20180312 ウルブズ vs ウォーリアーズ

カリーのいないブレイザーズ戦の感想はデュラントで誤魔化しているだけでチームとしての機能性ゼロのウォーリアーズでした。

バトラーのいないセルティックス戦のウルブズはストロングポイントであるウィギンズをジェイレン・ブラウンに消されると、タウンズを活かせず、大事な場面で決められないクロフォードでした。

つまりチームの機能性に問題があるウォーリアーズと個人に問題があるウルブズでした。それは単にチームの目指す部分の違いでもあります。




恐ろしい事にプレーオフ1回戦の可能性もあるんだよね。現在2位のウォーリアーズと6位のウルブズ。

センターが強いウルブズとセンターが弱いウォーリアーズ

シューターが揃うウォーリアーズとシューター不要のウルブズ



 

◉ボールムーブするウルブズ

 

シューター不要と書きましたが、バトラー不在のウルブズにはビエリッツァがいます。積極的にボールには関わらず、スペースを作ってくれた上で外から射抜いてくれるビエリッツァがいるとウルブズのオフェンスは割と魅力的になります。

またサイズがあるので、ディフェンスでも活躍します。バトラーのようなディフェンス力はないけど、シュートを阻害する力があります。

 

ティーグのドライブからビエリッツァのコーナー3P
ウィギンズのポストアップからタウンズの3P
ティーグ→ギブソン→ウィギンズとパスが回っての3P

見事な連携で得点していくウルブズです。正直、バトラーがいるとこんな事はないよ。
そして3Pの後はボールムーブからタウンズとウィギンズのミスマッチを活かしたポストプレーで得点します。

素晴らしきかなウルブズ



残り3分からベンチメンバーが出始め、そしてデリック・ローズも出てきます。いきなりドライブしようとしたら足を滑らせました。ケガすんなよ。

ジェンのミスを拾ってゴール下を決めます。PGではなくウイングとしての起用で、広くスペーシングされた中でドライブを仕掛けていきますが、簡単には抜かせてもらえません。そこはウォーリアーズだし。

 

この時のウルブズは恐ろしい布陣になっていて、タイアス・ジョーンズ、クロフォード、ローズを並べます。こんなメンバーでオフェンスになるとは思えないのですが、ウォーリアーズもウォーリアーズでルーニーとパチュリアが同時に出ています。

オフェンスにもならないけど、ディフェンスにもならないので、助かっているウルブズでした。

何故か自分でいかないクロフォード。
クロフォードがワイドにパスしてローズとジョーンズを使うので悪くないオフェンスでした。ディフェンスも頑張っていたし、人が違うかのようなクロフォードでした。

FG65%と好調なオフェンスで34点を奪って10点をリードするウルブズでした。



◉切り返すウルブズ

 

しかし、そんなムチャな構成で常に上手くいくならポジションの概念なんて産まれません。2Q2分経たずに2点差まで縮まってウルブズのタイムアウトになります。

ウォーリアーズのオフェンスが良かったわけではなく、ウルブズの連携ミスから速攻になったり、3人も小さくてフィジカルのない選手が並ぶので、リビングストンやパチュリアが高さだけでシュートを決めました。

シボドーは不満気な顔をしますが、どう考えても起用ミスです。タウンズを戻します。



タウンズは外から決めますが、話にならないローズのドライブ。ドライブ云々もありますが、中も外も誰も合わせないし。

合わせてもパスしないとか言っちゃダメ。

それでいて守れない。ディフェンス出来ない選手ばかりな上に小さいウルブズ。
アーリーオフェンスでミスコミニケーションでゴール下をフリーにしてしまうなどガードが3人いるとは思えません。

あっという間にウォーリアーズが6点リードになってウルブズはスターターを戻します。



ウィギンズやタウンズで反撃するウルブズですが、デュラントが戻ってくると連続3Pで12点差まで広がります。しかし、ルーズボールで客席まで飛び込んだニック・ヤングが腰を痛めてロッカールームへ戻ります。

ヤングまでいなくなるとスコアラー不足になります。後半には戻りましたがケガ人怖い。

 

そこからの3分間はお互いにオフェンスでやり合う形になります。デュラントで攻めて行くウォーリアーズとウィギンズ&タウンズで攻めて行くウルブズ。そこにグリーンとギブソンのやり合いを交えて得点が伸びていきます。

結局、62-55の7点差になって前半が終わります。デュラント1人とウィギンズ&タウンズ2人のウルブズが少しだけ上回りました。



◉ウォーリアーズのPG

 

カリーの代役PGであるクイン・クックはデューク出身でタイアス・ジョーンズとチームメイトとしてNCAAチャンプになっているそうです。
その時ファイナル4にタウンズのいたケンタッキーらしい。この時のケンタッキーは異様なメンバー。毎年異様か。

そんなクックは「カリーの代役」と考えると不満が出るでしょうが、3番手PGならば頑張っている選手です。ディフェンスでティーグを止めたり、オフェンスではコーナーまでスペーシングしたりと全体のバランスをとるような動きをします。

 

問題なのはデュラント頼みになるウォーリアーズ全体です。

カリーのシュート能力がチームから抜けるのだから、それは大きな痛手です。しかし、シュート能力を無視したとしても、カリーにはピックに行くのにそんなプレーはなく、ポストにボールを預けてバックドアカットするプレーもありません。

要はデュラントとトンプソンにパスする以外はほぼ何もしていないに等しいウォーリアーズ

 

グリーンを責めても可哀想なのですが、カリーがいないのでPG的に振る舞う事が増えます。しかし、グリーンはフリーの選手にパスをする能力はあってもゲームメイクする能力はありません。

そしてパスの受け手としてのシューターが少なく、なかなかボールを捌けず、単にボールを止めているだけになります。スプラッシュブラザーズあってのグリーンです。



ところが都合の良い事にウォーリアーズにはデュラントがいます。デュラントに渡してしまえば高確率で個人で打開してくれます。ピックすら不要のデュラント。
だからオフェンスが構成出来ているように思えるのですが、実際にはデュラントに全てを委ねているだけの状態です。

 

リビングストンやパチュリアがいるセカンドユニットになると少し違って、トンプソンを活かすためにパスの角度やスクリーンの位置が調整されます。ちゃんとチームでやる意識があるという事です。グリーンも最後に回ってきた時に2本の3Pで機能しました。

 

要はデュラントという世界最高のオフェンスプレーヤーが、チームの問題を隠してしまっています。

◯前半のデュラント
19点 3ブロック
得失点差△9

苦しくなるデュラントありきのウォーリアーズです。カリーにするようなスクリーンをクックにすれば、結構ちゃんとプレーすると思うよ。



◉濃密な12分間

 

3Qは29-22でウルブズが制し、同点に追いつきます。解説もグレート3Qと評するほどに中身の濃い12分間でした。3連続得点が殆どない中でお互いに決められたら決め返し、止められたら止め返すような展開が続きました。

そんな中でウルブズが追いついた理由は何なのか。

1つにはウルブズの方が主力を長く使いました。タウンズとビエリッツァが残り3分でベンチに戻るまでスターターで押していきました。ウォーリアーズはデュラントのみがフルで出ました。

そのため終盤になるにつれてウルブズが上回るようになっていきました。セカンドユニットで失敗したシボドーお得意の酷使です。

 

2つ目に全員で攻めたウルブズとデュラント頼みのウォーリアーズという差が出ました。アテンプト数がスターター全員が3本か4本だったウルブズに対し、ウォーリアーズはデュラントが12本、トンプソンが6本でした。

クックがドライブしてパスアウトしようとしたら全員の足が止まっていたシーンがありましたが、基本的にボールマン任せになっているウォーリアーズです。それでもデュラントとトンプソンで得点は取れてしまいます。

ちょっと苦しいウォーリアーズ。4Q開始でリードを奪わないとマズイ展開です。



◉後悔のウォーリアーズ

 

さすがにローズは使わなかったシボドー。ウィギンズが休みなく出続けます。そのウィギンズから大きくサイドを変えたり、インサイドのタウンズに繋いだりとプレーメイクされていきます。連続で決めたタイアス・ジョーンズによりウルブズがリードします。

形にならないウォーリアーズは早めにタイムアウトをとります。

 

トンプソンが素晴らしいパスでパチュリアやカスピを使います。グリーンが出ていないのですが、ブラインドサイドに隠れるこの2人の方が機能しています。

そのパチュリアやカスピがオフェンスリバウンドを拾って繋ぐのですが、そこからの3Pをデュラントもトンプソンも決められず、逆に速攻を食らってしまい残り7分で6点差まで広がります。



この試合初めてのバックドアが決まります。ポストのパチュリアからコーナーにいたはずのトンプソンという形ですが、インサイドを空けてあるのでウォーリアーズらしい形です。

しかし、トップの位置でデュラントが後ろから来たビエリッツァにスティールされ、タウンズの3Pへと繋がります。トップでやるべきプレーではありませんでした。

一部では修正されていますが、まだ問題は残っています。

 

残り5分からスティーブ・カーの選択はこの5人
クック
トンプソン
ヤング
デュラント
グリーン

正直、ここにきてクックを使う意味がよくわかりません。ヤングを使うならばPGグリーンで問題ないのでは?
そしてさすがにパチュリアを使うべきなのではないのか。

案の定、ギブソンに連続でオフェンスリバウンドをとられ、タウンズに押し込まれる形になります。ディフェンス面でなかなかウルブズを止めることが出来ません。

 

オフェンスはデュラント頼みから両ワイドのシューター達を使うのですが、どうしても決まらないヤングとトンプソン。

それでもデュラントが1人でファールをもらってフリースローを決め、そして残り2分でデュラントがプルアップ3Pを決めて1点差となります。

ひたすら苦しいウォーリアーズを個人技で何とかしてしまいます。



グリーンがスティールして速攻になり、トンプソンがコーナーから3Pを狙いますが決まりません。

対するウルブズはクックとマッチアップになったビエリッツァがポストアップし、最後はタウンズがグリーン相手に難しいフェイダウェイを決めます。さらにオフェンスリバウンドをねじ込んで30秒で5点差になります。

この後のオフェンスで何故かクックは1人で突進ドライブしてタウンズにブロックされます。なんでここにきてデュラントじゃないのか?

 

残りの時間のファールゲームを過ごしてウルブズが逆転勝ちしました。ウルブズは5位返り咲きです。負けるとプレーオフがウォーリアーズの可能性が高まる試合に勝ちきりました。

苦しいウォーリアーズでしたが、終盤の攻防でトンプソンが決めていれば逆転勝ちしていた可能性もあります。
パチュリアを使っていれば、いやせめてリビングストンにしていればギブソンのオフェンスリバウンドを後悔しなくてよかったはずです。



◯アンドリュー・ウィギンズ
23点 FG9/16

◯クレイ・トンプソン
21点 FG8/22

地味なのだけどここの対決で上回ったのが大きかったウルブズです。ウィギンズがディフェンスやるようになったしな。ただプレーヤーとしてはウィギンズの方が総合力で上回っています。

ただ、シューターとしてトンプソンが遥か上にいるわけです。そんなシューターの良さを活かせていないウォーリアーズ。シューターの良さを活かす1つがバックドアなのに、パチュリア以外は有効に使えませんでした。

 

トンプソンのオフェンスに対し46回(56%)マッチアップしたウィギンズはFG3/11で9点に抑えました。

ウィギンズのオフェンスに対し52回(68%)マッチアップしたトンプソンはFG4/7で13点でした。



◯カール・アンソニー・タウンズ
31点 16リバウンド
FG13/24

最後に決めたのはタウンズ。グリーンを完璧に上回ったのですが、それはグリーンを責められないくらい見事なプレーでした。正直どうしようもない。あれを止められるとしたらアンソニー・デイビスくらい。

んっ?5位だとペリカンズなのか。

ちなみに最近酷使されているのはウィギンズやタウンズよりもビエリッツァ。便利なんだよねビエリッツァ。

 

バトラーのいないウルブズだけど表面的な強さは変わりません。むしろボールムーブは良くなっているし、シューターはいるしで上回るくらい。もちろんオフェンスだけの話です。

しかし、セカンドユニットは壊滅的。どう考えてもローズよりも獲得すべき選手がどこかにいたはず。まぁどこかにいただろうけど、獲得しても使わないシボドーでしょうね。



ブレイザーズ戦のセカンドユニットは酷かったけど、さすがにウルブズほどは悪くないウォーリアーズでした。逆にスターターはウルブズよりも弱い。カリーがいないだけでなく、クックを30分も起用しなければいけないのか!?

まぁカリーもイグダラも戻ってくるから不安要素とかではありません。しかし、ウォーリアーズのプレーブックは一体どうなっているのか?

カリーがいないとスクリーンすらかけないって理解に苦しみます。豪華メンバーを揃えながらもチーム力が売りだったはずなのに。

 

◯ケビン・デュラント
39点 FG11/32

FGアテンプト32って!チームで91本のうち54本をデュラント&トンプソンが打っています。カリーがいなくなるとこんな状態になるのかい?

「ウエストブルックは打ちすぎ」みたいに言われることがあるけど、サンダーはそれを前提にした設計をしています。
しかし、今のウォーリアーズはチーム力と言いつつも個人のパワー任せと言える内容になっています。

 

◯パス数
ウォーリアーズ 318
ウルブズ 296

ブレイザーズ戦では200に届かなかったけどパスは回せています。だからこそおかしいデュラント&トンプソンのアテンプト数です。

まぁ考えても仕方ないか。カリーもどってくるし。



ワイルドワイルドウエストはジャズがペリカンズに勝利したので、4位から10位までの激しい争いになりました。おそらく1番強いのは10位のジャズだからワイルドをもう1つつけたい。

そう考えると今のウォーリアーズはウエスト8位くらいの強さです。圧倒的な2位でさえケガ人が増えると苦しくなります。

ホームコートアドバンテージも大切だけど、それよりも健康が必要なのは間違いありません。プレーオフで対戦する可能性のある両チームですが、プレーオフに向けて健康管理出来るウォーリアーズと目の前の試合を負けられないウルブズです。

20180312 ウルブズ vs ウォーリアーズ” への6件のフィードバック

  1. カリーがいなくなってからもですが、今シーズンのカーの采配は?のつくものが多い気がします。
    リビングストンをもう少し起用してもいいのではと思いますがね。

    1. なんかよくわからないこと多いですね。シーズン序盤は試しているのだと思いましたが、ここまで上手くいっている事が殆どありません。

      スターターとしてクックをつかうのは理解出来るのですが、最後の場面で特定の武器がないクックに何かしろ、というのも酷ですし。

  2. 毎日楽しみに拝見しています!
    ウルブズについては獲得した以上は仕方ないと思うのですがローズはどう使っていくべきでしょうか?
    個人的には今日のタイアスをボールハンドラーとして、クロフォード、ローズをウィングとして使うのがセルティックス的な形で機能するのかと思ったのですが、管理人さん的にはセカンドユニットが機能する為に何が必要だと思いますか??

    1. その3人が同時は苦しいですね。
      セルティックスはシュートが決まらないのはスマートだけで、ディフェンス出来ないのはアーヴィングだけですからね。

      ローズの方がゴール下までドライブする能力あるのでクロフォードは使わず、セカンドユニットはジョーンズとローズのコンビでいきます。
      シューターとして必ずウィギンズかビエリッツァを混ぜないといけません。

      そうなるとスターターも人数不足なのでクロフォードはスターターの交代要員にしておきたいです。

      9人ローテの中で4人のガードは2人ずつしか起用しない方針にしたいです。

      1. 確かに3人ガードでもそれぞれバランスを取れてないといけないのですね!
        ありがとうございます。
        いずれにせよローテから見てもウルブスは厳しい状況ですねー

        1. 他のチームではケガ人が出た時にセカンドユニットはそのままでサードユニットから補充する事もあるのに、ウルブズはビエリッツァをスターターにいれて酷使ですからね。あまり連携とか気にしていないのでしょうね。

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