2001ファイナル ゲーム3

アイバーソンに関して書くわけですが、前回から時間が遡ることになりました。そこでこれまでの流れをちょっと復習し、シクサーズがどんな方向に向かったのかを考えてみましょう。

①カリーみたいなアイバーソン

例のアイバーソンカットを中心にしたシクサーズのオフェンスはアウトサイドでアイバーソンが有利にボールを貰えることを想定していました。
その一方でインサイドはガチガチの2枚でストレッチじゃないくらいならまだしも、ドライブに合わせる動きみたいなものもほとんどありませんでした。

しかし、それは見方を変えるとアウトサイドでアイバーソンにスペースを当たることに繋がっています。意外にもこれが現在のスプラッシュブラザーズに近いものがあります。
スモールラインナップのイメージと異なりウォーリアーズはコーナーに人を置かず、オフボールムーブしまくるスプラッシュがいつでも利用できるようにしています。ロケッツとの違いを考えると面白いですね。

ドライブの印象が強いアイバーソンですが、それよりもアウトサイドで駆け引きをしてシュートを打つことを楽にするシステム設計をチョイスしていたラリー・ブラウンです。
それは時代的な背景も考えれば、割と先をいったシステムだったと思います。スピードあるアイバーソンを考えるとハーデンやウエストブルックのように、インサイドに積極的に切り込ませドライブからのキックアウトを中心にした形が現代的ですが、そうではなくて今のウォーリアーズ型に当時的なビッグマン2人という構成です。
忘れてはいけないのは、この時代にはシャックがいて、それを何とかしない限りは勝てないということ。ビッグマンを減らす選択肢をとれたのはダントーニくらいなわけです。

③偽スモールラインナップ

どう表現すればよいのかわかりませんが、先日のピストンズ戦を現代的に表現するならば、偽スモールラインナップです。エリック・スノーが全くストレッチしてくれないPGで、パスのタイミングもあまりよくなかった。
しかし、チームとしてはコールマンにキース・バン・ホーンでスモール気味のメンバー。それはキックアウト3Pから決める狙いではなく、ビッグマンのスピードミスマッチを利用する狙いと予想しました。予想ってのはピストンズに完膚なきまでに止められたからです。

そしてこの行間を読むと、ラリー・ブラウンは
・アウトサイドのスペースをアイバーソンが利用
・ドライブに対して合わせられる機動力もビッグマンに求める
・アイバーソン以外のオフェンスパターンが欲しい

こんなことを求めたと考えられます。コールマンがピック&ロール下手だったのはちょっと衝撃的でしたが、まぁ練習嫌いのアイバーソンを考えると、本当はそこを練習で詰めたかったんだと思います。
そしてラリー・ブラウンはピストンズに移籍し、動けるビッグマンのビッグベンを中心としたディフェンスチームを構築し、そこにストレッチ4でありバン・ホーンの上位互換なラシード・ウォレスで構築しました。

つまり、時間軸を追いかけていくとシクサーズからピストンズに移籍したものの、ラリー・ブラウンのチームは明確にわかりやすく、どんどん現代に近づいていました。

「5人のチーム力で勝った」
と評されることの多いピストンズですが、勝てなかったダントーニのサンズと似たような事をしながら優勝しているので、実は現代の流れを作ったといえます。
そして内容を見る限り1回しか優勝できなかったことが悔やまれるものでした。逆に言えばやっぱり勝ち切ることが難しい選択だったのかもしれません。
キーになっているのは3Pなのですが、それはアイバーソンのテーマから大きく逸脱するので、話を戻しましょう。

①カリーみたいなアイバーソン
③偽スモールラインナップ

今回の試合はこの間となる②ですが、①とメンバーに大きな違いはありません。それが何故③に向かったのか。わかるといいけど、そんなに期待しないでねと。

◉マッキー有能

試合開始からアイバーソンカットが冴えわたります。明らかにPGスノーの時よりもボールを持った瞬間のアイバーソンがフリーになれています。マッキーのパス有能ってことです。
そこから仕掛けまくるアイバーソンですが、レイカーズのディフェンスとシクサーズのオフェンスの入り乱れ方が激しいので、表現するの難しいな。

まずアイバーソンカットですが、いわゆるアイバーソンカットではなくバリエーションが豊富で、
・アイバーソンへのスクリーン
・他の選手がスクリーンを掛け合い、抜け出したスキにアイバーソン
・逆サイドからエンドライン側をコーナーに向かってカット

などなど、結構いろいろありました。特に「アイバーソンのためのプレーコール」とは思えない形から、アイバーソンのアイソレーションになっているシーンが連発されており、ラリー・ブラウンがアイバーソンのためのオフェンスシステムを練りこんであることがわかります。
だから「練習しろ」ってのは個人能力を伸ばせって事ではなく、チームオフェンスを練りこませたいのに主役が不在でどうする。って事なのだと思っています。

一方でアイバーソンカットのパターンは豊富だけど、オフェンスはほぼ全てマッキーのパスから左サイドのアイバーソンで始まります。つまり一見すると超ワンパターンです。
プレーコールは豊富だけど超ワンパターンって凄いよね。

それなのにパスが通ってしまうし、アイバーソンがボールをもった時にディフェンスがついてこれていないシーンが多いのだから、PGマッキーは本当に有能。マーカス・スマートみたいだから現代に欲しいタイプです。
おそらく当時はPGとしての評価はそんなに高くなかったはず。ここらへんもラリー・ブラウンのお眼鏡が時代の先をいっていることを示しています。

なお、ベンチからスノーが出てくるとワンパターンじゃなくなります。それは狙っているのか、それともマッキーよりもパスが下手だからなのか。
いずれにしても続けてい観ている限りはメインオプションのアイバーソンを活かすためにスターターがマッキーで、相手が慣れてきた頃にスノーっていうのは、効果的に思えました。パスが下手なのはむしろチームにとって好都合。
ピストンズ戦ではスノーがスターターに戻っているわけですが、その時はアイバーソン以外のオプション利用をしているわけだから、ラリー・ブラウンの狙いはやっぱり論理的な気がします。

◉対策しまくりのレイカーズ

そんなマッキーのマークはコービーです。これもなかなか面白いところで、当時のコービーは1人で凄まじいプレッシャーディフェンスをする若きエースキラーでしたが、アイバーソンを追い掛け回してスタミナロスするのを嫌がったフィル・ジャクソンです。
同時にこれをスプラッシュブラザーズに直すと、対人に強いディフェンダーが必ずしもシューターを追い掛け回す能力に優れているとは限らない構図にもつながります。
レイカーズにはスイッチなんて不可能なシャックがいるわけで、複数のスクリーンと豊富なバリエーションでアイバーソンをフリーにしようとするオフェンスは、サイズの大きいコービーは必ずどこかでスクリーナーに邪魔されてしまうはず。
追いかけるならデリック・フィッシャーの方が狭いインサイドを抜け出せる判断をしています。なおベンチからはティロン・ルーです。

当時の見方をするならサイズ的に適正なマッチアップを選び、なおかつスピードに対抗できる選手を選んだ。ってくらいの感覚ですが、カリーに見慣れた現代人からするとオフボールを追い掛け回せる選手を選んだって感じです。
なお、現代的に言えば「追い掛け回せるわけがないからスイッチ大作戦」なのですが、当時はそんな発想はなかったわけです。
これの対抗策が上記のひとつでムトンボよりもコールマンに発想が近づいて行った理由だと思います。シャックがいるからスイッチは出来ないけど、じゃあスクリーナーは何しているんだと。張り付いてこないシャックを虐めるだけのオフェンス能力が欲しくなったと思います。それはまた後述ね。

そんなフィッシャーはアイバーソンがボールを持つと驚くくらいハッキリと右側を守ります。凄い守り方なので、これもレイカーズの対策です。というか、こっちがメインの対策だろうね。
左サイドばかりのアイバーソンに対して右手側を守るのだから、エンドライン側が丸空きでした。当然そこにはヘルプのシャックが待っています。ていうか、ムトンボがいます。おいおい。
それでもアイバーソンは左に誘導するフィッシャーに従ってドライブしているけど、速すぎてフリースローラインに向かって抜いてしまいます。文字で表現するとアレですが、要するにフィッシャーが大胆なまでに右手側を守るので、ドライブに対してはガラ空きなのでした。

つまりフィッシャーの狙いはとにかくアウトサイドからシュートを打たせないことです。ドライブはOK。それってそのままカリーへの守り方っぽいわ。カリーよりもハーデンか。
そんなわけで「カリーみたいなアイバーソン」であるならば、それを活かすために論理的かつ豊富なアイバーソンカットを用意しているラリー・ブラウンと、カリー対策のディフェンスをしているフィル・ジャクソンの攻防は、ファイナルらしい手の内を読みあった攻防でした。

この攻防は次第にレイカーズに軍配があがり始めます。理由は簡単でムトンボが邪魔だからです。まぁ前年と同じ話。
しかし、バリエーションを用意しているラリー・ブラウンはタイムアウトを挟むと左サイドにポストを誰も置かず、アイバーソンの1on1状態を好んで使いました。そもそも抜かれることを前提にした守り方をしているフィッシャーなので、楽勝になるアイバーソン。

時にホーレス・グラントがその状態をみて、自分のマークを捨てて早めにヘルプにやってきました。勇気ある決断だし、それが優勝経験がもたらすものなのか。
これで本来はビッグマンが2on1になっているわけですが、当然ムトンボ&ヒルは有効に使えません。たまにアイバーソンがドライブで引き付けまくってパスを通していたくらい。それはアイバーソン側の上手さでした。

◉伏兵登場

というわけで、アイバーソンを有効に使っていく中でフィッシャー的な対策が用意されると、ますますビッグマン2人の機動力のなさ、合わせのプレーのなさが目立ちました。
それがコールマンとバン・ホーンになったことは理解できます。せっかく論理的に構築しているのに、対策されたときに何をするかがどうしても無理があるムトンボとヒルなのでした。

アウトサイドでアイバーソンを活かす
それを止めに来られた時、スペースのあるインサイドをどう利用するのか。

割と行間が読めてきましたね。そして伏兵が登場します。マット・ガイガー。デカいセンターにしか思えないのですが、これが柔らかなシュートタッチでペイントから1歩離れただけでついてこないシャックから得点していきます。
さらにアイバーソンのドライブに対しても、少しだけ外で待ってミドルを打ってくれるので効果的。ガイガーが効いたことで、少し手詰まりになりそうだったオフェンスに道が開けたのでした。
なのでムトンボ&ガイガーというコンビにしたラリー・ブラウンの選択はブザービーターをガイガーが決めるという結果に結びつきました。ちょっと凄すぎるぜ。

◉レイカーズもまた

しかし、2Qになるとレイカーズがリードを得ます。そこに行く前にムトンボが必要なことも触れないといけません。
オフェンスではアレですが、やっぱりシャックを何とかするってのがディフェンスチームのシクサーズには重要です。フィジカル負けしないムトンボはよく止めているのですが、シャックはフックが上手くて器用に決めてしまいます。パワーよりもフックの上手さ。

なのでシクサーズは全員で収縮する必要があり、シャックアタックに慣れてくるとしっかりと止め始めました。逆に言えばレイカーズはコーナーが空きまくりなのですが、フォックスくらいしか利用できていません。
そして2Qになるとオーリーが登場します。これもまた恒例ですが、元祖ストレッチ4の登場はシャックのパスアウトから3Pになります。

ロン・ハーパーとACグリーンがスターターだった前のシーズンでは、ベンチから登場するフィッシャーとオーリーによってストレッチされると、シャック&コービーの輝きが明確に強烈になりました。
ここでもまたグラントを重用するフィル・ジャクソンは、あまり先進的ではなかったと思います。ただその後にガソル&オドムになるのだから、休んでいた間の心境の変化は気になるところ。

そしてオーリーになるとディフェンスも変化し、平然とスイッチしてアイバーソンについていき、抜かれても後ろからブロックする機動力の高さを見せつけます。
シャックを休ませる間にオーリー&グラントの構図はアイバーソンを大いに困らせました。ただ、インサイドが空いてしまうシーンもあったので当時の感覚だと許しがたい部分もあったはずです。

そしてシャックがいなくなったレイカーズは、コービーが怒涛のミドル連発で一気に二桁リードにします。シャックがいないってことよりも、単純にオーリー効果だと思いますが。
アイバーソン相手のポストアップの得意技も出てきた理由は、アウトサイドに出てパスをつないでくれる選手が増えたから。
本当に時代を変えたと思うロバート・オーリーの偉大さ。今でも欲しいチームはいっぱいあるよね。そしてラリー・ブラウンも欲しかったと思うんだ。

レイカーズもまたインサイドの合わせ方に苦労し、そうではないオーリーが登場することでオフェンスがスムーズに変化しました。ガイガーとオーリー。そりゃあオーリーの方が勝つに決まっています。

ちょっとどうしようもなかったコービーの大活躍。ただでさえ崩されているのに、良いディフェンスをしてもミドルを決めてしまいました。
一方でアイバーソンはティロン・ルーのフェイスガードに苦しみます。苦しむっていうかボールを貰えば何とでもするのですが、スノーがいるとパスがあまり出てこない。あるいはパサーが出したパスを奪ってしまうコービーっていう理不尽さもありました。

それでもスノーがミドルを決めれば、ドライブから&ワンとアイバーソン以外のオプションとしての機能性をみせ、何とか致命的な得点差にならずに前半を終えるのでした。

ところで時代は2001年。96年ドラフトのアイバーソンとコービーは、この時でまだキャリア5年目です。
今でいえばウィギンズを絶対的な中心にしたウルブズがファイナルまで勝ち進み、ザック・ラヴィーンと対決しているようなものです。両方ウルブズだけど。
シャックがいるとはいっても高卒でNBAに来ているコービーでもあり、ファイナルでこの活躍っぷりはやっぱり異様です。
そして不安定さもある若いエースを中心にしながら、チームを整備出来ているラリー・ブラウンの有能性も際立ちます。時代が違うといっても、ここまで勝ち上れるチームを整備してこれたHCとエースってのはすごい。

◉シクサーズらしさ

今回はベッドで前半をみて眠り、翌日仕事から帰ってきてここまでの内容を書き、そして後半をみることになりました。つまり何となく考える時間があって、行間が論理的に埋まっていくので書きやすい試合になっていました。
ところが後半になると、ここまでの内容を無に帰すような展開になっていきます。

まず、ムトンボがペイントの外から次々にジャンプシュートを決めていきます。お前、そんなにシュート力あったっけ?
アイバーソンの得点が伸びないのに、シクサーズはオフェンスの形が出来てきたのです。超意外な展開です。

そしてディフェンスではフルコートディフェンスによってレイカーズを苦しめていきます。そもそも何故か、ボール運びをしないフィッシャー。そこでアイバーソンを疲れさせる作戦があったはずですが、スティールを怖がったのか。
ボール運びは何故かフォックス。ここにマッキーがプレッシャーをかけていきます。安全に運ぼうとするフォックスにミスはなかったのですが、大胆なプレーも皆無だし、プレッシャーをかけられている選手にパスを出せません。

これでショットクロックを使わされ続けたレイカーズは、次第にシャックにボールが渡らなくなります。まぁ単純に下手だったレイカーズの面々なわけですが、グラントがね。現代的には「そんな時はPFが運ぶ」ってのもパターン化されていますが、グラントにはそんな仕事が出来ない。
そしてシクサーズはよくぞ、このテンションで守り続けたと言えます。3Q12分間常時ハイプレッシャーディフェンス。凄い。

これで若干、暴走気味になったのがコービー。とはいっても、シクサーズはかなりファールしています。ムトンボはコービーのダンクをブロックしますが、リプレーでは明らかに手をブロックしているのに、してやったり顔。
今のようにファールに対してコールが厳しくない時代なので、強気にプレッシャーをかける方がお得なわけです。ピストンズとの戦いはすごかったね。

そして、これらのことは意外な方向で機能します。
ハイプレシャーが凄いと言っても、時には抜かれるわけで、そこでコービーやフィッシャーがシュートに行くわけですが、これが逆にアーリーオフェンスにもなります。
シクサーズはプレッシャーから走りたいわけで、ディフェンスで時間は使わせるけど、トータルで見た時に走る時間が増えていきました。
それはストレスをため始めたシャックが存在感を失うことに。走れないシャックがプレーに参加しないことが増え、遅れてボールに絡むことで一気にファールを増やしていきます。

グラントが・・・ってのはオーリーに交代すれば解決するわけですが、その前にシャックがファールトラブルになってしまったレイカーズ。一気に苦しくなります。
全体がプレッシャーディフェンスしたことでシャックとゴール下1on1になる機会が増えたムトンボでしたが、シャックよりも走れるし、ジャンプシュートが決まるしでセンター対決に勝利したシクサーズ。

しかし、これだけ優勢なのに点差は殆ど縮まりませんでした。コービーのタフミドルが決まったなんてこともありますが、シクサーズのオフェンスはゴール下を外しまくったのでした。
ディフェンスから走るというシクサーズらしさ満開の3Qでしたが、それはオフェンスで個人能力不足ってのも感じさせてくれました。

◉イラつくエース

スターターのタイロン・ヒルがこの試合初めてのFGを決めて3点差になりますが、すぐにオーリーが3Pを返します。そしてヒルにオフェンスファールをさせるオーリー。さらにドライブから豪快なダンクで、違いを作っていくオーリー。
チャンピオンリング7つは伊達じゃない。

シャックを戻したレイカーズですが、ピリっとせずフックが決まらなくなるシャック。そしてコービーに張り付くラジャ・ベルで見た目以上にメンタルに攻撃を受けている様子。
そしてシクサーズはムトンボのみのビッグマンにしてスモールラインナップに移行します。オーリーがマークしたのがスノーという不思議な状態に。

すると即座にアイバーソンが3Pを沈め反撃モードに。とはいえ、やっぱりオフェンス力がないシクサーズ。アイバーソンが個人技で決めるか、オフェンスリバウンドを押し込むかって感じになります。
しかし、とにかく守れてしまう。そして全体が早くなって、またもファールしてしまうシャック。シクサーズは、徐々にしか追い上げられないのですが、確実にレイカーズを追い込んでいきます。

ところでシャックのディフェンスって動かないから、どうみてもディフェンス3秒。とはいえ当時はルールが違って、誰かをマークしていないといけないから、今よりも厳しいわけなのに、コールされていません。
そう思っていたら、シクサーズもちょくちょく誰もマークしていないのにペイント内に選手が立っています。イリーガルディフェンスのルール徹底が現代の流れを生み出しているのかもしれないのでした。

そんな感じでスモールラインナップのディフェンスによって、すぐに複数人に囲まれることが増えていったシャックは、逆にムトンボとの1on1だと思うと強引な仕掛けが目立っていきます。
その結果、ディフェンスよりもオフェンスファールが目立ち、最終的に肘を振り回してムトンボの顔にあたりファールアウト。
残り2分20秒でレイカーズ2点リードですが、歓喜に包まれる会場。これで勝利がグッと近づいたと考えてもおかしくありません。

本当にシャックのファールだったか議論の余地はあるのですが、シクサーズが後半になって繰り出したディフェンスがシャックにイライラを募らせた結果だったことは間違いありません。
そして時にこのディフェンスがセンターの時代を終焉に向かわせたと捉えることも1%ぐらいできます。だってボール持たないシーンが多いし、持ったところで複数人で囲めば大丈夫。
それをシャック相手にやってしまうのであれば、他のセンターが覇権を握るのは難しいはず。でも、だからといってこのディフェンスを他のチームが実行できるわけじゃないしね。

もしも当時このシーンを見ていたら、これでレイカーズは終わったと思っても仕方ありません。管理人もそう思ったはず。強力なセンターが欠けたことで、後半になってタフショットしか打てていないコービーでは勝てそうにない。

しかし、現代的にはどうでしょうか。
シャックと交代で出てきたのはグラントではなくフォックス。つまりフィル・ジャクソンの選択はオーリーのワンビッグマン。ていうか、ほぼウォーリアーズ式スモールラインナップです。マジで現代にオーリー欲しいな。

スモールラインナップの機動力で優位に立っていたシクサーズですが、そこにスモール合わせをしてきたわけです。
もう少し正しく言うとシクサーズの機動力ディフェンスがインサイドへの素早いヘルプでレイカーズを追い込んでいたところに、レイカーズは完全なストレッチ5状態にもっていきました。

さっそくフォックスのドライブにファールするムトンボ。これでシクサーズもムトンボを辞めます。コートにいる5人全員がガードみたいな選手になったシクサーズと、同じくオーリーが一番大きいレイカーズ。
それまでFG2/15だったコービーですが、インサイドに侵入しフローターを決めます。そもそもこれくらいの距離から打てていなかった後半。
しかし、シクサーズも交代で出てきたケビン・オーリー(?)がオフェンスリバウンドを&ワンでねじ込み、遂に遂に同点になりそうに。

後半になってからハイプレッシャーで常にアドバンテージをもっていたシクサーズ。それでもここまで追いつけなかったのは、レイカーズがミスを嫌って、コントロールしまくっていたからともいえるのでした。

しかし、立ちはだかるのはオーリー。コービーのキックアウトパスを受けてコーナー3Pを決めます。残り47秒。

3Pを選択したアイバーソンは決まらず、さらにベルも決まらず。それでもリバウンドに食いついてマイボールにするシクサーズ。当時ならセンターがいないからリバウンドとれないって言われていそうですが、明らかに機動力勝負に持ち込んで奪い取っているシクサーズです。レイカーズはシャック慣れしすぎ。

そしてやり直しのスローインから3Pを打ったアイバーソンにファールするティロン・ルー。バカですね。
これで残り27秒1点差に。27秒って難しい時間で、ファールする必要はないし、だけど24秒使われるとオフェンス構築できるかも怪しい。

スローインを受けたコービーはダブルチームを仕掛けられますが、慌てずにオーリーに渡すと、ここでシクサーズがファールします。今ならフレグラント1なファール。
このフリースローをしっかり決めたオーリーで3点差。20秒残っているので、これまた難しいですがアイバーソンはルーを振り切れるのでドライブを選択します。しかし、またオーリーとコービーが立ちふさがり、レイアップは決まらず。

結果論でいえば、この時最後のタイムアウトを使っていたので、アイバーソンは3Pを選択すべきでした。もう一回ファールゲームしても、オフェンスの時に時間が残らなかったような。
そしてまたもフリースローシューターになったオーリーが、2本とも決めてゲームオーバーになりました。

そんなわけで、とにもかくにもシクサーズファンからすると「ロバート・オーリーのバカ野郎!」な試合でした。

続きは後日にするとして、ここまで書けて夜の3時になったので寝ます。オールスターブレイクでよかった。でも、明日はちゃんと仕事なのですが。


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