◎エースの座
ロケッツのエースの座はジェイレン・グリーンとKPJの指定席でした。他の選手がどんなに良いプレーをしようがなんだろうが関係ない。そこにグリーンがいるのはわかるけど、なんでKPJなのか意味不明でしたが、ウドカがHCになったことでグリーンすらも、その座は安泰とはなりませんでした。
2年間、自由を与えられ、好き勝手にやってきたグリーンは、かわいそうなほどに「自分の能力を生かす得点パターン」を構築できませんでした。それは言い換えれば
ハンドラーとして好き勝手にやってはダメなスキルセット
ってことです。残念ながら判断能力とパス能力に乏しく、状況判断を求められるプレーが多くなると困ってしまうし、スピードを生かしたドライブをしてもフィニッシュパターンが少なく、リング近くで潰されてしまいます。
〇ゴール下アテンプト
55.3% ⇒ 62.3%
5.08本 ⇒ 4.91本
この弱点が今シーズンは大きく改善しています。ただし、これはトランジションでの得点が1.2点増えたことが大きく関係しており、イージーショットの増加でしかありません。またSGA69.5%は異常としても、グリーン以上の高確率のガードは多くいます。似たような数字なのはマキシー62.6%なので、エースとしてはまだまだってことだ。
グリーンの課題はウドカがHCになったからといって大きく改善したわけではありません。それ以上にシーズン前半はスターターでこそあるものの重要な局面ではベンチに下げられていました。信頼を得られなかったグリーン。
しかし、連勝が続いた3月以降のグリーンはプレーレベルを向上させました。その最大の要因は3Pアテンプト増。シンプルに打ち切るプレーを増やしたことで、スピードを生かしたカウンタードライブの切れ味も増し相乗効果が生まれています。
〇3Pアテンプト
オールスター前 6.5本
オールスター後 9.2本
〇FG成功率
オールスター前 41.1%
オールスター後 45.0%
もともとシュート能力とスピードが売りの選手であり、ハンドラーとしての判断力・パス能力を欠いていたのだから、余計なドリブルを使うこと自体がネガティブでした。シンプルに打ち切るグリーンは怖いし、そこに迷いがないから3P成功率もオールスター後は37.7%まで向上しています。
やっと自分の道を見つけたグリーン。ただ、まだまだ一時の好調に過ぎない匂いもします。エースの座は安パイではなく、常にベンチから2人のウドカ好みのプレーをする選手が、その座を狙うようになりました。
◎イーソンとウィットモア
フィジカルに強いイーソンはマジでグリーンの座を奪い取るかと思われました。ハードなディフェンスと力強いドライブでねじ込む能力はグリーンが持っていないプレーです。もちろん、イーソンはグリーンのようなシュート力もスピードも持っていないけどね。
そのイーソンがケガで離脱したころから台頭したのがウィットモアでした。態度の悪さでドラフト順位を大きく落としたらしい有望株は、ウイングで暇そうにしているかと思ったら、オフェンスリバウンドにも積極的にからむし、何よりグリーンが2年間迷っていた部分でハッキリと「3Pを打ち切り、カウンタードライブでゴール下フィニッシュ」をやってきます。
18.3分のプレーで12.3点はロケッツで最も効率よく得点を奪っており、36分換算すれば24.2点でシェングンを上回ります。こちらもハンドラータイプではありませんが、最もエースらしく得点を奪っていくのがウィットモアであり、しかもリバウンドやスティールの多さも魅力です。
ウドカの好みを考えればウィットモアがエースとして君臨してもおかしくないし、そこに続くのはイーソンかもしれない。シーズン終盤になってのグリーンの爆発がなければトレード要員だった可能性すらあります。
しかし、グリーンは健康でした。これこそがNBAプレイヤーにとって最も重要な要素かもしれない。同期と比べてもケガの少なさで試合経験を積み上げてきたグリーンは、最後まで試合に出続けることで自分のスタイルを見つけられたシーズンになりました。やっぱりグリーンがエースでよさそうだとね。
競争のある若手チーム
若手だらけなのに競争がなく、ニックスを溺愛していたサイラス時代の悪夢。今はグリーンだってその座は怪しく、だけど怪しまれていても最後に勝ったのはグリーンでした。成長すればエースになれる環境ってのは大事だよね。
スマートが来たのに戦う姿勢が薄らいだMEMは、持ち直すことが出来るでしょうかね。
一度そこそこの成功体験をしてる、かつエースも準エースも調子づきやすいタイプなので、下手すりゃHOUより難しそうです。。。
スマート、勿体ない。