では、シューティングアテンプトのシーズンとの違いを見てみましょう。
〇エリア別アテンプト
ゴール下 2.9 ⇒ 2.5
ペイント内 1.7 ⇒ 1.5
ミドル 2.2 ⇒ 1.5
コーナー 0.8 ⇒ 0.6
3P 1.7 ⇒ 1.8
面白いことに得意技のミドルが減っていますね。シーズンよりアテンプトが少ないので、全体的に下がっていますが、ミドルの減少が目立ちます。
しかし、これをナゲッツとのカンファレンスファイナルだけに絞ると、印象が変わってきます。
〇CF
ゴール下 5.0
ペイント内 1.7
ミドル 2.3
コーナー 0.3
3P 1.7
ゴール下が多いから点を取れているってのは、スモールサンプルにおける結果論ですが、総じてコーナー3Pを打たず、ミドルとドライブで勝負していることがわかります。ってことで、プレーオフ全体で見ればシーズンと大差ないけど、好調なナゲッツとのシリーズだけを考えると、八村が点を取れているのは得意なゾーンが増えたからです。
同時にコーナー3Pの少なさは「スペーシング仕事をしていない」ということでもあります。なんせヨキッチは八村を無視してADのカバーに行くという、自分がやられたことの逆を実行しており、もっと八村がコーナーから3Pを打てばよい感じでもあります。
プレーオフのレイカーズはコーナー3P6.7本でクリッパーズに次いで少なく、八村に限らず、コーナーを捨てている傾向があります。ちなみに一番多く打っているのはバンダービルドという状況。これが成立している理由の1つに
レブロンがコーナー待機している
そんなシーンを特にグリズリーズとのシリーズでは感じました。ディロン・ブルックス対応も含めて、レブロンがオフェンスに参加する機会が減り、ディアンジェロとリーブスで組み立てるのが成功していましたが、同時にコーナーへ展開しなくてもスペーシング出来ているという奇妙な構図が出来上がりました。一番、警戒する選手がコーナーにいるんだもん。
〇ワイドオープン3P 15.1本 37.4%
そのためコーナー3Pは少ないのに、ワイドオープン3Pは普通の本数という奇妙な現象がレイカーズには起きています。ちなみにトップはレイカーズのインサイド引きこもりと戦ったグリズリーズの22.8本です。7本もワイドオープン3Pの本数が違ったっていうさ。
八村の得点力とレイカーズの得点が比例していない
コーナー3Pが減ってインサイドの得点が増えた
コーナー3Pが少ない割にワイドオープンが多いレイカーズ
「なんとなく」ではありますが、八村がやりやすい環境になっていることが理解できますね。ただ、それはナゲッツとのシリーズで強く出ている案件であり、ウォリアーズとのシリーズでは八村は点が取れなかったように、相手のディフェンスとの関係の中で、特にレブロンやADへの対応が迫られた中で、八村がオプション的に機能しているという空気です。
これは「ウィザーズではできなかった」というよりは、「プレーオフだから目立った」ような気がしてきます。いろんな対策を練りこんだ両チームと、その中で個人技勝負がしやすくなるベンチのオプション担当。そこが八村の仕事だよな。
ある意味でウィザーズはシックスマンの八村を「3人目のウイング」として戦術の中心にも置いていました。八村っていうか、ウイング中心で、その1人ってことね。(ビールが不在時の話)それよりもオプション担当として1on1をしている方が八村には合っているのは事実でしょうね。