンスはポジション関係なく守れる万能性があり、それはピストンズが柔軟なラインナップを構成するキーファクターでした。インテリジェンスは攻守に機能し、そのインテリジェンスを頭でっかちで終わらない身体能力とスキルを身に着けているからこそ、カニングハムを卒業認定したいのです。
出だしが斬新!
この成績でHC交代はありえないと思いますが、タイラージェンキンスでみてみたい!
現役選手で他の卒業生は
ヨキッチ
KD
ヤニス
カリー
ザイオン(卒業と取消の繰り返しかもですが・・・)
レブロン(今はともかく)
以外に誰かいますか?
もし、OKCがカニングハムの指名に成功していたら、どの様なチームになったと想像しますか?
ルカがいないのは何故に?