アメリカが負けたこと

◎アメリカという国

さて、HC云々は置いといてユーロ系とアメリカ系の違いが目立った今大会でした。組織で解決する中に個人能力がある前提のユーロと、個人能力から組織を考える前提のアメリカ系。ちなみに日本もアメリカ系なのはもちろん、アジア全体がアメリカ系。

オーストラリアはユーロ系の要素が強くなるけど、ギディとミルズ中心に作られているのはハッキリしている。アフリカもアメリカ系なんだけど、南スーダンが突然変異みたいにユーロ系のにおいがしている。だからアメリカ系じゃなくてユーロ以外系なんだけどね。

ユーロの中でもフランスはものすごく怪しくなっており個人技で全て解決していました。だから系統分けそのものが嘘なんだけどね。ただし「国による特徴」はあるよね。びっくりするくらい共通理解が備わっている国がある。

じゃあアメリカの特徴って何だろうか。答えは「そんなものはない」だし、ないからこそ「個人技ベース」になっていきます。育成がクラブ単位ではないのでバラバラの方針で鍛えられ、その中で勝ち残る個人技を持った選手が上のステージへと進んでいく。

苦しくなるほどに個人技のにおいが強まっていった今大会のアメリカは、組織的な戦い方をしようとしたけど、やっぱり個人技に戻っていった気がします。

そういえば東京オリンピックの時もテストマッチではチームオフェンスをしようと頑張り、そこで負け続けたことで本番はヒーローボールに戻っていった。ロイド・ピアースが指示を出していたのはテストマッチまでだった。

ってことでHC批判もしたけれど、アメリカはアメリカ。どうしても個人技の呪縛から抜け出せなかった今大会って感じでした。スティーブ・カーは頑張って抜け出そうとしたんだけど、元に戻っていったのが東京オリンピックと似ている。

ラトビアのPGジャガルスが素晴らしいゲームコントロールでチームを引っ張りましたが、身体能力を見るとNBAでやっていくのは到底ムリ。でも、その「ムリ」ってのは個人技が通用しないとやっていくのが難しいという「アメリカの弱点」でもあります。そろそろ抜け出したいところだけどね。

さらなるスーパースターが不参加だったといっても、どこの国よりも豪華な戦力だったのは間違いない今大会。空中分解することも多かった過去の反省を生かして、ロスターだってバランスよく集めたはずさ。でも、アメリカのアイデンティティは急には変わらない。

そして今大会は「誰が悪かった」というのは特に思いつかないのも面白いところ。しいて言うならリーブスのディフェンスの悪さだけど、悪くても使い続けた方がよっぽど悪いんだしさ。みんなそれぞれ良い部分も悪い部分もあるけれど、みんなそれぞれの特徴でしかないので、批判するような要素はないんだよね。

自分たちの強みを出すことが中心にあるスモールの戦いは、相手の長所に粉砕されていきました。ラトビアとは対極にいたアメリカ。ザ・ストロングスタイルなのは世界最高の国らしさだけど、本当に勝ちたかったらザ・ストロングスタイルは捨てないといけない。「92年とは違うんだ」なんて言ってるけど、30年経ってもストロングスタイルを続けてしまったのさ。

アメリカが負けたこと” への6件のフィードバック

  1.  ご無沙汰しております。

     ”30年経ってもストロングスタイルを続けてしまった”とのご指摘の通りですが、もっと長期でみれば、88年にサボニス中心の旧ソ連に負けるまでは、NCAAのスターでほぼ構成されており、かつ当時のストロングスタイルでした。従って現在はだいぶ丸くなったようにも感じられます。私が年を取ったからでしょうが。良くも悪くもNBAは米社会を象徴しており、今後のアメリカ社会がそう大きく変われないが、しかし世界情勢にあわせ徐々に変化しているという時代の変遷を鏡のようによく映していると思います。
     ところでシュルーダーは今大会を機にIQを向上させ、グレードアップでこそうですか?(ちょっと非現実的なような?)

     長々と書いてすみませんでした。

    1. シュルーダーは代表になると割と改善します。各チームに加わっては契約延長されないように、長くあることで何か起こすんでしょうね。

      アメリカについては昔はわからないのですが、今みたいに事前情報がないならばストロングスタイルで良かったんですよね。
      今回はストロングじゃないロスターだったのに、結局はストロングなのが残念でした。

  2. いつも楽しく拝見させていただいてます。
    いつ頃からか一つの記事が何ページかで構成されるようになりましたが、ページを遷移するナビゲーションのデザインが悪く、意図しないページを誤ってクリックしてしまい、非常に腹立たしい思いをすることが多いです。
    例えば大きく”次のページへ”ボタンをつくるなど、ページ遷移のデザインを変更して頂けないでしょうか?

    1. 本当はそうしたいのですが、アップしてから1ページずつ作業する必要があります。
      割と予約投稿してることも多くて一律に対応できないんです。

      スマホでみてると不便ですよね

  3. アメリカ代表の中でも個人的にすごい良いなあと感じたのはキャムジョンソンでした
    以前whynotさんも仰っていたようにハリバートンとの相性が良いと感じましたし、要所要所でのスイッチディフェンスの適切な動きやオフボールでのポジショニングやスクリーンで味方を活かす働きかけなどもっとプレイタイムを割いても良かったのでは?と考えてしまいます
    アメリカ代表のセカンドユニットのハリバートン主体のオフェンスを観て、「あぁ、ネッツにこういうガードが欲しい…」と思うとともにクールッツの記事も後押ししてまたあのころのネッツのベンチリアクションのハイライトを見返してしまいました

    1. キャム・ジョンソンを使わずにガードだらけにするの意味わかんなかったですね。そもそもロスターに加えないならともかく、役に立つことを知ってて選んで使わないのは、もう何がなんやら

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA