気が早いとは思いますが、再建4チーム(サンダー、ロケッツ、マジック、ピストンズ)の今シーズンの現状分析をしてください
こんな質問がきたので答えましょう。なんで答えるかというと、トレードデッドラインに向けての動きが出てくる前だからです。この4チームはトレードを活用しなければいけない立場でもあるので、現状を考えることでデッドラインの事も想像しないといけないよ。
◎再建ってなんだろう
まずは再建って何かを考えてみましょう。勝利を優先せずに戦う中で、何を目指しているのかっていう「目標」は、最近の流れだと大きく2通りになります。
①若手選手を伸ばす
②戦術を熟成させる
ファンの立場からすると①が絶対的に大事なことですが、実は近年は②のチームの方が成功しています。例えばサンズは①をしていて失敗したけど、モンティがHCになった1年目に②が始まり、2年目で花開いています。他にもクリッパーズは①をせずに②の方針に進み、FAでレナードを、トレードでポール・ジョージを獲得して見事に返り咲きました。
①だとホークスが挙げられますが、ブルズのように①をしていてトレードで若手大放出ってパターンもあるので、いずれにしても最近の流れとしては
チームの強化 → トレード&FAで勝ちに行く
後者がないと成功しにくくなっています。とはいえ、これをやっていながら苦戦しているキングスやウルブズもいるので、一概に何が正解かはいえません。ただ、戦術を熟成したほうが良い選手が生まれやすく、その選手に市場価値が出来たところでトレードに動く戦略は論理的になっています。
③トレードに向けた準備
もちろん、負けることでドラフト上位指名権を狙う事も大事ですが、ロッタリーなのでそこにはフォーカスせず、①成長、②戦術、③トレードの3点について、各チームの現状を考えてみましょう。
◎ピストンズ
①成長 ★★★★
②戦術 ★★★
③トレード ★★
実は「再建」という意味では順調なシーズンをこなしているのがピストンズ。負けているから上位指名権ってのもありますが、わかりやすく若手を集めてプレータイムを与えています。なお、今回はあくまでもシーズンの現状なので「そもそもタレントが足りない」なんてことは言わないでね。
カニングハム、ヘイズ、ベイ、スチュワート
最近はディアロなんかも加えて、若手コアを伸ばす姿勢はハッキリとしています。本当は繋ぎ役になれるベテランがいた方が若手の成長も早く、お世辞にも「加速度的に若手が成長しているぜ」とはいえないので、満点はあげれないけど、方針は成功しているじゃん。
一方で戦術面については、最近まではロクなものではなかったです。しかし、開幕から2カ月がたち、なんだか少しずつ整理されてきました。カニングハムという判断力タイプのルーキーを活用する戦術に近づいてきたし、全員で得点を取っていく形が出来てきました。なお、カラミアンがHC代行していた時が印象的だったので、ケーシーで大丈夫なのか不安はあるけど、ACに戦略家を連れて来て成功している匂い。
この延長線上で勝てるようになるのか不安はありますが、次のドラフトでタレントを加え、進化していく流れは出来ています。願わくばブルース・ブラウンを再び探し、ハッスルできる選手を2順目でも連れてくる事かな。
しかし、あくまでもドラフトにしか期待できないのがピストンズの悩み。トレードで大物を連れてこれるだけのアセットは用意できていません。カニングハムを放出する以外はムリゲー。本当はベン・シモンズでも連れてきたいけど、さすがにね。
唯一、ジェレミが売れる選手ですが、1巡目指名権との交換が限界というか、現実的な目標だと思います。ジェレミを欲しがるチームはそこそこありますが、ピストンズが何を欲しいかっていうと、全く分からないので、指名権を提出したチームが持っていける気がします。
ついでにジェレミに合わせてキャップスペースを利用したサラリーダンプにも手を出したいところですが、指名権ヤクザがはびこるNBAの世界で上手く振舞えていないので、あまり期待できないだろうな。
ってことで、まだまだ再建は続くけど、本当に最近のピストンズは前向きな気持ちでみれるよ。願わくば次のドラフトでも1位指名権を引き当てたいね。オフにはグリフィンのサラリーも消えるので、マジで前向き。目標はカニングハム3年目に勝ちに行ける事かな。
◎マジック
①成長 ★★★
②戦術 ★
③トレード ★★★
一方で期待していたのに、期待外れなのがマジック。再建チームで若手を揃えたにもかかわらず、ケガとコロナでボロボロ。ワグナー弟がルーキーアワードの先頭を走っているけど、それも他の選手がいないからっていう悲劇。バンバが予想外に成長しているなど、ネガティブな要素ばかりじゃないけど、ここまで上手くいかないとは想像もつかなかった。
選手がいないからってのもあって、戦術的にもどうなっていくのか不明です。こればかりは仕方がない。仕方がないけど、ディフェンス主体にしなかったことや、個人で仕掛けるコール・アンソニーを中心にしてしまった期間もあり、若手を多く集めていながら、チームとしてどうやって融合させていくのかもわかりません。
だから戦術的には評価することも出来ない。ちなみに7人が二桁得点していて、バランスアタックできそうなチームだし、フルツやアイザックは出ていないわけで、別に後ろ向きでもないよ。
さて、現状でマジックには若手も溢れているのでトレードに動いてもOKです。それ以上に数人のベテランがいて、ベンチを分厚くしたいチームからすると魅力もあります。1巡目指名権は手に入れにくいけど、サラリー調整も含めてデッドラインに積極的に絡みたいところです。
ギャリー・ハリス(20M)
テレンス・ロス(12.5M)
ロビン・ロペス(5M)
若手を1~2名つけて効果的なトレードが出来る可能性もあります。ちょっとハリスは高くて動かしにくそうだけど、ロスとロペスはわらしべ長者が出来そう。意外と八村+ベルタンスを引き取ってロスを渡すとかあるかもよ。そういう動きを探していくデッドラインになると思います。
まぁ離脱者が多くて、戦術も固まっていないので、逆に言えば選手も動かしやすい。誰を中心にするのかも決まっていないし、決まるほどのインパクトもないから、良い話があれば手を出しそう。
◎ロケッツ
①成長 ★★
②戦術 ★★
③トレード ★★★
謎すぎるのがロケッツ。ここまでのプレータイムが長い順に並べると
ウッド
グリーン
KPJ
ゴードン
マシューズ
テイト
タイス
マーティン
シェングン
うーん、グリーンはいいとして、KPJにチームの中心になることを期待しているのか。他のベテラン陣を売りたいのかなんなのか。ケガやプロトコルは仕方がないにしても、若手が個人として成長している感じもありません。経験を少しずつ積んでいるくらい。
プレータイムを得ているグリーンですが、戦術的な中心にはなっていなかったし、プレーメイカーとして機能しているシェングンを重視もしていません。マシューズで強引に修正して、勝てるようになってきたけど、それを未来にまで続けるのだろうか。
グリーン、シェングン、クリストファー、ガルバを並べて、20分くらいのプレータイムで成長させていけば負けていてもわかるんだけど、何がしたいのかわからない。ついでにいえばDJオーガスティンのような周囲を使うタイプのベテランもイマイチ使わないもんな。
そんなわけで成長的にも、戦術的にもサッパリわからん。KPJとウッドも若手ではあるので、このままの体制で行くなら一応は成立する部分もあるので、★2つにしたけど、どうなんだろうね。あと気が付いたら、ギャリソン・マシューズ&アーロン・ブルックスと4年契約しているじゃん。やすいとはいっても何考えてんだ。
一方でトレードに出すには手ごろなウッドとタイス、オーガスティンがいます。ゴードンは高いのと契約が残っているんだよね。あとはウォール問題が残っているけど、売るのはムリでしょ。もしも3人を放出するならば、サラリーダンプを受け入れることも出来ます。
うーん、ただね。現状を見ればテイトだけでなく、目の前で試合に出ている選手を好んでいるようなサイラスなので、動き気もしないんだよね。デッドラインの主役になるにはフロントの動きも、現場の動きもよくわからないです。
◎サンダー
①成長 ★★★
②戦術 ★★★
③トレード ★★★★
最近、ロスタースポットも空けてトレードに備えているサンダー。キャップスペースも大きく残しており、狙いはハッキリしていて、指名権ヤクザが腕を鳴らして待っています。
大量の指名権を持っており、さらに集める可能性もあれば、指名権を利用して放出対象のスターに手を出すかもしれません。また、フェイバーズ(10M)、ムスカラ(3.5M)のベテランインサイドや、SGA&ドルト&ギディを除き、若手を放出することも厭わないでしょう。立派にトレードの準備が出来ています。
その点では極めて順調にきているのがサンダー。でも、それってあくまでもトレードの準備であり、今シーズンの分析とはちょっと違うよね。
ギディを手に入れたサンダーは、これでSGA&ドルトと3ガードシステムに適した選手を揃えることに成功しました。戦術スタイルもベースが固まっており、それぞれが経験を積んで成長すれば、そのまま将来に繋がります。この点では①も②も上手く進んでいるね。
一方でインサイド側にどんな選手を揃えるべきなのかは未だに定まっていない感じがします。次のドラフトがトップ5のうち4人がPFかセンターになりそうなので、そこに照準を絞っているのかもしれませんが、それでも1人くらい現時点でも欲しいよね。
サンダーファンも「タウンズが欲しい」「サボニスに戻ってきて欲しい」「なんでシェングンとらなかったの」と言ってますが、ベン・シモンズも含めてチャンスがあれば動いてもおかしくないデッドライン。でも勝てるほどに補強しちゃダメ。
さて、他の若手たちを見てみると成長させることが出来ているような、出来ていないような。ちょっと微妙なラインの若手が多いですね。ポク、ベイズリー、ジェローム、マラドン、ロビー。彼らはプレータイムを得ているわけで、戦術もシンプルに整理しているのだから、結果も残して欲しいところ。
コアの3人は上手くいっているけど、総じてチームとしてはどうなんだろ。勝ちにいく段階に変化するとき、必要とされる選手かどうか。明確に残って欲しいのはケンリッチくらいじゃん。
◎デッドラインはどうなる
そんなわけで、サラリーダンプ役が中心ではあるものの、勝ちたいチームが補強するのに適した選手を各チームが抱えています。指名権と引き換えに動くチャンスがでてくるので、いつでも動けるように準備をしているはずです。
■ピストンズ
ジェレミ、オリニク、ジョセフ
■マジック
ハリス、ロス、ロビン
■ロケッツ
ウッド、タイス、ゴードン、オーガスティン
■サンダー
フェイバーズ、ムスカラ
あくまでもベンチの強化って感じですが、上手く言ってない選手を出して手に入れる価値がありそうなベテランは並んでいるよ。これと大物のトレードにキャップスペース担当として絡めるかどうかです。
さて、他のチームはどうなのか。勝ちに行く強豪チームは別にして、再建に振り切るのか、補強して勝利を目指すのか、微妙なラインのチームがあります。エースの契約期間もあるので、ここでジャッジすべきか悩むチームもあるでしょう。
■補強なのか、再建なのか
キングス
ブレイザーズ
ペリカンズ
ペイサーズ
■積極的に変革を臨むか
スパーズ
レイカーズ
ウィザーズ
ホークス
セルティックス
キャブス
キャブスはポジティブな意味だけどね。せっかく上手くいっている中でセクストンとルビオを処理して今シーズンの成功を選ぶのかどうか。
今シーズンはベン・シモンズ問題に揺れているものの、ベテラン問題がウォールしか発生していないので、ミニマム補強がどれだけ発生するのかも見えないです。トレード希望の噂も聞かないしな。
どこかのチームが決断した瞬間から、怒涛の動きになるのがNBAなので、そこにのっかる再建チームはどこなのか。優勝のために補強したいチームも含めて、GM達が頭を悩ませながら待っているのでしょう。
ペイサーズは再建に踏み切ると宣言してからの動きがないですね…嵐の前の静かさなのか。
今年もまた揺れに揺れるデッドラインになるのでしょうね
OKCファンとしては、ホント「勝てるほどに補強しちゃダメ。」の一言に集約される。この2年間、他チームから露骨にタンクするなよと怒られながらも、謎の勝利をして失敗しているんだから、今年こそ成功させねば。
本文にありましたが、ファンとしてはサボニスには帰ってきてほしいです。