JBAテクニカルレポート ディフェンス編

4 ) 3 ポイントディフェンス
2019W杯時と比較した相手 3pt% は 39% から 36% まで、3 % ほど下げることができている。しかし、3 pt ディフェンスの分析においては、確率よりも、どれくらい相手に 3 pt を打たれてしまったかを検証していくことが重要となる。

スペインに関しては、3 pt 試投数を平均以下に抑えることができたが、スロベニア、アルゼンチンに関しては相手の平均以上に多くの 3 pt を打たせてしまった

スペインは3P打たなくてもインサイドで得点できたので、それだけの理由なきがしますが、逆にスロベニアとアルゼンチンには3P打たれまくったのは面白いですね。特にスロベニアね。3P打ってくる相手に、3P打たせていたというのがね。

アンガーデッド、つまり守れていない時のシュート数です。
日本は最も多く「フリーのキャッチ&シュート」を打たれた国であり、しかもEFGが73%とエグイことになっています。シュート力の差を無視すると3Pを打たれまくったと考えて問題なさそうです。

ところで、長いので省略しますが、レポートは何故かこの部分が推論だらけになっています。試合観ていたんだろ?

さて、ディフェンスのマズい部分は置いといて、ここも前回のオフェンスの表を思い出してみましょう。

日本のキャッチ&シュートは平均19本で下にはチェコしかいませんでした。この19本のうち、アンガーデッド、つまりフリーなのは10本でした。ロング2Pが多かったことも含めて、キックアウトやスクリーンによってフリーのシューティングを作るのが下手です。

オフェンスはフリーのキャッチ&シュートを作れず
ディフェンスはフリーのキャッチ&シュートを打たれまくった

ここも結局は攻守連動した問題に見えます。おそらくBリーグでやっている限りはハンドラーを強く守っていればOKなのでしょう。ガードに外国人選手が少ないこともあって、ダイナミックな展開は少ない。

プレーメイクが下手な点も含めてですが、単に「3Pを打て」ではない課題にみえます。オフェンスのベースレベルが向上すれば、必然的にディフェンスも向上する気がします。これについては絶対にオフェンスが先なのですが、ホーバスが欲しがるビッグマンシューターが試合に出れないことも含めて、日本全体の課題に思えるので、JBAのテクニカルスタッフならば提起すべきでしょう。

繰り返しますが、3Pを打たれまくった件については、これといった分析はありません。速攻に時間かけすぎたんじゃないの?

次はチームとしてのディフェンスコンセプトの話

◎チームディフェンスビルディングのプロセスと検証

今大会でのディフェンスコンセプトを実現するために、具体的にどのような準備を行ったのかを振り返りたい。

2019W杯時においては、トランジションディフェンスに大きな課題を抱え、またインテンシティ、アグレッシブネスはまだまだ世界との差が大きくあるというのがラマス HC の分析だった。

また、1 on 1 で守りきるディフェンス力と責任感を求めたものの、やはりサイズ、スピード、スキルを併せ持つ相手プレーヤーを 1 on 1 で守りきることは難しく、1 on 1 を行うスペースを簡単に与えないディフェンスを目指すこととした

1on1は守れないから「1on1を減らす」がコンセプトでした。非常にわかりやすいですし、現実的なトライアルです。先日のWindows3でも「日本式ディフェンス(フルコートプレス)が通用する相手かどうかが全て」というコメントを貰いましたが、その通りなだけに、通用しない前提で構築されています。

ここからは細かいディフェンスシステムの話なので、やっぱり本文を読んでください。それぞれに触れても仕方がないので、気になる点だけをピックアップして並べ、総評的な視点で見ていきます。

距離感と胸でコンタクトする “ ボディアップ ” を徹底し、ビッグマンでもバックコートでディフェンスできるスキルを目指した。また、オフボールでは激しいディナイディフェンスを徹底し、アウトサイドで簡単にボールを回させないことを目標

2019W杯では、1 on 1 で守りきることを目指し、オーバーヘルプをしないようにすることをコンセプトとしたが、やはり世界のトップレベルの選手を 1 on1で守りきることは容易ではなく、

今大会ではできるだけ 1on 1 のシチュエーションを作らせず、1 on 2、1 on 3 に見せるアグレッシブなディフェンス “ ハイトライアングル ” を採用

2019W杯では、ペイントでのディフェンスを重視するため、またミスマッチを簡単に作らせないこと優先しローテーションを制限していたが、今大会では “ X-OUT ” ローテーションを採用し、特に4 番プレーヤーにもローテーションに加わることができる機動力を求めた

ここは前述の通り、WCがインサイド固めていたのに、オリンピックは機動力にしたので、ペイント内失点がそこまで増えなかったのだから、ポジティブに捉えましょう。3P打たれてるけどさ。

ラマス HC はいくつかのピック&ロール (PNR) ディフェンスシステムを準備し、相手プレーヤーの特徴や、その日の展開に合わせていくスタイルをとっている。

今大会ではインテンシティの高いプレッシャーディフェンスと相性のよい
“ ハードショー ”
を新たに取り入れて大会に望んだ。他には、
いわゆるビッグマンがドロップする ” コンテイン ”
世界のトレンドになっている “ スイッチディフェンス ”
も同時に準備し、日々の練習のなかでルールの徹底と習慣化を行った

ただし今大会においては、準備はしていたものの、最終的にプレータイムやケガ人の状況等からハードショーは使用しなかったことを書き添えておく。

これがねぇ・・・上手くいってないんだよね。うーん。その理由の1つが八村と馬場の合流遅れなんだよね。

原因については 2 つの可能性が考えられる。まず「練習してきたことが、何らかの理由で発揮できなかった」可能性。
2 つ目は「練習したことはやりきったが、ディフェンスのルールそのものが間違っていた」ことである。

一つひとつのディフェンスポゼッションを切り取り、ここまで説明してきたディフェンスルールを選手が徹底してやりきることができているかを細かく検証した。

その結果、少なくともスペイン戦においては、コンセプトであった “ ボールプレッシャー ” と激しい “ディナイディフェンス ”、また “ ハイトライアングル ” やシュートに関する “ コンテスト ” まで、高いレベルでエクスキューションできていたことが分かった

一方で、スロベニア戦、アルゼンチン戦では、ディフェンスエクスキューションのレベルが少しづつ下がっていき、インテンシティが下がり、ディフェンスルールが徹底できず、悪循環に陥ってしまったと考えられる。

スペインには成功、スロベニアとアルゼンチンはインテンシティが下がって失敗とのことです。

下の2つの行がポイントで、日本戦のPPPと平均PPPが比較されています。この中で差が小さいスペイン戦が成功という捉え方です。

オリンピックのスペインはルビオ頼みが酷くなっており、時代の終焉を迎えましたが、それでも日本がここまで善戦できたのは評価してよい数字です。逆にアルゼンチンは日本戦がなければ酷いPPPになっており「どこか1試合で勝つ」ならばアルゼンチンを狙うべきだったのは間違いありません。

<スペイン戦>
第 2 Q の 4:55 まで 26-26 の同点と大健闘していたが、そこから大きな流れを生み出され、2-22 のランを与えてしまったことは悔やまれる場面である。一方で、20点差の厳しい状況から、後半に点差を10点差まで縮めた粘り強さは評価されるべきだろう

<スロベニア戦>
今や NBA のスーパースターであるドンチッチをどのように止めるかが、試合のポイントであったことは想像に難くないだろう。

ドンチッチは最初の約14分間プレーし続け、ベンチに下がったのは第 2 Q 6:11 だった。その時点で、点差は 28-36 とわずか 8 点差で、日本はオフェンスでもディフェンスでも高い集中力でプレーを続けていた。

ドンチッチがベンチに下がった時間帯はどのチームにとってもチャンスであるが、第 2 Q2:10 に日本がタイムアウトを請求するまでのわずか 4 分間で、ドンチッチ不在のスロベニアに対して15点を献上。日本もその間に馬場の FB や比江島の 3 pt を中心に10点をスコアしたが、特に第 2 Q 4:23 から 5 ポゼッション連続でスコアを許してしまったことは、試合の流れを大きく左右するポイントになった。

ドンチッチうんぬんでボヤけていますが、いずれも2Q後半にディフェンスが崩れていることが課題でした。

どうでもいいけど、表現方法が古臭いというか、ニャンというかさ。別に表現力を求めるわけじゃないからいいけど。

<アルゼンチン戦>
ディフェンスの要であるエドワーズをケガで失い、八村、渡邊が本来とは異なるポジションでプレーしなければならない不利な条件ではあったが、残念ながら練習初日から取り組んできた “ インテンシティ ” や “ アグレッシブネス” を発揮することはできず、 “ コンテストなしのショット ” も他 2 試合よりも多く与えてしまった。

3試合目で明らかに疲れがみえ、それもギャビン抜きでポジション変更が起きたことが嘆かれています。しかし、渡邊飛勇やシェーファーを起用する手段もあったわけだし、ウイングやガードが増えたならば、よりハードなディフェンスプレッシャーをかけて然るべきです。

結果としてギャビン抜きでインサイドを攻めこまれたとか、そういう理由はわかるのですが、インテンシティ・アグレッシブネス・コントストなしのシュートというのは、ガードとウイングが頑張るべきポイントです。

8 ) 試合を追うごとに低下したディフェンスエクスキューションの原因
スペイン戦以外の 2 試合において、日本のディフェンスが上手く機能しなかった理由を考えたい。

スペインにはルビオという PNR のスペシャリストはいるが、そのオフェンスはビッグマンもアウトサイドでボールを持ってパッサーとなり、多くパスを回すオフェンスであることが特徴である。そのため、スペインに対しては日本の持ち味であるボールプレッシャーや、パスをさせないディナイディフェンスを遂行しやすかったと考えられる。

ますますギャビン関係ない気がしてきます。

スロベニアとアルゼンチンは、ビッグマンがアウトサイドでボールを持ってパスやハンドオフを行うよりも、ドンチッチ (スロベニア) や、ファクンド・カンパッソがオフェンスのスタートから PNR をプレーすることが多いのがチームとしてのスタイルである。
そのため、ボールプレッシャーやディナイを行う機会がスペイン戦に比べて少なく、日本の持ち味を発揮しにくかった

ルビオ・ドンチッチ・カンパッソへのプレッシャーではなく「ビッグマンにプレッシャーをかけるかどうか」がキーポイントだと分析されています。だとすれば結論として

ディフェンス戦略(スカウティング)が間違っていた
ガードのディフェンス力が低すぎる

前者は最悪です。だってドンチッチもカンパッソも有名人だし、スロベニアとアルゼンチンのプレーを見る機会なんて、一般ピーポーの私たちにも十分にありました。やる前からわかってんだろ。

後者については渡邊というストッパーがいるウイングに比べて低いのは当然・・・と思いきや、渡邊がドンチッチ担当だったりします。やっぱり前者の問題に見えてくるので

相手とのかみ合わせで上手くいかないのは、スカウティングの問題ではないか

こちらの方が強く出てしまいます。なお、個人的にはそうではなくて「ただ単にスペインのオフェンスが悪かった」のだと思っています。もうそれだけ。ガルバとか出ていたし、途中から得点するよりも「時間と点差をコントロールする」ルビオタイムだったしさ。

次のページは違う問題について、というか本当の問題

JBAテクニカルレポート ディフェンス編” への2件のフィードバック

  1. 問題の本質は違うと思いますが「オフェンスの遂行力を上げる事がディフェンス力の向上にもなる」という下りで何となくディアンジェロの事を思い浮かべました。

    1. シンプルにリバウンドにも行きやすいですしね。

      気合と根性で3人オフェンスリバウンドにいけーーーって見えちゃいます。

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