ホークスの崩壊はあるのか

◎スペースの魔術師とカペラ

17年のプレーオフファーストラウンドでウィザーズに2勝4敗で負けたホークス。それはブーデンフォルツァーによる魔法のような時代を終わらせることになりました。ここからウォールを中心に脱キャブス時代に移ると思われたイーストの環境もあって、ホークスは再建を選びます。ただし、プレーオフに出た直後のドラフトでよい指名権があるはずもなく、17-18シーズンはブーデンフォルツァーのオマケのようなシーズンでした。

しかし、そこで頭角を現したのは「スペーシングの魔術師」というべきドラフト19位のジョン・コリンズでした。24分のプレータイムながら10.5点、7.3アシストのコリンズは「チームメイトのパスを引き出す」ことでリズムを作れる選手でした。

2年目には19.5点、9.8リバウンドをあげ、3年目は21.6点、10.1リバウンドに加えて1.6ブロックも記録しています。19位指名ながらホークスの新たな核が手に入ったのは大きな出来事であり、チームの方向性も現代的なトランジションとコンビプレーによるオフェンシブな方向に決まったといえます。

ちなみにルーキーシーズンはディフェンス力不足が嘆かれたコリンズですが、3年目になるとすっかりディフェンス力が武器になっており、3P40%というアウトサイドの向上もあって、大きな契約を要求・ゲットしました。コリンズのブレークは現在のホークスが作られる最初のきっかけでした。

ところが、ここで事件が起きます。ホークスはディフェンス力の底上げのために、ロケッツからクリント・カペラを獲得しました。ドラフト6位でオコングを獲得していたこともあり、不要な補強に思えましたが、カペラ加入のシーズンにカンファレンスファイナルまで進んだこともあり、正当化されています。

ここで問題だったのはカペラの活躍ぶりではなく「ペイント内のスペースが消えた」ということでした。

新生ホークスの代名詞でもあった「スペーシングの魔術師」による合わせのプレーがこのシーズンから消え始めます。それでも当時はガリナリやソロモン・ヒルがいて、コリンズをセンターで使う時間もあり、相手によってカペラとコリンズを使い分けることや、コリンズの3P40%もあってチームとしては成立していました。

〇コリンズの被アシスト数
19-20シーズン 6.8
20-21シーズン 5.3(カペラ加入)
21-22シーズン 5.2
22-23シーズン 4.3

現在の4.3もの被アシスト数は十分に多いですが、カペラ加入前の6.8は素晴らしい数字です。カペラも被アシストが4つくらいあるので、コンビで成立していますが、2人なってどれだけのメリットがあるのか微妙です。それ以上に問題なのは、今シーズンの成績です。連携力アップしておかしくないのに、何故か減ってしまったのはなぜなのか。

〇コリンズへのパス数
昨シーズン 27.7本
今シーズン 22.6本

インサイドのコリンズへのパス数は明確に減ってしまいました。スペーシングが下手になってきたのは今シーズンからの話ではありませんが、こうしてパスまで減ったのは今シーズンの特徴です。カペラの欠場が多い中、何故かコリンズへのパスが減り、必然的に被アシストも減ってしまった。

ホークスの特徴だったコンビプレーは極端に減ってしまっています。実はコリンズ放出は悪い選択肢ではないっていうね。いや、コリンズ放出したって何かが変わるわけじゃないんだけどさ。

ヤングと仲間たち ⇒

ホークスの崩壊はあるのか” への6件のフィードバック

  1. プレーオフで活躍した時のハンターのエース感はどこへやら、ボールが足りない印象です。勝つにはヤングに任せる方が良いですが、チームが成り立つには役割と戦術が大切と理解しました。

    マレーの最適解はオフボール、オンボールどっちでしょうか。

    1. マレーのオフボールは厳しいので、オンボールなんですけど・・・・ディフェンダーでしょ。
      オフェンスのマレーを信じすぎなんですよね。

  2. お疲れ様です。
    とても面白かったです。
    悩みの部分ですが、成功したときに優勝に近そうなのは後者のヤング&コリンズだと思うので、軌道修正した世界線を見たいです。
    マレー獲得時はこんな風になるとは思いもよりませんでした。

    あと、変わったばっかのHCが好成績上げてるのをみると、カーとスポルストラは本当にすごいですよね。
    マブスファンとしてはカーライルがペイサーズで戦えてるのは嬉しかったりします。

    1. ポポビッチはやり方を変えていけるジジイなのが最大の魅力でしたしね。今は間違った方向に進んでいますが、それもどこかで方向転換するでしょうし。

      長くHCやるには、頭が柔らかいことが最も大事な気がします
      カーはちょっと例外・・・

  3. 飛躍のシーズンを過ごしたのにそれが継続されないのはイーストのチームあるあるですね。
    競争の激しいウエストと比べてイーストはトップ3以外は勝率5割前後なんてことがままあるので、忍耐力というかチームとしての強度が上がらないまま成績だけ向上してしまうのが原因なのかなと思います。

    1. 一時の好調さだけでクリアできてしまうイースト特有の問題がありますよね。
      ウエストだとボッコボコにされて、どうにもならないから工夫するのですが。

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