グリズリーズvsウィザーズ

2021/3/10

オールスターを観ない間に後半戦が始まってしまいました。12月末に開幕して3月初旬から後半戦開始ってスパンが短すぎです。そしてアダム・シルバーは東京オリンピックへの参加について配慮するようなコメントも出しましたが、それがシーズン期間延長を妨げているわけなので、オリンピックが未だにフラフラしていることはアスリートに迷惑なわけだ。まぁNBAプレイヤーからすると、今年だろうが来年だろうが関係ないしな。

さて、本日はウィザーズの試合。勝てるようになったものの、未だに信用ならないチームであることに変化はなく。一方でグリズリーズは「信用できるけど戦力が足りない」チームなので、いわば正反対の特徴を持ったチームです。試合開始から思うのは「信用できる」ってことと、ウィザーズが勝ち始めていても「信用できない」ことを示すようなスタートになった事。そんなことから触れていきましょう。

◎信用

オフェンスとして形が出来ているのはウィザーズ。ウエストブルックが八村とのピック&ロールをしながらもワイドな視野を欠かすことなくパスを出していくので、インサイドカバーを優先するバランチューナスの動きを見てワグナーのワイドオープン3Pを生み出します。でも全部外したぜ。

基本的にビールからは、そんな視野の広いパスは出てこないのですが、ディフェンスは収縮するので、ブロックがありながらも3Pを決めるマシューズなんかもいてアシストはあります。でも、オフェンスとしてはそんなに良い感じではない。あとはベルタンスが問答無用に3P打っているくらい。

ってことで、ウエストブルックのプレーメイクを増やしていることがウィザーズが勝ち始めた理由だったわけですが、本人が打ちまくらないことも重要でしたね。3Pを辞めたからオフェンスが安定した。

一方のグリズリーズは、そもそもモーラントがそんなプレーメイカーをしています。考えようによってはPGの役割は似てきたウィザーズとグリズリーズ。しかし、グリズリーズはモーラントほどのドライブ力はなくても他の選手で構築できる良さがあります。

スクリナーになっていたデズモンド・ベインがポップしてくるオフボールのプレーメイクで3P。帰ってきたウィンスローがポストアップから自分で決めきるシュート。メルトンがウイングからハンドオフでボールを受けてドライブフローター。同じ形でウィンスローもジャンプシュート。

ウエストブルックとビールの個人突破中心のウィザーズに比べて、スクリーンとオフボールムーブを使いながら、各選手がプレーメイクしていき、そのうえでバランチューナス、クラーク、ティルマンのビッグマンへの合わせや、ブルックスの個人技が組み合わさります。ブルックスのところがビールだったら、戦力的にも安定するんだけどね。戦力不足のグリズリーズ。

そんなわけでワイドオープン3Pの確率が悪かったウィザーズが劣勢で進んだ1Q。特にマズかったのはグリズリーズにリズムがあるのに、八村が強引にトランジションでレイアップに行ったシーンで、ディフェンスが3人戻っていたのでバランチューナスにブロックされました。ウエストブルックがカバーして事なきを得たものの、リズムがない時間帯にトランジションを仕掛けてはカウンターを食らうのがウィザーズが勝てない要因の1つでした。

最近はウエストブルック&ビールを徹底していたから(イシュがいないし)減っていた形なのですが、このトランジションを繰り返しちゃうと点差が一気に離れる時間帯が作られてしまいます。

グリズリーズはトランジションとハーフコートのメリハリがしっかりしているので、行くのか、行かないのかが明確。試合をコントロールする気持ちが強いよね。だからといって、なんでも上手くいくわけじゃないけどさ。そんなわけで信用できないウィザーズが9点ビハインドで1Qが終ります。

◎サポート

2Qはウィンスローのドライブからバランチューナスのダンク。同じくウィンスローのパスアウトからカイル・アンダーソンがフェイク&ジャンプシュートで二桁リードになって始まります。「モーラントがいなくても」といいつつ、控えのプレーメイク力は課題の1つだっただけに、惹きつけてからのパスが上手いウィンスローが加わったことは大きいぜ。

さらにウィンスローは八村が気合をいれてディフェンスに来たのをみて、ギブ&ゴーで抜け出してファールドロー。1ON1が強いタイプではありませんが、こうやって得点チャンスを生み出すのが上手い。常にルックアップしているからプレーが読みにくいしね。

ただフリースローミスが多いグリズリーズは、突き放すことが出来ません。ロビン・ロペスがオフェンスファールしたので、レンを投入したのにロビンがコートに残っていて6人いるのにレフリーがテクニカルをコールしなかったりと、なーんか上手くいかない時間です。

しかし、ウィザーズオフェンスはインサイドを固めてくるグリズリーズの守り方に対して効果的なオフェンスが出来ません。特にルーズボールカバーに奮闘していたウエストブルックがベンチに下がると密集地帯に飛び込むドライブが増えたこともあって、得点が伸びない。

あとタイムアウト中に暗い。リズムが良い時は明るいのにさ。ウエストブルックが鼓舞しているけど、みんな下を向いている感じです。そんなわけでモーラントが速攻でディフェンスを引き付けまくってのアシストで17点差。

苦しい中でビールが個人技で得点をするも、八村はディフェンスが待ち構えている所にドライブしまくってミス。そしてグリズリーズはカウンター速攻を繰り返すし、ディフェンスが早く戻っていたらパスアウト3Pです。イージー。

こういうところも信用できるかどうかですね。苦しくなると個人技に頼るしかないウィザーズと、相手の出方で違うプレーが用意されているグリズリーズ。ビールのようなシュートは決められないけど、イージーシュートを多く打つからさ。ウィザーズはビール&ウエストブルックだけじゃなくて、八村やベルタンスまでタフショットを選ぶから苦しいし、信用できない。

苦しいウィザーズですが、2Q後半にファールトラブルもあってサポート3人がワグナー、アブディヤ、トロイ・ブラウンになると、ちょっと反撃します。しっかりと献身的に走る3人は、ワグナーとアブディヤのハンドオフでレイアップ、ビールの速攻に合わせたブラウンが&ワンとオフェンスでは「合わせるプレー」を連発し、守ってもローテがしっかりしたのでイージーシュートを減らしました。

ワグナーがバランチューナスとの1on1を止め、ウエストブルックのパスアウトからアブディヤが3Pで残り1分半7点差にまで縮めます。一気の反撃だったけど、理由はハッキリしていました。エース2人が自由にやるのだから、周囲は献身的&合わせが出来る選手を揃えようぜ。

ウエストブルックのパスアウト→ブラウンがドライブキックアウト→アブディヤ3Pなんていうブラウンのプレーメイクも出たことで67-62と5点差まで追い上げたウィザーズ。3分50秒しかでなかったトロイ・ブラウンの得失点差が+12でした。ビールがFG1/9だった割に頑張れたのは普段起用されない選手の活躍でしたとさ。

〇前半のフリースロー
グリズリーズ 14/20
ウィザーズ 14/15

〇前半のFG
グリズリーズ 57%
ウィザーズ 41%

グリズリーズは6本落としたのが響いた感じ。とはいえ、それでもFG57%も決まっているから、5点差ってのはアンフェアだ。おおむねグリズリーズの方が良かったのに、終盤に一気に詰められてしまった。信用できるといいつつも、足りない要素も多いから、簡単には勝てないね。

◎追いついたけど

シュートが決まらなくてご機嫌斜めのビールさん。前半同様にワイドオープン3Pが決まらないワグナーというスタートでしたが、ウエストブルックのパスアウトからマシューズが3Pファールドローや同じくワグナーのファールドローで繋ぎ、八村のディフェンスに対してカイルが連続ミスショットで点差が縮まります。

グリズリーズはバランチューナスのオフェンスリバウンドでこそ得点出来ますが、他は全くダメ。オフェンスとしてはちゃんとしているけどシュートミスが多く、そしてオフェンスファールを引き出すのが得意なワグナーが、モーラントとバランチューナスからファールドロー。マジで、ここだけなら一流選手なワグナー。

そして、またウエストブルックのパスアウトからマシューズの3Pが決まると、今度は自分で行ったウエストブルックでウィザーズが逆転します。3Q序盤はほぼ3人でやってるな。特に蚊帳の外にいるのはビール。それで追いつくようになったのが今シーズンってことか。

ローテの時間になってウエストブルックが下がると、やっと目覚めたビールが連続得点。しかし、オフェンスファールを引き出せなければバランチューナスに完敗しているワグナーなので、モーラントからのアリウープでバランチューナスがダンク&ワン。さらにロビンと交代しても&ワン。これで流れを引き戻すと、モーラントが連続得点で5点リードに。

調子を取り戻したと思ったビールが3Pをエアボール。ドライブしてのゴール下もミス。グリズリーズもウィンスローのアシストからダンクに行ったバランチューナスだけどボールを弾かれてしまったりして、お互いにミスも出た3Q終盤。

ウィンスローのパスからメルトンがリバースレイアップ、さらにメルトンは3Pを決めればルーズボールをカバーしてモーラントのダンクをアシスト(ファールドロー)と流れに乗ったグリズリーズに対して、ベルタンスがムチャクチャなタフ3Pを当たり前のように外したウィザーズ。残り1分半で再び10点差になってしまいました。

その後もウエストブルックに対してはウィンスローが良いディフェンスで塞ぐと、ベルタンスのターンオーバーからウィンスローの速攻。ネトのターンオーバーはロビンがカバーして救いましたが、ミスが多いウィザーズ。なんでトロイ・ブラウンを起用しないのかもわからないしさ。

アブディヤがオフェンスファールを引き出し、ミドルを決めて9点差で終わったものの、いったんリズムを崩されると我慢できないウィザーズを表すような3Qになったのでしたとさ。逆に追いつかれたけど、チャンスを掴んだら一気に行けたグリズリーズでもあったね。

◎エースはどこで行く

ウィンスローのディフェンスにウエストブルックは苦労しているよね。「じゃあスイッチさせればいいじゃん」と気が付いたアブディヤですが、マークされているのがカイル・アンダーソンなので意味がありません。他の3人がスイッチ誘導すればいいのに、そこまで気が利かず、オフボールで動く事だけに集中しているようなロビン、ベルタンス、ネト。

そしたら、ここでトロイ・ブラウンが登場。さっそくゴール下で空いたベルタンスへアシストします。ネトがプルアップ3Pで続いた。そろそろ相手チームにもバレてきているので、ラス&ビール以外のプレーメイク担当がいかないと苦しいね。それが誰なのかって話ですが、そもそもプレーメイカーよりもスコアラータイプが好きなブルックス問題も関係して難しいな。

ビールを止めることに集中しているようなグリズリーズはぶ厚いカバーでタフショットにしてミスを促し、そしてマイボールになったら2人が走り出し、アウトナンバーにして速攻を作ります。モーラントのパスからクラークとブルックスがダンクを決めて、リードを広げるよ。

ということで、冒頭の「信用できる・できない」に戻ると、基本的に

ラス&ビールが上手くいく前提のウィザーズ

ってことが信用できない理由でもあります。2人が上手くいっていれば勝てるけど、普通のチームは対策してくるぜ。今日は本人の調子の悪さも手伝っているビールよりも、特に後半になってからウィンスローのディフェンスでウエストブルックを止めているのが大きいです。一方でグリズリーズは

二の手、三の手が用意され、モーラントが個人でやるのは最後の手段

という構成なので、何かが上手くいかなくてもオカの手段で戦ってきます。だからいろんなベンチメンバーが用意されており、目的に応じて選手起用も変わってきます。「目的に応じて」なグリズリーズと「ファールトラブルに応じて」なウィザーズって感じかもね。

残り3分半。オフェンスリバウンドをとったバランチューナスからベインの3Pで14点差。もうウエストブルックの理不尽速攻連発にしか望みがないウィザーズなのですが、せめてワグナーがバランチューナスをボックスアウトしておいてくれないと、速攻のためのディフェンスリバウンドも取れないぜ。

〇バランチューナス
29点
9オフェンスリバウンド
4ブロック

それでもウエストブルックはパスカットから速攻。続いてビールもプレッシャーディフェンスでマイボールにすると、ブラウンがファールドロー。さらにブラウンのディフェンスリバウンドから走ったウエストブルックですが、ノーふぁるで我慢したモーラントによってシュートミスが生まれると、逆にモーラントのドライブキックアウトからベインが4本目の3Pで試合を決めたのでした。

最後までバランチューナスのオフェンスリバウンドで耐え抜いた感じのグリズリーズ。逆に言えばロビンを起用して取らせないか、八村をセンターにしてプレッシャーディフェンス徹底にすべきだったウィザーズ。得意だったはずの速攻の起点を作れず、逆にグリズリーズにカウンターを食らいまくったわけで、戦略的な部分で完敗した試合でもありましたとさ。

〇ビール
21点
FG6/22

まぁエースがこれでウィザーズが勝つのは難しいよね。インサイドを塞いでくるグリズリーズディフェンスのやり方に対応しきれなかったビールってのも目立ちました。

〇デズモンド・ベイン
20点
3P5/8

グリズリーズもベイン以外は3P3/15と苦しかったのですが、1人で広げてくれたルーキー。ベインの役割は3Pとちょっとしたプレーメイクです。サードハンドラー的な感じ。ウィザーズにはいないタイプの選手でもあります。

途中でも触れたとおり、ラス&ビールがバレバレになった時の手段が乏しすぎるのが敗因であり、そこを準備してたのがグリズリーズの勝因でした。オールスター明けってこともあって、十分に作戦を練ってきたんだろうね。そういう「今日の相手はこうだから、こうする」ような戦略がないのもウィザーズを信用できない理由です。

とはいえグリズリーズももう1人エースがいないと勝ち抜くのは厳しい。JJJは戻ってくる雰囲気ないしな。ウィンスローは良いプレーをしたものの、途中からシュートミス連発でFG4/13と苦しみました。1年を棒に振っているので、今シーズンはシックスマンとして頑張ってもらいましょう。

グリズリーズvsウィザーズ” への2件のフィードバック

  1. ブルックスがビールなら戦力的に安定・・・まさにその通りですねー。ただそんなことも言ってられないし、OF・DFともにブルックス君は頑張ってくれてますし、最古参ですし、このままメンフィスにいて欲しいと思います!!
    なんだかんだ5割はキープしていますが、これから日程がきつくなっていくので、どこまでもつかも気になります。
    あと、ウィンスローはなんか簡単なシュートを落としている気がしますが、プレーメイクのところのハンドラーの役割は十分ですし、ディフェンスもサイズ・フィジカルともにプラスになっていて嬉しいです。
    JJJはいつ帰ってくるのやら・・・シューターが足りない・・・

    1. ブルックスの話は個人技担当という役割をビールに、ってことなのでブルックスは残ってもらって構わないのですが、気が付いたら最古参なんですね。
      ブルックスも豊作の17年組だから、じゃあJJJは2番目に古いのか・・・。もっとリーダーシップとらないといけないですね。

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