不安という改善点

今オフは大型補強が少なく、指名権とのトレードくらいなので戦力大移動はしておらず、最大のFAがブロンソンという近年まれにみる平和(?)なオフでした。かわりに「ケガ人の復帰」という大型補強は実施されています。

その一方でカイリー&デュラントの乱から始まり、マイルズ・ブリッジスの逮捕からクラウダーのトレード要求まで、多数の事件が発生しています。現状に満足していなかったり、単にプライベートの問題だったり。

動きが小さかった分だけ「期待」よりも「不安」が勝っており、開幕直前になってもブックナイトが逮捕されているし、なんだかどうなるんだろう。

さて、今回は代表的な不安要素を挙げていきましょう。それはトレードに繋がるかもしれないし、HCが解雇されるかもしれない。やけに怪しい案件が多いのも事実です。これらを現地記事を翻訳したような書体で書いていきましょう。

◎HC問題

既に爆発してしまったのはセルツのウドカが「ルールを破る」プライベートな問題を発生してしまったけど、コートの上でもヤバそうな話がいっぱい見え隠れしています。

①スティーブ・ナッシュ問題

デュラントが解任要求したものの、受け付けなかったショーン・マークス。むしろ要求されなくても解任していてよかったくらいなのだが、その答えはなんなのか。

ただオフの補強は「レジェンド・ナッシュの再現」を思い起こさせるように、センターはロスターに加えず、機動力系統のクラクストンとマルチウイングを集め、ジョー・ハリスの復帰で分厚くなるシューター陣とともに『ベン・シモンズ仕様のラインナップ』を完成させた。

ナッシュは、かつてダントーニと共に作り上げたサンズスタイルをシモンズで再現すればよくなった。これ以上ないほどに、わかりやすくネッツはナッシュするわけだ。もう何も言い訳はできないし、(ダントーニを除けば)ナッシュこそが適任である。

しかし、プレシーズンの時点で既に失敗の匂いがしはじめた。信頼できないHCであるナッシュと、信用して良いのかわからないシモンズ。一蓮托生なHCとプレイヤーは、試合をこなせば改善するのか、それともデュラントの不満が溜まるのか?

②チャウンシー・ビラップスの嘘

ビラップスがブレイザーズのHCに就任したとき、リラード&マカラムにおける課題だったディフェンスを重視することを明言していたが、戦術的な改善ポイントが不明なまま、2人はケガで離脱し再調整の1年となった。

GMが交代したことで(ガード陣との契約額を除けば)偏った補強ではなく、チームバランスを保ったロスター構成へと動いた今オフは、見方によっては非常に面白いチームになり、ビラップス本人も手ごたえを感じているような発言があったらしい。

しかし、フタを開けてみればボロボロのディフェンスをみせたプレシーズンとして、早くもブレイザーズファンが嘆いている。以前の守れないチームと何も変わっていないらしい。

ペイトン、ハート、ウィンスロー、リトル、ジェレミ、ヌルキッチ、ワトフォード

でも、今はリラード&マカラムにオフェンシブなウイングを並べ、ヌルキッチが「死んでしまうんじゃないか」というくらい働いていた頃とはロスターが違う。ガードディフェンダーにマルチなウイングが揃いながらも守れないっていうのはHC問題である。

ビラップスには完成形が見えているのか、それとも言葉だけでディフェンスに注力する気がないのか。開幕2カ月もすればプレーオフ圏内の6位の可能性すら消えてしまうウエストだけに、あまりにも不安な開幕になっている。

③モンティ・ウィリアムスの人心掌握

オーナーも含めてワガママ問題児軍団だったサンズを、まとまりのあるチームへと変貌させたモンティの功績は極めて大きい。シーズン最高成績まで記録し、サンズの歴史に残るHCになった。

ところがプレーオフになると、主力酷使へと変貌し、最終的にはエイトン問題を引き起こしてしまった。エイトンについては、お金で解決したものの、本当にハードワークを続けるのか疑問も残っている。

そしてクラウダー問題が起こった。未だ解決はしていないものの、早々に見切りをつけてチームへの帯同を求めなかったのは良い判断だったが、トレードは決まっていない。それこそブレイザーズあたりが欲しそうにも見えるが、ホークスの噂もあり、決断さえすればどうにかなりそうではある。

結局のところ、モンティ最大の武器であった「人心掌握」への不安はコートの内外問わず、全てにおいて影響が出てきそうな話だ。幸いにもブッカーとミカルは平和に過ごしているのだから、急激に転落するとは思えないが、トップを走れる気もしない。シーズンで何が起こるのか見てみよう。

④ウィル・アンセルドの妄想

モンテ・モリスの獲得は懸念だったPGを埋めるだけでなく、アンセルドが意図するオフェンスを形にするために必要な戦力だった。実際にプレシーズンでは、モリスが起点になることでオフェンスは形になろうとしていた。

しかし、「形」になっただけで「連動」はしていない。起点を作った時点で全員が足を止め、ボールを見ている。スペースを作る動きもなければ、ダミーになる気もない。ポップしておけばキックアウトがもらえそうなのに中に絞って立っていることもある。

選手の組み合わせの悪さも手伝って大渋滞しているウィザーズのオフェンスは見るに堪えない。「形」が出来たからこそビールとポルジンギスのポジショニングの酷さは際立ってしまった印象すらあり、これなら個人技アタックさせていた方がマシかもしれない。

いずれにしてもアンセルドは昨シーズンよりも責任を取る必要がある。自分が意図したオフェンスはモリスが作ろうとしてくれているが、チームメイトは何も理解していない。それはただ単にモリスにぶん投げているのと同じことだ。そしてぶん投げて良いスーパースターではない。

ウィザーズは例によって上手くいなかった場合、ビールをトレードに出すのだろうか。あり得ない話ではあるが、ウエストブルックとトレードすれば、全てをぶん投げて改善する可能性すらある。でもHC交代させなければ、PGにぶん投げるだけである。

アンセルドは何を妄想しているのだろうか。「ヨキッチが欲しい」としか思えない現状は変えられるのだろうか。モリスが来て、やりたい形が出来た結果、悪化するならば戦術を妄想しているだけになってしまう。

⑤クリス・フィンチの脳トレ

ウルブズがゴベアを獲得したとき「フィンチはツインタワー好きだよな」と誰もが思っただろう。ヨキッチ&プラムリー、AD&カズンズに続いて、タウンズ&ゴベアである。ここまでツインタワーと縁があるのも珍しく、明らかにHCに合わせた補強だったはず。

そういえばラプターズではシアカムを起点にしたポストアタックを構築していたが、今では5ビッグでガードになっているシアカム。ナゲッツもペリカンズも、フィンチがいなくなったら、やり方も大きく変わってしまっている。

タウンズとゴベアが並んだのはプレシーズン最終戦だけだったが、明らかに機能不全を起こしていた。共にガードに対してスクリナーになる動きをするため、コートの中央がごちゃごちゃしてしまった。タウンズがコーナーに立つか、ゴベアがエンドラインに立つか、その組み合わせだと思っていたが、2人ともプレーメイクに関わろうとしていた。

タウンズに対してゴベアがスクリーンに行く形は、MPJ&ヨキッチを思わせる面白いプレーではあったが、ゴベアにシュートがない以上はタウンズが決める前提となる。何度も繰り返せるプレーコールではないだから、より多彩なプレーを用意しなければいけない。

タウンズとゴベア、どちらかがベンチに座っているならば、カイル・アンダーソンの活躍もあって、面白そうなチームになっているが、サラリーを考えると機能不全である。開幕からしばらくは選手起用に苦労するのかもしれない。ゴベアじゃなくてカズンズで良かった気もしてくる。

ちなみにウルブズは「F」登録が4人しかいない。他は「F-C」登録なので完全なウイングはマクダニエル、プリンス、マイノット、パスカルだが、いずれもワンビッグ時のウイングをこなすタイプである。つまり、ビッグ側のウイングが多くなっている。

大量のガードとビッグで構成するのは、いかにもペリカンズ時代っぽい。あの時はロンド、ホリデー、ムーアの3ガードにカズンズとADのツインタワーという奇妙な構成だった(実際にはケガが多いので、この構成は少なかった)ウルブズでも再現するのだろうか。

フィンチの要請にこたえるようなロスターへと変化したウルブズ。それは偏ったロスターであり、偏った戦い方を好むフィンチっぽさでもある。普通のロスターで偏った戦い方の方が強そうだが、果たして何が起こるのだろうか。

そして失敗したときにフィンチをクビに出来るのだろうか?
失敗とはどのレベルのことを言うのだろうか?
ある程度は勝つはずだが「ある程度」からの卒業を目指すシーズンだからこそ思い切った賭けにでたわけで、グルグルと思考が巡るのである。

そんなわけで5人のHCを挙げてみたが、不安要素とは改善に向けた変化でもある。戦術シモンズ、PGモリス、ツインタワーは成功すれば確変を起こすのだから、今は怪しくても突っ走るしかない。

不安要素は改善するのか、怖がりつつも期待するしかないのだ。

不安という改善点” への6件のフィードバック

  1. 別のHCと契約予定のはずだったのにいきなりバトンを渡された挙句、主力の若手2人が逮捕されて自分のやり方とおそらく合わないであろうロスターを今季指揮しなくてはいけないクリフォードが1番「不憫」なような気がしなくもないです。

    1. 不安とは違う問題なので書きませんでした。
      クリフォードの特徴は理解しているはずなので、勝てなくてもフロントがクレームするのは違いますしね

  2. ビールはトレード拒否権あるので動かすの相当難しそうですが。
    モリスは好きにやれそうな感じだったけど、チームとしての連動は皆無だった。結局東10位くらいと変わらない感じ。

    1. 弱いチームに痛いから拒否するパターンは珍しいですよね。
      トレードされるとサラリー上がるのに

  3. セルツが躍進した翌年のブラッド・スティーブンスの人心掌握がイマイチだった、ということがありましたが、人心掌握が武器のHCが躍進した翌シーズンは上手く行かないみたいな事があるんですかね。
    モンティやスティーブンスのような人心掌握が得意なHCの共通の弱点みたいなものがあるんでしょうか?

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