シーズンも30試合を過ぎたあたりから順位表も落ち着いてきて、勝てるチームがしっかりと浮上してきます。好不調の波はあれど、長い目で見たら強いチームが勝つという雰囲気に。
この10試合では、開幕当初は不調だったディフェンスが機能してきたウォーリアーズが9勝で、ウエストブルック仕様に戻して接戦を制しているサンダーが8勝しています。
そんなサンダーに並ぶのはイースト11位にいるブルズ
唯一、ここにきて変調を促すチームはミロティッチ復帰後は突如として強豪チーム並みの強さを発揮し始めました。
開幕から3勝20敗のチームが、
そこから10勝2敗。
一体、ブルズに何があったのか?
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◉結論は何もない。
ゲームレポートで書いた通り、結論は何もないです。ただ純粋に強くなっただけ。
プレシーズンから注目に値した『高速パッシング+スクリーンコンフュージョン』と名付けたホイバーグ流のオフェンスは、極めて魅力的だけど理想論も甚だしい部分も大きく、シーズンに入れば全く機能しませんでした。
では、それがミロティッチが戻ってきただけで全てを解決してくれる程の大活躍をみせてくれたのか?
◯ニコラ・ミロティッチ
25.5分
17.2点
FG50.4%
3P47.5%
7.6リバウンド
確かにその活躍は素晴らしいミロティッチ
しかし、僅か25分のプレータイムでチームを勝たせるほどにスーパーなのか?
1人でチームを勝たせるのはオールスターでも難しく、そんな選手はリーグに数人しかいないレベルです。
ミロティッチがオールNBA1stチーム?
さすがにそんな想像は出来ません。
ミロティッチがもたらしたものは何だったのか?
それを知るために、まずはミロティッチ復帰前のブルズを振り返ります。
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◉プレー以前の問題は昨季に遡る
開幕前の予想は、
ラビーン待ちではあるけれど、言うほど悪いチームではないし、戦術で武器を備えようとしていて30勝くらいはしそう。だけどフロントに勝つ気持ちが薄すぎる。
そんなものでした。そんな折に例の事件が勃発します。
ミロティッチを殴ったポーティス
殴られたミロティッチは脳震盪でダウンする程なので、完璧すぎるKOパンチが決まった事に。
しかも伝えられるのは、誰もがミロティッチに我慢ならなかったとされる不協和音
ポーティスがどうしようもない奴だったら話は簡単でしたが、昨季のバトラー・ウェイドとロンド問題、そしてシーズン前のウェイドがチームから浮いている問題も含めて、異常なチームである事が次々に表に出てきます。
戦術家としては非常に面白い発想を持つホイバーグHCですが、どうもチームをまとめる手腕には欠けていそう。
それでいてそもそも問題だらけのチームですから、プレー以前の問題が大き過ぎました。
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◉ホイバーグの発想とバトラー&ウェイド
少しホイバーグに触れます。
ただ、昨季からブルズの試合は殆ど観ていないので、非常に浅い中での感想だということはお断りしておきます。
実際のホイバーグシステムはさておき、昨季のビック3と上手くいかなかった理由も含めて、ホイバーグの特徴はどんな部分にあるのか。
基本的に「人よりもシステム」というパターンのHCです。これは悪い意味ではありません。
チームとしてどう崩して行くかが明確にある中で、ディフェンスの対応によって最終的にシュートを打つ選手が決まってくるパターンを多く取り入れます。
例えば、1人のシューターがいたとします。
そのシューターがシュートを打つためにオフボールスクリーンをかけて、アウトサイドでフリーにします。そこにディフェンスが寄ったらスクリナーがリングにダイブします。
しかし、ホイバーグの好みはシューター同士がスクリーンをかけあいます。
スクリーンの瞬間にはどちらがアウトサイドに出て行くのかわからないため、ディフェンス側にはより難しい対応を促します。そんなディフェンスの反応次第でシューターも変えていきます。
そんな簡単な話ではないのですが、イメージです。
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それだけ読むと問題なさそうですが、ここにバトラーとウェイド、ついでにミロティッチを加えると問題が出てきます。
ミロティッチがスクリーンをかけて、バトラーをフリーにする
のではなく、
バトラーとミロティッチがスクリーンをかけ合って、フリーになるのはディフェンス次第
バトラーとウェイドがスクリーンをかけ合って、ボールをもらうのはディフェンス次第
予想ですが、昨季のブルズの狙いはバトラーとウェイド、ミロティッチというプレーエリアが被りそうな選手を揃えて、お互いがスクリーンをかけあうことで、ディフェンスを混乱させ、ディフェンスの反応をみて正確に判断をするロンドからパスが渡る事でした。
そんな設計を予定してスタートしたのだと思います。
それは機会均等オフェンス。
バトラーからすると
「オレがエースじゃないのかよ」
ウェイドからすると
「なんでオレを呼んだんだよ」
昨季のブルズに起きた問題は、そんな機会均等オフェンスへの反発だったと予想しています。
パス能力を買われていたロンドと違い、自分を活かすのではなく、システムの中で活かされる形は納得いかないものに。
ウルブズでのバトラー
キャブスでのウェイド
今季の2人をみるとそんな推論は正しかったのではと思わせるプレーをしています。
とにかくボールをハンドルしたがり、タフショットを打ちたがる2人はホイバーグには手に負えなかった気もします。
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それでも昨季のプレーオフではバランスをとっていたホイバーグなので、HCとして戦術を整える能力は高いと考えています。
批判されまくっていましたが、本当にホイバーグが悪かったのか?
だからバトラーを3人の若手とトレードした事は単なる再建に留まらず理解出来ましたし、若手達がウェイドを嫌がった事も、打ちたがりのミロティッチが浮いていた事も理解出来るものでした。
ウェイドを残そうとした事とロンドの放出は理解出来ませんでしたが。
話を今季に戻すとスターがいなくなり、使えそうな選手の数は増えました。それはホイバーグらしさを出しやすいロスターに変更されたとも言えます。
ここは結構重要です。スターはいなくなったブルズ。だけど、それはホイバーグ向き。
機会均等オフェンスで全員がプレーに参加する
細かく何をしているのか、どんな折り合いをつけているのは別にして、ホイバーグの根底にあるのはそんな思想だと思います。
スーパースターは要らないけど、全員がスターになる。
だからスターの造反に反して、若手達はホイバーグについて行く姿勢を示しています。
多分、ホイバーグは優勝を狙うチームよりも再建期にあるチームが向いているHCです。
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◉10月のブルズ
そんなこんなでシーズンが始まります。
◯10月のオフェンス
レーティング 91.0
FG 38.5%
3P 32.1%
アシスト 20.8
これをみただけでも勝てないと思わせるスタッツ。
「セルティックスの段違いにディフェンスが素晴らしい」と評した時のディフェンスレーティングは95です。
その遥か下を行くブルズのオフェンス。酷すぎるFG%は世界最高峰と呼ばれるNBAではあり得ないレベルです。多分、ユーロリーグのチームにも負けまくったはずです。
特に酷かったのはグラント。
3P6.3%でスターターPGでした。
計算出来る活躍したのはインサイドのロペスと3Pシューターのバレンタインの2人。
しかし、全員バスケの真骨頂といいますか、光明が差してもきます。それはマルケネン。
平均15.6点、3P42% 9.6リバウンドと早くも活躍します。ドラフトで管理人は否定していたのですが、最大級に裏切られた大活躍です。
プレシーズンでミロティッチと同時起用もされていましたが、とにかく戦術のキモになるポジションなので、ミロティッチがいなくてもマルケネンのプレータイムが増えた事は良い傾向でした。
3Pアテンプトが32.4本と非常に多く、機会均等オフェンスの中で頻繁にアウトサイドにフリーを作るブルズらしさは10月の段階からしっかりと構築されていました。
ただ殆ど決まらなかっただけです。
キャブス戦では52%決めますが、惜しくも7点差で敗れます。ここを勝っていれば違ったかもしれません。
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◉11月前半のブルズ
◯11月前半のオフェンス
レーティング 99.3
FG 41.8%
3P 32.4%
アシスト 22.0
少し改善します。アシストとFG%の向上。
3Pアテンプトが少し減り、インサイド側での得点を伸ばした事に。
レーティングは普通の弱いチームくらいまで改善しています。酷すぎるから弱小チームへの成長です。誰にもわからない成長。
この段階で機会均等の全員バスケにより、またも光明が差してきます。
◯クリス・ダン
26.5分
10.0点
FG38%
3.4アシスト
◯デビッド・ヌワバ
28.1分
9.0点
FG52%
PGにダンが台頭した事でオフェンスが形成され始めます。シュート力に難のあるダンですが、パスでゲームを作る中でドライブで斬り込むプレーは効果的なオプションになっていきます。
そして基本はバレンタインの控えとなるヌワバは、同じくシュートに難があるものの身体能力を活かしたディフェンス役で貢献します。使われる事でFG%も安定してきました。
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◉11月後半のブルズ
◯11月後半のオフェンス
レーティング 98.2
FG 41.8%
3P 37.3%
アシスト 22.3
FG%は変化していないものの、11月後半になると3Pが改善してきます。でもレーティングは上がりませんでした。2Pが悪かったのでバランスを欠いたのかな。
マルケネンは落ち始めましたが、ホリデー、バレンタイン、ダン、グラントが3P39%以上と遂に戦術に見合った結果を残し始めました。
パスゲームながらターンオーバーも13と高水準になってきます。ヌワバは離脱しますが、ポーティスが堅実な活躍を見せ始めた事と、ダンとグラントのPGが機能性を高めました。
◯クリス・ダン
14.3点
FG48.5%
5.0アシスト
◯ジュリアン・グラント
10.5点
FG50.8%
3.6アシスト
これだけみればかなり堅実なPGです。
しかし、この時はあまりにも3Pが決まり過ぎたからFG%が高くなっていて、まだプレーメイクとしてバランスがとれていたわけではありません。
ブルズのPGはそこが難しいラインで、パスで崩すチームなので、自分が3Pを決めまくっているだけでは効果的かどうかは微妙なわけです。
アウトサイドから積極的に打つのだから、それだけ空いたインサイドを効率的に決められないと「3Pかゴール下か」ではなく、単なる3P乱れ打ちチームになってしまいます。
ゴール下に繋がる効果的なパッシングゲームが求められる所です。
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◉ミロティッチ復帰前夜のブルズ
12月はミロティッチ復帰前に3試合をこなしています。
◯ミロティッチ復帰前夜のオフェンス
レーティング 103.7
FG 45.1%
3P 33.3%
アシスト 23.0
弱小チームから弱いチームくらいまで改善しています。目立つのはFG%の改善です。効率が上がってきたシュートは、3Pが不調でなければ良い数字を記録したはずです。
マルケネンがFG36.6%と決められなかった事が響いていますが、それ以外はかなり想定通りの内容になっていると言えます。
それは見方を変えればチームの核となる選手が不調だから負けたとも捉えられます。マルケネンだからあまり感じませんが、
「バトラーがFG37%だから負けた」
と言われれば誰もが納得するはずです。
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◉ミロティッチ復帰からのオフェンス
そしてミロティッチが復帰するわけですが、大切なのはそもそもミロティッチが復帰するまでにブルズが成長している点です。
◯ミロティッチ復帰からのオフェンス
レーティング 105.7
FG 47.0%
3P 37.2%
アシスト 25.8
ここで遂に全てが噛み合います。
11月後半の3Pにミロティッチ復帰前夜の2PがミックスされたFG%と、両方で記録されるアシスト。
再びミロティッチの成績を確認しますが、同じポジションのマルケネンと比較します。
◯ミロティッチ/マルケネン
25.5分 / 29.5分
17.2点 / 14.2点
FG50.4% / 40.1%
3P47.5% / 32.8%
7.6リバウンド / 7.4リバウンド
単純にミロティッチが加わっただけでなく、重要なPFポジションの効率性を高めてくれているのがわかります。
それはチーム全体が良くなっていた中で、素晴らしい活躍をしていたとはいえやっぱりルーキーな確率だったマルケネンとミロティッチの堅実性の差でもあります。
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◉成長してきたチーム
ここまでのブルズを3つにわけると
適応期、調整期、実践期
そんな風にわける事が出来ます。新しいシーズン、新しい戦術の中で適応していく中で新たな選手が台頭していき、戦術をこなせるようになって来たけど最適なバランスが何処かを探していた時期を経て、勝利に繋がる実践が出来て来ています。
ミロティッチの存在は大きいけれども、それだけが理由ではなく、チーム全体としてレベルアップしてきたものが、ミロティッチの復帰に合わせて花開いてきたといえます。
ミロティッチ復帰後の個人スタッツをプレータイム順に並べます。15分以上出場している選手。
◯最近のブルズ 得点/FG
ホリデー 11.5/38.4%
ダン 15.0/42.6%
ロペス 11.8/50.8%
バレンタイン 8.6/50.7%
マルケネン 13.8/43.4%
ヌワバ 8.5/55.6%
ミロティッチ 17.2/50.4%
ポーティス 13.1/52.8%
グラント 8.0/54.1%
こうやって並べてみれば、誰を止めれば良いのかわからないチームだという事がわかります。酷かった適応期とバランスを欠いた調整期を経て、やりたいオフェンスが出来てきている実践期だという事がわかります。
バトラーはいなくなり
ウェイドもいなくなり
誰がいるのか?
ホイバーグがいるじゃないか!
そう言いたくもなるわけです。
見事に全員を成長させた手腕は評価されるべきです。
もっともフロントは(それにファンも)勝たないで、ドラフト順位を上げて欲しいそうですが。
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◉何が強みなのか?
◯ここ12試合のレーティング
オフェンス 106.9
ディフェンス 101.1
書いている途中にペイサーズにも勝ったブルズですが、ディフェンス力が目立ちます。オフェンスは堅実に改善してきましたが、ディフェンスはどうなのか?
◯ディフェンスレーティング
10月 107.4
11月前半 104.6
11月後半 112.8
12月前半 103.3
11月後半は3Pを増やした影響か速攻で決められてしまい、また1人だけ桁違いのレーティングを誇るヌワバ不在の影響でディフェンスのバランスを欠きました。
そこを除けば、そもそも酷いとは言い難いディフェンスでした。ヌワバ様様。
元々ディフェンスリバウンド率が80%を超える水準で非常に高く、しっかりと守れているチームでした。
今の連勝中で良くなった数字は被3Pくらいです。これがまた劇的に良い。
◯被3P 30.9%
これだけ外させれば、そう簡単には負けません。ではその理由が何かと言うと、まぁ何ともわかりません。
「ミロティッチが戻ってきて劇的に3Pへの守備が改善した」
それを解き明かしたければ、かなり試合を観ないと何ともいえないし、そもそも30%に抑えられるならばどのチームも取り入れるでしょうから、これは連勝の勢いだと思っています。
イメージですがホイバーグは相手の長所を消しにいく策を取りたがるタイプだと思っています。理由はありません。
ミロティッチとポーティスはサイズの割に動けてジプサーも使えます。ホリデー、グラント、ダン、バレンタインとアウトサイドも充実した事で、ヌワバとの組み合わせも多様になりました。
つまり今はかなり相手に応じたユニットを組みやすくなっています。HCには腕の見せ所があるわけです。
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◉走れや!走れ!
この被3Pは経過観察ですが、基本的にブルズディフェンスは悪くない水準にあります。それを支えるのは個人の運動量で、運動量を支えるのは1人ひとりのプレータイムが短い事だと考えています。
実は似たような事をしているのはスパーズで、ベテラン揃いとは思えない程の運動量がディフェンス力を支えています。細かいやり方云々は良かったり悪かったりだけど、ベースの発想がそんな部分にあるのではないかと。
◯オフェンス平均移動速度 4.90(2)
◯ディフェンス平均移動速度 4.07(6)
攻守に非常によく動いています。ただ動いているのではなくて、ブルズはペースが遅いのに動いています。
早い展開はしないけど、速く動いているので、運動量をベースにした戦術です。
そんな戦術においてミロティッチクラスの選手がローテーションに加わった事はチームを助けたのは間違いありません。
運動量がベースにあり、パスを主体にした機会均等オフェンスで、ベンチも含めて多くの選手が役割を果たす
なんだかとっても強そうに思えてくるブルズです。
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◉違いをもたらすもの
チームが成長して、戦えるメンバーが増えた事で勝てるようになったのは見えてきました。しかし、それでも10勝2敗は勝ち過ぎです。
何か違いをもたらす要素が他にもあるのではないか。
◯ミロティッチのレーティング差 9.1
素晴らしい数字です。ミロティッチが違いを生み出しているように思えます。
でもこの12試合のレーティング差上位を並べてみると
◯レーティング差上位
ポーティス 18.2
グラント 12.2
ミロティッチ 9.1
ヌワバ 7.2
ジプサー 6.9
ここでわかるのは全員がセカンドユニットだということです。連勝中という事でスターターもプラスなのですが、換えの効かないロペスが△0.1とマイナスである事からも、大きなイメージとして
スターターが互角の戦いをし、ベンチで差をつける
そんな試合運びをしています。セカンドユニットまで豪華といえばそれまでですが、シーズン序盤に苦労したからこそ底上げされた部分でもあります。
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また、そもそもの戦術的な部分にも関係してきます。
多くのチームがセカンドユニットになるとチーム力が下がるわけですが、昨季のブルズもバトラーの有無でレーティング差が10違いました。
中心選手を活かすシステムを組んでいれば、そんな中心選手が不在ならば、ベンチメンバーが優秀でも上手くいかないのは当たり前とも言えます。代表格はレブロンのキャブス。
でも、ホイバーグは基本的にスターに合わせたシステムを採用していません。誰もが同じようにやる事を良しとしています。そんな部分もポポビッチに近い。
だからセカンドユニットになってもチーム力が落ちにくいです。
偶然的な要素と必然的な要素と。両方が合わさって今のブルズはセカンドユニットで差を生み出しています。
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◉アシストの多いチーム
運動量の多いチームオフェンスは身を結ぼうとしています。それはアシスト数に現れてきました。この12試合26.3本とチームで充実しています。
◯アシスト数
ダン 8.2
グラント 5.3
PG2人で13.5とシクサーズのシモンズ&マッカナムにも引けを取りません。しかも2人合わせてもチームの半分なので、ボールがシェアされた上で全員がアシストしています。
実は今はスクリーンを多用しません。全員が動いて適切なポジションをとり、ドライブとパスを組み合わせて、フリーの選手にパスを渡しています。
それはおそらくチームが構成されていく中で、様々な選手が台頭し、その中で適切なやり方を調整してきて出来上がったスタイルだからだと考えています。
調整期があったと書きましたが、それは選手だけでなくホイバーグも調整していた時期でもあります。独特の発想を持ちながらも、システムに拘らない姿勢は昨季も感じた部分です。
・特定のエースではなく誰もが活躍する
・フリーの選手を作り、使っていくアシストをベースにしたオフェンス
・ベンチも含めた総合力で戦う
ホイバーグが拘っていそうなのは、特定のシステムではなく、そんな信念なのではないかと感じています。
うん、システムは柔軟だけど、拘りはしっかりとありそうなので、やっぱりポポビッチっぽい。
違うのはイケメンで穏やかで選手にも押し切られそうな雰囲気があるところ。厳格さを感じないからポポビッチとは大きく違うか。
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◉ペイサーズ戦
書きながら観ていたのはペイサーズ戦。
ベンチまで層が厚いのはブルズに近い発想です。しかし、オラディポの大活躍もあり、意外と個人での崩しを多用します。なのでオラディポ欠場が響いているペイサーズ。
ペイサーズのシュートが決まらなかった事もあり、ややブルズ優勢で進むとセカンドユニットに。
ミロティッチがロング3Pやタフ3Pを決めてリードを二桁に大きく広げます。
ペイサーズはオラディポがいないとボグダノビッチしかシューターがいなくなりますが、そのボグダノビッチを抑えに行きます。ミロティッチやポーティスがマッチアップする場面もあり3Pへの警戒があります。
代わりにコリソン、スティーブンソンに決められるシーンは出てきます。
ボグダノビッチが0/5ですが、他の選手は7/17なのでボグダノビッチのみを止めた形です。
後半になると一気に得点差を詰めていくペイサーズ。なんとか一桁まで持って行き、逆転の匂いがしてきます。
しかし再びセカンドユニットで離します。逆転のためにプレッシャーをかけてくるペイサーズですが、頻繁に逆サイドのフリーにパスを通すブルズ
チームで31アシスト、そのうちグラントが12アシストと完全に強豪チームの優秀なPG状態。ダンはお休み。
そして後半のマルケネンはアシストから決めまくって32点のキャリアハイで逃げ切りました。
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好調の内容がわかりやすく形になって現れた試合でした。ロペスが支えるインサイドにより、安定感が出ているスターターは一方で良かったというよりもペイサーズが悪かったツキもありました。
そして出てきたセカンドユニットが軽やかにボールムーブしながらも、ミロティッチとポーティスが効果的に攻めていきます。
ディフェンスもポイントを抑えるなど、ベンチワークによる作戦も感じられます。特にペイサーズは選手層は厚くても定型ローテーションしかしないので、その差は明らかに。
そこにあるのは強烈な強さではなく、チームとしてのベースメントの強さです。
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◉ブルズとホイバーグ
そんなわけで、突然勝つようになったブルズですが、実際には開幕からチームとして成長していき、1つずつ整備されてきた内容がミロティッチ復帰を契機に一気に花開きました。
正直、ツキもあって実力の割には勝ち過ぎ。
でも、そこにあるベースメントの強さはハッキリとしています。
基本にあるのは個人ではなくチームの強さ
それでいて個人がチームの強さを表現できるように成長してきています。
そんなチームの強さを作り上げたのは、昨季から感じるホイバーグHCによるチーム力を前提に戦いながらも、選手のパフォーマンスに合わせて調整していく柔軟性。
この勢いが削がれる時は訪れても、そう簡単に崩れる事はないでしょう。
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お気に入りのホイバーグのために偏った内容ではありますが、そんな部分も感じとっていただけたと思います。
冷静だから目立たないけど選手に慕われている様子もみてとれます。若い選手にはね。
そしてブルズの敵はブルズ
今のロスターでなんとか成り立っているのも事実なので、こうやって選手が活躍して市場価値が上がっていくと、ドラフトのために負けたい事情も重なってトレードの噂がチラホラ
かなり謎なのはフロントがホイバーグを抜擢した事です。こんな優秀なHCにしたら勝ってしまうよ。でもフロントに勝つ気はないよ。
そして前任との大きな対比。そういえばブルズはシボドーを評価していないという話もあったので、だからホイバーグだったのかな。