キングス、１７年ぶりのシーズン勝ち越し

◎ディアーロン・フォックス

４Ｑのキングスは平均２８．９点ですが、そのうち８．２点がフォックスです。続くハーターでも４．５点、サボニス３．４点、バーンズ３．０点なので、フォックス頼みなのです。

オーバータイムに至っては１６．３点のうち７．５点がフォックスです。フォックス、フォックス、またフォックス。それがキングスの勝ちパターンなわけだ。

〇フォックス
１～３Ｑ　１７．０点
４Ｑ　　　　８．２点

ただ得点を取っているだけではなく、４Ｑ序盤のセカンドユニットの時間帯を支えている一面もあり、スターターを休ませる中でフォックスの個人技に頼っています。それをフォックスは見事にインサイド攻略で答えています。

フォックスの特徴はスピードですが、今シーズンはそこにインサイドでの柔らかなフィニッシュが加わりました。ショートレンジを決めきるスキルは気が付いたらリーグ最高になっており、スピードを止められてもフェイダウェイで決めきる点も含めて、ペイント内で無双しています。

４Ｑのフォックス

リングから８フィート以内を攻略しまくっている。
このゾーンでＦＧ７１．５％という異常な高確率

フォックスのインサイド攻略があるのでチームの３Ｐが３９％という高確率 pic.twitter.com/PKFTff43P1

— whynot! (@whynot_jp) March 18, 2023

スターターが戻ってきて、いったんベンチで休んだ後、さらにフォックス劇場がスタートするのも特徴です。クラッチフォックスの偉大さ。

〇クラッチ・フォックス
得点　５．２点
ＦＧ　５４．４％
３Ｐ　３１．６％
アシスト　０．５
スティール　０．３

クラッチタイムでの得点はリーグトップ。それもＦＧ５４％という高確率で達成しています。終盤になると外す気がしないフォックスの異常さですが、もう１つのすごみが０．３スティールにあります。

フォックスのスティール数は１．２なのですが、それが残り５分±５点差で０．３も記録しているように、ギアを上げるようにディフェンスプレッシャーを強めます。

そもそも今シーズンのフォックスはオフェンスの主役にも拘らず、ディフェンスでも相手ガードとのマッチアップが基本になりました。攻守にフォックス頼みという変なチームになってきたキングスであり、偉大なるプレーを披露するフォックス。

ただし、やっぱりチームとしては守れるわけではなく、かわりにリーグの中でも異質のオフェンスレーティングを発揮しています。

〇クラッチのオフェンスレーティング
キングス　１２９．７
ナゲッツ　１１６．２
ジャズ　　１１５．６
クリッパーズ　１１５．４
レイカーズ　　１１５．４

基本的にクラッチタイムはオフェンス力が落ちるのですが、とんでもないレーティングを発揮しています。なお、ウエストだらけなのはお互いに守れないことが多いからであり、個人技勝負が残されているからです。ジャズ以外は。

このオフェンス力を武器に接戦での勝敗が２４勝１５敗と９つも勝ち越しています。これを書いている時点でキングスの勝敗は４２勝２７敗と勝ち越しは１５なので、接戦に強いことが今シーズンの好成績を支えているとも言えます。

フォックス中心に異常な火力で接戦を勝ち切っている！

この事実はフォックスのすごみであると同時に、前述の『規律』も関わってきます。オフェンスで勝ち切るのは間違いないものの、一定のルールをもって守り、失点してもルール内ならば気にせずにオフェンスへと移行します。

メンタルのアップダウンが少なく、自分たちが勝てると信じている

まぁいろいろ言っても、ここに尽きるよね。フォックスが勝たせてくれるから、慌てることがないし、接戦でも何も迷うことはない。勝てば勝つほど自信が増すのでプレーに迷いがない。ウエスト全体の勝率が低いこともあって、２位になっていますが、２位という順位がキングスに活力を与えています。

ＭＶＰ争いにフォックスの名前が上がらないのは変だぞ。こんな異常な活躍をしているのにさ。