やれんのか、グリズリーズ

◎若き天才の戦術

ブーデンフォルツァー系統のコーチである若き天才タイラー・ジェンキンスはいわゆるアナリスティックな戦術の先にある進化系戦術の第一人者といっても過言ではありません。

3Pとインサイドアタックを重視しているものの、「ゴール下」への拘りはもたず、「ペイント内のショートレンジ」を多用することでファールドローに拘らないオフェンス戦術を構築します。今はモラントによって増えてきたけどね。

〇FGアテンプト 94.4本(1位)
ゴール下  29.2本(4位)
ペイント内 24.2本(1位)
ミドル    8.5本(25位)
3P    32.7本(23位)
FT    23.1本(7位)

リーグ最高の速攻チームになったので、ゴール下も増えましたが、3Pアテンプトを増やさなくても、ペイント内のショートレンジを活用することで115点を奪っており、より堅実なシュートチョイスで崩せてしまうチームになっています。

ミドルの少なさは現代的ながら、ショートレンジの多さで解決しているのが現代の先にある戦術構成です。

今オフはメルトンがいなくなったことで、3Pと速攻には不安が残りますが、シューター系統の獲得は進めており、3P増を考えているのかもしれません。

フィジカルにインサイドを攻めてショートレンジを決める
3Pを増やし、堅実性も確保したい

物凄くポジティブに考えるならば、やはり補強の狙いもみてとれます。チーム方針としてはペイント内の確率が悪いのは厳しいと思うんだよね。そこだけザック・ランドルフの伝統が残っている。

〇スティール 9.8(1位)
〇オフェンスリバウンド 14.1(1位)

同時にハードワークこそが重要というバスケをします。アダムス、クラーク、JJJ、そしてモラントというオフェンスリバウンドは誰も減っていないので、変わらぬ強みにしてくるでしょう。

ベンチメンバーながらチームハイの1.5スティールのメルトンと、1.1スティールのカイル・アンダーソンが抜けたことは不安も大きいです。カウンターの速攻がグリズリーズの特徴でしたが、ここを補える選手は獲得できていません。

その分、フィジカルなディフェンスを期待しているのかもしれませんが、どうなるんだろうね。

◎誰でも輝かせる天才

戦術的な先進性も目立つことながら、天才タイラー・ジェンキンスの真骨頂は「誰もが輝くチーム」を作ることです。それも若手だらけなのに、全員に仕事があります。

わかりやすい例はプレーオフでのティルマンでした。スターターのアダムスと大活躍したクラークはわかりやすいビッグですが、ウルブズ戦でタウンズ相手に守れなかったアダムスを見て、いわば「間を取ってのティルマン」をチョイスした感じです。

アダムスではスピードで負ける
クラークではフィジカルで負ける
中間のティルマンで勝負

これが成功したかといえば微妙ではありますが、タイラー・ジェンキンスの頭の中は少し見えた気がします。選手の序列は(モラント以外は)つけられておらず、各選手の特徴に合わせて起用するタイミングが異なり、特徴の違いを活かそうとしているわけです。

JJJをセンターにしたスモールラインナップ
タイアスとモラントを並べた3ガード
ベインとブルックス、ザイアーの並べ方

ここでも使い分けによって、ラインナップの柔軟性を作っています。とにもかくにも対戦相手、試合展開、そして自分たちが使いたい武器がなんであるか。モラント以外はプレータイムが30分を下回るグリズリーズらしさは「選手の使い分け」にあります。

なんか、スペイン代表みたいだね。ルビオとガソル弟がいなかったから戦術の意識が高くなったユーロバスケ2022

そしてタイラー・ジェンキンスの元にくると「弱点が見えにくくなる」という傾向もあります。チーム戦術の徹底により、相互にカバーされていくことと、ディティールの改善による細かいミスの削減。

その中でもディフェンスはチームとしてのカバーもありながら、各選手がフィジカルに戦うことで弱点にならない特徴が出てきます。さすがにプレーオフではそこまで上手くいかなかったけど。

「重い」選手を集めたことも、この特徴に合致しています。スピード不足についてはチーム全体でカバーできるし、何よりもカバーリングの上手いアダムスやティルマンを重用しているから、そう簡単にフリーの選手は生まれません。

各選手の武器が活かされる起用法
各選手の弱点をカバーするチーム戦術

なんだか特殊系統の選手を好む理由も見えてきます。再建を始めた初期のグリズリーズは「ディフェンス力のある選手」を優先して集めていたイメージですが、最近はやや変更されており、ディフェンス力不足をカバーする仕組みが出来てきました。その中で今オフはルーキー補強のみで済まそうとしています。

大丈夫か、グリズリーズ
やれんのか、グリズリーズ

やれるんだろ!タイラー・ジェンキンス!!

どっかのスーパースターならば「ちゃんと補強しろやボケ! GMクビにすんぞ」と言い出しそうなオフの補強でしたが、結局のところ、この補強で済まそうとしているのは天才HCへの異常なる信頼の気もします。

やれんのか、グリズリーズ” への7件のフィードバック

  1. ダニグリ+指名権でジョーダンクラークソンとかそういうトレードはないのかな

    1. 指名権を手放してまで個人技担当が欲しいかですね。
      どっちかというとコンリーのが欲しいし。

      1. それでもジェンキンスなら良い使い方発見してくれそう(謎の信頼感)
        コンリーも帰ってきて欲しいけどサラリー差があってトレードしづらいですね

  2. ブルックスもメルトンもロケッツの2巡目指名だったということを考えると、ドラフト指名権は2巡目といえど貴重な資産ですね。

    1. なのか、2巡目でも大事にできるチームが強いのか。
      次回のピストンズも2巡目で当ててますし

  3. いくらなんでも昨シーズンの成功はなさそうですよね。ただ、タイラージェンキンスとモラントがいるからほどほどにはいけるだろと楽観視しております。因みに来シーズンはコンチャーがきますので期待してください。

    1. ヤル気あるのかどうか。
      でも、どうにでもしてしまうHCとエースってのは強いし、なんだかモラントに試練を与えるのが大事みたいな

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