◎多彩ではないがパターンは多い
マルチネスはトランジションやスペーシングを徹底するベーシックな部分を徹底しながら、エルボーにダブルポストを置くプレーコールを多用していました。正直、そんなに多彩な感じはなく、似たようなプレーコールで試合を進めていったし、その分だけ試合中に変化を起こすのはイマイチでした。
しかし、1つのプレーコールから派生するパターンが多く、ディフェンスの対応によってリアクションオフェンスをしているし、コーナー待機の選手は必須なのにポジションチェンジも多発させていきました。大量のプレーコールを用意するのではなく、決められたプレーコールの精度を高めていく、深めていくタイプのオフェンスでした。
凄い雑だけど、例示してみましょう。
①エルボーでポストアップした選手にパスを入れてギブ&ゴー
これがオフェンスの基本にあったとします。でも、そのポストアップした選手はディフェンスがフェイスガードしてきた瞬間に、ゴール下へダイブします。つまり、①が基本なのに
②ディフェンスがパスカットを狙って来たらバックドアカット
この②が先に出てきます。なお、この②は若い世代ほど、パサーとカッターの呼吸が合わずに失敗します。U16だと失敗ばかりで、U18になると6割くらいの成功率になります。トップになったときに9割になるのが大事っていう継続性な雰囲気。
また、①が狙いだけど②が発生してしまうと、ポストのスペースがぽっかりと空いてしまいます。ここでコーナー担当がスペースを使う動きを始めます。
③コーナーからウイングへ上がるムービングシューター
ジェイコブス世代はここがシューターになっており、広いスペースにオフボールムーブできました。しかし、白谷世代ではスモールビッグがこの役割になっており、③が再びのギブ&ゴーになったりします。
・ディフェンスによって変化するリアクションオフェンス
・選手のタイプによってプレーパターンも変化
・スペースとムービングが折り重なって変化
特に最後の白谷世代はビッグマンが薄かったので、より広くスペーシングしオフボールが大事でした。スピードのある越が点を取りまくるわけですが、そのためにディフェンスを動かしてスペースを作る仕事を宮里が見事にこなしていたし、高橋がオフボールムーブでディフェンスを引っ張ったり、逆をって3Pで仕留めていました。
「溜める・崩す・合わせる」といったプレーメイクの連動性が重視されていた
それこそNBAでもあるようなエースのためにスペースを作って、そこからキックアウトを待っていく・・・ような戦術ではなく、それぞれがスペースを作る、埋める、タイミングを合わせるetcの仕事を求められていました。あまりにもホーバスとは真逆というかさ・・・。そしてこれらのバスケは
身体能力が上の相手にも通用する判断力を養成する
という点にも連なってきます。チーム戦術として異なる世代で共通意識をもち、派生パターンも多いというメリットよりも、各選手が常に頭を動かして状況判断を求められるのが魅力でした。あと「そりゃあスペインは強いわ」と再認識させられた感もあった。特に去年のユーロでは19歳がPGこなしているんだもん。
マルチネスはトップのHCとしては物足りないでしょう。手持ちの武器は少ないし、多彩さも足りていない。ただ、ベースとなる戦術からの派生パターンが多く、それらを使いこなしていくことを求めることは、育成年代に適切なディベロップメントをもたらすようにも見えました。