2018/10/10 プレシーズン クリッパーズvsナゲッツ

ナゲッツってLA大好きだよね。プレシーズンはLAとの対戦ばかり。そのうち「LAに移籍したい」って言い出すんじゃないの。

 

◉銀のニワトリ

クリッパーズは何人かがお休みみたいです。スターターの誰が休んでいるのかがわかりません。というか誰が本来のスターターなのかがわからないチームです。唯一、トバイアス・ハリスだけはスターターだけどお休み。

今シーズンもルーキー達には期待して良さそうですが、その中でも注目の1人がシャイ・ギルゲウス・アレクサンダー。略してSGA。Gの部分の読み方分からん。スターターで登場しておりプレータイムを得ることが出来るのは良い雰囲気で、長い手でディフェンス面も期待できるのが良いPG。

ただ、そこにはクリッパーズの不安もあって、チームとして連動できる良い選手を多く揃えた銀のニワトリなのですが、HCは選手任せが大好きなタイプ。それは別に悪いことばかりじゃないのですが、SGAみたいなルーキーPGがゲームを学ぶ点ではちょっと苦しいよね。早速ドライブするのですが、キックアウト先を迷うし、止められたときの逃げ方も迷うし。

SGAはかなり期待しているのだけど、シュート力が高いわけでもないので、とりあえずプレシーズンの段階ではプレーに迷いを感じたのでした。メンバーが頻繁に入れ替わるであろうクリッパーズを自由にコントロールするのはルーキーには難しいのか?

 

難しかった理由のもうひとつはセンターがマルヤノビッチだったこと。ただひたすらにデカいという現代では特殊系のセンターは、ナゲッツを悩ませもするけど、クリッパーズのパターンを固定化もします。しっかりポジションを取ろうとするし、高さを活かすだけのフィジカルもあるし、マルヤノビッチ本人のプレーはあれで間違いがないけど、同じ事を繰り返してしまう周囲のメンバーなのでクリッパーズ的にも長時間は使わない方が良いのかも。

さらにデカいSFのガリナリもいて高さの利を活かしていくクリッパーズ。2人揃うと尚更特殊になってくるので、そんなところも相手からするとめんどくさいね。

ディフェンス面では意外にもスピードに対しても対応出来ていて、最終的にインサイドに追い込めば抑えられる作戦を採用しています。こっちはSGAとの相性も良く、ベバリーにエイブリー・ブラッドリーとディフェンダーを揃えているのでした。

こうして書いて思うのは、クリッパーズは本当に書きにくい。だって、これがメインの戦い方かどうかもわかんない。メンバーによって様変わりしていくし、ルー・ウイリアムスの個人技タイムもあれば、機動力センターのハレルがハイスコアする時間もあるし。この試合は新加入のマイク・スコットがアウトサイドも速攻もお手の物でリードを得るのでした。スコットは本当に優秀だよ。何処でも守れて、どのポジションも対応出来て、シュートが上手い。

揃えまくった銀のニワトリ達はタイプも違えば、やりたいバスケも違うのに誰が出てきてもちゃんとパスするし、連動する気満々なんだ。それって

選手任せのリバースが本領発揮しやすい環境

なのではないか。スターター固定で勝ってきたけど、肝心なところでケガしたり、競り負けたりした歴史から、勝率は落ちるけどどんな相手にも対応しやすいチームなのかもしれない。

本当にめんどくさいチーム。書くのも大変だけど、対戦相手はもっと大変だろうな。

 

◉ミルサップ問題

昨シーズンのナゲッツは本当に強かった。強かったけどマイク・マローンはベテランの重要性を信じて疑わず、ガンガン行こうぜ作戦を嫌うミルサップとデバン・ハリスに周囲の若手達が合わず、オールスター明けに停滞し、それによって1勝届かずプレーオフを逃しました。

「ディフェンスをなんとかしたいのはわかるけど・・・」とは思っていたけど、オフにはウィルソン・チャンドラーを放出し、ウィル・バートンを残すことを選びました。更にはアイザイア・トーマスまで獲得してチームは腹をくくった模様。もう守れないことを受け入れたナゲッツです。

そうなるとオフェンスでもチームに合わなかったミルサップ問題が浮上します。さすがにミルサップが噛み合わないのはGMに責任はないかも。なんせ、殆どの専門家が「完璧な補強」と評していました。でも合わなかったのは、根本的な考え方だと思うんだけどね。

ミルサップがどうなるのかと思ったら、超積極的にオフェンスに絡もうとします。ヨキッチがもっとやれではなく、自分がヨキッチの代役もしないといけないことを理解してきたのか、ディフェンスリバウンドから自分でプッシュする場面が次々に出てきます。

ドライブからのキックアウトに3Pも積極的に狙って行く姿勢は、昨シーズンのしつこすぎたプレーとは全く違う小気味良さ。アジャストする気持ちが強いようです。まぁでも全然シュートが決まらないらしいね。要するにミルサップのリズムと大きく違うナゲッツのリズムで、でもミルサップはナゲッツに合わせようと頑張っている2シーズン目だと思いましょう。

ミルサップよりもベンチのライルズの方が高いシュート力と、アシストでも活躍しているのは内緒だ。

 

ヨキッチのチームと思われがちのナゲッツだけど、実際ヨキッチのチームではあるけど、そのミソは若手達は誰もがヨキッチのことなんか気にせず、積極的にアタックし、シュートを打っていくことなんだ。その積極性が、パスファーストのヨキッチにハマっているというのがナゲッツのオフェンス。

ペリカンズもアンソニー・デイビスのチームなんだけど、本人はプレーメイクしないでフィニッシュ専門なわけで。両チームを作ったクリス・フィンチが有能なのはエースはエースだけど、エースを無視するくらいのシステムになっていることなんだ。でも、このシステムだと共通して守れない謎。

 

◉ベンチモブ

スターターとベンチという差が存在しないクリッパーズ。出てくるのはチーム得点王のルー・ウイリアムスだし、最高FG%のハレルだし。

ところがラッシュしたのはナゲッツのベンチ達。モリス、ビーズリー、クレイグ、ライルズ、プラムリー、エルナンゴメスの完全なるベンチメンバーは、スターターよりも息の合ったプレーを展開し、誰もが積極的で攻撃的。何よりもシュートが決まる。おーいミルサップ。

とにかく切り替えが早く、走りまくるチームはここにも新たなベンチモブがいることを示しています。まぁシュートが決まらなくなったら酷いことになるのだけど、それはスターターも同じだし。

ライルズとお気に入りのクレイグが良いのは昨シーズンからだけど、オフのトレーニングを経てビーズリーとモリスが充実してきた様子。いや、驚きの充実ぶりをみせています。特にディフェンスの収縮が早く、そこまで守れているわけじゃないけど、最後の最後に手を出すことが出来ています。クリッパーズがクレイグの所から攻める謎プレーも関係していたけど。

スターターが守れないのはヨキッチ問題。ヨキッチのいないベンチの方が攻守合計では上回るんじゃないか疑惑すら出てくるナゲッツの素晴らしきベンチモブでした。でも安定感を欠いて信用できないのがナゲッツだということは忘れないでね。

そしてどうやらこの試合はセカンドユニットの日らしく、後半もそのまま出てきます。うん、2Qから出ずっぱりなんですけど。選手起用はリバースの方がかなり上回ると思うのでした。

ミルサップか、ライルズかは「ディフェンスと実績のミルサップ」というのはわかるのですが、バートンをスターターにおくよりもクレイグやビーズリーの方が総合的には上回る気もしました。ベンチでも個人で得点してしまえるバートンだし、パスを待って打つシュート力はビーズリーが上回るかもしれない。

ナゲッツに起こり得る下からの突き上げ。そんなまともな競争原理が働けばよいのだけど。

マイケル・ポーターjrを急がせないのは良いけど、このメンバーにアイザイア・トーマスをどうやって組み込むのだろうか?面白い補強だと思ったけど、ビーズリーがここまで良くなると、サイズのある選手を補強すべきだったね。終盤に出てきた23番の方が良いんじゃないか。

 

◉クリッパーズは安定しているのか

後半になると次第にクリッパーズが優勢になっていきます。それをライルズとビーズリーが個人技でなんとか押し戻す感じ。優勢になった理由は、ナゲッツのベンチメンバーが長時間のプレーになれておらず、失速していったこと。采配ミスっちゃ采配ミスだけど、それもシーズンに向けたテストの1つなのかもね。

一方のクリッパーズはしっかりとローテーションして戦い、それもマルヤノビッチを中心とした高さの圧力で戦うスターターから、ハレルやスコットといった機動力インサイドがいて、ルー・ウイリアムス中心の速さのベンチメンバーになるので、ナゲッツは非常に苦しみました。

 

そうなると気になるのはクリッパーズの自由自在な戦い方が、安定を生み出すのかどうか。この試合に限って言えば、しっかりボールが動いた上で高さを利用し、そして速さに切り替わっており、プレーはとっても安定感がありました。シーズンにはいってみないと安定しているかはわからないけど、本当に厄介だな。

また高さと書いたけど、ピストンズでのプレーはもっと鈍かった気がするマルヤノビッチ。もちろんスピードそのものでは負けるけど、腰を落とした状態で手を挙げただけでプレッシャーをかけられるという高さがあるので普通に通用するようになってきています。毎試合15分くらい起用する価値がでてきたのでは。

そういえばゴータットもいるんだよね。それもまたタイプの違うセンターなわけで、いやいやめんどくさいチーム。

 

この試合に限ってまとめると、こんな雰囲気でした。

SGA、ブラッドリー、ベバリー、ガリナリ、マルヤノビッチ

アウトサイドのプレッシャーディフェンスとインサイドに追い込んでのリムプロテクト。アウトサイドを動き回って、最後はインサイドの高さを活用したオフェンス。

テオドシッチ、ルー、ジェローム、スコット、ハレル

全体の機動力を活かした早い展開のオフェンス。同じくローテーションの速さでカバーしあうディフェンス。

休みのトバイアス、ゴータット、バーアムーテだけでなく、ちょっとずつのプレータイムになったソーンウェル、ウェスリー、エバンス。

スターターだったはずのウェスリーがベンチの端っこに追いやられそうなのが今シーズンのクリッパーズです。ペイサーズと7戦シリーズを戦って欲しいくらいの厚すぎる戦力を誇っています。なんだこれ。

クリッパーズの記事を書こうと思っても難しい理由がよくわかります。本当に変幻自在なメンバー構成。ベバリー、ブラッドリー、バーアムーテ、ソーンウェル、ハレルみたいなユニットも使ってくれないかな。

クリッパーズファンの多くはロブシティ時代の豪快かつ爽快なバスケが気に入ってファンになったと思うけど、このクリッパーズはそんな派手さとは無縁だし、一体何が良いのかわかりにくいかもしれない。だけど、戦術や戦略を考えると、あまりにも多彩になりそうで、毎試合違うクリッパースをみることになるかもしれません。

ブログのゲームレポートじゃないけど、全試合みて気になったことをメモっていくだけで、とても楽しい気がする。プレーオフに出れるかどうかはわからん。リバース頑張れとしか言いようがない。

リバース本人よりもフロントの方がリバースの良さを理解し、リバースにあったメンバーを整えてきた気がします。例のチームに教えてあげてくれって感じですが、HC同士は仲良しなんだよね。

 

 

そんなわけで偶然だけど、面白い試合を観ることが出来ました。プレシーズンならでは。

ナゲッツはベンチの若手達がめちゃくちゃ良い。まさかここまで成長してくるとは思わなかった。昨シーズンも突然登場したクレイグがいたように、若い選手も伸び伸びと出来るカルチャーがあるのでしょう。アイザイア・トーマスなんて不要じゃないかと思わせる若手達。

でもHCはベテラン好きだし、若手の自由な感じが好きではないので最後は迷走する気がするけど。ちなみにスターターも若いので。ナゲッツの火力はリーグ最高レベルなのですが、ベンチメンバーまで火力を備えることになりました。

 

クリッパーズはメンバーの層が厚い上に、特徴が多彩で、しかもチームプレーをするタイプばかり。選手任せと批判していたリバースだけど、むしろ各選手個人の特徴を出そうとしてくるかも。

誰が出てきても同じバスケが出来るのではなくて、出てくる選手達がそれぞれの違う特徴を発揮してくるけど、噛み合わせの悪い選手が殆どいないという奇跡的なチームになっています。本当に昨シーズンのペイサーズみたいな雰囲気。

両チーム共に困った時にどうするのか悩むのだろうけど、選手を信じる力はリバースの方が上だよね。

 

不安定だけど火力のあるナゲッツ

自在な顔で安定感を発揮したいクリッパーズ

これで両チームがプレーオフ圏外のチームだったのだから、ウエストを勝ち抜くのは本当に難しい。ケガ人や日程のちょっとした変化で順位が一気に変わってきそうなのでした。

 

2018/10/10 プレシーズン クリッパーズvsナゲッツ” への16件のフィードバック

  1. 以前の閉塞感のあるロブシティ時代より今のクリッパーズの方が断然面白いチームです。
    スターが去って選手自体はB級でHCも超有能ってわけでもないのに不思議と興味が湧くのは、どことなく昨季からのペイサーズと似た部分があるからですかね。

    1. ロブシティ時代が長かったので、変化と成長という新たな要素は現状を打破してくれそうですね。
      とはいえ、成績を残せなければ興味を持たれないでしょうから、ペイサーズだって勝つ事で注目されましたし。
      どうなるかわからないシーズン前の楽しみという部分も大きいです。

  2. 初めてコメントさせていただきます!
    僕も同じ試合を観ていて、本当に両チームとも個性的で観ていてとても面白かったです!驚いたのはナゲッツのベンチメンバーで、ビーズリーやライルズ、モリスらの成長具合はすごいと思います。どちらも良いチームで、プレイオフでもみたいと思える両チームですがプレイオフ、どうでしょう。ナゲッツは8位あたりで滑り込むのでは?と思っているのですが、管理人さんの見解を教えていただけませんか!

    1. ウエストは4位から10位までが5つくらいしか勝利数に差がない状態になるかもしれません。本当にどうなるのかわからない。

      ナゲッツは昨シーズンに50勝以上とさえ予想されていたチームなので、突き抜ける可能性もありながら、安定感がね。個人的には4位くらいの強さだと思っています。

  3. クリッパーズは本当に面白いですよね。自分はレイカーズファンですが、たぶんクリッパーズより順位が上で終われたとしても、シーズン最終盤な気がします…いや、順位は上になりたい…
    ただクリッパーズは力押しできる選手が少ないので、プレイオフではどうかなと。プレイオフならレブロンいるからレイカーズの方が怖いでしょう。
    DJがいなくなってチームとしての幅が広くなったクリッパーズ、素直に羨ましい

    1. ペイサーズと同じ悩みですよね。あっちはオラディポがいてターナーがいるだけ先も見据えられるチームになりました。

      クリッパーズにはルー・ウイリアムスがいるので、個人で打開は出来る方ですが、プレーオフとなると火力にかけそうで。なので結局はSGAなんかも上手く育てたいのでしょう。
      プレーオフに出れるかはオフェンスよりもディフェンスだと思います。良いディフェンダーがいるわりには、ちょっと物足りないのでシーズンになって強みに出来るかどうか。

  4. 両チームとも今シーズン躍進しそうでとても楽しみです。
    ナゲッツはITを勝負所で起用してクラッチを決めてもらうとか、より役割をを絞ってくると思ってます(何より怪我が怖いので)
    LACはベバリー&ブラッドリーの地獄のプレッシャーコンビがいるので、西の決勝まで行った2009年ロケッツのバティエ&アーテストみたいなことを期待してます笑
    管理人さんが(見てみたい!)というメンツや起用方等はありますでしょうか?

    1. ナゲッツにはITを勝負所で起用して欲しくなかったりします。多分、弱くなります。それよりは3Q終盤から4Q前半にラッシュをかける6thマンにして欲しいのですが、この日のベンチメンバー達を観るとその必要もないような。ITは周囲がハードワークで支えないといけないからなぁ。

      クリッパーズはSGA、ブラッドリー、スコット、トバイアス、ハレルの5人が最高です。オールラウンドなディフェンスと高い機動力にサイズ。シュート力にドライブと非常にバランスが良さそう。しかし、ベストの5人に拘ると上手く行かない気もしています。その日のリバースの気分次第で。

  5. クリッパーズ、セルティックス東西のお気に入りチームが胸熱な今季はかなり楽しめそうです。特にクリッパーズは期待してしまう。セルティックスはファイナルが最低の目標かなと。クリッパーズはプレーオフかなー?クリッパーズは主力ごっそりいなくなった時は再建モードかと思ってましたが今季はどんな年になるのか全く予想がつきません。

    1. セルティックスはクリッパーズの層の厚さを持ちながらスター選手を揃えたって感じですが、実はバランス的にはクリッパーズの方が良さそう。
      ディフェンスをスマート、ブラウン、ホーフォードに頼っている一面もあるので、層が厚いのは良いけど起用法が難しそうです。

      1. セルティックスはディフェンスと高さに不安があります。元々去年がロジアーとテイタム含めディフェンスに関しても出来過ぎだった気がします。ただイーストだから大丈夫でしょう。
        クリッパーズは今年の成績と内容次第では本拠地のステータス等含めFAの選手にはかなり魅力的なのでは?トンプソン無いかなぁー、ガリナリをどう処理するか。ペリカンズがこけてADトレードとかで取れたら鼻血出るな

  6. アメリカスポーツ文化ファンの目線でいうと
    MLB、NBA、NHL、NFLは持ちつ持たれずの関係にあり今NBAは世間一般人気はピークに達しており儲かります。
    つまり元アメフトマンや陸上選手、野球選手がシーズン後半に入団してきますよ。
    あとウサイン・ボルトがLALと1日契約すると予言しておきますよ。

  7. まさかマリヤノビッチがスターターの可能性があるのか?!?!ルーウィリアムスと組ませた方が単純に考えれば良さそうですけどね。

    1. そう思ってましたが、機動力あるハレルの方が好き勝手やるルーのフォローも出来れば走れるので良かったのでした。マルヤノビッチいるとドライブしにくそうで。

      マルヤノビッチが時間は短くてもスターターならトバイアスは再契約してくれるはず!?

  8. SGAの現地での読みはシェイ ギルジャス アレクサンダーです。ハレルのファーストネームはモントレズで略称もトレズなので参考までに。

    1. おーありがとうございます。SGAは聞き取れなくて。ハレルはトバイアスと似ているから、ファーストネームを書く必要があるので助かります。

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