5割確定したよ記念。後編
40勝記念から1敗したものの、無事に41勝目をあげシーズン勝ち越しが決まったキングス。前回の内容をまとめると
離脱者が少なく、継続的なチーム作りが出来た
サボニス含め新加入組に「オフボール担当」が多かった
こんな要素が挙げられます。後者は明確なチーム改革ですが、前者は他のチームからすると「ケガ人が少なかっただけだろ」って感じです。でも大切なのはケガ人が少ないことではなくて「継続的なチーム作り」の方でして、キングスも初めは起用する選手に迷い・誤りが多く苦労してきたけど、長く離脱する選手がいなかったから機能する形を作れてきました。
ちなみに、最近はネッツからやってきたケスラー・エドワーズがディフェンス担当として起用されており、「ウイングディフェンダーが欲しい」というシーズン開幕当初からの欲求に逆らえていないマイク・ブラウンです。そう考えると主力はもちろん、ライルズあたりがケガしていても、どこかで躓いた気もします。
◎ディフェンスとは何か
今シーズンのキングスは「ディフェンス大事だぜ」といって始まりました。そのためにKZオクパラをスターターにしたわけですが、例によって無理でした。これについてはサボニス問題が大きく、そのサボニスのオフェンス力が誰もまねできないものだったのでプレータイムが長くなり、そして守れないが続きました。
〇サボニスのディフェンスレーティング
オンコート 115.5
オフコート 111.9
ただし、この差は他のスターターでも大した違いはなく、基本的にはベンチメンバーの方が守れています。守れているっていうか相手のオフェンス力が低いくらいの感じです。むしろ大切なのは「特定の誰か」のディフェンスではなく、総じて全員が同じような感じってことでした。
誰が出てても守れないし、誰かで致命的に守れないわけでもない
結局のところ、総じてディフェンス力が低いわけですが、意外と安定していました。安定するポイントが低いレベルだっただけで、安定はしていました。
〇レーティングの変化
オフェンス 109.6⇒118.5
ディフェンス 114.8⇒115.8
オフェンス力が上がったのは前回ふれたとおりですが、オフェンスが上がるとディフェンスも上がりがちなのを、どうにか抑え込んだ印象です。どうにかね。
〇失点 115.8 ⇒ 118.2
〇速攻での失点 13.4 ⇒ 11.8
〇TOからの失点 17.9 ⇒ 16.9
〇ペイント内失点 51.4 ⇒ 54.0
キングスは失点数を増やしたものの、その内訳をみていくと「速攻」と「ターンオーバー」からの失点が減っています。いわゆるリスクマネジメントの部分で、カウンターアタックを封じ込めることに成功しました。
速攻はリードを奪うための武器であり、同時にビハインドを背負ってしまうリスクを持っています。ハリーバックの意識は守れないキングスにとって、せめてものマネジメントだったことになります。
ちなみにキングスのターンオーバーは14.0から14.1回と僅か0.1回ですが増えているので、ミスが減ったわけではありません。従来通りのミスはするけど、速攻は食らわないように守れているということです。ディフェンスとはスキル・身体能力よりも「気持ちだ」星人に近い考え方ですが、そこは成功しているんだよ。
また、3Pの被アテンプトが減り、2Pが増えました。なおフリースローも増えているのでディフェンス的に成功したわけではありませんが、ここでも爆発される危険性のあるプレーを制限しています。
〇被アテンプト
3P 34.9本 ⇒ 33.4本
2P 54.7本 ⇒ 55.6本
ブロック数は減ったし、スティールも減りましたが、3Pは打たれなくなり、速攻も抑制しています。そしてリバウンドを取られる回数も減りました。もちろんセカンドチャンスの失点も減った。
〇被オフェンスリバウンド 10.6 ⇒ 9.6
こうして考えていくとキングスのディフェンス力そのものは改善していませんが、その中身は大きく変化したことになります。ちなみに良くなった数字はチャージドローです。
〇チャージドロー 0.33回 ⇒ 0.67回
〇ブロック 4.5 ⇒ 3.2
〇スティール 7.2 ⇒ 6.9
ブロックの減少に対してチャージドローの増加は、全く持って見合っていませんが、オフェンスリバウンドを取られる回数が1回減ったと思えば、なんとかイーブンに・・・まではいかないね。
キングスはこれまで同様に守れません。しかし、守れない内容は変化しました。
ペイント内失点、被FG%は悪化し、失点が増えたが
速攻、3P、セカンドチャンスなど「点差が広がる」失点は減った
これがキングスのディフェンスが「安定」した理由です。ディフェンス力そのものは上がっていないどころか、悪化したかもしれませんが、安易な失点を減らし、ラッシュされる危険性が下がりました。
それは大量ビハインドにさえならなければ勝てるというオフェンス力への自信でもありますが、いずれにしても大量得点差にはならないケースが増えたわけだ。
〇11点差以上になった試合数
昨シーズン 51試合(11勝40敗)
今シーズン 33試合(11勝22敗)
〇16点差以上になった試合数
昨シーズン 32試合(1勝31敗)
今シーズン 17試合(5勝12敗)
うーん、微妙。勝っているんだからビハインドの試合数が減ったのは当然だし、そのビハインドから逆転した試合が増えたのも事実。結局はオフェンスで打ち勝っているだけじゃねーか。オフェンス力が向上しただけじゃねーか。
そんな気もしますが、それならばサボニス、ハーター、マレー、ライルズの仕事がデカいわけですね。ディフェンスが勝利数を増やした要素とは言い難いですが、リスクを抑制したディフェンスにシフトしたので、ちょっとだけ負けにくくなったのも事実です。ちょっとだけね。
本題からそれてすみません。日本人として元大濠の川島選手の決断に注目してしまいます。https://news.yahoo.co.jp/articles/7b0c08060d01b70a493222d0f535cfeb8267d63d
個人的には体幹の強化、ボールハンドリングやクイックリリース及びコートビジョンの向上がまず年頭に浮かびますが、管理人さんの率直なご意見及び彼へのアドバイスをお聞かせいただければ幸いです。宜しくお願いいたします。
まだ大濠ですよ。
単純に戦術力なのですが、それは頭の中身ではなく、コートの中央でプレーメイクに参加するか、ウイングやコーナーからのプレーを基本にするか。
そしてその中で自身の良さをどうやって使うのか。この辺が整理されてないように見えます。
よく言えばオールラウンダー、悪く言えば特徴がない。
ここからチーム戦術の中で自分をどうやって表現していくのか、そのために足りないスキルは何かを探すのだと思います