ウォリアーズvsスパーズ

2022/3/20

今日はブレイザーズ、ペイサーズ、ロケッツ、サンダー、マジックと下位チームを見ていきました。YouTubeで語っているので、これらのチームはそっちを聞いてね。試合展開じゃなくて、全体感やドラフトのことを適当にしゃべっています。

そしてスパーズを見ましょう。モック・ドラフトがガードになっているのは頭が痛いですが、どちらかというとモックのサイト担当者が「どうせスパーズは・・・」として選んでいそう。

最多勝利を達成したポポビッチが今シーズンまでなのかも気になりますが、ウォリアーズとやるときのポポビッチは何か楽しそう。今のラインナップもウォリアーズ目線から始まった気もするし、本日はそんなポポビッチらしさ全開の展開となりました。

◎ドレイモンド・グリーン

ドレイモンドが帰ってきたと思ったら、カリーが離脱したウォリアーズ。各チーム離脱者に苦しんでいるのでそんなもんだけど、どうしてもカリーへの傾倒が強まっているのが最近の苦しさでもあったので、バランスを整える良い機会と捉えないとね。

戻ってきたドレイモンドは「さすが」と思わせるプレーをすると同時に、スプラッシュ戦術におけるキーマンであることを示すプレーを見せます。PG役になるのでクレイとプールがオフボールで動き回れる形を作れるのはもちろん、ハンドオフフェイクからドライブし、フローターと見せかけてアリウープパス。ドレイモンド抜きだと、こういうディフェンスの逆を取るプレーが減ってきていたことを感じさせるのでした。

さらにスローイン時に、さりげなくケルドンと衝突しておいて、それが実はスクリーンになっており、空いたスペースにチームメイトを飛び込ませます。際の細かい部分のスキルというか、嫌がらせというか、ドレイモンドがいない間は特に気にしなかったけど、戻ってきたからこそ「ディティールでの貢献」が目立ちます。

言い換えれば、これらは今のウォリアーズに足りない部分でもあります。かつてはイグダラ(今もいるはずだけど)やリビングストン、ウエスト、そしてボーガットなんかが見えないところで嫌がらせをしていたのが主役を輝かせていましたが、今はドレイモンドとルーニーくらいかな。

さらにバックドアカットのクレイに見事なパスを通します。ただ、これについては1Q後半にスクリーン⇒スリップのクミンガに対して、ビエリッツァからも見事なパスが通っており、なんだかんだとオンボールの部分は別にドレイモンドじゃなくても出来る感じです。ダーティーワークが欲しいんだよね。そのダーティーワークが主役を輝かせるんだ。

またドレイモンドはデジョンテ・マレーのマークになっており、スモールなスパーズに対してエースを止める担当という良さも出しました。こちらは良くも悪くも、って部分もあるのですが、柔軟性という面では間違いなくやりやすさがあるね。

なお、ドレイモンドは3Qにクレーム連発してテクニカル2つで退場しています。ってことで、らしさ全開。

◎クレイを止めろ

カリーはいないけどクレイとプールがいて、PGドレイモンドによりスプラッシュ戦術が出来るウォリアーズ。かつて、この対策としてスイッチングディフェンスを作ったのがロケッツですが、その前に対抗策を試しまくっていたのがレナードのいるスパーズでした。ダーティーワークを超えて真っ黒だったパチュリアがなければ歴史はどうなっていたのか。

その頃の対策は「クレイを止めろ」がメインでした。カリーちゃんを止めるのは、いろんな要素が絡むので、それよりもクレイ・トンプソンへと広く展開していくのを阻害することにより、チーム全体の展開力をなくしてしまえば、オンボールプレーのカリーと対戦すればよい、ってのがポポビッチ作戦って感じです。

本日も似たような対抗策を取っており、懐かしさを感じます。メインはヴァッセルですが、途中でプリモやマレーがクレイを担当すると、ポポビッチの作成は非常に明確に出ていました。特にプリモは小さい身体をいかしてスクリーンをかわし、ひたすらクレイを追いかけました。

オフボールでスクリナーが用意されているクレイですが、基本的にスイッチしないのが作戦。シンプルに言えばファイトオーバーでマークマンが頑張ることであり、チーム全体として「オフボールのクレイに振り回されるな」です。そこにフォーカスすると、あちこちで崩されるからさ。

そのため前述のバックドアカットには弱く、ここのみはチームでカバーする作戦でした。カバーできなかったけどね。代わりに密着デートするプリモはボールを持たせない良きディフェンスだった。これで1Qにリードを得ます。

2Qのファーストプレーでヴァッセルがスクリナーに引っかかり、置いてかれると誰もスイッチせずにクレイが3P。次はマークじゃないけどトランジションでクレイが3Pを打ち、外れたけどビエリッツァがプットバック。ってことで、クレイが躍動すると他の穴がデカい状態が出てきたので、わずが2つのディフェンスでタイムアウトをコールしたポポビッチ。それくらい気にしていたよ。

3Qになるとボックス&ワンみたいにクレイをカバーしていました。ワンパターンではなく、複数の形で徹底してクレイを困らせる作戦に、OPJやルーニーのイリーガルスクリーンもコールされるし、ポポビッチの作戦は見事に機能していたと言えます。

〇オフェンスレーティング
クレイ・トンプソン 103.8
ウォリアーズ 112.5

〇クレイ・トンプソン
24点
3P6/12

結果的にクレイを止めることは出来ておらず、3Pを決められまくっています。ところが、高確率でクレイが決めているのに、クレイのいる時間はオフェンスレーティングが酷かったウォリアーズ。面白い対比ですが、これらは

「クレイに問題があった」ではなく、チーム全体の展開力を乱された
クレイ対策がゲームプランだから、クレイがいる方が守りやすかった

そんな傾向がみえた試合でした。懐かしのスプラッシュ対策。5年前くらいの対抗策だよね。これが時を経て再び観れたことに懐かしさを感じるとともに、プレーオフでウォリアーズと対戦するチームは、この試合をチェックしておいた方が良さそうですね。

◎ウイングアタック

クレイの時間が悪かったけど、他の時間は良かったことになるウォリアーズ。それはスプラッシュではなくて、ウインガー達のハンドラープレーだったり、コンビプレーでした。クレイが下がったら、クミンガ、OPJ、ビエリッツァにボコられたスパーズ。わかりやすすぎるし、戦術変更されているので対抗できなかった。

今日のディフェンスプランが「スイッチはせず、マンマークでチェイスしよう」だと考えれば、ハンドラーたちが1on1を制すればいいわけだ。そもそもPGではなくウイングのアタックだからボールは動くので、変に固定化することもないしさ。

クミンガが見事というか、パワフルなアタックでマレーを押し込んでレイアップを決めれば、OPJとビエリッツァはアウトサイドから決めつつも、ドライブ⇒インサイドへのアシストとコンビプレーも見せます。オフボールのスクリーンから始まるオフェンスが、オンボールのハンドラーへと変化して展開していけるのは、なかなかの深み。

2Q後半に追い上げ、終盤にOPJのプットバックで追い付きながら、ヴァッセルのブザービーターに沈んだ前半でしたが、3Qになると再びスパーズにリードを取られながら、またも終盤にOPJからビエリッツァの合わせで逆転して3Qを終えたウォリアーズ。

ダーティワーク担当が減った代わりに、ファイトするウイングが増えたのが今のウォリアーズなので、ここの強みで逆転に成功したと言えます。マルチなウインガーとして最高峰のデュラントがいなくなったけど、今は人数がいると考えれば、これはこれで面白いよね。

ところで、2Q終盤のスパーズはパートルのファールトラブルもあって、マレー、プリモ、ケルドン、ヴァッセル、コリンズという形でした。4ガードはネガティブだけど、これなら小さくないスモールラインナップとして成立しているかもね。やっぱりドラフトはウイングをもう1枚かな。そうすればパートルの方をベンチにできるかも。

そんなことも思ったけど、4Qのスタートはプリモ、トレ、Jリッチ、ヴァッセルにパートルなので、そう簡単な話じゃないか。パートルの1on1を止めちゃうOPJとセンターも3Pシューターもやるビエリッツァ両方欲しくなるよね。クミンガも。カーの花は赤い。

◎プレゼント

4Qは今日の流れ通りのゾーンにするウォリアーズですが、どうも少しずつ対応が遅くなっています。これはシンプルにスピードでスパーズが上回っているって事であり、なんとなく今シーズンのウォリアーズは「スモールに弱い」ような気もする。既に退場しているドレイモンドがいないからかもしれません。

そしてJリッチの3Pに対してパチュリアしちゃったクレイ。チャレンジ要求するけど、むしろフレグラントをコールされてしまいます。4Qも先手はスパーズ。オフボールでJリッチを振り切って3Pを返すクレイ。なお、やっぱりヘルプは来ない。

これに対してJリッチがドライブをねじ込むと、リバウンドからトランジションでプリモのレイアップ。やぱりスピード対抗戦で押し込まれている印象のウォリアーズ。そしてボールムーブに追いつかず、コーナーのトレ・ジョーンズがワイドオープンになり3Pで8点差に広がります。

このディフェンスについてはカリー不在は関係ない気もするし、ある気もする。オンボールディフェンスはクレイの方が遥かに優れているけど、フリーになっている選手を見つけてカバーするのはイグダラ先生とカリーちゃんのお仕事。ガードの多いスパーズがハンドラーアタックしてくるなら、止められるのですが、ボールムーブされると先読みディフェンス担当不足で追い切れていないね。

一方でオフェンスはプールが見事なハンドラーアタックで取り返します。スピードで振り切ってのドライブレイアップに、ピック使ってのプルアップ3P。カリーがいない分だけカリーの仕事をしているプール。これまでやってこなかったクレイとの組み合わせでも、3人目のスプラッシュをしています。3Pに頼りすぎることなく点が取れる。

〇プール
28点
2P7/12
3P4/9

4点差で残り5分となったウォリアーズですが、このあたりでビエリッツァのスタミナが切れます。パートルのマッチアップは厳しく、レイアップを外し、攻守の切り替えで走り切れず、反応が遅くなってきた。6アシスト、9リバウンドと活躍しているんだけど、20分プレイヤーかな。イグダラかドレイモンドがいれば・・・。

それでもウォリアーズはプールのプレーメイクからシュートチャンスを作っていきますが、OPJのステップインも、プールのミドルも決まらず。一方でスパーズも7本連続ミス。そして残り3分、ウィギンズのドライブフローターで同点に。

先に動いていたのはポポビッチ。パートル⇒Jリッチでスーパースモールにします。もう高さじゃなくてスピードこそが勝利への近道。カーはOPJ、ウィギンズ、クミンガを並べた「小さくないスモール」での対抗策に。

マレーがスピードドライブで&ワン。ウィギンズが高さの利を生かしたフェイダウェイ。マレーのドライブをクミンガ&OPJで止めたウォリアーズがカウンターのプールから、ゴール下で合わせたクミンガで残り1分半で1点リードに。

再びマレーのドライブに対して、全員が反応して収縮してしまったウォリアーズなので、キックアウトからJリッチが3P。これに対して、またもプールが見事なアタックで取り返し残り30秒同点。

マレーのミスのあとで、クレイを完璧にフリーにして3Pを打たせたウォリアーズ。両手をあげて喜ぶプールですが、このシュートが決まらず。でもオフェンスリバウンドもOPJ。

ノータイムアウトでやり直しのオフェンスは、プールのディープ3Pで外れますが、これを猛ダッシュで食らいつき、なんとかマイボールにしたのがクレイ。ボールを受けたウィギンズがファールされて、残り3秒でフリースローを1本決めたウィギンズですが、2本目をミス。

このリバウンド争いに投入されていたパートルとルーニー。食らいついたルーニーがなんとファールコールされてしまいます。逆に残り2.4秒でフリースローはパートル。今シーズン49%のパートルは1本目を決めるも2本目をミス。

このリバウンドにクレイとウィギンズがくらいつき、後ろからマレーも絡むと、ボールはこぼれてケルドンへ。振り向きざまを押し込んだケルドンで劇的な勝利を手に入れたのでした。

うーん、ドラマだったわ。

ウィギンズが2本目を決めていれば・・・
ルーニーがファールしなければ・・・っていうかリバウンドに参加しなければ
ウィギンズのリバウンドにクレイが絡んでいなければ・・・

まぁいろいろあるよね。そんなもんさ。最後にボールがケルドンにこぼれたのが今日の試合を物語っていた気もします。ウォリアーズ対策を成功させたポポビッチへのバスケの神様からのプレゼントだったような。

〇FG
スパーズ 38.8%
ウォリアーズ 45.6%

〇ターンオーバー
スパーズ 10
ウォリアーズ 15

これだけのFG成功率の差がありながら、ハイスコアを制したスパーズ。ターンオーバーを促したことが勝因でした。作戦成功させて、運が巡ってきて勝てるくらいの力の差はあったけど、狙いは見事に機能した。

〇オフェンスリバウンド
スパーズ 17
ウォリアーズ 20

お互いにスモールだったので、リバウンドは反応とハードワークの戦いでした。そしてこれが勝敗を分けたんだもんね。パートルとOPJが8つずつですが、それぞれ違う時間帯に出ることが多かったと思うので、パートルがいれば高さで制せたスパーズと、いなければハードワークで制したウォリアーズと。

激しいぶつかり合いとゲームプランが交錯している面白い試合でした。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA