復活のセルティックス

どうにもならない開幕を迎えたセルティックスは、その後ミーティングで持ち直す時期があったものの、特にこれといった解決策もなく、ダラダラと時間を過ごしていったシーズン前半でした。ここは大事で内容的に、何かが解決というか、少しずつ進化しているわけではなく(コロナで欠場多いからね)何も変わらないと思っていました。

ところが1月から好調ゾーンに入り、よくわからないけど、勝ちまくりました。オールスターブレイク直前は9連勝し、ピストンズに10連勝を止められて終わりました。なんでだよ。

〇勝敗
~12月 17勝19敗
  1月 10勝6敗
  2月 7勝1敗

うーん、なんででしょうね。本日は1月8日のニックス戦以降の16勝5敗をピックアップして何が違うのかを考えてみましょう。めんどくさいので「不調期」「好調期」という分け方で表記します。

◎テイタムの変化

〇テイタム
不調期 → 好調期
得点 25.7  ⇒ 25.7
FG 41.8% ⇒ 46.3% 
3P 33.3% ⇒ 32.2%
リバウンド 8.5 ⇒ 8.1
アシスト  3.9 ⇒ 4.6

〇ブラウン
得点 24.2 ⇒ 23.2
FG 45.6% ⇒ 46.5%
3P 36.1% ⇒ 34.2%
リバウンド 6.1 ⇒ 7.0
アシスト  2.6 ⇒ 4.1

最大の特徴はエースコンビの得点に大きな変化がないことです。もしも、この2人が決めまくっているならば話は簡単ですが、実際には2人の得点面はテイタムのFG成功率が向上したくらいで大きな違いはありません。

その一方で共にアシスト数が伸びています。ってことで、シーズン当初から問題になっていた部分が解決したって事が初めにわかります。エースコンビの個人アタックが目立っていた中で、やっとパスを振るようになったわけだ。ただ、それがどういう理由なのかはわからない面があります。

元々パスをしないならともかく、昨シーズンからエースコンビの形になっており、テイタムがワイドにパスを出すようにもなっていました。一昨年のプレーオフね。それを忘れてしまった問題の方が疑問であり、改善したというよりは、昔の良かったときを思い出した感じ。

〇テイタムのパス
不調期 44.7本
好調期 48.4本

昨シーズンのプレーオフ 43.2本
一昨年のプレーオフ   62.2本

しかし、実際のパス数を見てみるとアシスト程の違いがありません。増えたは増えたけど、決定的には増えていないので、パスするようになったというよりは正しく判断してアシストするようになったね。でも、一昨年のプレーオフのスタッツを見ると(プレータイムの違いはあれど)、まだまだ昔を思い出せたとは言えません。

うーん、昨シーズンのブラッド・スティーブンスの苦悩が見て取れるようだわ。

このアシスト数の違いは、どちらかというと「アシストが増えた」ではなく「タフショットを減らした」ように見えています。自分にマークが厳しい時に、ちゃんとパスをするようになっているから、必然的にアシストが増えたような。タフミドル(10ft~の2P)のアテンプト数を比較してみましょう。

〇テイタムのタフショット
ミドルアテンプト 2.2本 ⇒ 1.5本
ミドル成功率  29.6% ⇒32.3%

3Pアテンプト  2.3本 ⇒ 2.5本
3P成功率   26.6% ⇒ 35.8%

僅かではありますがタフミドルが減りました。このシュートを減らした分だけ、アシストが増えた印象です。一方でタフ3Pは成功率が跳ね上がっており、そこに理由を求めるのはちょっと難しいです。単なる好調というだけのようなね。

では、そのテイタムのパスから、どんな形でシュートが打たれるようになったかというと、これまた難しいものがあります。明確な変化というよりは周囲もシュートが決まるようになった程度の差にも見える。

〇テイタムのパスからのシュート
2Pアテンプト  7.1本 ⇒ 7.0本
2P成功率   46.5% ⇒ 52.7%

3Pアテンプト  6.4本 ⇒ 6.5本
3P成功率   30.6% ⇒ 36.8%

ブラウンの方は多少2Pアテンプトが増えているものの、おおむねテイタムと同じです。両エースはタフショットを減らし、アシストを増やしたものの、その本数は劇的な変化というほどではありません。プレーそのものにムリがなくなった印象は明確にありますが、だからといって一気にチームを引き上げるほどの違いを生み出せたとは言い難い。

両エースのはタフショットを減らし、FG成功率とアシストを増やしたが「劇的な変化」とまではいえない

選手個人には好不調はつきもの。ただ1カ月近くもチームが好調なのだから、個人の良し悪しでは決まりそうにないよね。もっと確実な違いを見つけたくなるわけだよ。

◎スマートとシュルーダー

試合の印象としてはスマートの存在感が増してきました。かつてのセルティックスも連勝=スマートってイメージだったので、その判断力に委ねることで色んなものが解消してきたのでしょう。ところが、このスマートのパススタッツを見ていくと、劇的に変化しているんだけど、印象とは違う変化の仕方です。

ちなみに好調期の21試合中、スマートは14試合、トレードされたシュルーダーは17試合の出場になっており、共に連勝の要因として挙げるには苦しい試合数です。その点も踏まえてみると、なんだか不思議な感じがしてくるよ。

〇スマート
パス数 51.1本 ⇒ 46.9本
アシスト 5.5  ⇒ 4.9
パスから
2Pアテンプト 10.7本 ⇒ 9.3本 
  成功率   45.6% ⇒ 53.8%
3Pアテンプト  7.2本 ⇒ 5.6本
  成功率   36.8% ⇒ 35.4%

ちなみにスマートは最後の試合が途中離脱だったので、平均が落ちている原因でもあります。なのでパス数やアシストは、そこまで変わらない。明確に違うのは3Pに繋がるパスが減ったことと、2Pの成功率が高まるパスが増えた事です。後者はテイタムと同じなので1つのキーポイントは

パスから2Pを押し込む確率が上昇した

これはセルツ好調の要因になっています。この点は後述するとして同じスタッツをシュルーダーでも見てみましょう。

〇シュルーダー
パス数 51.7本 ⇒ 45.9本
アシスト 4.7  ⇒ 3.6
パスから
2Pアテンプト 10.2本 ⇒  7.4本 
  成功率   43.2% ⇒ 42.9%
3Pアテンプト  6.1本 ⇒ 5.3本
  成功率   38.6% ⇒ 30.0%

ここまでの登場人物に比べて、シュルーダーは異質なスタッツになっており、パスもアシストも減り、パスからの2Pはアテンプトも成功率も落ちています。っていうか、もともと2P成功率が低すぎるぜ。

トレードされたのも納得ではありますが、なんだかこれをみると「2Pの成功率をあげろ」はなおさら重要視された要素に見えてくるし、だからこそシュルーダーのプレーメイクがNGになったのかもしれません。ちなみにこれらのことはプレーメイクは出来ないジョシュ・リチャードソンも一緒なので、セルツはパスで決定機を演出することを重視していったといえます。ホワイトの獲得もさ。

セルツの目標はパスで決定機を演出すること

では、これらのことを踏まえてチームスタッツを確認していきましょう。実は個人とチームは同じスタッツを調べられないことがあり、今回のはそれにあたるぜ。

〇パス数 290.3 ⇒ 300.0
〇アシスト 22.7 ⇒ 25.3

パスが10本近く増えましたが、それ以上にアシスト2.6本増えており、その狙いがハマっている感じです。狙いがハマっているのか、勝っているから上手くいっているだけなのか、よくわからん面もありますが、シュルーダーとJリッチの放出は、なんだか理由を示してくれた感じです。

ところで、チームとしてのパス数が増えた一方で、チーム内のパス数上位4人の合計は減っているという現象もあります。テイタムは増えたけど、他の3人はパスが減りました。プレータイムの問題もありますが、明らかに主力でのボールムーブを辞めたことになります。

〇テイタム+シュルーダー+スマート+ホーフォード
不調期 190本
好調期 175本

「もっとチームで戦おうぜ!」というシーズン開幕当初からあった問題を解決しに行ったスタッツにも見えます。いずれにしても長くボールを持つ選手をトレードしたことはメリットを生み出していると言えます。よりチームとしてのボールムーブが目立つようになり、その結果がFG成功率の向上だと考えれば納得。

〇2Pアテンプト 52.3本 ⇒ 49.0本
   成功率   51.9% ⇒ 55.6%
〇3Pアテンプト 12.1本 ⇒ 13.2本
   成功率   33.3% ⇒ 36.0%

2Pのアテンプトは減り、成功率はグッとあがりました。逆に3Pは増えているので、考えようによっては「もっとオープンな3Pを打とう」だった気もします。つまりセルツの好調で難しいのはここで、3Pを増やしたから2Pの成功率が向上しただけにも見えるわけです。

明らかにパスムーブは増やしたわけですが、3P打ちたかっただけのようでもあるし、3Pを打つガードを減らしたので、決定機を演出するパス能力を求めたようにも見える。どっちもいけるホワイトってのが、これまた狙いを読みにくくしている。

いずれにしてもセルツは個人ではなくチームとしての変化をしています。タフショット打ちすぎていたことを反省しているようでもあり、個人に任せすぎたのを改善したようでもある。HCの改善に見えないのは、やっているプレーそのものに変化があったというよりは、ディティールの変化だからです。劇的ではない変化。

◎3Pを増やす

3Pアテンプトを増やしたのか、2Pの成功率をあげたのか。微妙なラインではありますが、後者を前提としたときに、シュルーダーをトレードしたのは明確な変化を促すことでもありました。そもそもプリチャードに出番を奪われがちだったのは、両者の能力的な問題ではなく、3P中心のプリチャードというプレースタイルに合った気もします。

2Pの確率向上という事で、8フィート以内のショートレンジのアテンプトを比べてみましょう。シンプルに言えばロバート・ウィリアムスのアテンプトを増やすというか、合わせさせることを増やしたわけですが、それ以外の要素は何か。

〇8フィート以内のアテンプト
テイタム 7.5本 ⇒ 7.3本
ブラウン 6.8本 ⇒ 6.8本
ロバート 5.5本 ⇒ 6.0本
シュルーダー 5.0本 ⇒ 2.6本
ホワイト        ⇒ 4.3本
スマート 3.9本 ⇒ 2.4本
ホーフォード 3.3本 ⇒ 2.3本

これをみると、テイタム&ブラウンは変わらず、ロバートは0.5本増。65%決めているホワイトは置いといて、シュルーダー、スマート、ホーフォードのアテンプトが減っています。つまりは

ロールプレイヤーはインサイドアタックを減らせ!

そんな事情が垣間見えます。インサイドのスペースを使うのは両エースとロバートに限定させ、他の選手は3Pでストレッチするのが基本。たまにインサイド合わせのカッティングやドライブさせる分には確率が高く保てるって感じです。ミドルも減らしているので3Pを打つ意識の高まりがあります。

その点ではイマイチ打ち切らないことがあるJリッチを嫌がったのかな。シュルーダーと共にミドルを打つタイプのガードなので、そうではなくてエースのアタック+3Pにしたかった様子。これが最終的には2Pの確率向上に繋がりました。

セルツはシンプルになったことでオフェンスの改善が行われたわけですが、それってブラッド・スティーブンス時代は普通の事だったような。なんだか余計な要素が混じってしまったのをクリアにしたのかもしれません。トレードもそんな感じで、オリジナルメンバーばかりを集めることにしました。よくわからなかったよね。昔を思い出しに行っただけみたいな。

さて、ロバートとコンビを組んでいるホーフォードについては、インサイドの微妙さが目立ってしまったので、明確に役割を変えることになりました。グラントと共にこの2人についてはPFとしてインサイドファイトすることではない仕事を与え、これまでにない「劇的な」変化をさせています。

〇コーナー3P
グラント 1.7本 ⇒ 2.0本
ホーフォード 0.9本 ⇒ 1.3本
ホワイト      ⇒ 1.8本

チーム 8.6本 ⇒ 9.4本

グラントはプレータイムを伸ばした面もあるのですが、ホーフォードは減らしてもコーナー3Pが目立っており、パスムーブの件も含めて、PF2人で大きな変化がありました。コーナーにポジショニングしてくれるホワイトも加えたのですが、その割にはチームとしては増えていないのでバランス変更という感じです。

実際、ホーフォードについてはプレーメイクに絡む回数を減らしました。コーナーにいることで3Pもあるし、時にはインサイドへ加勢することも出来ます。いずれにしても相手のビッグマンを追い出すことを優先したような形です。まぁツービッグのチームが少ないけどさ。

2Pの確率向上とホーフォードのコーナー3P増は、わかりやすく結びつく要素に思えます。ジャマだったので、ちゃんとストレッチさせるようにしました。ちなみに確率は39%前後で変わっておらず、今シーズン決めまくりのグラントが理由って事ではありません。

PFはコーナー担当にして、両エースとロバートでゴール下攻略

なんだよ。大した話じゃないな。普通なんだけど、どうもその普通が出来なかったって事か。昔のメンバー+ホワイトに戻して、バランス改善したことも含めて「なんでそれが出来なかったの?」と言いたくなる変化でもありました。

◎ディフェンス

シンプルになったオフェンスはレーティングが108.3から114.1に向上していました。ちょっとした好調さも含めての改善に見えますが、チームとしての強みはディフェンス面にあります。今シーズンは開幕当初は全チームが守れる(ボールとファール問題)があったので微妙なのですが、最近は順当にレーティングが下がっているチームが殆どなのに、セルツだけは劇的に向上しています。

〇ディフェンスレーティング
不調期 107.6
好調期  99.8

なかなかの改善っぷりですが、実はこれって他のチーム以上にロスター的な問題だったりします。実はセルツのスターターはずっとディフェンスが良いんだよね。

テイタム、ブラウン、スマート、ロバート、ホーフォード
不調期 95.3
好調期 84.8

もちろん改善はしているけど、90を切るってのは出来過ぎなので鵜呑みにしてはいけない。っていうか、そもそも95というレーティング自体が高く、これまでも立派に守れるチームでした。

ただし、39試合のうち10試合114分しかスターターユニットでプレーしておらず、ただ単に欠場が多かったから成立していなかっただけでもあります。そして好調期の21試合中13試合182分とスターターユニットのプレータイムが大きく増えました。ちゃんちゃん。一番いなかったのはブラウンで14試合欠場でしたが、交代で離脱していたんだなぁ。

またチーム編成的にロバートとホーフォードが揃っていることはローテ的にも大事で、片方がいないと明らかにインサイドが弱くなる時間帯が出来てしまいます。タイスを戻したのも、そんな時間を回避するためだったと思われますが、ロバート欠場の試合はピストンズにやられてしまった。

そんなわけでディフェンス面の改善については、細かく言えばゾーン気味のマンツーなどの工夫が混ざり、崩れにくくなったのですが、大きな視点としては

守れそうにない選手や、合わない選手を放出した

ってだけにも見えます。一応、ホーフォードはディフェンス面では開幕から問題なくというか、これまでに足りなかった要素として機能しており、Jリッチやラングフォードも含めてハードに守る選手を抱えていました。ただコロナもあって選手が揃わなかった12月は厳しかった。

〇ペイント内失点 41.7(2位)

シーズン通してインサイドを守る形で機能しており、実は一過性のものではないよね。ちなみにペイント内失点は上位7チーム中6チームがイーストのチームなので、カンファレンス差異が強く出ています。あとヤニスやエンビーがいるのでイーストの方が厚くしがち。

ディフェンススタッツがより向上しているのは、オフェンスの確実性が増したことで、ハーフコートディフェンスが増えたからってくらいかもしれません。

◎好調は続くのか

さて、この好調さは続くのでしょうか。ポジティブな要素はディフェンスが良いことで、ここについてはシーズン当初から培ってきたものなので、一過性ではなく、しっかりと続いていきそうなことです。ディフェンスが良いからこそ、オフェンスの好不調があっても、特にテイタム&ブラウンの好不調があっても連勝を伸ばせたわけです。

ネガティブな要素はトレードによって、起用する選手を固めてきたことです。今シーズンのセルツはシュルーダー、Jリッチ、ラングフォード、フリーダムなど、ベンチにオプションを多く抱えましたが、結局はオプションを使いこなせずに、選手同士の相性やら連携を重視したことになります。

テイタム、ブラウン、スマート、ホーフォード、ロバート
グラント、ホワイト、タイス

シンプルに言えば8人ローテのプレーオフ仕様になっています。プリチャードやニスミスもいるので、ベンチに困るってわけではありませんが、プレーオフモードで勝ち抜こうとしている印象は強くなってきました。

そうなってくると結局はテイタム&ブラウン次第なので「好調は続きますか」っていわれても「エース次第」になってしまいます。まぁディフェンスがあるので急降下はしないでしょうが、ケガ人発生でグラグラと揺れそうな匂いはしています。今まで通りだね。

スケジュール的には3月中旬までウエスト遠征もなく、割と順調に過ごせそうに見えます。ちなみに12月頭にあったウエスト遠征が1勝4敗だったので、やっぱり遠征って大変だね。

セルツが選んだのは「元に戻る」ことでした。思えばホーフォードがいなくなってから、ホーフォードが恋しくて仕方がなかったけど、戻してみたら上手くいかなかった。上手くいかないなら、上手くいっていた頃に戻ろうよ。そんな強引さも感じてしまいますが、チームは生き物だし、見えない部分の選手の相性は大事なので、元の鞘に戻っただけかもね。いや、カイリーがいない分だけ仲は良いはずか。

基本となるディフェンス面に、シンプルにして好調なオフェンスが乗っかった16勝5敗。さすがにオフェンスがこのまま続くのかは怪しいけど、ディフェンス中心の戦い方はウイングエースのチームに合っているので、正解のルートだと思います。

大型トレードが目立つ中、セルツは毎シーズンのように大きな補強をしてきました。そして迎えた現在はドラフトで手に入れた選手ばかりのチーム構成に戻るという変な感じですが、このまま突っ走ることはできるのか。

残り22試合ですが、3位までは2ゲームしか離れておらず、上手くいけば上位シードに滑り込むことも出来るし、7位は0.5ゲームなので好調を維持できないとプレーインに回る可能性すらあります。混沌のイーストなのでホームコートアドバンテージはとっておきたいぜ!

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