2022/2/26
首位争いをするブルズとイーストなら首位争いをしていそうなグリズリーズ。今シーズンのライジングチーム同士のカードは、モラントとデローザンのMVP対決でもあります。
◎インサイドの攻防
アダムスのティップオフをジャボンテ・グリーンが奪い取って始まった試合は、そのジャボンテとドスンムがキーになります。ディフェンス担当の2人ですが明らかに小さく、アダムスがブーチェを圧倒する高さとパワーを誇っていることも含めて、グリズリーズの狙いはインサイド。
ところがJJJをジャボンテが守ってしまいます。フィジカルで負けない事と、ボールを持たすことさえ許さないハードマーク。そして運動量。JJJの良さはスピードと運動量がビッグマンレベルではない事ですが、そこを完封されるとショートレンジの不正確なショットの方が目立ってしまいます。
また、何故かアダムスがダンクすらミスするので、狙いは良いけど上手くいかないグリズリーズ。ってことで、普通にモラントアタックでゴール下の得点を増やしていくスタートになりました。ちょっと何しているんですかJJJ。
あと、このブルズの戦い方は、実はホーバスの狙いに近いかもね。気合と根性を信じて、スモールのハードワークと運動量で上回る。デローザンはいない。
しかし、ブルズはディフェンスの奮闘に対してオフェンスが上手くいきません。ブーチェのところにノーヘルプなので、収縮させることが出来ず、ラビーンとデローザンのタフショットが序盤から目立っていきます。それもアウトサイドが多く、上手くトランジションに持っていけないとシュートチャンスすら作れない。
要はインサイドのアダムスに困りまくっている展開。ドライブしてもカバーに来たアダムス相手にショートレンジをミス。デローザンもまだ超サイヤ人化していないのでミドルが決まらない。そしてディフェンスリバウンドからタッチダウンパスを通したアダムスで、点差が二桁になります。
残り5分になったところで、ブーチェが初めてアダムスを吹っ飛ばしてのゴール下を決めると、アダムスが下がったこともありクラーク相手のターンシュートも決めたので、ブルズは落ち着きを取り戻し始めます。グリズリーズ側もブーチェにはダブルチームが必要になりました。
一方のグリズリーズは内容は良かったのに3Pが決まらず、オフェンスリバウンドがなくなって一気に困ります。リバウンドの重要性を感じさせる戦いになっており、ただただハードワークの戦いでもあります。サイズではないっていうリバウンドの戦い。
残り1分でやっとタイアスが3Pをヒット。さらに速攻でタイアスのパスからクラークのフローターで再び二桁リードにしたものの、デローザンにファールドローされてしまったベイン。
〇1Qのデローザン
2点
FG0/5
ブルズはいろいろあったけど、ここなんだろうね。最後のファールドロー以外は決められなかったデローザン。そこにブーチェも止められてしまったのでチームオフェンスになりませんでした。31-22の1Qです。
◎気持ち
そういえばトリスタン・トンプソンを補強したブルズは早速セカンドユニットに使ってきます。ハードワークの戦いが増えており、オフェンスリバウンドに参加するトリスタンはフィットしているのですが、フィットしている一方で問題を解決してくれているわけではなく、ブーチェ不在だとガードアタックに頼ることになります。
ブルズはブーチェ不在の時間帯をスモールで戦ってきたので、それはそれで戦術的変化が付くことと、ディフェンスのメリットがありました。トリスタンはゴール下を押し込み(珍しいけどね)メリットを生み出した一方で、ハイポストのクラークを放置してミドルを決められるデメリットを出していました。気合と根性のドノバンスタイルには合っていそうなので、そこそこです。
一方でやっとジャボンテ相手のポストムーブを決めたJJJ。それで止められるならジャボンテでいいじゃん。ってのが今シーズンのブルズだからね。外しまくっていたデローザンのミドルがやっと決まり、ブルズは反撃を開始・・・のところでタイムアウトのタイラー・ジェンキンス。
するとデローザンのドライブをJJJが止めるのですが、そこは超サイヤ化しているのでファールコールされます。シーズン序盤ならば「自分からコンタクトした」としてコールされなかった気がするやつ。あっという間にルールが変更されたよね。デローザンの好調には、そんな要素が混じっているのかも。
6点差になったところでデローザンが下がり、ラビーンとブーチェになりますが、アダムスも出てきたので早速止められたブーチェ。ジャボンテのドライブはコースに立ったブーチェが止めてしまいデローザンが下がってのオフェンスが早速上手くいかないブルズ。
モラントも戻ってくるとドライブレイアップはブーチェのカバーで外してしまうも、フリーになっていたアダムスがプットバック。ジャボンテが豪快なプットバックで返しますが、どうしてもブーチェとアダムスの差が強く出てしまいます。ならばと3Pとミドルを打ったブーチェは正解だけど、決めることが出来ず。でも、あれだね。攻略の糸口はわかりやすい。
1Qに決まらない3Pに困っていたグリズリーズですが、2Qになると同じく決まらないけど、今度はブルズディフェンスが間に合っているから決まらないので、こちらもオフェンスに困ります。お互いにトランジションで決めないと難しくなってきた。
ブーチェが外から決めるか、グリズリーズがタフでも3Pを決めるか。どっちが先に決まるのか・・・って時にデローザンが戻ってきたけど、やっぱりミドルが外れてしまった。バックドアカットが成功しそうになってもモラントが手を伸ばしてカット。
ブルズはハードディフェンスから走り、ジャボンテが&ワン。ホワイトの速攻も続いたけど、そのカウンターからザイアーが3P。そしてアダムス⇒モラントの変態プレーがさく裂します。なんだこれ。
残り1分。ブーチェとのピック&ロールからプルアップミドルを決めたラビーン。これがこの試合初めてアダムスの前から決めたシュートだった気がします。ラビーンはプルアップ3Pも続け、デローザンが決まらない中で追い上げ。一方でモラントのレイアップが外れてもリバウンドはアダムス。ジャボンテがファイトしているからプットバックにこそならないものの、ブーチェの負けが厳しいぜ。
2for1の3Pを決めたモラントに対して、ホワイトがコーナー3Pを返し、前半は59-52の7点差で終わります。この最後のホワイト3Pが決まるのが今シーズンのブルズって感じで、勝っているチームの集中力なのか、決まるから勝っているのか。
◎続・ブーチェ
後半もきれいなワイドオープン3Pを打っては決まらないベインと、アダムスを引き出す3Pを外すブーチェで始まります。デローザンのターンミドルもミス。どっちも攻略できそうなのにシュートミスで失敗してしまう。なお、アダムスはオフェンスでもインサイドの強さを見せるけど、フリースローをミスしている。
さらにブーチェが3Pをミスし、加えてゴール下はブロックされると、カウンターアタックのモラントがドリブルパスフェイクから自分で飛び込んでレイアップを決め、点差を二桁にします。ディフェンスの戦いになっているけど、止まらないモラントでリードを得ているグリズリーズ。ちょっとプレーオフっぽいな。
タイムアウトのブルズ。ここで3Pを決めたのがデローザン。ドライブしてミドルは警戒されているから、ドリブルせずに3P打ってみたら決まったよ。続けてラビーンがステップバック3P。困っているのはブルズだけど、先に3Pが決まりだしたのはブルズ。ホームコートアドバンテージもあるし。
ブルズはトランジションでジャボンテにアリウープパスを出すのですが、これをミスすると逆にカウンターからザイアーにアリウープダンクを食らいます。そしてモラントの3Pで突き放されてしまいます。先に当たってアリウープで一気に流れが来そうだったのに、まさかのカウンターだよ。
ここらでモラントとラビーンの戦いになっていきます。ドリブルで抜けて行って粘り強く決めるモラント。同じくラビーンもスピードで抜けるんだけど、基本的に3Pあってのラビーンと、なくても関係ないモラント。チームメイトの3Pが加われば一気にグリズリーズペースになりそうだし、ブーチェがアダムスを引き出せばラビーンのドライブも増えそうだ。で、どっちも決まらない。
やっとフローターを決めたブーチェですが、スピンムーブはアダムスがブロック。モラントのロブパスをアダムスはゴール下ミス。そんな中でドライブを決めたメルトンが、アダムスのスクリーンから3Pもヒットすると、ラビーンのドライブはアダムスがブロック。先に決めたのはメルトンで17点差に広がります。
残り3分。デローザンとモラントが残ってセカンドユニットですが、お互いに上手くいかない時間帯になり、地味にファールを稼いだ分だけ、少し追い上げるブルズ。デローザン頼みの個人技アタックから始まるのでタフになってしまうね。JJJがワイドオープン3Pを打てたり、チャンスもあるんだけど決まらないグリズリーズ。
ゾーンでモラントからボールを奪ったDJJ。カウンターのデローザンで12点差にするも、ハーフコートオフェンスは「デローザンにパスを戻すだろ」を読まれ、スティールから最後はモラントのアリウープダンク。デローザンのドライブはJJJがブロック・・・したけどリバウンドでファールするJJJに助けられて、なんとか93-79の14点差にして3Qが終わります。
まぁ順当かな。ブーチェのFG5/16が効きすぎていて、ブルズは追い上げきれませんでした。ベインの3P0/4はグリズリーズが決めきれない要因ですが、代わりにデローザンを止めているので許容範囲。モラントが3Qだけで20点取ってカバーしてくれたし。
ブルズはこんなにブーチェが決まらないなら、アダムスにはスモールラインナップにして勝負をかけても良かったのですが、トリスタンを補強したからか、そうはならない。ブーチェ⇒トリスタンじゃ益々アダムスに無双されるだけだもんね。ブーチェの復活を待つだけ。
◎デローザン
クロージングに向かうグリズリーズ。積極性は忘れず、だけどムリのあるプレーではなく、着実に相手の弱みを使っていくのが王道。さっそくJJJがデローザン相手の押し込み。JJJはトリスタンのシュートミスも誘って、なんとかノーファール。ただ、トランジションに戻るのが遅れるとDJJのオフェンスリバウンドなので、気は抜けない。
時間を使ってからJJJがトリスタン相手の1on1をねじ込み、ラビーンのドライブもJJJがブロック。ホワイトのドライブを後ろから叩いたのは、ファールコールされ、加えてテクニカルまで食らってしまった。良いプレーしているのに何してんだか。なお、トリスタンにクソファールされているのにコールされていないのも事実で、ホームコート感が強いブルズ。
さて、これで5ファールのJJJ⇒アダムスとなり、この試合初めてブーチェがいないのにアダムス登場です。グリズリーズは試合終盤をアダムスを使わず、3P攻勢のデメリットを消しに行くことが多いですが、今日もそれなのかな。JJJの問題か、ローテなのか、よくわからん。
そのアダムスのスクリーンを使ってオープンのミドルを打つベインですが、今日は決まらん。同じくタイアスもフリーになるけど外してしまい、カウンターからDJJのダンクで10点差。ちょっとやっちまったなJJJ。テクニカルから流れを変えてしまった。
そんなわけでモラントが戻ってきます。アダムスのパスアウトからワイドオープンになったモラントだけど、この試合初めて3Pをミス。逆にデローザンはこの試合2本目のミドルをヒットし、点差が一けたになります。
モラントはデローザン相手のドライブをしますが、これがフィジカルに止められると、逆にデローザンはモラント相手のスピンミドルをヒット。モラントが輝く試合で、最後に働くのかデローザン。
タイムアウトのグリズリーズはまたも完璧にワイドオープンにしますがベインが3Pをミス。さすがに決まらなすぎ。ホワイトのフェイダウェイミドルで4点差に。これだけオープンショットにして決まらず、タフミドル決めるブルズに追い上げられるとか。今度はメルトンもオープンのコーナー3Pをミス。どうなってんだ。
強引に仕掛けたデローザンはファールドロー。本当にデローザンなのか。会場からはMVPチャント。タイラー・ジェンキンスはザイアーを辞めてカイル・アンダーソンを投入し、デローザン対策に行きます。すると直後のミドルはミス。モラントのフローターで一息。
今度はモラントにマークされたラビーンが行きますが打ち切れず。デローザンのミドルも決まらず。マッチアップ次第になってきたね。細かく入れ替えるタイラー・ジェンキンスと、ディフェンダーを出したら任せる感じのビリー・ドノバン。
再びモラントがドライブフローターを押し込みますが、デローザンは3Pをヒット。困ったらドリブルせずに3Pを打つとディフェンスは対応できないという変な選手。モラントはドライブファールドローで取り返しますが、フリースローをミス。エースのやりあいは、シュートが決まっているのはブルズで、ディフェンスに困らされているのもブルズ。
残り2分半。ラビーンがドライブキックアウトでホワイトの3Pに。やっぱり決まっているのはブルズ。ワイドオープンのベインはまたもミス。カイルのオフェンスリバウンドからモラントがファールドローするけど、とにかく3Pが決まらないグリズリーズ。
デローザンがドライブを決めて1点差になるも、モラントのミスから再びオフェンスリバウンドを取りパスアウトすると、ここで遂にベインが3Pをヒット。この試合7本目にして初めての成功です。ブルズもブーチェがオフェンスリバウンドを取り、フリースローを貰って残り1分3点差。
モラントのドライブは囲んで止めると苦し紛れのベインのミドルはミス。しかし、リバウンドはJJJ。ここで作り直せばいいのにアタックしたJJJはデローザンに絡まれてジャンプボールに。でも、これもグリズリーズボールになります。モラントのフローターがミス。
急ぐブルズ。ボールを持ったラビーンはそのまま自分で仕掛けてファールドロー。これでベインが退場。ディフェンスが仕事だったので仕方ないけど、3P1/7の方が目立ってしまった。デローザンをよく守っていたけどトランジションでラビーンやホワイトにファールしてしまったね。
まだ1点リードのグリズリーズはタイアスを投入し、プレス対策です。落ち着いているね。昨日のホーバスのラストオフェンスは何だったんだって思っちゃう。アダムスへロングパスを出してかわすと、そこにファールに来たブルズですが、しっかりとタイアスに戻したアダムス。ファールされたタイアスがフリースロー2つを決めて残り15秒3点差。
ちなみにファールゲームしない手段もあったけど、そうすると残り時間が2秒くらいしか残らないので、オフェンスチャンスを残すことを選択しました。
ところがデローザンにボールを持たせると、何故かインサイドアタック。時間を残して3P狙いなのかと思ったら、突っ込んでしまった。しかもJJJがムダに囲みに来て、コーナーでブーチェがワイドオープンだったのですが、カイルがデローザンから奪い取り、なんとか逃げ切ったグリズリーズでした。
〇モラント
46点
FG15/28
3P3/4
FT13/15
3アシスト
基本的に個人対応がメインのブルズってこともあって、自分で決めきったモラント。ここを止められるディフェンダーがいなかったことがブルズの敗因となりました。一方でモラントを除くと3P4/19と決まっておらず、個人対応の良さは出ています。まぁグリズリーズ側がワイドオープンを外しすぎていたけどね。
〇JJJ
8点
FG4/12
一方で本来の狙いはこっちだったはずです。そういう立ち上がりでしたが、ここを守り切られてしまうというのは、サイズのないブルズに対しては痛かった。なので、モラントはハイパーだったけど、他にはアダムスの奮闘があったくらいでオフェンスは良くなかったよ。
〇デローザン
31点
FG10/31
3P2/2
FT9/10
8試合連続30点以上、FG50%以上を記録していたデローザンなので、ディフェンスのターゲットは明らかでした。それでも30点取られていますが、31本打たれての10本成功なので、ベインとカイルのディフェンスが勝因でした。オフェンスと違ってディフェンスのゲームプランは完璧に機能したと言えます。
3P9/20と決まったブルズですが、ブーチェの0/5が痛く、またアテンプトの少なさも目立ちました。つまりはグリズリーズもかなりの部分で個人対応をメインとしており、お互いに個々のマッチアップ勝負でした。デローザンを止めるディフェンダーのいたグリズリーズが上回った試合。
ってことでプレーオフっぽかったね。ただブルズはラビーンが38分、デローザンが45分出ているのに対して、グリズリーズはモラントの36分が最高なので、リードしていたこともあり余裕はあった。
一気に決まってしまいそうな試合でしたが、見事な追い上げを見せたデローザン&ブルズ。見ごたえのある試合だったけど、内容的には差があったし、オフェンスはモラント勝負だったけど、ディフェンス面では細かい対応で勝利したグリズリーズでもありましたとさ。
面白い考察でした。
対デローザンといえばブルックスのイメージでしたので、今日はチャンスがあるかと思いましたが、カイルなどにもキッチリデローザンが守られてて厳しかったですね。
グリズリーズは一つ一つの1on1ディフェンスが強く、洗練されていると感じました。
なにか特定のデローザン対策があるかとも思いましたが、モラントだとあっさり決めていたので、個人のディフェンス力なんでしょうね。
ジャボンテも見事でしたが、どうしてもモラントを止めるには厳しい布陣のブルズでした。せめてロンゾがいればね。
個人的には今シーズンのMVPはモラントかデローザンなのですが、それを示したゲームだったと思います。チームメイトのスリーが決まらない状況(アダムスはスーパー)でも点を取り続けて勝たせたモラントと、ほぼ出ずっぱりでも後半得点を量産して追い上げたデローザンと、なぜMVPレース筆頭ではないのか不思議です(なお、エンビードとヨキッチはすごいことは分かっています)。
今日のデローザンへのディフェンスをみてると、カイルへの再契約の金額がすごく迷います。弱点と強みがはっきりしている選手ですが、ミドルが増えていくと思われる今後、このディフェンス力は非常に魅力的です。まだディロンブルックスがいるグリズリーズが、どこまでの価値を見出すか・・・出しすぎてもだめだと思うのですが。まぁPO観てからでも遅くないですが。
すごくMVPな匂いのする試合でした。
カイルについては、ベインが活躍するので、むしろディロンとの比較で、よりインサイドを担当できるカイルを優先して残した方がいいんじゃないかと。ってことで、意外にもディロンを放出した方が、、、