新人の王 パオロ・バンケロ

フォーニエとブーチェビッチを手放し、再建へと舵を切ってから、素早く選手を集めたマジック。そんな中でラストピースのように収まったドラフト1位ながら、チームのエースと認められ、開幕当初から試合終盤の1on1勝負を託されたパオロ・バンケロ。再建チームなのに任されないロケッツのようなチームもあれば、再建チームじゃないところに加わったドラフト1位アンソニー・エドワーズのような選手もいた中で、

正々堂々と「絵にかいた」ドラフト1位の仕事

これをやってのけたバンケロでした。本当にわかりやすいよね。PG陣が軒並み離脱したとか、アイザックがやっぱりダメだったとか、いろいろと不運が重なった結果でもあったけど、ちゃんと再建チームのエースを担ったのは偉い。

文句なしの新人王でしたが、同時にこれだけ明確な扱われ方をした選手も珍しく、ミスでも許される状況でもありました。そういう意味でも絵にかいたドラフト1位だった。今回は新人王を誉めつつも、これまた絵に描いたようにわかりやすい課題についても触れていきましょう。

新人王を獲得した活躍は素晴らしい。でも、現代NBAではそういうわかりやすさは重要視されない。ジェイレン・ウィリアムスのような活躍の仕方もあれば、トレードからエースになったハリバートンみたいな形もある。バンケロのわかりやすさは、バンケロを頂点としたチーム作りの成否を担うってことだしさ。

◎ウイングであって、ビッグではない

時代の流れに乗ったのか、あるいは集まった選手で偶発的に発展したのか、マジックはビッグラインナップのチームになりました。それは6-10もありながらPG役をこなすフランツ・ワグナーの特殊性であると同時に、バンケロが思った以上にインサイド仕事をしないことにありました。

大学時代のプレーではポストムーブが最大の武器で、さらにインサイド側のプレーメイカーとしても機能しそうなタイプでした。ホルムグレンとジャバリ・スミスとドラフト1位の座を争っていましたが、この2人よりもハッキリとしたエーススコアラータイプであり、ポストからのアタックはNBAレベルでも止めにくい武器だと想像されていましたが、フタをあけてみるとアウトサイドからのアタック力が目立ちました。

〇ドライブ
10.0回
6.5点

〇ポストアップ
1.5回
1.5点

〇スポットアップ
3.2回
2.8点

主たる武器はドライブで、ポストアップ・スポットアップはさほど多くなく、それ以上に得点率も1.0を切っていました。NBAレベルでも止められないと思われたポストムーブでしたが、大した脅威にはならず、しかし、アウトサイトからのドライブで何も問題なく得点を重ねていきました。

予想以上に多彩な得点パターンを持っていた

チーム事情の差も大きいですが、単なるシューティングビッグになっていたジャバリ・スミスとの対比がすごかったです。ジャバリがマジックに来ていたら、それはそれで活躍していた気もするしな。まぁジャバリの場合はPG陣のケガで左右されるけど。

〇ピック&ロールロールマン
0.8回
0.7点

そう、ガード陣の離脱が良い方向に出ていたのは、バンケロにはガードとのピック&ロールから得点する形がなかったからです。もっとやっても良さそうなのですが、スクリナーとしてのコンビプレーは少なく、本当に個人技アタックで得点を奪ったので、なおさら「ドラフト1位のエース」っぽくなっていました。

〇スクリーンアシスト 0.8回

当然、スクリナーとしてチームメイトの得点を助けてもいません。こういう部分もなんだかエースっぽいぜ。チームメイトは自分のために働くものって感じがしたバンケロ。まさに王様。新人の王様。現代ビッグマンらしさがないぞ。

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