2018/10/20 ラプターズvsセルティックス

イーストトップ争い予想の両チーム

豪華メンバーを揃え、しかも2シーズン目のメンバー達なので戦術的にも進んでいるセルティックスは9人ローテで1人30分以下のプレータイムで戦いました。それは上手くプレーシェア出来ているともいえます。ただ問題は組み合わせで、オフェンス面はヘイワードの使い方に迷いもあるような。

カワイ・レナードを加えたラプターズは、レナードよりもニック・ナース効果が大きく、固定されていた方法論ではなく、誰もが積極的にアタックするためのチームシステムを作っています。この試合はシーズン2試合目にしてセルティックス相手に通用するかの試金石。誰もがアタックすると言うけど、穴の少ないディフェンスだとイマイチ突破出来なかったりして。

そんなわけで注目はお互いの高いディフェンス力をどう突破するのか。ある程度止める事になると、カイリー・アーヴィングvsレナード&ラウリーという構図が登場するはず。ていうか、それを見たいわけだ。プレーオフらしい戦い方にして、セルティックスの豪華メンバーの割には悩ましい部分。テイタムvsレナードになったらテイタムにやらせないだろうし。

 

◉マッチアップの妙

早速仕掛けたのはラプターズ。スターターをバランチューナスではなくイバカに。なお、開幕戦はベンチ出場で大して活躍できなかったイバカなのでホーフォード対策って事です。まぁでも見事にホーフォードに3Pを決められ、ピック&ロールから決め返し。そして早々にムービングスクリーンでファールが増えるホーフォードと、まぁ総合で言えばプラスに働いた変更です。ちなみに交代でバランチューナスになると早々にホーフォードにスピードでぶち抜かれて&ワン。

ちょっと意外だったのはレナードのマークがブラウンであること。割とブラウンを嫌がっているのね。個人的にはテイタムよりブラウンがお気に入りな訳ですが、そこにはディフェンスの貢献度が大きく違う事に加え、リバウンドやポストアップなど働くポイントがブラウンの方が幅広いことも含めます。つまりブラウンをマークするためにはオールラウンドに守れる必要がある。

で、レナードに封殺されていくブラウン。でもブラウンに封殺されていくレナード。じゃあどうなるかっていうとセルティックスの方がプラスに働くよね。ブラウンが働かなくても形になるけど、レナードが働かないのは都合が悪い。エースが個人に止められて上手く攻められないと守る方もプレッシャーをかけやすく、スティールから速攻も出てくるし。

そんな感じで守り合って互角のスタートに。どっちが良さげかと言えばセルティックスで、ドライブからのキックアウト3Pが効果的。ラプターズは同じ事をやってもシューターがシアカムになると決まらないし、カウンターされるし。

1Qはフリーで打てたシュートもかなり外れたラプターズ。FG21本中13本が3Pだったけど3本しか決まりませんでした。18点しか取れなかったのはディフェンスの良さだけではなかったね。ちゃんと構成しているのに決まらないのは苦しい。ラウリーのロング3Pは決まったのに。

セカンドユニットになるとヴァンフリートの低さを使われた感じでセルティックスが少しだけリードして終わりました。ディフェンスの戦いって些細なところで連続得点されると苦しくなる。

◉相手が強いならスマート

2Qになってもフリーの3Pを作っても決められないラプターズ。キャブスに負けたパターンが思い起こされます。打たされていたのはヴァンフリートとイバカだったね。ヴァンフリートは素晴らしいガードなのだけど、特にコーナー3Pが決まらなくなるとあまり怖くない。

レナードが出てきてvsヘイワードだと押し込んで決めきるのですが、それを観たからかスマートがマークを入れ替えてレナードを止め、その流れでバランチューナスのポストアップを止め、リバウンドをとるとタッチダウンパスで速攻を作りと例の大活躍。相手が強くなると目立つスマート。時にはペイント内でドライブコースを作るクリアスクリーンをやっているし。センターかよ。

アーヴィングもしっかりとミドルを決めて完全にセルティックスのペースに。その割には得点差は6点くらいだからディフェンスの戦い。そしてブラウンとスマートから解放されると簡単にシュートを決めてくるレナードで1点差に。

 

セルティックスはアーヴィングとヘイワードで簡単にリードを取り戻しますが、今度はラウリーが3Pとドライブで取り返します。オフェンスの流れに慣れてきて連係プレーに対して最後までチェックに跳んで簡単にはシュートに行けなくなり、結局はエースに戻ってくるのはプレーオフっぽい。そこに参加したいテイタムもミドルを決めればチェイスしてブロック。トップチーム同士の戦いらしくなってきます。

ただし、格の違うスターのはずだったレナードはイージーシュートをレフリーコールにも悩まされて連続で落としていきます。アーヴィングもまた落としていきますが、こちらは簡単ではないシュートだけど「それを決めるのがアーヴィングじゃね?」みたいなシュート達。両チームのエースにブランクの影響を感じるので、プレーオフはもっとレベルが上がりそう。

レナードがvsアーヴィングになった瞬間にホーフォードがオフボールスイッチさせるさすがのセルティックスだけど、ホーフォード相手に決められないレナードってのはちょっとね。現時点のレナードはリーグのトップ10にも入ってこないよ。

 

ロジアーとブラウンが3Pをヒットするセルティックス。連続でレナード勝負が決まらないけどイバカが繋いでいくラプターズ。セルティックスがリードを奪ったけど、ラストプレーでヴァンフリートがルーズボールを拾って振り向きざまのブザービーター3Pというスーパープレーを決めて53-49で前半が終わります。

◉スペース調整する両チーム

この試合も後半はヘイワードをベンチスタートにするセルティックス。早速、アーヴィングが上手く抜けてショートレンジで決めていきます。テイタムの3P、ブラウンのハイポストジャンパーと前半よりもスペースバランスが良くなっていて、ヘルプが使いにくい。

一方でレナードもシンプルにブラウンを振り切ってダンク。スイッチさせてアーヴィングを押し込んでショートレンジ。そしてレナードとみせかけてのイバカアタックでダンク。こちらもヘルプさせないことに成功します。HC同士の修正能力が目立つハーフタイムを挟んだ攻防。

アーヴィングvsレナードっぽくなってくる試合

セルティックスの変更は意外なことでブラウン→スマートで、レナードをモリスに担当させます。ブラウンが苦手だったのはレブロンで、それはフィジカルで押し込んでくる形。モリスはフィジカルは強いけどシュートは打たせてしまうからレブロン対策としてはモリスだったのは事実だけど、レナードはちょっと違う気が。しかし、シューティングタッチがいまいちという判断だったのでしょうから、割と機能します。

機能したんだけど、今度はラウリーの突破に合わせるプレーにして豪快なダンクも飛び出すのでした。そして次第にディフェンスが収縮するのをグリーンが3Pで追撃していきます。理想的なスパーズスタイル。

対するアーヴィングもエンジンが暖まってきたように軽やかに決めていきます。ラウリー相手にこんなに軽やかなのって凄い。ある意味ラプターズに有効なキャブススタイル。

昨日のレイカーズじゃないけど、レフリーはセルティックスが好きなのか、アヌノビーに対してメチャクチャ厳しい。接触が少ない守り方なのにコールしてくるから対面のテイタム中心になっていくセルティックス。

まだ2試合目だけどスターが多い良さはもちろんありつつも、気になっているのはブラウンの出番が少ないこと。それは別にエンビート相手にねじ込んだダンクとかはどうでも良くて、前述のポストアップさせる形だったり、ウイングにキックアウトして打たせる形だったりが少ないというチームオフェンスの中でボールが来ないというか、相手の弱い部分を利用するようなパターンが減っていることが気になります。

個人でやらせるのにスターが多い形はそこそこ有効なのだけど、それが良さなのかはちょっと。この2試合ではベインズやホーフォードが空くから3Pを打つくらいしか「らしさ」が無いとに感じるのでした。

 

豪華なメンバーによって様々な仕掛けをしてくるセルティックスの良さはありつつも、1人ひとりのタレント力以上の内容にはならなかった3Qは、レナードというスーパースターのアタックが上回ってラプターズの3点リードで終わるのでした。

ちなみにレナードがベンチに戻るとバランチューナスの強さを活かしたことは追記しておきます。それはインサイドだけはちょっと弱いセルティックスの弱点をラプターズが活用した形。スーパースターと相手との関係性を利用したニック・ナース。

 

◉ユニットの組み方

テイタムとヘイワードの使い分けという話があったのですが、2人の役割は確かに似ている反面で、そのプレーの質は結構違います。いわゆるスーパースタームーブをして体幹の強さでバランスを崩さずシュートを決めるテイタムに比べると、ヘイワードはとってもシンプル。余計なことをせず、自分がシュートを打てるスペースへ移動して打つだけ。追いかけると危険なスペースが生まれてしまうし、ある程度諦めて打たせることを選択すると、時折強引なリングへの抜け出しを混ぜるから止めにくい。

そんなヘイワードなので機能し始めるとテイタムよりもチームへの波及効果が大きいです。4Q序盤はヘイワードの連続得点から機能するセルティックスが点差をなくします。

オフェンスリバウンドをとらせるなというニック・ナースの指示に反し、ブラウンにとられるもゴール下を連続で外すブラウン。レナードをフィジカルで止めるスマート。セルティックスが最後にどんなラインナップにするかは結構な注目ポイントだし、それに対するラプターズのアンサーも気になります。

とりあえず、その前段階となる残り8分から5分くらいまではセルティックスのオフェンスがあまり機能しなくなります。ヘイワードとブラウンをベンチに置くとちょっと自分で行くタイプが多すぎるようなセルティックス。もちろん得点にもなるけど、チームとしての機能性はあまりない。

レナードやラウリーに託しながら、アヌノビーが隙を突いてドライブを決めれば、レナードのミスをイバカが拾って押し込みます。ヴァンフリートもまたハーフスピードで決めていく。

◉クラッチタイムのわかりやすい展開

セルティックスは残り4分半でアーヴィング、ホーフォード、テイタム、ヘイワード、モリス。うーん、それで行くのか。モリスがファールしたらモリス→ロジアーと更によくわからん。

アーヴィングとレナードが決め合うわけですが、レナードのためにメンバーを組んでいるようなラプターズはポストアップのレナードから攻めて、アウトサイドにグリーン、ラウリー、アヌノビー、イバカを構えさせながら、リバウンドにイバカとアヌノビーが飛びこみます。ロジアーが出てきたのでアヌノビーからヴァンフリートに。ラウリーを攻撃的に使う意味もあるし、お膳立ての部分を増やす意味もある。

セルティックスはアーヴィングからホーフォードで3Pが決まるも、レナードパターンとみせかけてヴァンフリートからグリーンで3P、さらにラウリーで3Pと狙い通りの展開に持ち込むラプターズ

スターの戦いに参加したいテイタムが積極的に行くも、ラウリーがテイクチャージすれば、4人に囲まれる中で積極的を通り越して無謀な速攻に対し後ろからレナードとグリーンが跳んで叩き落とす。そしてラウリーはアイソレーションでテイタムを振り切ってステップバックミドル。ルーズボールを拾ってレナードの速攻が外れるけど、イバカがフォローとチーム力で差を見せるラプターズ

残り20秒でこの試合初めての10点リードに広げる見事なクラッチタイムの展開で勝利を手に入れたのでした。

◉HC対決はニック・ナース

ニック・ナースになった良さはラウリーがコントロールして、ウイング3人が動いて積極的にアタックすることでした。それはそれである程度残りつつも、セルティックスレベルのディフェンスには苦しみました。そこに登場したのがレナードを明確に中心にした形であり、単にレナードが攻めるのではなく周囲がフォローもするし、レナードを囮にしてシューターに打たせるし。

つまり全員アタックの良さがあったプレシーズンのオフェンスに加えて、スーパースターのレナードを活かすオフェンスを使ってきました。

〇カワイ・レナード

36分 31点 10リバウンド 3アシスト

25ものアテンプトだったレナードは10本しか決めていませんが、それでもシュート成功率が低い印象よりも非常に上手く活用された印象が強かったです。終盤になるほどエースを中心に極めて上手く組み合わされたラプターズでした。

そしてそれはセルティックスのオフェンスにはなかった形でもあります。開幕戦でイマイチだったアーヴィングは特に後半になるとスキルの高さを発揮し初め、FG10/20で21点としっかりと結果を残しましたが、FG5/10だったブラウンを除いた全員がFG50%を割ってしまいました。ちなみにブラウンだけが得失点差±0です。

特にクラッチタイムのユニットの組み方はいかがなものか。チームとしての強い組み合わせではなく、全員が個人アタックすることを臨んだようなブラッド・スティーブンスの作戦は見事に失敗しています。スマート、ブラウン、ヘイワード、ホーフォードあたりがもたらす要素は、単に個人で得点するだけではないので、アーヴィングを中心に置く形がなんなのかは考えないと行けません。

初戦はまだシーズン開幕に過ぎないわけですが、レブロンに負けたプレーオフだったこともあり、何がベストなのかは豪華メンバーのチームだけに勇気を持って切り捨てなければいけません。

 

FG60%以上が4人いたけどチームとしては47%だったラプターズ。それは中心のレナードに負担を強いつつ、周囲の高確率で対処する流行系。スターターで起用したシアカムだけどシュートが決まらないのは知っているから終盤で起用しなかったように、組み合わせの美学って大切だよね。

ただダニー・グリーンは決めすぎ。昨シーズンのスパーズではどうにも安定せず、ディフェンスもちょっと怪しくなり始めていたのに、ラプターズに来て若き日の姿を取り戻したように。アヌノビーの出番が減るじゃないか。

 

ちょっと読めなかった新人HCニック・ナースの試合中の采配能力でしたが、イーストトップを争う今シーズン初戦の対戦で満点回答を出したと言っても過言ではありません。イバカの先発起用から始まりレナードを活用したクラッチタイムで勝ちきったニック・ナース。

チーム力の差と言うよりもHCの采配で勝利したようなラプターズでした。

 

 

 

2018/10/20 ラプターズvsセルティックス” への7件のフィードバック

  1. クラッチタイムのユニットは似たようなこと思いましたね。
    カイリー中心は全く悪くないのだけど周りは守れる選手やカイリーにスペースを与えられる選手で固めてほしかった。
    恐らくユニットの組み方を試行錯誤してるのでしょうかね?
    あと少しディフェンスが良くなってる気がするカイリーとロジアー。
    気のせいですかね?

    1. テイタムの暴走で負けた感強いですしね。
      ディフェンス面とスペーシングを考えるとブラウンとスマートにしてアーヴィング&ホーフォード中心で良かったと思うんですが。

      カイリーのディフェンス力を低く見積もり過ぎていたのでは 笑
      まぁちょくちょくオフボールのポジショニングの悪さが際立ってましたよ。ただスマートがいると本当に1人でなんとかするから恐ろしいし、ホーフォードもいれば尚更。

      1. まあ…ポジショニングは割と経験がモノを言うから現状はどうしようもないですよねって感じです。スマートから学ぼう。
        もっと対面でも守れないイメージあったのでw

  2. 確か前に管理人さんがラプターズはケーシーというよりもACが指示してるって記事に書かれた気がしますが、もしかしたら当たってたのかもしれませんね(笑)ケーシーって実際どれくらい優秀なんでしょうかねえ??

    1. 理論家っぽいナースとクセの強そうなカラミアンを上手くまとめ、戦術も柔軟に変えたのだからケーシーも良いHCだと思います。選手が全員働くし、モチベーションがあったチームを率いてましたから。
      ピストンズでもドラモンドの3pを認めつつもやらせ過ぎないコントロールを目指している様な。

      ただ試合中の采配は固定観念が強い印象を受けました。たまにやり過ぎる采配もあったりして。
      この試合に限ってはナースが良くやった感が強いですが、ケーシーも問題なのはプレーオフなわけで。

  3. ダニグリか完璧に若返りを
    経ていてびっくりしています。
    2013のダニグリ見てるみたいでワクワクしてしまいました。

    1. 昨シーズンはボロクソに書いて引退間近だと思っていたのですが。本当にトレードされてハッピーなのはグリーンの方でした。
      たまには環境を変えるのも大切という話で、スパーズがどうこうとは関係なく。

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