ドンチッチの止め方

予習です。

個別の意見に応えるのめんどくさいので、簡単にまとめましょ。

Q.ドンチッチのマークは誰がいいかな?

A.誰でもいいよ。どうせ止めらんないんだからさ

大前提はこれです。ここを無視して「渡邊が」「馬場が」と言われても何も成立しません。NBAのエースキラーが止められないドンチッチを、なんで渡邊が止められるんだ?

ということで実際に狙うべきは、こんな感じです。

A.ドンチッチに40点5アシストされるけど、他の選手を30点に抑える

B.ドンチッチを20点15アシストにとどめるけど、他の選手に50点とられる

スロベニアはかなりアグレッシブなチームだったので、勝ちゲームでも70点は失うでしょう。それ以下なら「相手の調子が悪くてラッキー」だと考えてください。逆に日本は70点はとりましょう。それくらいは取れる相手っぽい。アルゼンチンも100点になりました。

Aで最悪なのはドンチッチに50点や10アシストされること
Bで最悪なのはドンチッチに30点や20アシストされること

どこを許容して、どこを止めるのかという戦いになります。

◎基本の対応策

ではAかBを選ぶ必要があるわけですが、個人的にはA一択です。ドンチッチの3Pが入らない日であることを願って、ひたすらプルアップ3Pを打たせます。スイッチさせられようがなんだろうがマンツーマンは崩さず、だけどプレッシャーはかけずに「自由に打ってください。ドライブはNGです」という守り方をします。

しかし、これを日本がやれるとは思えないのがBリーグ戦術です。あまりにもオーバーヘルプしている日本を見るとドンチッチを諦めるという選択肢はDNAに刻まれていません。実際にファンからしても「渡邊が」とか「馬場が」になるのは「ドンチッチを止める」という前提に立っています。

なお、NBAの場合はプレーオフになると「ドンチッチは諦めろ」がメインです。ファイナルのバックスもブッカーを諦めました。ただ、出来るだけ守れる選手を個人で向かわせて、40点取られるのを防ぐだけです。ブッカーは40点とって負けたしね。

Aの「ドンチッチ以外を止める」は、日本的には難しいのでは?

ならばBを選びましょう。この時に必要はのは「勇気とローテーションディフェンス」です。積極的にダブルチームを仕掛けて、他の4人を3人で守りましょう。連携が悪くてミスしてくれるかもしれないし。

この時、NBAならセンターがダブルチームに行くケースが多いです。理由はシンプルで「ローテーションディフェンス」にスピードのない選手がいると苦しいからです。だからBをしたいなら

ギャビンやシェーファーがダブルチームに行く

こうなります。これはやりそうです。ただ、その後のローテーションが不安しかありません。なんせウィザーズが下手だから八村は出来ない。渡邊はテレパシーディフェンスの世界で生きているから問題ないし、馬場は知らないけどスピードあるけどさ。

問題はスロベニアのセンターが、起用でインサイドでも頑張ること。ダブルチームに行くのも、1回行けば成功じゃなくて再びドンチッチにボールは戻ってくるから、結構大変だし、スキがあると空いたセンターが簡単に決めて来るぜ。

◎アルゼンチン戦のドンチッチ

48点5アシストでしたが、アルゼンチンが採用したのはAでした。ところがドンチッチにちょっと得点を取られたのが多く、それ以上に他の選手にやられてしまいました。なんでそんなことが起こったかというと、2Qのドンチッチがフィジカル差を生かしてオフェンスリバウンドを押し込んできたからです。せっかくドンチッチが絡まない形に持って行ったのに、シュートミスをドンチッチに押し込まれたぜ。最悪だ。

・スピードがない相手にはプルアップ3P連打
・フィジカルがない相手にはポストアップ連発

ドンチッチはルビオと違って自分が得点するところから始まりますが、そのパターンも豊富。なお、後者はNBAのエースキラー相手だと厳しめ。そしてドンチッチは「真正面からぶつかる」なんて愚かなことはしません。マッチアップ相手との個人勝負を制するだけでなく、そのためにマッチアップ変更も頻繁にしてきます。

・ピック&ロールでドライブ→キックアウト
・ピック&ロールでビッグマンを引き出してプルアップ3P

だから、結局は誰をマッチアップさせても一番弱いディフェンダーを狙ってきます。しかもスロベニアはチームとして、これを誘導するのが非常に上手いし、ドンチッチのドライブに合わせる手法を複数持っています。

ただし、このパターンだとドンチッチには弱点もあります。

引き出したビッグマンをスピードで抜けない

日本にとってキーポイントは八村とギャビンがどこまでドンチッチのスピードに対抗できるかです。ギャビンはともかく八村まで対応できないなら死にます。殆どのオフェンスがピック&ロールでマークマンを剥がされて、ビッグマン相手の1on1でプルアップ3Pとドライブになるのでした。おしまい。

◎誰がマークするの?

ドンチッチに早めにダブルチームに行かない限り、ピック&ロールから崩されます。ドンチッチじゃなくても守れないのに、ムリゲーな気がしますが、まずは「早めにダブルチームに行く」ケースを考えましょう。

この時、ドンチッチはパスを振ります。ここまでは通常営業。しかし、あまりにもダブルチームに来るなら、コーナーに移動してオフェンスに参加しない作戦をとりはじめます。この時フィジカルで負ける相手だとリバウンドを取られるので渡邊に行かせたいのですが、それだと日本はローテディフェンスも出来なければ、リバウンドも取れなくなります。なので、八村かギャビンがいくのが原則です。むずいなぁ。

ダブルチーム作戦なら八村

しかし、延々にダブルチーム作戦は苦しめです。実際には八村のディフェンス負担が減るから悪くないのですが、まぁそこは違う問題だね。

通常の守り方に戻る場合は、渡邊が行く事でプルアップ3Pを減らす狙いがありますが、ルビオに渡邊がいくといいことなかったでしょ。手玉に取られてパスを出されちゃう。周囲との連動を止めるのが渡邊の仕事。だから馬場かベンドラメなんかが行くのがベースになるはず。で、そこからピック&ロールされて、ビッグマンが引き出されます。とにかく一番大事なことは

引き出されるビッグマンは必ず八村であること

ここです。だから相手のセンターのトビーには基本的に八村が行く必要があります。もしも違う選手がスクリーンに行きそうならば、早めのオフボールスイッチで八村か渡邊がスクリナーのマークにつくようにしましょう

・・・日本がオフボールスイッチ出来る気がしない・・・

っていうか絶対にできないだろ。八村だってウィザーズで・・・(以下、略)つまり日本は

延々とドンチッチvsギャビンを作られるぞ

だからさ。アルゼンチンよりもスロベニアの方が勝てる気がしないんだよね。ドンチッチって成功しているパターンを延々とやってくるタイプじゃん。それはそれで問題あるけど、日本相手なら鉄板のなかの鉄板。寿司屋に行って大トロしか頼まないようなオーダーでぶっ潰されてしまいます。

◎結論

マンツーしてもスイッチ誘導されるからダメ。
オフボールスイッチを出来る気がしない。
ダブルチームしてもローテディフェンス出来る気がしない。

はい。結論は簡単ですね。誰がマークしても、どうしようもなさそうだ。

ゾーンディフェンスをやり続けるぜ!

そういえばラマスは沖縄大会で異常なほどゾーンしていたもんな。全く効いていなかったゾーンを。それはドンチッチ対策だったのかな?

だからドンチッチは日本戦で18点12アシスト10リバウンドのトリプルダブルって感じかな。自分で得点する機会は少なくなるかもね。

ドンチッチの止め方” への4件のフィードバック

  1. お疲れ様です。
    最近は配信にもお邪魔させてもらってます。ラジオ感覚というと失礼かもしれませんが、基本環境音の配信だと辛いところもありとても助かっています。

    ジャズ戦で何度も対ゴベアにしながら、ドライブしては後ろからはたき落されていたので、仰られている通り、つり出された選手がどこまで我慢できるか感ありますね。
    プレーオフでズバッツはステップバックスリーにボコられてましたけど、ズバッツにできる対応としてはそんなに間違ってなかったと思ってます。あれはあまりにも不運な事故。
    日本もスロベニアも1戦しか見てないので適当な感想ですが、あんまりドンチッチを意識しすぎない方がいいんじゃないかなと思いました。
    どうしても意識するなら4on3覚悟の早めのダブルでしょうか。そこでスロベニアに人数差生かしてプレー作られたら終わりですが、ドンチッチ以外のスロベニアがスマートにできるのかはよくわかんなかったです。
    なんならマブスでも4on3を上手く生かせるのがブロンソンくらいで、ブロンソンはディフェンスの関係で残せず、ハーダウェイがどうするのかという微妙な勝負だったので…(ハーダウェイ自身はとてもよく頑張っていたと思ってます)

  2. ここでラマスが用意していたゾーンDFが火を噴、、かないでしょうね。あの2-3では。色々考えていましたが、マンツーなら八村がスクリーナーのDFで出ていくのは大前提として、オフボールスイッチは確かにできる気がしません。
    ならば、①ゾーンを多用する は簡単に想像できますが、あの2-3ではスカウティングもされていて、ドンチッチに遊ばれるのは見え見えなので、このスロベニア戦のために取っておいたゾーンがある、、訳ないですよね。渡邊トップの1-3-1とか面白いんですけどねぇ。ジョージワシントンでやっていたような。
    もう1つは②八村をビッグで使うスモールな選択を取る。富樫が出ている時間は、おそらくローポストゲームを仕掛けてくるはずです。必ずローポストに来るなら、そこにダブルチームトラップを仕掛け続ける。女子代表のように。まさしく先日の記事で言われていたように、2ガード3ウイングのラインナップを試してみる。八村渡邊は35分コースで。張本も酷使しましょう、スペイン戦DNPだし。これをやると、2ガードは田中富樫比江島金丸(ベンドラメ)でOK、3ウイングは八村渡邊張本馬場で。ビッグの3人は、アルゼンチン戦に取っておきましょう。

    …なんて思い切った戦略を取ってくるかなぁ。それぐらい振り切った采配を見てみたいのも事実、でもアルゼンチン戦での歴史的1勝に向けて、プレイタイムをセーブした方がいいのも事実、、やっぱりホーバスって素晴らしいタレントですね。

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