さようならウルブズ’22

久しぶりにプレーオフへと進んだウルブズですが、プレーインではタウンズがファールアウトとなる大ピンチを迎えました。「ファールトラブルに陥って、それでもガマンしてプレーし、試合終盤になってファールアウト」ならば理解も出来ますが、「ファールトラブルに陥って、コートに戻ってきたら即座にファールアウト」という子猫ちゃんっぷりを発揮してくれたタウンズでした。わずか24分しかプレーせず、11点4リバウンドはエース失格だよ。

このタウンズの行為は「経験不足の選手が一発勝負のプレーインでやらかした」ならば可愛いものですが、タウンズの場合は日常から「余計なファールが多い」選手なので、むしろ日常の行為がプレーインという1試合に凝縮されたようなイメージです。

そしてプレーオフのウルブズは、プレーオフという短い期間の出来事のようでいて、同じようにシーズン全体の問題が凝縮されたようなプレーオフでもありました。タウンズに限らず、ここまでわかりやすいチームはなかなかないよね。来シーズンに向けての課題も、プレーオフの出来事を課題にすればいいわけです。

そんなわけで今回の「さようならウルブズ」は、さようならシリーズにしては珍しく、プレーオフのみに焦点を当てていきます。プレーオフの出来事はおおむねシーズンでもあった出来事なのさ。とはいっても全試合は見ていないし、ゲーム6の印象が一番強いよね。

◎オレたちは強い

前回プレーオフに出たのは、ナゲッツとのシーズン最終戦の激闘を制した17-18シーズンですが、あの時は1勝こそしたもののロケッツの前に見るも無残に散りました。問題は散ったことではなくて、その経験が何にも生かされなかったことです。前述のタウンズの件も含めて、その後のチームはこれといって変わることなく(バトラーの乱もあったけど)再びプレーオフから遠ざかり、ドラフト1位を手に入れるような成績に戻っています。

あの時に比べると、ウルブズは遥かに強いチームになって戻ってきました。試合展開はジェットコースターですが、大量ビハインドになっても心が折れることはないし、オフェンスもディフェンスも複数のキーマンがいるので、それなりの柔軟性もあります。

例えば見た目のエースキラー役はベバリーですが、ポール・ジョージに奮闘したのはマクダニエルズだし、もっとディフェンスが良いのはエドワーズだし、チームを支えているのはバンダービルドだし。プリンスやオコギーが試合に出ないくらい充実した選手層を誇っているので、マッチアップを変更するだけで違いを作ることもできるようになりました。

言うまでもなくタウンズは万能すぎるセンターで、チームがやりたいオフェンスに合わせて役割を柔軟に変更することが出来ます。スピードのない相手なら3Pラインの外からドライブし、小さい相手ならポストアップし、コーナーシューターにもなれれば、ハイポストの起点役も出来ます。

アンソニー・エドワーズはルーキーシーズンで弱点だったディフェンス面で驚異的な成長を見せ、3Pの精度は段違いに上昇し、ボールに触れなくても存在感を示すようになりました。ドライブ時の判断の悪さは消え失せ、強靭なフィジカルと上手いフィニッシュスキルもみせています。粗削りだった1年前とは別人になりました。

まだ若い選手も多いけど、

選手個人の能力を積み上げたら、優勝してもおかしくないくらいの強さ

を誇っています。いや、マジで。名前だけ見たらサンズよりもずっと強そうだもん。スキルや身体能力の高さは抜群のウルブズです。

しかし、バスケットはチームスポーツであり、戦術や戦略、そして局面の判断力が時にはスキルや身体能力を凌駕します。そしてプレーオフのような試合では、ゲームトータルでのメリットを生み出す分析力が、じわじわと違いを作っていきます。

ウルブズはリーグ最強クラスの戦力を持っているけど、そのポテンシャルを生かし切るだけの経験値も知性もメンタリティもありません。凄まじく強いけど、完成度の低いチームなのです。

でも個人レベルの戦力不足を補うのは大変だけど、低い完成度を改善するのは希望が持てる。伸びしろですね。前回のプレーオフとの違いは「十分に戦えるけど、まだまだ修行が必要だ」と前を向けることだし、タウンズをはじめ選手自身も同じことを感じているであろうことが見えている事です。ゲーム6が終わった後のタウンズはそんな空気を出していたよね。

「オレ達は強い」のは間違いない。だからこそ、目に見えない弱さを随所に発揮したプレーオフの反省を来シーズンに生かしましょう。何を改善すべきかは4年前よりもハッキリしているぞ。

◎4Qを落とす

〇6戦合計の得失点差
1Q +34
2Q △26
3Q +21
4Q △62

シリーズ最大のカギは逆転負けを食らいまくったことですが、得失点差を見ると明確に1Qにリードして2Qに取り返され、3Qにリードを広げ、4Qに逆転負けしています。

①2Qと4Qに弱い
②4Qにすごく弱い

この2つは少し分解して考えてみましょう。①2Qと4Qに弱いのはローテの問題が大きいです。スターターから少しずつ選手を変える1Qに対して、ベンチメンバーだらけになる2Qは急に苦しくなりました。「オレ達は強い」と書いたようにスターター中心では威力抜群だけど、メンバー交代とともにチーム力が落ちていくということです。

そこでメインとなったユニットのプレータイムとレーティング差を見ていきましょう。

〇レーティング差
スターター 
85分 △3.9

バンダービルド ⇒ マクダニエルズ
25分 +28.6

ベバリー ⇒ ビーズリー
14分 +33.0

ベバリー、ビーズリー、リード、エドワーズ、マクダニエルズ
9分 △22.2

スターターの時間で若干負けていますが、マクダニエルズが加わり、さらにビーズリーが加わった合計39分間は圧倒しています。これが1Qと3Qにリードを広げる要因になったいたわけです。シンプルに言えば

ディアンジェロ+エドワーズ+タウンズがいれば強い

この構図が作られるわけですが、一方でセカンドユニットになると・・・というか1人でも欠けると一気にグリズリーズペースになりました。ここが大きな課題として残ったわけです。そして4番目に多かったユニットでも9分しかなく、ユニット構成がバラッバラでした。

セカンドユニットのローテが一貫せず、戦い方も定まっていない

ちなみにグリズリーズは10分以上のユニット構成が9つありました。アダムスを使わなくなった事情がありながら、一定の連携は保った形です。

①2Qと4Qに弱い要因はここにあります。起用法に一貫性がないので、どうしたいのかわからず、特にオフェンスでの共通意識に欠けていました。思えばシーズン中は「ディアンジェロさえでていればどうにかなる」だったのに、そのディアンジェロをセカンドユニットに混ぜなくなったので、二重にわけがわからなくなったのでした。

センターの控えにリードがいて、マクダニエルズとビーズリーがベンチから出てくるのだから、極端な話でいえば8人ローテでも戦えたはずです。エドワーズとタウンズのプレータイムが長い割には、細切れでベンチメンバーを使って自滅した印象もありました。

これらはシーズン通しての課題です。タウンズとエドワーズに頼っていたのは選手よりもフィンチって感じでした。

ベンチメンバーの役割定義があいまいなので、誰が何をするのかがわからなかった

バンダービルドとマクダニエルズについては使い分けがありましたが、ビーズリーにシューターとしてのミッションは少なかったし、プリンスは便利屋であってキラーディフェンダーにはなれなかった等々。しっかりとベンチメンバーを使ったことは好感を持っていますが、使った割には選手の特徴はあまり出ていなかったです。

タウンズ対策でアダムスを削りティルマンを起用
ザイアーを削ってフィジカルに守れるブルックスをタウンズに当てる
カイルは削らずタウンズに対応させる、などなど

主としてタウンズ中心に考えて起用する選手を変化させたタイラー・ジェンキンスとの差がありました。フィンチは調子の良さや貢献度といった「結果をみて起用する選手を変えていく」印象はありましたが、選手の個性を使い分けていたようには見えないのでした。

いずれにしてもウルブズのベンチは面白いメンバーが揃っている割には、日常的に「エドワーズかタウンズをコートに出せばいいのに」と感じさせていました。そこには個性を生かすような仕組みが足りなかったように思えるのでした。だからマクラフリンやエバンスを並べてハンドラーで何とかしようとしていたよね。

◎逆転負け

②4Qにすごく弱いので、逆転負けが目立つシリーズとなりましたが、特にゲーム5とゲーム6はモラントの怒涛のアタックに対処できず、リバウンド体制も崩されてしまうのでシュートミスをクラークに押し込まれていきました。この2試合の4Qにおける2人のスタッツを見てみましょう。

〇モラント
24点
FG39%
FT13/14
4アシスト

〇クラーク
8点
9オフェンスリバウンド

このスタッツにはいろんな要素があるのですが、モラントのスーパーっぷりはスゴイ反面で、FG成功率は低く、クラークのオフェンスリバウンドをせめて半分にできていれば、モラントの脅威は低下したはずです。

〇ディフェンスリバウンド
タウンズ 6
マクダニエルズ 2
マクラフリン  2
ディアンジェロ、プリンス、ベバリー 1

タウンズはモラントへのヘルプに出ていながらも、それなりに奪っているので良しとしましょう。問題はその他の選手です。マクダニエルズ、バンダービルド、エドワーズあたりが奪えておらず、グリズリーズのビッグマンに押し切られてしまいました。フォーカスすべきポイントが間違っていた雰囲気です。

しかし、たった2試合の話なので偶然の要素も含めて仕方がないといえば仕方がない。特にゲーム5については諦めよう。でも、ゲーム6については違います。

ゲーム5の反省を受けたゲーム6は試合開始からグリズリーズ対策というか、モラント対策をしっかりと実行しました。後述しますが、ローテミスも少なく、非常によく頑張った印象です。

・モラントには抜かれるので素早いカバー
・(タウンズは)ファールせずに我慢し、シュートミスを誘う
・リバウンドをしっかりとキープ
・ベインのマークマンだけはカバーせずにチェイス

その結果、前半のモラントはFG1/6におわり、フリースローも2回のチャンスのみでした。概ね修正は上手くいきました。ベインには3P打たれてしまったけどターンオーバーも5つ誘発しています。

なお、オフェンスリバウンドは前半だけで7つ取られていますが、モラントのシュートミスはタウンズ、バンダービルド、エドワーズが回収しています。1本だけ3ガードにした時間帯にタウンズがブロックに飛んだ後で誰もリバウンドにこなかったからクラークに決められたね。

つまりゲーム6は明確に「モラントのアタックをどうするか」が定められていました。ゲーム5の反省を生かし試合トータルで見ればしっかりと修正できたのですが、肝心の4Qはバカみたいにやられてしまったのです。

特にエドワーズが1本も取れなかったことは致命的でした。センターのタウンズがモラントのヘルプに出ていく以上は、ウイングやガードがリバウンドを取るのが大事ですが、期待されているエドワーズがダメだった。ちなみにゲーム6のグリズリーズはベインやモラントが飛び込んでおり、エドワーズだけでなくガード陣の読みの悪さも響いています。

ゲーム6は3ガードにしてリバウンド負けした時間帯もあり、フィンチも自身のゲームプランを全うできなかった落ち度があります。総じて戦略の遂行力の低さはウルブズの弱点だし、特に試合終盤になるとHC含めて忘れてしまっている一面がありました。

戦略性が低く、試合終盤に熱くなって知性を欠いてしまう

特に「知性」の部分で全てを担っていたようなディアンジェロを起用しなかったこと自体がフィンチの失敗に見えました。チーム全体を修正してくれるディアンジェロをコートに置かなかったことで、オフェンスミスも多かったです。フィンチは「結果が出ているからマクラフリンを起用する」になっていた気がします。そうじゃなくて、自分たちが何をするべきかで起用する選手を決めようよ。

集中力も含めたスタミナ配分が下手

もう1つがここですね。試合を通してみれば立派に戦略性がありましたが、4Qになると力尽きたかのように戦略を忘れてしまいます。というか、シンプルに前半からエドワーズが働きすぎた印象もありました。20点を奪いながら、ディフェンスではどこにでも顔を出していたエドワーズなので、そりゃあ疲れるって。よく頑張ったよ。

エドワーズとタウンズは41分プレーしましたが、時間としての長さよりも、前半からフルスロットルだったために、終盤に息切れした印象です。ベンチからマクダニエルズが24点で助けてくれましたが、「3Qまでに頑張った選手を、4Qに使って息切れする」ような雰囲気も否めません。

「1Qに点を取るベインと、4Qにラッシュしたモラント」のような分担だったり、クラークをあえてベンチスタートにしていたり、4Qにモラントを生かせるときはタイアスを並べたり、グリズリーズの方が意図的に力を入れ具合を変えていました。

〇グリズリーズ 4Qの3P
ゲーム5 4/8
ゲーム6 6/12

ついでにいうと、モラントの突破も止められなかったし、リバウンドも取られたし、何よりも3Pを決められました。何を守りたかったんだろうね。全てはモラントの突破から混乱したのですが、

1つの混乱が全てに繋がってしまうのもウルブズらしさ

「モラントの突破は諦めよう」のゲームプランに見えたけど、4Qはモラントの突破から全てを守れない状況に陥ったのでした。雪崩のようにディフェンスが崩れていったなぁ。

◎驚いた修正

一方でゲーム6の3Qまでは戦略性があったわけで、これは驚きでした。ウルブズがそんなこと出来るなんてビックリだ。

クリッパーズとのプレーインの前に「ピック&ロールでタウンズのディフェンスを攻めれば鉄板」と書いたのですが、それがタウンズのファールアウトによって使えなくなったクリッパーズは不運でした。ティロン・ルーも「タウンズがいなくなってディフェンスがよくなった」ってぼやいていたよね。それくらいタウンズのディフェンスはわかりやすい弱点でした。

だからこそ、このシリーズが始まる前は「モラントがタウンズをイジメるシリーズ」だと思っていましたが、プレーインで反省に反省を重ねたタウンズがガマンの姿勢をみせるようになったことと、ゲーム6の戦略的なディフェンス変更は脅威でした。ウルブズにそんなこと出来ないと思っていたもん。

ウルブズのディフェンスは、ピック&ロールに対してショーディフェンスも少なく、タウンズが下がりながら対応するので、プルアップ3Pを打つチームには楽な相手です。ただし、マクダニエルズやバンダービルド、そしてエドワーズと高さのある選手がマークについてくるので、後ろからのブロックなど、いろんな脅威が付きまとうことでカバーしています。

プルアップ3Pを打たないモラントなので、タウンズは下がって対応するのが基本ラインなのですが、ゲーム6では前に出てショーディフェンスをするとともに、マークマンが追いつく時間をしっかりと稼ぎ、モラントにダブルチームを仕掛けました。このプレッシャーによりモラントは5つのターンオーバーを喫しています。

当然、タウンズがマークしていたティルマンやクラークは空きますが、そのパスコースを防ぐことも忘れず、またチームメイトもインサイドカバーを徹底していました。そんな知的なディフェンスをタウンズがするなんてさ。偶然の気もしちゃうぜ。

シンプルなピック&ロールからインサイドにパスを通されたのは4QのJJJのダンクと、クラークへのパスからJJJのダンクに繋がった2つだけだったと思います。まぁどっちも4Qなのは察してください。いずれにしても、

ウルブズの基本的な守り方とは違うディフェンスアクションを行い、集中力高くミッションを遂行

しました。いやいや、そんなこと出来たのかよ。「守れない」と思われていたタウンズが駆け引きしながらパスコース遮断は衝撃だったし、チームとしてもローテミスが(4Q以外は)ほとんどなく、予想以上の戦略性を見せてくれました。

だからこそ「4Qには集中力が持たなかった」ようにみえたわけだ・・・

シーズン中から相手や展開に応じたゲームプランを立てていれば、4Qまで集中力がもったのではないか?

ここですね。やっぱりシーズンを適当に過ごすチームは、適当に終わりますよ。プレーオフで勝つことを考えたら、状況に応じた戦略性を鍛える必要があります。成功するか、失敗するかではないし、時には戦略に失敗して負けたっていいさ。ヒートなんか失敗しまくっているぞ。シーズンをトレーニングの場として柔軟性を身に着けないと、プレーオフで変更しようとしても上手くいかないよ。

あれっ!これってジャズの話だっけ?

そんなわけで「やるべきことをやれなかった4Q」をネガティブに観ている反面で「やるべきことがあった」ことはポジティブに観ています。チームとして強くなるためにメンタリティを鍛えるってのは、こういうことなんじゃないかな。勝負強いではなくて、日常からトライして慣れていくことが大事なんだ。

◎謎だったオフェンス

ゲームクローズ出来ず、逆転負けを喫した理由を「ディフェンス」と「ゲームプランの遂行力」として書いてきましたが、一般的にはオフェンス面の方が目立ちますよね。実際、ゲーム6ではタウンズが突如としてディープ3Pを打つシーンもあったし、何をすべきなのかが定まっていなかったです。

しかし、長くなったので、これは次回に回しましょう。タイトルはどうしようかな。さようならディアンジェロ・ラッセルかな。

〇オフェンスレーティング
1Q 129.7
2Q  83.0
3Q 117.6
4Q  91.3

クォーターごとに凄まじくオフェンス力の高いチームと、底辺レベルのチームに生まれ変わっていったウルブズ。

2Qに関してはエドワーズ9.2分、ベバリー8.5分以外は全員のプレータイムが7分以下となっており、前述の通りユニット構成がバラバラで統一感のなさが響いています。4Qも半分は同じです。

しかし4Qに関してはタウンズとディアンジェロだけが平均の91.3を上回っている数字も出ています。ゲーム6にディアンジェロを起用しなかったことはフィンチ最大のミスにしかみえないのですが、続きは後日という事で。

全然関係ないけど「さようならウルブズ」でシーズンの事を触れるならば、
・タウンズではなくエドワーズにチームに移行しはじめたシーズン序盤
・やっぱりタウンズ中心へとシフトし、ディフェンス他での貢献度が増したエドワーズ

そんなエドワーズとタウンズで揺れ動いたことを書きたかったです。いろいろあったけど、エースはタウンズにしておき、全局面で貢献していくエドワーズという構図がベストにみえます。

これもまたゲームトータルで考えた時には有効な戦い方として定着しました。去年のエドワーズを見ている限り、ボール持っていないと空気だったので、ここまで改善したことは脅威です。主として本人の意識改善にあるので、エドワーズという選手を見直したシーズンでした。まだ2年目だけどさ。ラメロよりも随分と上を行ってるエドワーズです。

◎困っていたはずのグリズリーズ

シリーズを振り返ってみると「困っていたのはグリズリーズ」でした。明らかにウルブズやレフリーにアジャストする必要があったので、ゲーム1に負けただけでなく、シリーズを通して多くの修正を求められました。それがゲーム5からウルブズの方に悩みが増えており、1試合ではなくシリーズを通しての逆転負けのイメージがあります。

タウンズのスペシャリティは、特にグリズリーズを困らせました。アダムスを起用することが出来ず、代役にティルマンを置いたけど、総合的にタウンズに負けており、リスクを下げる程度の違いしか作れませんでした。

JJJのファール癖は何も治っておらず、平均24.5分で5.2回のファールをしており、2試合で退場、3試合が5ファールです。つけいるスキはいくらでもありました。

モラントは21.5点、10.7アシストこそ記録したものの、FG38.6%と低調だっただけでなく、5フィート以内のショートレンジですら50%に届いておらず、酷いレベルのフィニッシュ力でした。

JJJとディロン・ブルックスもFG40%に届いておらず、ベインとクラークを除けばグリズリーズは散々たるシリーズでした。

困っていたのはグリズリーズだった

しかし、グリズリーズは勝つ方法を見つけました。大事な場面ではカイル・アンダーソンとブルックスをタウンズにぶつけて、平面の動きだけには対応すると共に、ピック&ロールに対してスイッチして守れる形を採用してきました。

これに対してウルブズはポストアップするタウンズへベバリーやエドワーズがパスを通せず、1on1ドライブばかりに収束しています。繰り返しているとバンダービルドがゴール下で空くケースが出てきたのですが、アシストパスを通せるのはディアンジェロとタウンズの2人しかいないので、グリズリーズのパスをさせないプレッシャーディフェンスに負けました。

ファールコールの雨あられで、ゲーム4の後にグリズリーズが正式に抗議したくらいのジャッジにより、6試合で300ものファールコールがありましたが、最後の2試合に関してはウルブズの50に対してグリズリーズは40に押さえています。

苦しんでいたはずのモラントはゲーム5でギアをあげ、酷かったJJJはゲーム6の4Qに12点を取ってシリーズを終わらせました。

ゲーム4が「スターター全員のファールトラブル」という前代未聞の事態の発生がなければ、普通に4勝1敗で終わっていた可能性が高いです。戦力としては互角か、ウルブズの方が上にみえますが、これだけ困っていながらも、しっかりと勝ち切っているグリズリーズのチーム力を考えると「やっぱり2位と7位だったなぁ・・・」と感じるのでした。

いろんな困りごとがありながらも、柔軟だったのはグリズリーズだし、各選手がブレなかったのもグリズリーズでした。モラントはブレていたけど、シリーズを決める活躍をしたしね。

ゲーム5のラストプレー。

スロワーにプレッシャーをかけるマクダニエルズは「3Pラインの内側」へのパスを出されてはいけなかった。そんなマクダニエルズに上のパスを出すフェイクでジャンプさせ、バウンズパスにしたブルックス。

ギャンブル的に飛び出したエドワーズは、あと少しパスが外に出ていれば獲れたかもしれないし、ボールサイド側から追いかけていれば、モラントはすぐにドライブは出来なかったかもしれない。しかし、エドワーズの位置を理解していたモラントはキャッチからドライブが早かった。

ブロックに来たバンダービルドはノーチャンスではあるけれど、試合の最後に全力ジャンプからのダブルクラッチを決めてしまえるモラント。シリーズ通して50%も決まらなかった5フィート以内のショットなのに、最後の最後は決めてしまった。

「ほんの少しだけど、物凄く大きな差」を感じたワンシーンでした。どれかが「ほんの少し」違えばウルブズにも勝機があったのですが、その「ほんの少し」を起こさなかったグリズリーズが勝つべくして勝ったシリーズでした。

◎さようならウルブズ

今シーズンのウルブズはディフェンスの改善があり、ビッグ3のバランスが改善し、若い選手が伸び、シーズンを46勝36敗と10も勝ち越すことに成功しました。これまでは強さはあっても不甲斐ないチームだったのが、不安定さは残っていても、ビハインドを巻き返して勝てるチームへと生まれ変わりました。

特にプレーインでタウンズが退場してからのプレーは、ウルブズというチームが大きく成長したことを示しました。

しかし、プレーオフの舞台に立って7試合というシリーズを戦うと、明らかに足りないものが多かったです。シーズンでは局所的に出ていた悩みは1試合では目立たなくても、7試合シリーズでは致命傷になっていました。タウンズのファールトラブルはわかりやすい例ですが、見えにくい要素もいっぱいあります。

ゲームプランに応じた柔軟な戦術
主役がいない時間のゲームメイク
試合中に途切れてしまう集中力 etc

「オレ達は強い」とメッセージを送って良いくらいに強いのですが、その強さは「自分たちの強さ」って感じで、「相手との駆け引き」では常に負けていた印象です。グリズリーズはウルブズ以上に若いチームですが、言葉には言い表せない強さを持っています。スペシャルなのはモラントだけなのに、試合を通してみれば常に駆け引きに勝っています。ある意味で対照的な対戦カードだったかもしれません。

思い返せば1年前のグリズリーズは、プレーインという場でモラントがステップアップし、足りなかった「オレ達は強い」を手に入れ、今シーズンの躍進へと繋げました。とはいえジャズには完敗しており、階段は1つずつ上っています。

もっと振り返れば4年前のシーズン最終戦でウルブズに敗れプレーオフを逃したナゲッツは、そこからトップチームへと駆け上がりました。当時はフィンチの流れをくむオフェンス力で撃ち合うチームだったナゲッツは、そこからバランス力と駆け引きで勝つチームへと変貌しています。

躍進を遂げ、わかりやすい壁にぶち当たったウルブズ。同じように足りなかったものを手に入れるのが来シーズンの目標になります。なお、階段を飛ばしてカンファレンスファイナルへと進んだホークスは・・・。

タウンズは単なるトッププレイヤーではなく「勝てるトッププレイヤー」へと成長できるのか。それともエドワーズのチームへと変わっていくのか。スキルや身体能力ではなく、メンタリティを変えなければいけないのでした。

プレーオフに進み、その重要性を存分に感じ取れた良いシリーズだった。1年後にそんな振り返りは出来るのでしょうか。さようならウルブズ。経験はムダにしちゃだめだよ。

さようならウルブズ’22” への3件のフィードバック

  1. いつも楽しくブログ読ませてもらっています。ルビオに魅せられてウルブズのファンになってからかれこれ10年近く経ちました。

    今はディアンジェロのゲームメイクに惚れ惚れする一方で、このブログ以外では「マクラフリンの方がよかった!」なんて意見を結構耳にします。

    最終Qで、ディアンジェロはいつも終わりから逆算して組み立ててる印象があって、マクラフリンは加点方式に攻めてるイメージです。

    場面によってマクラフリンの推進力が必要なタイミングは間違いなくあると思いますが、
    最終戦の4Qはもっとディアンジェロに任せて欲しかったなぁ。

    とはいえこの10年で1番希望が持てる着地ではあったので、また来年に期待ですね。

  2. 何というか特にG6は色々なものを見失って各々が焦って自滅した感じでした。シーズン中の3試合では五分五分、少なくとも3-3までいってもおかしくないシリーズでした。とはいえ勝てるかどうかは40-60くらいだったと思いますが。シーズン通りにやれば(それとG6にナズがいれば)もっと違ったと思います。あと地味にG2にボロボロにされて使われなくなったノウェルが心配だったりします。

  3. 個人的には、G3での逆転負けがプレーオフ敗退の1番の原因なのではないかな、と思っています。
    この試合で、3Qで、リードを広げた活躍をしたのは、間違いなくディアンジェロです。一方で、4Qでリードを溶かされまくった時にゲームに出ていたのは、KAT,アント、パットべブです。(ディアンジェロは、溶かされて同点になってから、ゲームに出場) しかも、フィンチはタイムアウトも全く取らない。
    なんか。g6での出来だけで、ディアンジェロを戦犯扱いするのは、どうなの?って思いますね。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA